ファンタジーアニメ一覧

ウホッ!ガチムチ主人公「領民0人スタートの辺境領主様」レビュー

3.0
領民0人スタートの辺境領主様 ファンタジーアニメ一覧
画像引用元:(C)風楼/アース・スター エンターテイメント/領民0人スタートの辺境領主様製作委員
スポンサーリンク
笠希々のプロフィール画像
この記事を書いた人

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★★★☆☆(54点) 全12話

TVアニメ『 #領民0人スタートの辺境領主様 』PV第2弾 | 7月10日(金)より放送決定!

あらすじ 幼くして孤児となりながらも、人の役に立つため戦場で戦い続けた男、ディアス 引用- Wikipedia

ウホッ!ガチムチ主人公

原作は小説家になろうで連載している作品。
監督は今泉賢一、制作はanimation studio42。

おじさん

1話冒頭から、なかなかお目にかかれない光景を拝むことになる。
どこまでも続く草原に馬車から降り立った男、
そんな男が本作品の主人公だ。
問題はその見た目である。

ガチムチだ(笑)

角刈りでヒゲが生えていて、顔には傷があり、
ガチガチに鍛え上げられた肉体を持ち、
決して声を荒げるわけでもなく冷静沈着だ。

とても主人公には見えない見た目をしているのが
本作品の最大の特徴ともいえる。
実写化したら山口智充さんあたりが適しているかもしれない。
そんな見た目の主人公のインパクトは凄まじい。

何もない草原だらけの土地の領主となったことを嘆くわけでもない。
彼は兵士として巨大な斧を振るい、戦争を終わらせ、
その報酬として領地を与えられ、領主となっている。

その領地には「敵」が存在する。
長年、彼が仕えていた国と対立している民族がそこにはおり、
誰も治めきれていない場所だった。

だが、敵意のない主人公に鬼人族という民族は好意を抱くものの、
敵対する民族であるがゆえに領民にはなってくれない。

タイトル通り、領民0人からのスタートだ。

男気

主人公が接した民族では「男気」が求められる。
強い男のほうがモテる、原始的だが、そんな民族だ。
だからこそ主人公がモテる(笑)

決してイケメンではないが英雄としての実力があり、
獣もモンスターも楽勝だ。
だからこそ民族の娘であるヒロインに惚れられる。

シンプルではあるが、きちんと「理由」がある恋愛感情を描いており、
女だけでなく男にもモテる。

だが、主人公にはそんな恋愛感情はない。
1話の段階でヒロインから求婚されるものの、
彼自身に恋愛感情はなく、しかも相手は15歳だからこそ戸惑う。

それでも自身の立場や民族との関係性を考えて、
ひとまず「婚約」という形に収める。

困惑しながらも流されている姿に哀愁があり、
好感の持てる主人公だ。

領民

主人公は国の英雄だ。
だが、主人公自身は知らないものの、事実上追放された状態だ。

たった1人で何もない領地の領主にする。
英雄にはふさわしくない扱いだ。

そんな事情を知らない第三王女が、
新たに起こった戦争への協力を求めるものの、
主人公にはすでに領主としての責任、
民族への思いが生まれており、婚約者もいる。
だからこそ、その頼みを断ってしまう。

そんな主人公を王女は逆恨みするのだが、
かつての部下たちが主人公を頼って領民となる決意をする。

王女は敵になるが、男兵士は味方になる。
どんどん男臭さが増していく(笑)

王族の権力争いゆえに難民も生まれ、奴隷になる者もいる。
そんな難民や奴隷を主人公は温かく迎え入れている。

その後もムッチムチな亜人の領主がやってきたりと、
印象的なキャラは男ばかりなのが、この作品の面白いところでもある。

どんどんと主人公の領地に人が、亜人が集まってくる。
トラブルが起き、戦争になったりするものの、
大きな問題になることはない。

戦闘シーンこそあるが、いわゆるスローライフ系として
まったりとした雰囲気があふれている作品だ。

追放

この作品はいわゆる「追放もの」でもある。
主人公は英雄でありながら不当な扱いを受け、
何もない土地へと追いやられている。

しかし、この作品には追放ものらしさがあまりない。

なぜならば、主人公自身が追放されたことに気づいていないからだ(笑)

そもそも追放ものというジャンルは、
主人公が不当な扱いを受けたことに対する怒りや悔しさがあり、
自分を追放した人間を見返すことが
物語の原動力になっていることが多い。

ところが、この作品の主人公にはそういった感情がない。
自分が追放されたことに気づいていないのだから当然だ。

何もない草原に放り出されても、
彼は自分の境遇を嘆いたり、誰かを恨んだりしない。
むしろ与えられた土地を立派な領地にしようと、
真面目に領主としての仕事に取り組んでいる。

