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「狐狸之声」レビュー

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評価 ★☆☆☆☆(15点) 全12話

あらすじ 顔を隠してゴーストシンガーをするフーリ。顔は良いが歌はからっきしのアイドル、コンチュエ。2人はいがみ合いながらも、ライバルたちと競い合いながら芸能界の階段を上っていく。引用- Wikipedia

これぞ中国アニメ、ツッコミ所の伝道師

原作は中国で連載中の漫画作品。
監督は於地紘仁、制作はゆめ太カンパニー。
いわゆる中国アニメだ。1話15分ほどの短編アニメ。

古臭いキャラクターデザイン


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

見出して感じるのは中国アニメ特有のキャラデザの古さだ。
中国アニメは基本的に日本のアニメの90年台~00年代前半の絵柄であり、
この作品も類に漏れず、古臭いキャラクターデザインだ。
しかし、そんな古臭いキャラデザの中で異色を放つ主人公。

主人公の左目の部分は「赤く」染められている。
これは終盤で「過去の事故の火傷」であることがわかるのだが、
もう少し「火傷」に見えるデザインにしてほしいところだ。
9話まで一切説明されず、しかも誰も触れないため、
「タトゥーなのか?」と思うほどだ。

ゴーストシンガー


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

中国アニメは7割型日本のアニメのパクリだが、
この作品のストーリーはなかなかに独特だ。
新人のアイドルである「コンチュエ」は見た目は王子様、ダンスも完璧、
だが「歌」だけが下手という欠点を持っている。

そんな中で主人公は彼の「ゴーストシンガー」として雇われる。
彼は音楽的才能にあふれており、
母の入院費を稼ぐためにゴーストシンガーになっている。
あの顔の傷が原因で表に出れないくらいの理由のほうが
納得しやすいのだが、そこは生かさないのはさすが中華クォリティだ。

ただ「ゴーストシンガー」という要素はなかなかに独特であり、
このあらすじだけ見れば面白そうと感じる人も多いだろう。

ふざけてるのか?


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

彼がゴーストシンガーを務めるアイドルは
「ザ・ライジング・オブ・スター・チャイナ」でトップを目指している。
簡単に言えばトップアイドルみたいなものだ。

しかしなぜかアイドルが歌うときに必ず主人公がそばにいる。
例えばアイドルが歌番組に出るとする。
何故か主人公は「スタジオ」に侵入し、
協力者であるハッカーが音楽番組をハッキングし、
アイドルが歌うふりをしてる中、主人公もそばのスタジオでリアルタイムで歌う。

突っ込みどころが非常に多い。謎だ。
主人公の歌を録音しておけばいいじゃないかと突っ込んではいけない。
わざわざハッキングしなくてもコナンのようにマイクでも喉もあたりに
仕込んでおけばいいじゃないかなどと突っ込んではいけない。
ハッカーが優秀すぎると突っ込んではいけない。

決して突っ込んではいけない。
突っ込んだらおしまいだ(笑)
話によっては主人公はアイドルが歌う舞台袖で堂々と歌っていたりする場合もあり、
ふざけてるのか?と思うようなシチュエーションが多い。

結局、リアルタイムで歌っていたのが原因でゴーストシンガーが
バレてしまうのだが、見てる側としたら「ほらみたことか!」という状況だ。

SKY


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

そんなツッコミ所があるなかで主人公のもとに匿名でメールが届く。
彼がゴーストシンガーであることを知っているという内容だ。
「SKY」と名乗るメールの送り主は誰なんだ?というサスペンスが急に始まる(笑)
もはやツッコミを抑えるので精一杯だ。

誰かにバレているかもしれない。
そんな大きすぎるリスクが有る中でも
主人公は絶対にアイドルと同じ場所に行こうとする。
事務所側も会場に入るためのパスなどを用意してあげればいいのに、
用意せずにいつも「あいつはどうした!」と喚いている。
心配なら迎えくらいよこせばいい。

更に、主人公はゴーストシンガーになってから
自己顕示欲が一切抑えきれずネット上で匿名で動画を投稿している。
「他の所で歌うな」と契約書にも書かれており、
「バレたら」入院中の母親の入院費用を払えないうえに賠償金という
後がない状態なのに自己顕示欲を抑えられない。

