ラブコメ

「イジらないで、長瀞さん」レビュー

3.0
ラブコメ
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評価 ★★★☆☆(60点) 全12話

あらすじ 八王子直人は、ある日の放課後、偶然立ち寄った図書室で、ドSな後輩・長瀞に目を付けられる。それ以来、八王子は長瀞に弄られたりからかわれたりする破目になってしまうのだが、次第に彼女のことが気になり始める。引用- Wikipedia

いじりいじられ不器用ラブコメ

原作はマンガな本作品。
監督は花井宏和、制作はテレコム・アニメーションフィルム

オタクに優しくないギャル

古くから何故かオタク界隈の中にある妙な常識として
「ギャルはオタクに優しい」というものがある。
なにがきっかけでそんな常識が生まれたかは知らないが、
なぜか、そういう常識があるのは確かだ。

しかし、この作品はそんなオタクな常識とは真逆と言ってもいい。
この作品の主人公はいわゆるオタクだ。
陰キャで暗く、放課後の図書室が好きなようなタイプだ。
自分で漫画を描くのが趣味であり、そんな彼が「ギャル」に漫画を見られてしまう。

当然のように馬鹿にされ、いじられる。
「ギャルはオタクに優しい」
そんな常識をぶち壊すような冒頭のシーンだ。
しかも、ギャルに目をつけられてしまう。悪夢でしか無い。

主人公が描いた漫画をゴリゴリに批判し馬鹿にする。
「いじり」というよりも「いじめ」に近い。
主人公が泣くまで彼女は辞めない。涙を浮かべた彼の表情を見て、
彼女は「愉悦」した表情を浮かべる。

もう、ある種のプレイに近い。ドS女子によるドM男子への言葉責めだ。
主人公も主人公で泣かされているのに顔を真赤にしており、
いじめている女子もいじめられている男子も興奮している。
「直接的な行為」がないだけで、そういう行為が始まってもおかしくない。
そう感じさせるような描写だ。

原作者は同人誌畑の方であり、かなり過激な作品も手掛けている。
そういう原作者のセンスが伝わるような1話はかなり好みが分かれる。
かなりニッチだ、刺さる人には強烈に刺さる要素がてんこもりではあるものの
逆に刺さらなければ嫌悪感を感じるような1話だ。

ラブコメめいてきやがった

しかし、2話以降になるとこの作品に「ラブコメ」の気配が漂ってくる。
主人公もいじられることを拒否しつつも、可愛い子に色々なことを
されることを思春期男子だからこそ完全に拒否はしきれず、
徐々に彼女のことを意識してしまう。

逆にヒロインである「長瀞さん」も、1話の段階ではいじめに近い
「いじり」ではあるものの、徐々に彼女の心境の変化も見えてくる。
自分が想定しなかったハプニングに照れ、彼をいじってはいるものの、
時折、自分が女子であるがゆえに、彼に好意をいだき始めているがゆえに
照れや恥じらいが勝ってしまうこともある。

それがヒロインである「長瀞さん」の可愛さに繋がっていく。
自分の中の照れや恥じらいを隠しつつも主人公をいぢり、
ときに想定外のハプニングでそれが顕になったり、
実は「ウブ」な一面が見えてくることによって
ヒロインの可愛さも見えてくる。

1話が色々な意味で強烈であり、毒気が強い。
しかし、話が進んでくるとその毒気が抜けてくることによって
この作品が「特殊性癖向け」の作品から「ラブコメ」な作品へと
徐々に変わっていくことを感じる。

彼女は不器用なのだ。
小学生男子が好きな女子をいじめるようなものだ。
だからこそ、彼女は主人公以外の男子をいじることはない。
いじることは彼女なりの不器用な愛情表現だ。

それも主人公が気づいたからこその「ラブコメ」だ。
彼女のいじりを不快に感じない自分、そして、
「いじり」が自分に対する愛情表現であることへの気づきが
たがいの恋愛感情へと繋がっていく。

嫉妬

基本的にこの作品は主人公と長瀞さんだけで成立する。
故に2人だけしかでてこない話も多い。
だが、時折、長瀞さんの友人のギャルが絡んでくることで
よりラブコメとしての面白さが加速していく。

自分と同じように主人公をいじる友人、
いじられて恥ずかしがる主人公を見て長瀞さんは嫉妬する。
「独占欲」だ。自分のものにしたいという気持ちが嫉妬と
独占欲をうみ、自分でも無自覚なうちに主人公への思いをつのらせていく。

はたから見れば物凄く分かりやすい。
長瀞さんは主人公の事を好きだし、主人公も長瀞さんが好きだ。
それに長瀞さんの友人も気づいている、気づいているからこそ、
彼女は長瀞さんをいじることで自覚させようとする。

「もしかして長瀞、俺のために怒っている…?いや、まさか…」

陰キャでオタクで自分に自身がない主人公であるがゆえに
彼女の思いに気づきそうで気づかない。二人とも不器用だ、
あまりにも不器用すぎる2人の関係性が可愛らしく、
この作品の面白さにハマっていき、この不器用な二人の恋愛を
ニヤニヤとして見つめていられる。

