評価 ★☆☆☆☆(23点) 全12話
あらすじ この世界に生まれた者は王族・勇者・魔法使いなど、個人の生き方を決定づける役割が与えられ、その中には世界を豊かにするためだけに存在する「村人」という最弱の役割もあった。 引用- Wikipedia
まさかの未帰還エンド
原作は小説家になろうで連載されていた作品。
監督は葛西良信、製作はブレインズ・ベース
レベル
この世界にはレベルという概念がある。
もともと日本だったようだが、そんな日本にモンスターが現れ、
同時にレベルという概念が生まれた。
人間にもモンスターにもレベルがあり、そのレベルは強さを表している。
モンスターを倒せばなぜか「ゴールド」をドロップするという
摩訶不思議すぎる世界で主人公は村人だ。
レベルだけでなく職業的な「役割」が人々には与えられており、
勇者や武道家といった役割がある。
その中でも村人は最弱の役割であり、街の中での宿の経営や
農業を生業にしており、村人でもレベルが高いのは10レベルほどだ。
そんな世界観で主人公は村人でありながら「レベル999」に到達している。
勇者でさえレベル90なのに彼は10倍以上だ。
レベルだけ見れば勇者より強い。
1話はこの世界観の説明感が強く、
作画やキャラクターデザインがぱっとしないことも相まって、
いまいち良い印象は受けない。
なぜレベルという概念があるのか、
モンスターを倒すとゴールドを落とすのはなぜなのか。
色々と初歩的な疑問はあるが、
1話の展開は非常にわかりやすく、オレツエーだ。
魔族の少女が勇者パーティーと遭遇し、
魔族の少女をかばったどころか、
勇者の聖剣を先に入手し、勝手に売ってしまう(笑)
更に魔族の少女に結婚を申し込まれ……
というところから物語が動き出す。
主人公の飄々とした態度はイケすかない感じはあるものの、
コミカルな描写自体は悪くない。
主人公の「目的」は非常に分かりやすい。
LV999
主人公がLV999に至るまで色々あったようだが、
その色々はなかなか描かれない。
LV999という強者だからこそ、この世界の仕組みそのものに疑問を持っている。
モンスターとはなんなのか、魔族はモンスターを生み出すということ以外は
人間と変わらないのに、人間と争う役割になっているのはなぜなのか。
そんな疑問を抱える主人公は
魔族と人間の共存を考える魔族の少女の旅に付き合うことになる。
魔族は人類の敵、人類は魔族の敵。
そんな当たり前の世界そのものを変えようとする展開は悪くなく、
主人公やヒロインの思いとは違い、
穏健派な魔王はなぜか人類侵略を始め、人類も魔族に対抗しようとしている。
4話以降になるとようやく主人公の過去が描かれるものの、
主人公の村人感は薄く、作画も良くないせいで、
LV999の主人公の強さがアニメーションとして表現しきれておらず、
戦闘中に明らかに止め絵を多用するシーンも多く、
かといってエフェクトで作画の微妙さを補うわけでもない。
戦闘シーンが多い作品なのに戦闘シーンが微妙というのは致命的だ。
魔王
中盤になると、操られた魔王と戦うことになる。
なぜこの世界はシステムのようなもので縛られているのか、
役割に引っ張られる人々や魔族、
そんなシステムそのものに主人公は抗おうとしている。
この世界のシステム、理不尽そのものに対するレジスタンスだ。
世界のシステムに介入するヒントも得たことで、
主人公の旅は続いていく。
主人公の考えに共感する者も増えてきて、
主人公だけでなく、多くの者が宿命というものに抗おうとしている。
描いている内容自体はストレートで面白く、
普段なろう系でスルーされるような
「レベル?ステータス?スキル?ゲームみたいじゃん」
というツッコミをそのまま作品に取り込んでいる作品だ。
金稼ぎ
世界のシステムを明らかにするためには
1万ゴールドで購入できるアイテムを買う必要がある。
そのために主人公たちは金策をする。
カジノを作ったり、強いモンスターに会いに行ったり。