そんな危うい状況で彼の真実を知る「SKY」探しは続く。
ちなみに1クールしか尺がないのに
1話から6話までSKY探しである。

斬新


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

日本のアニメではめったにと言うかほとんどお目にかかれないが、
すべての状況に絶望した主人公が「自殺」しようとする。
ゴーストシンガーであることがSKYのせいでばれてしまい、
なおかつ母親の病気が重くなる。
そんな状況で彼はゴーストがばれたことから解雇される。

絶望的な状況で自ら死を選ぶ主人公と言うのはなかなかに斬新であり、
日本の場合はそんな状況でも活路を見出すのが「主人公像」だが、
このあたりは日本と中国のテイストの違いなのかもしれない。

ゴーストシンガーがバレたアイドルの荒れっぷりや、
自分をゴーストシンガーとバラした「SKY」の描いた策略に
自らハマっていくストーリー展開など、
ちょっと「昼ドラ」っぽさすら感じる荒唐無稽な感じの展開であり、
中盤以降の全キャラクターの「イライラっぷり」はなかなかにドロドロだ(笑)

終盤


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

終盤になるとストーリーがどんどん重くなる。
ゴーストシンガーを雇っていたアイドルは
子供の頃に母親から離されて所属している事務所の社長の元で
「役に立てば養ってやる」と言われて育っている、
しかし役に立たないとわかればすぐに首にされている。

主人公には幼馴染のアイドルも居るのだが、
彼女が所属するグループはドロドロであり、
彼女の仲間は足を引っ張るのに必死だ。

主人公には弟もいるが主人公を非難しまくりだ。
父親が車で運転中に主人公との会話で夢中になってしまったことが原因で事故り、
彼の父親は死に、母親は病院に、彼自身は火傷を負ってしまい恨んでいる。
コレ自体は納得できるのだが、唯一の収入源がそんな兄の稼ぎである。
恨んでる相手に養ってもらっていて恨み言ばかり投げかけてくる彼は
いまいちよくわからない。

ゴーストシンガーであることがバレ、しかも彼がゴーストシンガーをやっていた
アイドルにも「嘘の告発」をされたことで世間の避難が集まってる状況なのだが、
最終話は彼が歌い出すと、それまで避難していた客が感動の嵐に巻き込まれ、
拍手で終わる(笑)

それがアニメーションで伝わればいいのだが、残念ながら見てるこちらには
そこまで感動的な歌には聞こえない。普通だ。
それなのに手のひらをクルクル!っと返す観客の態度にはついていけず、
何かよくわからないままに俺達の歌はこれからだ!で終わる展開は
さすが中国アニメと言わざる得ない作品だった。

総評:久しぶりに笑える中国アニメ


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

全体的に見て中国アニメ特有の要素は非常に多いものの、
逆に中国アニメ特有の要素に理解があれば非常に楽しめる作品だ。
ツッコミ所のありすぎる展開、唐突かつ強引な展開、
激情型なキャラクターの心理描写、無駄に重くなる展開からの
強引にまとめるストーリー展開と1周回って楽しめてしまうアニメだ。

1話の段階で見るのをやめた人もいるだろう、
そもそも中国アニメということで1話すら見てない人もいるだろう。
だが、ちょっとだけ見続けてほしい。
脇腹をゆっくりとくすぐられ、突っ込んでくださいといわんばかりの
シーン描写の数々は自分の中のツッコミ魂を刺激されるはずだ。

1話10分、1クールだからこそ勢い任せに見れてしまう部分もあり、
ツッコミ所が多い作品だが、そのツッコミところを笑える人ならば
楽しめる作品だ。

個人的な感想:日本人の監督なら…


引用元:狐狸之声公式サイトより
(C)IQIYI/VOICE OF FOX

中国アニメでも監督や制作会社が日本なら割と見れてしまうが、
この作品も見れてしまう作品だった。
荒唐無稽な展開は多いし、キャラクターに愛着は一切わかないが、
それが一周回って面白くなってくる。これぞ中国アニメの楽しみ方だ(笑)

正直、9話になるまで主人公の火傷に一切突っ込まないため、
本気で「タトゥー」かと思ったのだが、この作品はツッコミが遅い。
「SKY」の正体も一回、スカされるためガクッっと来る部分もあり、
終盤の終盤で「私がSKYでした」と言われても今更感がある。
この作品は1テンポずれてる。

このズレてる感じを楽しめるか、なんだそれと思ってしまうか。
中国と日本のセンスの違いを感じる作品ではあるものの、
ツッコミ心のある人ならば楽しめる作品だ。

「」は面白い?つまらない?

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