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最高の作画と最低のぶつ切りEND「とんがり帽子のアトリエ」レビュー

3.0
とんがり帽子のアトリエ ファンタジーアニメ一覧
画像引用元:©白浜鴎/講談社/「とんがり帽子のアトリエ」製作委員会
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★★★☆☆(45点) 全12話

【本PV】26年4月6日放送開始!TVアニメ「とんがり帽子のアトリエ」

あらすじ 「魔法」――、それは世界に溢れていて人々の生活を豊かにする、なくてはならない便利な奇跡。けれど、 魔法をかけることが出来るのは魔法使いだけ。 引用- Wikipedia

最高の作画と最低のぶつ切りEND

原作は月刊モーニングtwoで連載中の漫画作品。
監督は渡辺歩、制作はBUG FILMS。

シワ

この世界には「魔法」が存在する。
魔法を使うのは魔法使いだけ。
魔法に憧れても、魔法使いでなければ魔法を使うことはできない。

そんな世界の「田舎」に住む少女が、
とある魔法使いと出会うというところから物語が始まる。

1話から驚異的な作画のクオリティだ。
どこか「ジブリ」を彷彿とさせるような自然の描写、
キャラクターたちが着ている衣服、仕立て屋の娘である主人公が
裁断する服の「シワ」まで、繊細にこだわりまくって描かれている。

服のシワというのは簡略化されやすい部分だ。
あえてシワを描く必要はない。
そのシワにこだわりを出す必要もない。

しかし、この作品はあえて「シワ」を描くことによって、
キャラクターの動きをより強調させている。
キャラクターが立てば服のシワも変わり、
キャラが少し動くだけでそのシワも動く。

この異様なまでの「服のシワ」へのこだわりは、
ある種のフェチズムすら感じるレベルだ。
この異常なまでのこだわりが1クール持続する。

主人公が暮らす田舎の村、
彼女が暮らす裕福とはいえない家の雰囲気。
1話からこの作画の雰囲気に飲み込まれる印象だ。

徹底的に「作画」に、「服のシワ」にこだわったアニメは、
今のこの時代だからこそだろう。
「鬼滅の刃」以降、TVアニメのクオリティは一気に上がり、
劇場アニメレベルの地上波アニメが作られることも多くなった。

この作品は、その極地たる作品の1つといえるかもしれない。

2話以降に出てくるキャラクターたちの「服のシワ」から
髪の毛の動きまでこだわっており、
キャラクターが出た瞬間に、そのキャラの印象がぐっと付く印象だ。

魔法を発動したときの見せ方も素晴らしい。
2話で魔法を使って飛ぶシーンがあるのだが、
服の動き、髪の動き、そしてシワの変化まで凄まじいことになっている。

魔法

この世界における魔法は「秘匿」されている。
魔法使いの血を引かなければ魔法使いにはなれない。
魔法使いがどうやって魔法を使っているかすら、
魔法使い以外には秘匿されている。

幼い頃に主人公は謎の魔法使いに出会い、
絵本とペンを買っているが、その使い方すら分からなかった。
魔法への憧れだけをずっと抱えてきた主人公は、
とうとう魔法の使い方を知ってしまう。

こっそりと魔法使いが魔法を使うところを覗き、
自らが幼い頃に手にしたペンと魔法の本の意味を知る。
たった一瞬のきらめき。
そのきらめきに夢中になってしまう。

憧れが執念に変わり、憧れを現実のものにする。
しかし、それが必ずしも夢のようなきらめきにつながるわけでもない。
彼女が描いた魔法は「禁忌」の魔法だ。

憧れと夢への執念の果てに、
彼女は魔法の真実を知ってしまう。
正しく魔法陣さえ描けば、魔法は誰にでも使える。
誰にでも使える便利なものほど危ういものはない。

だからこそ秘匿された魔法の存在。
その秘匿された世界に主人公は足を踏み入れる。
自らが開いてしまった禁忌の扉。

その禁忌を犯した彼女は、
母を魔法の中に閉ざしてしまうというところから物語が始まる。
非常に丁寧な導入であり、まるで童話のような世界だ。

1話できちんと世界観を見せ、主人公の目的を描く。
それを圧倒的な作画で描くことで作品の世界観に没入させ、
王道の物語をストレートに突き刺してくる印象だ。

知られざるもの

主人公の存在は魔法使いたちにとっては「異端」だ。
魔法によって争いが起こったからこそ魔法は秘匿され、
魔法使いにしか魔法は使えないという認識を世界に植え付けてきた。

魔法使いは弟子を取り、その弟子にのみ魔法を教え、
正しい魔法の使い方を限られた者に伝授していく。
魔法使いは魔法使い以外に魔法を使う姿を見せてはならず、
完全に秘匿されている。

そんな魔法使いたちの掟がある世界において、
主人公はたまたま魔法陣が描かれた絵本と
魔法を発動させるためのペンを手に入れ、
憧れのみで魔法を使ってしまっている。

本来は「記憶」を消される存在だが、
彼女はとある事情で異例として魔法使いになることを認められている。
「知られざるもの」と呼ばれ、きつく当たられることもある。

試験を受け、弟子になっている魔法使いたちとしては、
自分たちが守ってきたものや、幼い頃から積み重ねてきた努力を
台無しにされるようなものだ。

だからこそ、主人公の立場は厳しい。
だが、主人公にそういう態度を取るキャラは少なく、
主人公も母に大変なことをしてしまったという罪悪感はあれど、
どちらかといえば魔法を学べる喜びのほうが大きい印象だ。

