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なろう系の闇鍋「ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!」レビュー

2.0
ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)! ファンタジーアニメ一覧
画像引用元;© あてきち・TOブックス/オールワークスメイド製作委員会
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★★☆☆☆(24点) 全12話

あらすじ ここは乙女ゲーム「銀の聖女と五つの誓い」の中――やがて魔王が現れ、世界は滅亡の危機に瀕してしまう……。 引用- Wikipedia

なろう系の闇鍋

原作は「小説家になろう」やカクヨムで連載中の小説作品。
監督は石平信司、制作はEMTスクエアード。

要素

1話から「きららアニメかな?」と思うほどのゆるやかな日常が描かれている。
舞台自体は異世界ファンタジーな世界ではあるものの、
BGMやキャラクターデザインの雰囲気も相まって、
どこかきららアニメっぽさを感じさせる。

そんな世界で主人公は「完璧」なメイドだ。
自堕落なお嬢様の暮らしをあっさりと、
理想的なお嬢様の暮らしに変化させるほどの完璧超人なメイドだ。

幼い頃からメイドに憧れた主人公は、完璧なメイドになるために
こっそり修行をしていたものの、彼女が成人になる前に母は亡くなる。
母の思いを継いで完璧なメイドになろうとしていた矢先、
とんでもない魔力に覚醒し、その魔力をメイド魔法として利用する。

