日常

活かしきれてない設定に歯がゆさを感じる「あんハピ♪」レビュー

日常
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評価★★☆☆☆(24点)全12話
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あらすじ 天之御船学園1年7組に在籍する花小泉杏・雲雀丘瑠璃・久米川牡丹・萩生響・江古田蓮。この5人は”負の業”、すなわち不幸を背負った女子高生である。担任の小平先生の提案で、「幸福」(しあわせ)になるために高校生活を送ることになる。
引用 – Wikipedia


活かしきれてない設定に歯がゆさを感じる

原作はまんがタイムきららフォワードで連載中の漫画作品。
監督は大沼心、制作はSILVER LINK.。

見だして感じるのは日常アニメらしい雰囲気だろう。
メインの登場人物のそれぞれの朝を描き、
ゆったりとした雰囲気の中で登校シーンを描く。
そんな中で登場人物同士の出会いのシーンにつなげる。

非常に丁寧な始まりなのだが、
同時に「インパクト」というものは薄い。
キャラデザ的にも見た瞬間に「かわいい!」というよりも、
無難な感じであり、はっきり行ってしまうと地味だ。

しかし、そんな地味な始まりとは逆にOPのインパクトはすさまじい。
日常アニメの場合、インパクトの有るOPが多いが、
この作品もしっかりとインパクトの有るOP曲になっており、
1話冒頭のインパクトの薄さといい意味でギャップのあるOPのおかげで、
なんとも不思議な空気感が生まれている。

この作品は「日常アニメ」だ。
だが、はっきりいってしまえば「食傷気味」ともいえるジャンルであり、
その中でもいかにどうやって「女の子を可愛く見せるか」が
各作品、奮闘している。

しかし、この作品の場合は「日常アニメ」という枠に
1つの要素を加えている。
日常アニメに出てくる担任の先生が生徒に向かって

「ここにいるみなさんは全員不幸です」

と言い放つ日常作品などこの作品くらいだろう(笑)
この作品はそんな先生のセリフ通り、不幸な運命に付きまとわれている
女子高生をメインキャラクターにしており、
それぞれ色々な「負の業」を抱えている。

行く先々で何かトラブルが起こってしまう、
叶わぬ恋、異常なほどの病弱体質、極度の方向音痴etc…
といわゆる「不幸体質」なキャラクターばかりだ。

日常アニメというジャンルでありながら
「不幸」というキャラ設定がたされることで独特な作品になっている。
その不幸体質を改善するために、不幸体質ばかりが集まっているクラスで、
幸せになれる授業をする高校生活が描かれる。

この「幸せになれる」授業というのが独特だ。
1日生卵を割らないように過ごしたり、
学校の地下で壮大過ぎるスゴロクをやったりと、
本来の日常アニメならありえないストーリーばかりが描かれる。

ただ、それが「面白いのか?」と言われると難しい所だ。
不幸体質な女の子たちの日常という設定自体は面白いものの、
その設定を活かすために「日常」という
ジャンルの枠をはみ出しすぎている感じも強い。

話によってはギャグアニメのような展開や描写も多く、
唐突にうさぎ型のロボットが出てきたりと、
「日常アニメ」をやりたいのか「ギャグアニメ」をやりたいのか、
「学園ドタバタコメディ」をやりたいのか、「百合アニメ」をやりたいのか、
特に序盤は「どっちつかず」な感じが強く、掴みどころがない。

メインキャラが揃う中盤くらいからは、
その掴みどころのない感じがようやく定まってきた感じが出てくるものの、
思い出したかのように脈絡のない唐突なストーリー展開になる場合もあり、
素直にキャラの可愛さや、日常アニメの癒やしを味わいにくい。

カオスといえばそれまでなのだが、
そのカオス感を面白いと感じられるかどうかは
個人の好みによるところが大きいだろう。

設定も活かしきれていない感じが強い。
不幸体質な女子高生ばかりが集まったクラスという設定があるのだが、
基本的にメインの5人以外はクラスメイトが描かれない。
ギャグアニメならば使いきりで毎話、色々な不幸なクラスメイトが出てくるような
展開になったかもしれないが、日常アニメという枠組み故に
メインキャラ以外の描写が殆ど無いのは残念だ。

全体的に見てもったいない作品だ。
不幸設定の少女たちの日常という設定自体は面白いのだが、
その設定を広げようとして荒唐無稽すぎるカオスな展開になるも、
あくまでも日常作品という枠の中のカオスさであり、
ギャグアニメのような勢いや笑いの要素は薄い。

日常アニメとしてみれば話によっては面白い話もあり、
日常アニメらしい内容と不幸設定が活かされる日常描写の中で、
女性キャラの「可愛らしさ」が引き立っており、
こういう話がもっと見たいと感じてしまう。

しかしながら一部声優さんの演技力不足も目立つ。
キャラクターに合っているというよりは
若干わざとらしいいわゆる「萌え声」的な演技や、
キャラクター設定以上の魅力を感じない味付けの演技など、
もう一歩足りない演技でキャラクターの可愛さを素直に感じにくかった。

ギャグアニメ的要素もある作品なので、
そのギャグ要素とキャラクターの可愛らしさがツボに入れば楽しめるが、
中途半端なパロディ要素や暴走気味なストーリー展開など
好みの分かれやすい作品といえるだろう。

売り上げ的には1巻数は1500枚以下と爆死ぎみ。
イベントチケット優先権がついてこの枚数なのでかなり厳しい。
序盤の掴みどころの無さがそのまま売上に響いてしまった印象だ。
原作の売上が伸びれば2期があるかもしれないが、
正直厳しいだろう。

個人的にはどうにもノリについていけなかった作品だ。
つまらないわけではないのだが、笑う一歩手前、萌える一歩手前、
最初から最後まであともう一歩踏み込んで欲しいと感じてしまう作品だった。

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