評価 ☆☆☆☆☆(3点) 全13話
あらすじ 自らの首を切ることで前世の才能を得ることができる“輪廻の枝。高校生の扇寺東耶は塾の帰り、クラスメイトの灰都がその枝を使いシリアルキラー(=アルバート・ハミルトン・フィッシュ)と戦う場面に遭遇してしまう。 引用- Wikipedia
全編総集編の腐ったアニメ
原作はMAGCOMIで連載中の漫画作品。
監督は久藤瞬、制作はBENTEN Film。
なにこれぇ?
1話、高校生の主人公のクラスに転校生がやって来る。
主人公に自己紹介したり、突っかかってきたりするのだが、
主人公は完全に無視だ。
主人公は「才能」が欲しいらしく、勉学などに励んでいるようだが、
その才能とやらを手に入れられていない。
一方、街中では「花びらの人」と呼ばれる、花びらを
撒き散らす人物が目撃されている。
主人公は帰り道に、そんな猟奇殺人犯の「花びらの人」を目撃するのだが、
そこで「なんで……なんで……」と才能を羨む(苦笑)
主人公の心理描写や感情というものが、まるで分からない。
美少女にいきなり名乗られても無視、帰り際に突っかかられてもほぼ無視。
猟奇殺人犯を目の前にしても怯えることもなく、
なぜか、おそらく猟奇殺人犯の「才能」を羨んでいる。
ちょっと意味が分からなすぎるキャラクター描写と、
まるでダイジェストのように進むストーリーの飛び方が劣悪だ。
見せ方というものが、まるでなっていない。
撮影処理でおしゃれっぽい作画にしているものの、見づらいだけであり、
セリフの一部を文字で表示する演出も、作画カットの方法にしか見えない。
しかも、頻繁に文字演出を多用することで、演出が効果的に作用していない。
セリフも必殺技も、何もかも文字演出にするのは悪手でしかない。
特にヒロインの技は、同じ技なのに出すたびに文字演出を入れてくる。
「オシャレ」で「厨二病」な世界観にしようという気持ちは分かるのだが、
ことごとく滑っている。
前世
「花びらの人」と呼ばれる人たちは、特殊なナイフで
首を切ることで「前世の才能」を引き出すことができる。
いわゆる能力バトルものだ。
主人公の前にいきなり現れたヒロインは前世が宮本武蔵らしく、
猟奇殺人犯と戦い始める。
前世の才能は偉人のものばかりではなく、猟奇殺人犯の才能をも引き出し、
犯罪を犯す者もいる。
ヒロインと猟奇殺人犯が戦ったと思えば、次のシーンでは
主人公が何の前触れもなく首を切っており、前世の才能に覚醒している。
もう少しためらいや、シーンごとの「溜め」が欲しいのだが、一切それがない。
主人公には何もかも天才な兄がいて、そんな兄と比べられ、
しかも兄が死亡し、余計に才能厨が加速している。
才能厨な主人公が、とにかく何らかの才能を欲しがっているのは分かるのだが、
人間味というものが一切ない。
まるで2倍速で見ているかのような感覚で1話が進み、
才能に目覚めた主人公は、「犯罪」の才能を持つ者に対処する組織に入る。
主人公が入るかどうかを決める選択肢もなく、
主人公もそこに疑問を一切感じない。
本当にダイジェストだ。
盗人
主人公が目覚めたのは「盗人」の才能であり、
あらゆるものを盗むことができる。相手の血液、そして才能までも。
まるでなろう系主人公のような才能があり、
主人公は無限に才能を得ることができる。
1話は分かりやすくはあるのだが、とんでもないダイジェストであり、
調べたところ、原作の「2巻」まで進めている(苦笑)
狂っているとしか思えないストーリー構成だ。
最低でもアニメで3話か4話かけるような内容を、1話に詰め込んでいる。
ダイジェストになって当たり前の構成だ。
2話でもサクサク感は変わらず、主人公とヒロイン以外の
