「恋と嘘」レビュー

評価 ★☆☆☆☆(14点) 全12話
恋と嘘

あらすじ 主人公の根島由佳吏は、16歳の誕生日を迎えた日に、決定された将来の結婚相手が伝えられる政府通知を受け取る引用- Wikipedia

ハーレムルートはこの作品では許されない

原作はマンガボックスで連載中の漫画作品。
監督は宅野誠起、制作はライデンフィルム。
なおシリーズ構成は高橋ナツコ。

見出して感じるのは分かりやすい世界観と設定だ。
少子化対策として16際以上の自由恋愛が禁止、遺伝子情報に基づき
結婚相手が決められ、子作りしなければならなくなった世界。
これがナレーションベースで説明される。

はっきり言って最悪だ。
こういった世界観、作品の根幹部分を劇中のキャラクターのセリフや
行動で見てる側に理解させるのが本来は最もベストな方法だが、
この作品は最悪なことに1話冒頭でナレーションベースで説明してしまう。
馬鹿でもわかる世界観説明はバカにされているような気分になる

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

更にクセの強すぎるキャラクターデザイン。
異様なまでに目が大きく、原作者が女性であることを調べなくても分かる。
やや昔の「少女漫画」を彷彿とさせる目の大きさは
違和感が強く慣れるまで時間がかかるうえに慣れてもぎょっとするデザインだ

ストーリー的にも設定の使い方が甘い。
自由恋愛禁止、政府による強制結婚といわゆる「ディストピア」な世界だ。
その設定の中での青春恋愛ストーリーを描きたいのは分かるが、
この設定だと主人公が行き着く先は政府に対するデモかテロ行為だろう。

しかし、設定自体は厳しそうなのにその使い方が甘いせいでフワフワだ。
16歳になる前に主人公は片思いの相手に告白し、
相思相愛であることを確認するうえに勢い余ってキスまでしてしまう。
その後、16歳になった瞬間に政府から通知が来るのだが、
それが告白した相手でないことが分かる。

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

誰しもが16歳になった瞬間に政府通知が来るとは限らず、
都合のいいことに告白したヒロインは16歳になってるのに
未だに通知が来ていない。

この設定を馬鹿正直に利用してしまうと
同い年ばかりの結婚になってしまうという問題点が出てくるが、
ならば16歳ではなく30歳以上になっても結婚しない場合、
政府が強制的に結婚させるなどのほうがよっぽど自然な設定だろう。

この法律が施行されたから作中では40年たってるらしいのだが、
逆に施工されて初めて適応されたのが主人公とヒロインだったりすれば
もう少し納得できたかもしれない。
40年経ってるならば自由恋愛させないためにも少なくとも共学ではないだろう

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

この自由恋愛禁止と政府による強制結婚という設定は、
あくまでも主人公の恋する相手が決められた結婚相手ではないという
状況のためだけにこのディストピアな設定が用意されているだけで、
その状況づくりなためだけの設定だからこそ詰めが甘く、
突っ込みどころにしか成っていない。

そもそも政府の拘束力がどの程度なのかがよくわからない。
この世界の人間にとっては当たり前のように受け入れられているが、
この世界に若者は「いつ政府通知がくるかわからない」ので、
本気の恋愛はしないようだ。

つまりはある程度の強制力があるという認識があるのは分かるが、
「この人は絶対無理」と政府側に訴えれば
政府通知が無効になる場合もあるらしい。
結局、その程度の設定だ。

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

ただ、ストーリー自体は割と面白い。
政府によって決められた結婚相手は「恋」がよく分からず、
主人公ともう一人のヒロインの恋愛を応援しようとしたり、
自分の目の前でキスさせようとしたりととんでもない行動をする。

そんな彼女の誘いにもう一人のヒロインも乗り、キスしようとしたり、
主人公のことは思い出にしたと言いつつも思わせぶりなセリフを吐く。
はっきりいって、ややぶっ飛んだ展開が非常に多いのだが、
脈絡がなく唐突な展開は予想ができないだけに面白い。

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

ただ主人公に主体性がなく基本的に振り回されっぱなしだ。
ナヨナヨした感じの見た目や性格といい、好みの分かれやすい主人公だろう。
この世界の設定にもキャラクターにも流されっぱなしで、
主人公としての魅力がない。

話が進めば進むほど突っ込みどころも増えていく。
政府から通知があり結婚相手が決まると、「子作り講習会」まで行われる。
コンドームを配り「アダルトなビデオ」を見せて個室に案内し、
さぁ子作りしてくださいと言わんばかりの状況を政府側が作り上げる。

それに従うか従わないかは自由のようだが、
この世界の日本はそれほどまでに致命的な少子化なのか?という
考察はできるが、そういった情報は一切提示しない。
あくまでも「性行為」ができる状況に主人公とヒロイン置くためだけの
設定であり、浅い。

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

終盤のストーリーも最悪だ。主人公は結局ブレる。
一途に恋をしたヒロインとの気持ちを貫くわけでも、
政府から決められたヒロインに乗り換えるわけでもない。
どっちも好きだと最終話で真顔で言うさまには乾いた笑いしか出ない

「政府から決められた相手」と「自分が決めた相手」、
このどちらを選ぶか?がこの作品で1番描かないといけない過程なのに、
どちらとも選ぶというハーレムルートを突き進む宣言はありえないだろう。

引用元:© 2017 ムサオ・講談社/政府通知普及委員会

総評

全体的に見て設定の作り込みの甘さが作品への没入感を弱めている。
ストーリーとキャラクターは決して悪くはない。
恋をしてる相手と結婚が決まってる相手、
その狭間で揺れ動く主人公とヒロインたちという描写は
単純な三角関係とは違う面白さがある。

キャラクターもヒロインは可愛らしい。
主人公に一途すぎるヒロインの一途さは素晴らしく、
もう一人のヒロインも徐々に「恋」を自覚していく過程は可愛らしい。
肝心の主人公が気持ち悪いという点を除けば決して悪くはない。

だが、そんなストーリーとキャラクターが描かれる舞台の設定が、
作り込みが甘いせいで突っ込みどころが多すぎて。
その「設定の甘さ」が気になってしまうといつまでたっても
この作品を楽しみきれないままで終わってしまう。

設定自体は面白そうでもっと活かし方が多くある。
だが、その面白そうな活かし方をせずに状況づくりにしか利用していない。
そのもったいなさと活かさないもどかしさが常に付きまとう作品だ

結局、ストーリー的にも明かされない謎や伏線も多く、
1クールでは何も解決していない。
続きは原作で読んでね!ということなのかもしれないが、
この展開では原作を読もうという気持ちはおきないだろう。

個人的な感想

個人的にはキャラデザの時点で拒否感が出ていたが、
キャラデザよりも設定の活かさなさのほうが強かった。
後コレは好みによるのかもしれないが作中のBGMのくせがつよすぎる、
作中のキャラのセリフよりもBGMの印象が強く残りすぎる時もあり、
BGMとして目立ち過ぎな上に雰囲気を壊しているのは残念だ。

売上的には500枚以下と爆死。
実写映画化もされてるようなのでキャラデザが気になる人は
そちらのほうが楽しめるかもしれない。

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