魔法で誰かを幸せにするという主人公なりの目標、
魔法使いとしての目標も見つけながら、
メインキャラクターとの仲を深めていく展開は悪くない。

キャラ

序盤できちんと世界観を見せ、目標を立て、敵を出し、
さらに主人公に良くしてくれている魔法使いであり、
師匠である「キーフリー」にも何か裏がある伏線を出している。

魔法を使う上でのルール、魔法を使う道具。
序盤から丁寧に世界観を魅せており、
まるで「ハリー・ポッター」のように作品を世界観から練り上げ、
その世界観自体の完成度が素晴らしく、
世界観を味わうだけでも楽しい作品だ。

だからこそ、徐々に綿密に練られた世界観を紐解いていく
序盤から中盤には、
その世界観の面白さもあってきちんとした面白さがある一方で、
いまいちキャラクターにハマりきれない。

禁忌を犯した主人公、その周囲のキャラ。
このキャラたちの態度や反応にやや違和感があり、
特に主人公に対してあまりいい感情を抱いていない
「アガット」は出世や成長を急いでおり、
それゆえにかなり無鉄砲な感じになっている。

リチェというキャラも自分の魔法を作りたいという気持ちが強く、
それゆえに他者の魔法、すでにある魔法に対して嫌悪感があったりと、
かなり面倒くさいキャラクターが多い印象だ。

このあたりのキャラへの好感度、愛着に関しては
好みが分かれるところかもしれない。

つばあり帽

過去に子どもだった主人公に禁術の描かれた本を渡したのは、
「つばあり帽」という集団だ。

彼らは禁術を使い、何かを企んでおり、
成長し魔法使いになった主人公も狙われている。
主人公の師匠はその「つばあり帽」と何らかの因縁があるようで、
裏で動いている。

そんな「つばあり帽」が中盤と終盤で出てきて、
主人公たちを妨害するのだが、
何のために主人公をそこまで重要視しているのかなどの謎は、
1クールでは明らかにならずに終わってしまう。

それくらいならいいのだが、
終盤で「つばあり帽」が襲ってきて、
師匠は怪我をし、仲間も襲われて大ピンチという状況だ。
師匠は怪我をしていながらも、
主人公たちを守るために戦い出す。

というところで1クールが終わる(苦笑)
ちょっとアホかと思うほどの区切りの悪さだ。
2期がすでに制作決定しているものの、
あくまで制作決定であり、放送時期は確定していない。

これで分割2クールならまだ分かるのだが、
いつになるか分からない2期、
数年後かもしれない2期を前提にした
この最終話のぶつ切り感は最悪でしかない作品だった。

総評:最高のシワと最悪のぶつ切りEND

全体的に見て、いろいろな謎が明らかになっていないという部分は、
1クールという都合上、飲み込める部分ではあるものの、
そんなことよりもストーリーの区切りが悪すぎる作品だ。

「俺たちの戦いはこれからだ!」どころか、
「俺たちの戦いが始まる」という状況で最終話が終わってしまうのは、
消化不良どころの騒ぎではない。

この1期の制作には3年半ほどの時間を費やしているらしく、
作画のクオリティを考えればそれも納得できるほど、
素晴らしい作画とシワへのこだわりを感じるところは称賛したい。

だが、3年半かかってこのぶつ切りENDは最悪だ。
2期も同じくらいのクオリティでやるなら、
また3年半かかることになる。

もともと2025年のアニメだったものが2026年春アニメに延期されており、
それを考えると、2期はまだほぼ出来ていない段階だろう。
ここからまた3年もかかっていたら、
1期の内容を忘れてしまうだろう。

世界観の練り込みは素晴らしく、徐々に謎が明らかになり、
キャラクターも掘り下げられ、
面白くなってきたところでのあのぶつ切りENDは、
飲み込みがたいものがある。

原作の構成的に1クールという尺では区切りをつけられなかったのは分かるが、
それなら連続2クールか分割2クールを想定した作りにすべきだろう。

せっかくの最高の作画と世界観を、
ストーリー構成で活かしきれていないというのは、
あまりにももったいない。

2期がいつになるか分からないが、
1期の記憶があるうちに放送されることを願いたい。

個人的な感想:シワ

1話の服のシワへのこだわりにはワクワクしてしまい、
序盤は「ハリー・ポッター」のような練り込まれた世界観に
ドキドキしていた。

だが、中盤からはキャラクターに愛着が湧きづらく、
なんとなく噛み合わない感じを覚えていたところで、
最終話でいろいろな感情をぶつ切りされてしまった印象だ。

作画のクオリティは本当にすごい。
それだけでも見る価値があるが、
このストーリー構成では人には勧めづらい。

シワへのこだわりと同じくらい、
ストーリー構成にもこだわってほしかったところだ。

果たして2期は一体いつになるやら……。

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