セクシー

この作品はいわゆるシモネタ的な要素も多い。
長瀞さんがやや余裕ぶって主人公をシモネタでいじるものの、
逆に彼女がいじられ返されたり、ふいに触れられたりする反応が
可愛らしく、いじっているはずなのに彼女のウブさや
「未経験」だからこその乙女ぶりが彼女の魅力にもなっている。

直接的な描写はないにしろ、いわゆるラッキースケベ的なのも多く、
水着やフェチズムあふれるようなセクシーなシーンも多い。
恥じらいながら、照れながらも主人公が困る表情を見たいから、
自分を意識してもらいたいからこそ、彼女は積極的に主人公を責める。

彼女のそういった心理描写も細かい表情から感じることが出来るからこそ、
長瀞さんというヒロインの可愛さと魅力につながる
セクシーなシーンになっている。
ただ、言葉として直接的な言葉も多いため、
そういった部分で好みの分かれやすい部分であることは確かだ。

変化

中盤くらいになると主人公にも変化が生まれる。
いじられっぱなしだった彼が、彼女にいじりに対し、
さりげなくツッコミ返し、彼女のことを理解し始めたからこそ、
敢えて反撃をして状況を変えようと試みたりもする。

そんな「いじりいじられ」な攻防がラブコメとしての面白さを醸し出しており
徐々に積極的になっていく主人公と、負けじといじりつつも
徐々にいじりのレベルが落ち、主人公に惚れていくヒロインの関係性に
ニヤニヤしてしまう。

1話の出会いの印象は良くなかった。
だが、2話、3話、4話、5話、6話と進みながら
徐々に主人公とヒロインの心境が変化し、その変化が2人の
いじりいじられな攻防にも影響を与えている。

ゆるやかな変化による二人の心理描写がうまく、
少ない登場人物だからこそ、そんな二人の主人公とヒロインの
掘り下げと変化をしっかりと行っている。

同じような日々に見えて、繰り返す日々ではない。
だからこそ、このある種のシュチエーションラブコメが
マンネリにならずに1クール描かれている。

芸術とは追いかけることだ

終盤、ややシリアスな雰囲気になる。
主人公しか居ない美術部、そんな美術部で2人で過ごす時間。
きっかけは些細ないじりだった。
そんな出会を振り返り、彼は彼女との日々の大切さを、
「長瀞 早瀬」という女の子に対する思いを自覚する。

「長瀞頼む!絵のモデルになってほしい」

彼は美術部の部員だ。あこがれの部長が居て、
そんな部長と対決することになり才能の差に打ちひしがれていた。
そんな悩む彼が選んだ題材は「ありのままの彼女」だ。

部長との才能の差はある。だが、愛なら負けない。
作品に対する思い、描こうとしたものに対する愛、
それが才能の差を時に埋める。

不器用な彼なりの告白、そんな告白を受けた彼女の反応は本当に可愛らしく、
1話の段階では「冗談」だったいじりいじられの関係性、
それが終盤で「愛」へと変化し、それを互いに自覚するストーリー構成は美しく、
まっすぐに「八王子 直人」という主人公と長瀞 早瀬」というヒロインの
関係性をえがいているラブコメだった。

総評:いじりがイチャイチャへと変わる

全体的に見て1話が最大の難関とも言える作品だった。
1話のヒロインの主人公に対する「いじり」はちょっと度を超えており、
特殊な性癖を持つ方向けの作品になっていることは否めない。
だが、2話、3話、4話と話が進んでいくうちに、
良い意味でこの作品の毒気が抜けていき、特殊な性癖向けアニメから
ラブコメアニメへと変化し、11話で完全にこの作品はラブコメへと至る。

主人公とヒロインの心理描写という表情の描写が素晴らしく、
そこに「上坂すみれ」さんの演技力と声の魅力が合わさることで、
ヒロインの魅力が加速度的に増していき、
終盤のデレっぷりは本当に可愛らしい。

好みの分かれる要素はかなり多いものの、
1話での評価は1度おいておいて4話くらいまで見てみると
この作品の面白さ、長瀞さんの魅力が垣間見えてくる作品だ。

1クールで主人公とヒロインの変化をキレイに描いており、
少ない登場人物の中での「いじりいじられ」な
シチュエーションラブコメとして完成度の高い作品になっていた。

個人的な感想:ギャルはやっぱりオタクに優しい

1話の段階では、このノリで最後まで行くのか?と
やや不安になる感じだったが、良い意味でそれが裏切られ、
ラブコメとしてしっかりとした芯のある作品になっていた。

おそらくは1話の段階では原作も方向性に迷いがあったのかもしれない。
1話のノリのまま行けば相当なニッチな層に突き刺さる作品に
なったかもしれないが、エンタメとしては大衆受けしない。

それが話が積み重なるごとに大衆受けするように変化していく、
そういった原作者の同人から一般誌の漫画家になる過程も
感じられるような作品だった

「」は面白い?つまらない?

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