「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」レビュー

3.0
スポンサーリンク
サスペンス
スポンサーリンク

評価 (42点) 全11話

あらすじ 警視庁の「現代犯罪対策本部準備室」(通称:現対本部)に大富豪の神戸大助が赴任してくる。引用- Wikipedia

スポンサーリンク

アイアンバッドマン的な奴

原作は1975年に発売された筒井康隆による小説作品。
監督は伊藤智彦、制作はCloverWorks。
同タイトルで深田恭子主演でドラマ化もされた。

雰囲気?


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 1話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

この作品は独特な雰囲気が漂っている。
舞台は日本ではあるものの目に癖のあるキャラクターデザインのキャラと
おしゃれな音楽、どこかくすんだ色で彩られる作画、
淡々と進むストーリーがこの作品の世界観と空気感をしっかり作り上げている。

ただ、そんなオシャレな雰囲気をぶち壊すのが主人公の声優だ。
主人公が飛行機から登場し第一声を放つ。
極めて重要なシーンのはずなのに間の抜けた声は締りがない。
廻りのキャラをプロが演じているため悪目立ちしてしまっており、
演技力がかなり厳しい。

調べたらダンサーらしく声優ですら無い。意味がわからない。
なぜダンサーが声優をやるのか、彼が深田恭子さんと同じホリプロ所属なのは
神のいたずらか偶然か、はたまた作為的ななにかを感じさせる。
OPはジャニーズのアイドルが歌っており、曲自体はいいものの、
どこか「汚い大人の金の匂い」を感じる。

主人公の声優自体は序盤をすぎれば慣れるものの、
ふとした瞬間にやはり演技力の問題を感じてしまう。

めちゃくちゃ


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 1話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

この作品はタイトルでも分かる通り「富豪」が警部をやっている。
目の前に邪魔な車があればぶつかって強引に押し通り、
犯人を追いかけるためならばアラブ王子の車を「3億」であっさりと買い取る(笑)
ありとあらゆることを「金」で解決し犯人を捕まえる事を面白さとしている作品だ。

やってることはギャグだ。
こちら葛飾区亀有公園前派出所の中川レベルの富豪であり、
そんな富豪が犯人解決のためにまさに湯水の如く金を使う。

ただ舞台設定が現代なせいか、
そのお金を使うシーンにいまいち面白みがない。
例えば「アタッシュケース」に詰め込まれた札束を相手に投げつけるような
描写がアレばわかりやすいが、電子的な描写による演出が多く、
大金を使ってる感じが薄い。

毎話の終わりで「今回の費用」が表示されるが、
表示されても「え!?こんなに使ったんだ笑」という感覚より
「へぇー」というような感覚で終わってしまう。

作品の雰囲気はスタイリッシュなのに金の使い方がギャグだ。
そのギャップが面白くもあるのだが、演出の弱さが目立ちパンチがない。
現代的でありながらベタな刑事モノっぽい展開も多く、
色々な要素がちぐはぐな印象を受ける。

ギャグアニメがやりたいのか、スタイリッシュでおしゃれなアニメをやりたいのか、
ベタな刑事ドラマをやりたいのか。
この3つを同時にやろうとしてどれも中途半端になってしまっている。

でこぼこコンビ


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 4話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

富豪刑事はその名の通り金と知恵で事件を解決しようとする。
一方で彼のバディである「加藤春」は強い正義感をもつ熱血漢な刑事であり、
正反対なコンビだ。刑事ドラマでありがちな「でこぼこコンビ」であり、
いい意味で王道の組み合わせだ。

1話こそ爆弾事件だったものの、2話はグラドル界隈の薬事件、
事件自体はそこまで大きなものではなく、そんな大きな事件ではないのに
解決のために大金を使うギャップが生まれている。
ただ「淡々」と捜査するシーンも多く、派手なのか地味なのかよくわからない感じの
ストーリー展開は盛り上がるようで盛り上がらない。

「日本」が舞台なのに重火器も使いすぎであり、
平気でヘリコプターにガトリングが積んであったりと違和感がすごい。
スマートに大金を使う部分と、コメディ的に大金を使う部分があり、
ストーリー的にはシリアスな部分も多く、
そのせいで、よりどっちつかずになってしまっている。

2話のラストで香港に行ったはずなのに、
3話ではもう日本に帰ってきており時系列が飛んでおり違和感がすごい
(調べた所、この香港の内容は特典でやるようだ)