実は彼女はとある伯爵の娘であり、伯爵は彼女のことを探している。
そんなことは露知らず、主人公は貴族に仕えるたった一人のメイドとして働き出す。

そうかと思えば、彼女は転生者であることが明らかになる。
転生前から主人公は天才でメイドが好きで、
そんな思いを異世界でも叶えようとしている。

1話から要素が多すぎる。

異世界ファンタジーで、魔法があって、
主人公は天才で、メイドに憧れていて、
実は貴族の娘で、正体を隠してメイドとして働いていて、
しかも転生者だ。

流行している要素を組み合わせたというより、
人気のタグを片っ端から貼り付けたような印象すらある。

ゴチャゴチャとした内容をナレーションで
ある程度整理しているものの、
そもそもの設定が多すぎて1話の時点ですでに渋滞している。

転生者

さらに、実はこの世界は「ゲームの世界」であることが2話で発覚する。

もういい。
いくらなんでも要素が多すぎる。

複数のなろう系作品で流行った要素を
とにかく全部盛り込んだような内容であり、
新鮮さがないというより節操がない。

「これも人気だから入れよう」
「これも流行っているから入れよう」

そんな作り方をしているようにすら見えてしまい、
設定そのものよりも、その節操のなさに不快感すら覚える。

主人公と同じようにこの世界に転生している者もおり、
本来、主人公は「銀の聖女」と呼ばれる存在で、
彼女がいなければ世界が滅んでしまうゲームらしい。

だが、当の本人はそんなことは露知らず、
ひたすらメイド道に励んでいる。

この「主人公だけ何も知らない」という構造自体は
コメディとして成立しそうなのだが、
設定が多すぎるせいで面白さより説明の方が先に来てしまう。

序盤はキャラクターデザインの可愛さや作画、
OPの懐かしいアニソン感も相まって
なんとか最低限の面白さを保ってはいるものの、
色々とギリギリな印象だ。

主人公はメイド道を進み、
伯爵は主人公を探し、
転生者の二人はシナリオ通りに進まないことに困惑する。

同時にいろいろなことが動いているのだが、
それぞれが別方向に進んでいるせいで、
一つの物語を見ている感覚が薄い。

ナレーションも最初は効果的だったものの、
2話以降になると設定を説明するための役割が強くなりすぎて、
次第に邪魔に感じてしまう。

乙女ゲーム設定

そして、この作品でもっとも噛み合っていないのが
「乙女ゲームの世界」という設定だ。

主人公自身がゲームの世界であることを知らないため、
乙女ゲーム部分のストーリーが進むたびに
主人公が蚊帳の外になってしまう。

主人公の物語が見たいのに、
皇太子と悪役令嬢のストーリーが延々と展開される。

しかも、この二人も転生者なので
「本来のゲームシナリオと違う」
「このままだとまずい」
と状況を分析しながら動いていく。

一方で主人公はそんな事情を何も知らず、
相変わらずメイドとして働いている。

主人公のメイド道と、
転生者たちによる乙女ゲーム攻略。

この二つがまったく噛み合っていない。

まるで別々の作品を
交互に見せられているような感覚だ。

しかも、乙女ゲーム本来のストーリーも
主人公が聖女として登場せず、
自分の力すら自覚していないことで大きく改変されている。

そのせいで色々と問題が起きているはずなのだが、
なぜか都合よく勝手に解決していく。

主人公が何かを成し遂げるでもなく、
転生者たちが必死に動くでもなく、
物語だけが何となく前へ進んでいく。

核となる部分がなく、
常にふわふわと物語が漂っている感じだ。

そうかと思えば中盤から「また」転生者が増える。

転生者のバーゲンセールだ。

学園編

中盤からは主人公が仕える屋敷の娘が
貴族の学校に入ることになる。

全寮制ゆえに主人公もメイドとして付き従うことになるのだが、
ここでまた一気にキャラクターが増える。

ただでさえ、
メイド、伯爵、聖女、乙女ゲーム、転生者と
色々な要素を抱えているのに、
問題を整理する前にまた新しい要素を入れてくる。

そのうえ、もう一人の転生者まで絡んできて、
状況はさらにややこしくなる。

改変され始めた乙女ゲームのストーリーを
転生者の二人は必死に考えながら進めているのだが、
主人公は完全に蚊帳の外だ。

主人公のメイド道。
転生者二人の乙女ゲーム攻略。
そして、もう一人の転生者による世界救済。

三つの物語が同時進行しているのに、
ほとんど噛み合わない。

もうゴチャゴチャだ。

貴族同士の嫉妬に魔王的な存在が介入してきたりするが、
ここまで来ると「また新しい要素か」という感想しか出てこない。

心底どうでもよく、面白みもない。

最後までそんな調子で、
散漫なシナリオは壊滅的だった。

総評:節操がなさすぎる

全体的に見て、EMTスクエアードのわりには作画のクオリティは高く、
声優さんもしっかりとキャラクターを演じ上げている。

特にOPの懐かしいキャラソン感はたまらないものがあり、
第一印象だけならかなり悪くない。

それなのに、
ストーリーの散らかりっぷりがあまりにも酷い。

メイド、異世界、転生、乙女ゲーム、聖女、魔王。

作中にこれでもか!と色々な要素を盛り込んでいるが、
それが全部、別方向に向かってしまっている。

普通なら要素を増やせば物語に厚みが出るはずなのに、
この作品の場合は要素が増えるたびに
主人公の存在感が薄くなっていく。

結果的に主人公が主人公として活躍しておらず、
物語の芯にいない。

なろう系には「無自覚系」と呼ばれる、
自分の力を自覚していない主人公の作品も多い。

この作品もそのタイプではあるのだが、
主人公が無自覚であることによって
周囲のキャラクターばかりが物語を動かしてしまっている。

そのため、
それぞれのキャラクターの物語が
主人公そっちのけで展開している感じだ。

ゴチャゴチャとした要素や設定を
花澤香菜さんによるナレーションでなんとか補完しているが、
それでも補完しきれていない。

むしろ最後まで見ても、
「結局この作品は何を一番描きたかったんだ?」
という疑問が残る。

これが2クール、あるいは4クールくらい続けば、
ゴチャゴチャした要素が少しずつ片付いて
一つの物語にまとまるのかもしれない。

だが、それはあくまで希望的観測でしかない。

少なくとも1クール見た範囲では、
色々な流行要素を欲張って詰め込んだ結果、
どれも活かしきれないまま終わってしまった。

まさしく「なろう系の闇鍋」だ。

個人的な感想:OP

OPだけでいえば100点をあげたいくらい、
平成深夜アニメらしいOPでワクワクした。

イントロから漂う少し懐かしい雰囲気、
キャラソンっぽさ、
映像も含めて「こういうのでいいんだよ」と思わせてくれる。

ただ、そのOPで膨らんだワクワクを
本編が一度も越えてこなかったのは残念だ。

せめてもう少し要素を減らして、
1クールの中で抱えている問題のいくつかが解決していれば
印象はかなり違ったかもしれない。

とはいえ、
この何でも入っている闇鍋感こそが
この作品最大の特徴なのかもしれない。

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