主人公には承認欲求がない。
誰かを見返したいわけでもなければ、
自分の力を周囲に認めさせたいわけでもない。

ただ、目の前に困っている人がいれば助け、
自分の領地に暮らす人々が幸せになればそれでいい。

だからこそ、そんな主人公の人柄に惹かれて
自然と人が集まってくる。

追放された主人公が新天地で成功するという展開自体は、
なろう系では決して珍しいものではない。
だが、この作品の場合は成功すること自体が目的になっていない。

主人公にとって領地の発展は、
自分が幸せになるための手段ではなく、
領民を幸せにするための結果なのだ。

この違いは大きい。

最強の力を持ちながら、その力を自分のためではなく
他人のために使う主人公だからこそ、
いわゆるオレツエー系にありがちな鼻につく部分がなく、
素直に応援できる。

なろう系らしい要素を持ちながら、
なろう系らしさを感じさせない。
それが本作品の面白いところだ。

終盤

終盤でも王族や貴族はゴタゴタしているが、
主人公たちはスローライフを楽しんでいる。

彼らが飼っている羊とは別の群れがやってきて歌勝負をしたり、
かつて主人公が育て上げた孤児たちがやってきたり。

ちなみに孤児の1人は主人公のことが好きな男で、
若い男性や女性は自分の街に帰るのだが、
主人公のことが好きな男は主人公の領民となる(笑)

ヒロインの兄が女に騙された挙げ句に帰ってきて一悶着あったり、
主人公がぶっ倒れたりするが、大きな問題になることはない。

見た目はガチムチで、周囲にはどんどん男が増えていく。
一見するとむさ苦しい作品なのだが、
その中身は驚くほど優しい物語になっている。

主人公自身が最後までぶれず、好感が持てる。
そんな主人公だからこそ多くの者が集まり、
村が大きくなっていく。

1クールを通して、そんな過程をしっかりと楽しむことができた作品だ。

総評:すまない、男以外は帰ってくれないか

全体的に見て、肩の力を抜いて楽しめる作品だ。

いわゆる追放ものではあるのだが、
主人公自身がそれを自覚しているわけでも気にしているわけでもなく、
何もない草原にほっぽり出されても持ち前の人の良さを活かし、
どんどんと人が集まり、発展していく展開を楽しめる。

女性キャラもそこそこいるのだが、
メインヒロインと言えるのは1人だけで、
あとはどんどん男性キャラが増えていく展開は
ある意味では清々しい(笑)

中盤以降はスローライフ系らしいまったり感だけでなく、
日常ギャグ的な要素もあり、くすくすと楽しめる作品だ。

村を、領地を大きくする。
人間も亜人も家畜も平和に暮らしていける場所にしたい。
そんな思いが主人公にはあり、その思いのまま突き進んでいく。

強面で、ガチムチで、戦争では無類の強さを誇る男。
そんな男が誰よりも平和な暮らしを望み、
領民たちを大切にしている。

この見た目と中身のギャップこそが、
本作品の最大の魅力なのかもしれない。

1クールで完結とはいえないものの、
良い区切りが生まれており、
時間のあるときに原作で続きも読んでみたくなる作品だ。

やや地味さはあるものの、
タイトルやキービジュアルで敬遠していた人にも
ぜひ見ていただきたい作品だ。

個人的な感想:変化球

かなり変化球な作品ではある。
主人公はガチムチおじさん、ヒロインは1人、
男性キャラが妙に増えるという
要素のいびつさを持ちながら、
スローライフなストーリーを丁寧に積み上げている。

主人公は負け知らずの最強ではあり、
オレツエー的な要素がないとは言えないが、
それが鼻につかないように、
きちんとしたバックボーンもある。

なろう系によくある追放、最強主人公、異種族ヒロイン、
新天地での成功という要素は一通りそろっている。

しかし、それらの要素を使って
主人公の優越感を描くような作品にはなっていない。

そもそも主人公には、自分が最強であることを
誇示しようという気持ちがない。
自分の境遇を悲観することもなければ、
誰かに復讐しようという気持ちもない。

そんな主人公だからこそ、
周囲の人間も彼を信頼し、自然と集まってくる。
主人公が最強だから人が集まるのではない。
主人公の人柄が良いから人が集まる。

この違いが、本作品を単なる追放ものや
スローライフものとは少し違う作品にしている。

なろう系なのになろう系らしさがない。
それゆえに地味さはあるが、
ガチムチおじさんの優しさに癒やされながら、
まったりと楽しむことができた作品だった。

「領民0人スタートの辺境領主様」に似てるアニメレビュー

Related Reviews
同じジャンルのアニメレビュー

「ファンタジーアニメ一覧」に近い作品を、あわせて読めるレビューとしてまとめました。