ただ、デコボココンビとしては4話の日常回で関係性が深まることで
この世界にようやく馴染める。

ガジェット


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 4話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

富豪刑事はありとあらゆるガジェットを開発してもらって使っている。
1番わかりやすいのは「AI執事」だ。
AIの執事に命令することで必要な情報の収集や金の支払いなどを行っている。
このあたりは「バッドマン」や「アイアンマン」的なのを
制作側がやろうとしているのはわかる。

序盤はただこれも活かしきれていない感じが強い。
ストーリーの中でもたまに「ん?」となるような引っかかるポイントや
突っ込みどころがあり、話によっては大金を使ってというより
「ハッキング」が手段になることも多く脚本がもう一歩練られていないような
そんな感覚になる話が多い。

未解決事件


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 8話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

後半になると19年前の未解決事件、
そこに絡む富豪刑事の家族の問題のストーリーになっていく。
前半の話は練り込み不足を感じる点が合ったものの、
後半からのストーリーはしっかりと練り込まれている。

ただ、その反面で「富豪刑事」としての要素が減っていく。
序盤のように大金を使って事件を解決するという要素が殆どなくなってしまい、
そもそも制作側はそれをやりたかったのだろうか?と思ってしまうほど
序盤のような露骨に大金を使うシーンがかなり減ってしまう。

お金自体は色々な方法で使っているものの地味だ。
事件が起きたあとの風評被害などの後処理に使ってることが多く、
目に見えないところで大金が使われている。

真犯人


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 11話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

最終話で事件の真相が明らかになるが、キャラクターとしてすごく地味であり
意外性があると言えばあるのだが存在感がなくインパクトがない。
作中の中でミスリードや伏線があるならば「あ~!そういうことか!」となるが、
そういうことではなく「実は私でした」的なネタばらしであり、
どうにもミステリーとしての面白さは薄い。

富豪刑事と加藤春、この二人のバディとしての物語としてだけ見れば面白く、
最終的にもそこに着目したような結末でしかない。
結局はこの二人のキャラクターを描くための物語になってしまっており、
それならばそれで終盤のシリアスなストーリーは要らなかったのでは?
と感じてしまう作品だった。

スポンサーリンク

総評:作品としてのブレ


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 11話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

全体的に作品としての方向性を見失っている感じの作品だった。
序盤から中盤にかけてはギャグアニメがしたいのかバッドマンがやりたいのか、
刑事ドラマをやりたいのか、オシャレ雰囲気アニメをやりたいのかブレまくりであり
話によって当たり外れが非常に大きい。

終盤からは未解決事件と富豪刑事の親族問題のシリアスなストーリーになるが、
そうなるとギャグ要素はなくなり、ミステリーっぽくなるものの
真犯人が明らかになってもそれがミステリーとしての面白さにつながらず、
キャラクターたちに感情移入しきれずに終わってしまう。

脚本的なツッコミどころも非常に多く「ん?」となる部分が引っかかりを生み、
素直に楽しみづらくしてしまっている。
「伏線っぽいのに伏線じゃない」「ミスリードかと思ったけどミスリードじゃない」
そういった拍子抜けする要素にまみれている。

バディものとしての面白さはあり、二人のキャラクター自体は悪くなく、
関係性が徐々に深まっていき最後にきちんとしたバディになる。
この部分だけのストーリーだけを見れば面白いのだが、
「富豪刑事」として期待した面白さが殆どない。

最終話など富豪刑事であることすら忘れてしまっており、
毎話に出てきた総費用すら出てこず終わってしまい、
「なんだかなー」という感じが残る作品だった。

雰囲気は非常にいい、だが、その雰囲気に脚本がついていっていない。
もっとお金を使う部分ははっちゃけて、バディ要素を強調し、
エンタメ要素を強めれば面白い作品になったかもしれないだけに、
変に気取った感じになってしまったのは残念な作品だった。

個人的な感想:深キョン


画像引用元:富豪刑事 Balance:UNLIMITED 11話より
©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

深田恭子さんがやっていたドラマの富豪刑事を見ていた記憶があるが、
あちらのほうがエンタメとしては上だったかもしれない。
犯人のトリックをとくために何億、何十億とかける。
まさに富豪刑事であり、それがエンタメとしての面白さにつながっていた。

だが、今作の場合は損害が起きてもその倍払えばええんやろ的な感じでお金を
使っており、一言で言えばスマートさがない。
お金の使い方が汚いといえばわかりやすいかもしれない。

コメント