青春

「フライングベイビーズ」レビュー

青春
スポンサーリンク

評価 ★★★★☆(65点) 全12話

あらすじ 東日本大震災から何年かが経った。大きな被害を受けた福島県いわき市はそれなりに復興していた。被災した子供たちも、もう中学生になった引用- Wikipedia

失われかけけたガイナックス魂がここに!

本作品はTVアニメオジリナル作品。
監督は浅尾芳宣、制作は福島ガイナ。
東日本大震災の数年後という時系列と、
福島県いわき市を舞台にしてる作品だ。
なお1話5分ほどの短編アニメ。

低予算


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

見出して感じるのはものすごく低予算で作られている感じだ。
「止絵」を流してるシーンが非常に多く、
動いてるシーンも「手」だけだったり一部分だけのことも多い。

キャラクターデザインも非常に癖があり、
昨今のアニメの描き込まれたデザインではなく、
かなり「簡易的」な描写をしている。
それが決して悪いことでもなく独特な雰囲気を醸し出しており、
カラフルかつビビットな色合いは不思議と「ガイナックス」らしさすら感じる。

好みの分かれる絵柄や演出ではあるものの、
この絵柄や演出が好きな人は確実にいるはずだ。
長時間見てると目が疲れてくるという問題点を除けば、
低予算さを逆手に取り、挑戦的なキャラデザと演出と言えるかもしれない。

ストーリー


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

冒頭でも軽く説明したが、この作品の舞台は福島県いわき市だ。
東日本大震災で被災した市であり、この作品は「数年後」としている。
ただ、この舞台設定が意味があったのか?と問われると疑問だ。

もともと実写映画の「フラガール」の舞台にもなっている年であり、
「フラダンス」という題材を描く上で格好の舞台だったのかもしれないが、
「東日本大震災から何年かが経った」という設定が生きてるとは言えない。

ストーリー的には2名しかいないフラダンス部ではあったものの、
突然転校してきた女の子がやってきて..というところから始まる。

1話5分


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

ただ、この作品は1話5分だ。OPとEDを除けば3分半ほどでしかない。
全12話であり、普通のTVアニメならばギリギリ2話分の尺くらいだ。
そんな限られた尺の中で「フランダンス部」をきちんとしたものにするため、
部員を入れ、ライバルに挑戦状を叩きつけ、
顧問を探しと普通の部活アニメのような流れになっている。

全36分では描く要素が多い。
だが、この作品は異様なまでにサクサクなテンポでガンガン進める(笑)
癖の強い演出も相まって、このサクサクなテンポで進むストーリーが
まるで水のようにさらさらと頭に入ってくる。

部員が集まったかと思えば、その5分後には顧問が決まっている(笑)
びっくりするくらいのテンポだが、雑には感じない。
アニメの「プロット」の部分だけをストーリーにしているようなシンプルさだ。

キャラクター


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

1話5分という限られた中でキャラクターの奇っ怪な行動と
わかりやすい「色分け」されたキャラデザのおかげで、
キャラクターにも不思議な愛着が湧く。
これは演じている声優さんたちの演技力もある。

本来はキャラクターがなんの前触れもなく空中に浮いてたり、
燃え盛っていたりすれば、突っ込まざる得ないのだが、
この作品の場合は何故か自然に感じてしまう。
「浮いている」ことがそのキャラらしい行動であり、
セリフや行動ではなく絵でどんなキャラかがわかるようになっている。

この作品はなかなかに高度なことをしている。
簡略化されたストーリーやキャラクターデザインではあるものの、
それを演出と声優の演技で「個性」にしており、
決して低予算の手抜きみたいには感じない。
むしろ、この作品はこれだからいいとすら感じさせてくれる。

肝心の初フラダンスがまさかの


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

カットである(笑)
どんなことをしたのかというのは軽く見られるものの、
初のフラダンスシーンがほぼカットというのは前代未聞だ。
例えば「けいおん!」で演奏シーンが一瞬しかなければ非難轟々だろう。

しかし、何故かこの作品は許せてしまう。
この「ノリ」と勢いこそがこの作品らしさであり、
サクサクとストーリーを進めるための演出でもある。
その後もチアダンスをフラでやったりと意味のわからなさもあるのだが、
勢いのせいでそれが面白いと感じてしまう。

この作品でまともにフラダンスが描かれるのは最終話だけだ。
でも、それで許せる。最後だけきちんとやればいいじゃないかと、
そんな制作の声すら聞こえてくる。
勢いの大切さというのをこの作品でひしひしと感じさせてくれる

青春


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

1話5分の1クールの尺しかないが、ストーリーはきちんと青春をしている。
仲のいい友達とフラ部を立ち上げて、転校生を誘い、
そんな中でかつての幼馴染と出会い、
色々会った中で友達と喧嘩したりもしつつと展開する。

終盤にはフラダンスに大切なものみたいなのも描きつつ、大団円だ(笑)
この王道の青春部活ストーリーを本来は1クールで描くのだが、
この作品は約40分ほどにぎゅぅぅぅ!っと圧縮している。
1クールや2クールといったアニメの「長さ」に疲れている人もいるだろう。
そんなあなたにこの圧縮された青春ストーリーをぜひおすすめしたい。

余計なストーリーやセリフなんて一切ない。
濃縮還元されたアニメ作品と言えるかもしれない。

総評:明るく元気に行きましょう


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

全体的に見てすごい作品だ。
低予算であるがゆえのキャラクターデザインやアニメーションの動かなさは
あるが、それを逆手に取ってビビットな色合いと癖のある演出を織り交ぜ、
1話5分でサクサクと進むストーリーではあるものの、
全12話できちんと「フラダンス部」の青春ストーリーができている。

本来はこのストーリーは1クールのアニメで言えばプロットだ。
こういう設定でこういう流れでこういうセリフが合ってこういう展開になって、
最終的にはこうなります。という骨格部分しかない。
ここからふくらませることで本来は1クールのアニメになることが想像できる。

しかし、そこをあえて膨らまずにそのままぶつけている。
これが普通のアニメの作画やキャラクターデザインと演出ならば
見れたものではなかったかもしれない。
そこを「ガイナックス」という制作会社らしさを感じる奇抜な演出と
畳み掛けるようなテンポで押し切られたような作品だ。

今やガイナックスはかつてのガイナックスではない。
エヴァンゲリオン関連はすべて「スタジオカラー」になってしまい、
債務超過状態だったり、大変なことになっている。
だが、その失われかけた「ガイナックス魂」を
この作品からはビシビシと感じる。

好みの分かれる絵柄や癖のある演出であることは否めないが、
ぜひ、1アニメ好きならばこのアニメを見ていただきたい。
かつての「ガイナックス」の面影をきちんと感じることができる、
そんな作品だ。

個人的な感想:予想外


引用元:Copyright © フライングベイビーズ保護者会

本当に予想外でしかなかった。
2クールアニメを見る前に軽く短編アニメを見るかーという
浅い気持ちで見始めて制作会社すら調べずに見始めたのだが、
見てびっくりだ(笑)

絵柄や演出が癖が強い為好みが分かれる部分はあるが、
試しに1話見てほしい、わずか5分しかない。
そのあとに2話、3話と見続ければもうこの作品の世界にハマれるはずだ。

ガイナックスの底力みたいなのをこの作品からは感じた。
福島ガイナは「蒼きウル」や「トップをねらえ3」も制作すると
意気込んでるだけに、期待したいところだ。

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください