評価 ☆☆☆☆☆(6点) 全12話
あらすじ 魔神王を撃退したものの、迫りくる魔神の大群から仲間を逃がすため、次元の狭間に一人残った魔導士ラック。激闘の末に世界を守り抜き、ようやく帰還した彼を待っていたのは、なんと10年後の世界だった!引用- Wikipedia
出落ち
原作は小説家になろうで連載されていた作品。
監督は神戸洋行、制作は月虹。
魔神王
この作品はいわゆるアフターストーリー的な立ち位置の作品だ。
勇者パーティーの魔道士である主人公は仲間とともに魔神王を撃退したものの、
魔神の大軍が押し寄せてきた結果、
彼は「ここは俺に任せて先に行け」と言い放ち殿を務めることになる。
次元の狭間と呼ばれる場所で何年も何年も戦い続け、
寝ている間も戦い続けた結果、倒したはずの魔神王も復活するものの、
何年も戦い続けて強くなった主人公は魔神王を含めた
全ての魔神を撃退することに成功する。
魔神王にエナジードレインを使った結果、
なぜか若返っていたりするものの、
この時点でこの作品の物語は一区切りしている。
「ここは俺に任せて先に行け」というのは
あるあるなセリフの1つとして使われており、
それをネタにした作品なのはわかるが、
それをネタにした結果、一言で言えば出落ちになっている。
平和
世界は平和になり、かつての仲間たちは10年分年を取っており、
権力者になっている。
主人公は死んだと思われ伝説の英雄になっており、
仲間たちの助けもあり、主人公は新人冒険者として活動していくことになる。
1話の後半ではそんな新人冒険者となった主人公が
若手パーティーとゴブリン退治に行くというところで終わっており、
特に先が気になる展開ですらなく、
1話の時点で出落ち感が凄まじいことになっている。
依頼中に強敵に出会ってヒロインがピンチになっていても、
すでに魔神王すら倒した主人公にとっては強敵ですらない。
ヴァンパイアという種族が基本的な敵になるが、
魔神王より強いわけではないので序盤は楽勝だ。
ヴァンパイアたちは魔神王より強い存在を召喚しようとしており、
それを阻止するというのが流れではあるものの、
基本的に色々なヒロインと出会ってイキりまくるのが本作品の主人公だ。
この魔剣が目に入らぬのか!
一応、主人公は素性を隠して新人冒険者をやっているのだが、
もうバレまくる。
バレまくるどころか自ら魔神王の件をひけらかし、
「俺はあの英雄だ!」とどこぞの水戸黄門様のごとく
自らの正体を明かす展開ばかりが続いてしまう。
ヴァンパイアたちが複数で襲ってきたり、
より強いヴァンパイアが出てきたりするが、特に何も問題がない。
かつての主人公の仲間と一緒に戦ったり、
かつての仲間が「ここは俺たちに任せて先に行け」と
殿を務める展開自体は熱いものの、その展開に至るまでの積み重ねが足りない。
生きて帰れる可能性がない状況での
「ここは俺に任せて先に行け」と、
生きて帰れる可能性が高い状況での
「ここは俺に任せて先に行け」では重みも違う。
なにより作画も悪い。
戦闘シーンも多い作品なのに、その戦闘シーンに気合が入っておらず、
決まるシーンも決まらず、ぬぼーっとしたアクションを見せられる。
増えるヒロイン
話が進むとどんどんヒロインが増えていく。
色々な問題や事情を抱えていたりするが、主人公が関与することで解決していく。
基本的にこの主人公には恋愛感情や性欲というものはなく、
ヒロインが増えてもハーレム展開にはならず、
登場して問題が解決したら空気になる。
そうなると新しいヒロインが出てくる。
しかもヴァンパイアが持っている魅了の魔法や、
彼女たちの実力のせいもあって、
終盤はメインの戦闘にすら絡まないこともある。
要らないヒロインが多すぎる。
新しいヒロインの問題を解決する話が数話描かれて、
という展開が続いていく。
しかも、中盤ではヴァンパイア問題を解決したのに、
借金取りに追われる小さな女の子を助けるという
ヴァンパイアよりも小さな問題が描かれてしまう。
またヴァンパイア
そんな少女の問題が解決したかと思えば、
「またヴァンパイア」だ(苦笑)
ヴァンパイア・ハンターとでもタイトルを変えたほうが良いくらい、
ヴァンパイアに縛られている作品だ。
序盤も中盤も終盤もヴァンパイアと戦っている。
毎回新しいヴァンパイアが出てきて、倒して解決の繰り返しだ。
その繰り返しの起点としてヒロインを増やす。
ずっと同じことをしている。
主人公が10年かけて魔神王を倒したのに、
その強さもいまいちわかりにくいものになっており、
俺TUEEEできる状況のはずなのに意外と手応えのある敵が
多くなってしまっていて、その爽快感も薄くなっている。
せっかくの10年という設定をあまり活かしきれておらず、
最後まで見たが、1週間後には全て忘れてしまいそうな作品だった。
総評:吸血鬼退治の水戸黄門様
全体的に見て出落ちで終わった作品だ。
「ここは俺に任せて先に行け」というベタなセリフから
始まる作品という部分だけは面白いのだが、
そこからのアフターストーリーをうまく作れておらず、
結局、話の盛り上がりとして1話の冒頭以上のものを作れていない。
ヒロインだけは無駄に多いが、無駄に多いだけで
登場してしばらくしたら存在感もなくなり、戦闘要員ですらなくなっていく。
結局、主人公は元勇者パーティーのメンバーと協力して
ひたすらヴァンパイアを狩り続けて終わっており、
話が薄い。
ヴァンパイア側にも企みこそあるものの、
邪神をこちらの世界に呼ぶというベタな目的であり、
そこに面白さを感じるわけでもない。
魔神王というラスボス的な存在を倒したはずなのに、
中盤からは主人公がわりと苦戦することも多いが、
その苦戦している戦闘シーンに気合が入っているわけでもない。
作画は終盤になるとかなりギリギリで、主人公の顔すら安定していない。
結局は出落ちだ。出落ちな作品だからこそ、
そこから追加したヒロインたちやヴァンパイアという要素で
面白みを作れておらず、芯となるストーリーの弱さにつながっている。
主人公も正体を隠したいのか隠したくないのかよくわからず、
「あのロック様とは知らず!」
と、水戸黄門が正体を明かしたときのような反応をするヒロインのシーンを
描きたかったのかもしれないが、色々と中途半端だ。
一応、国内で黒幕的な存在が動いているようだが、
それが誰かもわからぬまま1クールが終わっており、
続きが気になるわけでもない。
本当に来週には「見た」という結果以外は忘れてしまいそうな作品だ。
個人的な感想:月虹
制作の月虹は今年は3本も元請け制作しており、
その影響もあってかギリギリ感が凄まじい。
かつて「魔王様、リトライ!R」では作画崩壊を起こしている
制作会社なだけに、一歩間違えば今作も作画崩壊アニメになっていただろう。
ギリギリそれは回避していたかもしれないが、
かといってアニメーションとしての面白さがあるとはいえず、
原作やコミカライズが何百万部も売れている作品なのに、
なぜ売れているのかをアニメでは全く感じることができなかった。
色々と残念な作品だ。