この強いモンスターの存在はシステム的だ。
本来は魔王を倒すか、1万ゴールドで購入できるアイテムを
手に入れることでしかたどり着くことができない場所にいるモンスター。
いわゆる裏ボス的な存在だ。
そんな存在と出会うことで選択肢が生まれる。
「次のステージの世界」に行くか「すべての記憶を失う」か。
この世界は強い者を定期的に生み出すための世界であり、
魔王も倒せば復活するようになっている。
次のステージに行くか、すべての記憶を失うことで
世界はリセットされ、魔族は作り直されている。
そんな真実を知り、主人公は「リセット」を拒む。
魔族という存在を知り、仲良くなったからこそ、
彼は神のルールに従わない。
終盤
人類側の国王もシステム側の人間であることがわかり、
主人公は国王にも抗おうとする。
そんな主人公の意思、抗おうとする意思が伝播し、
魔族への恨みを持った者の中にも変わる者が出てくる。
この辺のストーリー自体は悪くなく、
主人公の存在や目的、思想のようなものが1話からブレず一貫しており、
真っ直ぐなストーリーが展開しているのがこの作品の魅力でもある。
ただ、作画が悪すぎる。
LV999でその限界すら突破した主人公という
この世界では規格外の存在のはずなのに、
そのチート感を感じられるのが序盤だけで、
敵も規格外なものが出てくるわ、作画も悪くなるわで、
戦闘シーンの盛り上がりが生まれない。
5年という時間制限はあるものの、魔族と人間の和平も成立し、
主人公は次のステージへ行くというところで1クール終わってしまう。
しかもラストが「3年間主人公が戻っていない」という
ナレーションで終わってしまっているのも、変な歯切れの悪さを
残してしまっている。
主人公が旅立った先がなんだったのか、
この世界はなぜ強者を育てているのか、
そのあたりが描かれないまま終わってしまっているのも残念なところだ。
総評:システムに抗った結果
全体的に見て、キャラクターやストーリー、
この作品の世界観や設定など、ポイントポイントでは
面白い部分は多いのだが、それがアニメ全体としてうまく作用しきれていない。
話が進んでいるんだか進んでいないんだか、わかりにくい状況で、
ラストは主人公未帰還エンドで終わっている(苦笑)
世界の仕組み、システムに抗う主人公というのは面白く、
まるでRPGのような世界、魔族が敵という先入観に疑問を持った
主人公が世界を、人々を変え、システムに抗おうとする展開は悪くない。
ただ、あくまで悪くない止まりだ。
最終的に主人公によって魔族と人間の和平も叶ったものの、
結局はシステムの要望通りに次のステージとやらに行っており、
その次のステージというのが一体何なのかが描かれない上に、
主人公が帰ってこないままで終わってしまうため、
モヤモヤした印象だけが残ってしまう感じだ。
神のルールに従わず、世界のリセットを拒み、
魔族と人間の運命すら変えた主人公。
ところが最後に選んだのは、システム側が用意した「次のステージ」だった。
システムに抗った結果、システムの次のステージに進んで
主人公が帰ってこなくなったのはなんとも皮肉だ。
続きが気になるというよりは、モヤモヤ感のほうが勝っており、
脚本や作画の悪さも含めて、アニメとしての見せ方があまり良くない印象だ。
もう少し気合を入れて、2クール、せめて分割2クール形式で
もう少し先の展開まで描かれていれば印象は違ったかもしれない。
個人的な感想:悪くないが……
悪くないと思うポイントはちょこちょことあったものの、
「これ」というような核となる部分がなく、
ふわーっと終わってしまった印象だ。
これで2期が決まっていれば話は違ったが、
今のところ2期の知らせはない。
だからこそ、「主人公が3年間帰ってこない」というところで
終わる歯切れの悪さが、そのまま作品の最終印象になってしまった。
なろう系はあっさり2期が決まる作品が多かったが、
最近はそういう傾向もなくなってきており、
なろう系の衰退を感じてしまう作品だった