メインキャラがドバドバドバドバと溢れ出てくる。
一気に5人も新キャラが出てきて、
一瞬キャラの名前が表示され、才能を披露し、次のキャラの紹介に移る。
そうかと思えば主人公の知り合いのキャラも出てきて、
そのキャラにノーモーションで自らの才能を見せつける(苦笑)
自らの才能をひけらかすために、ノーモーションで
いきなり首を切って花びらを散らす。
本当に意味不明なキャラだ。
その知り合いのキャラが出てきて、さらにその知り合いの知り合いが二人出てくるなど、
もう2話からキャラで大渋滞だ。
本来はもう少し丁寧に登場させているようなのだが、
改変やカットをしまくって、とにかく話を進めようとしている。
正気の沙汰ではない。
大渋滞
3話によると、罪人の才能を持った人たちが徒党を組み、
かつて主人公たちの組織にいた存在が、王として君臨している。
そんな敵と戦うことになる。総力戦だ。
たった3話で総力戦だ(苦笑)
しかも3話では、さらに敵味方ともにキャラクターが登場する。
一人や二人ではない。数えられないくらいの味方が出てくる。
結果的に、もうキャラクターで溢れすぎて誰が誰だか分からない。
敵も同じくらい出てくるので、誰が敵で誰が味方かもよく分からず、
毎話毎話、ソシャゲの10連ガチャでも回しているような気分だ。
キャラの名前をご丁寧に出してもらったところで、
あっさり死ぬキャラも多く、覚える価値すらない。
さっき出たばかりのキャラと、さっき出たばかりのキャラが戦い、
さっき出たばかりのキャラが死ぬ。
常に総集編、常にダイジェストだ。
原作を読んでいなければ、キャラを把握することも難しい。
FGO的な作品なのは分かるが、
アンリミテッド・ブレイドワークス的な技を使うやつもおり、
「能力バトル」ものとしての面白さや新鮮さもない。
総力戦の中で「裏切り者」が出てくるのだが、
思い入れのないキャラが裏切ったところで、特に衝撃もない。
本来は丁寧に描かなければならない部分を丁寧に描かず、
ダイジェストで進めたい弊害が、話が進めば進むほど出てくる。
裏切り
裏切り者も現れ、そもそも主人公が所属していた組織の長自体が
ヤバいということが明らかになる。
偉人の才能だけの社会を作るという分かりやすい計画であり、
一部のキャラは洗脳まで受けている。
本来はきちんと描いていれば効果的な仕掛けなのだが、
それを台無しにしており、
主人公も才能を奪う能力がありながら、全然奪わない。
描かれるべき主人公の成長と変化、
物語における積み重ねが圧倒的に欠けている。
これは原作のせいではない。アニメのせいだ。
どんな名作であろうと、こんな狂ったアニメ化をしてしまえば
腐ってしまうのは当然だ。
終盤
終盤は大量のキャラが粛清されたこともあって、だいぶ見やすくなる。
キャラ描写に関しては問題があるものの、
序盤から中盤まで断片的にでも積み重ねられてきたストーリーが、
終盤からようやく形を成していく印象だ。
前世の才能を引き出す者がいるからこそ、今の事態が起きている。
一部の人間は、主人公を含め、才能に目覚めた者を全滅させようとし、
その手段も手に入れようとしている。
前世の才能に目覚めた者と、普通の人類の戦いだ。
それによって仲間割れも発生してしまう。
さまざまな思惑が交差し、また大量にキャラが追加される。
そうかと思えば、味方同士での戦いが始まる。
勝手にやってくれという感じだ。
中盤以降、主人公がろくに戦わず、傍観者でしかない。
ラストではまた新しい敵が現れて、増えた味方キャラとの戦いになる。
ヒロインと主人公の内輪揉めもあるが、
そもそも主人公とヒロインの魅力が感じられず、
中盤と同じく、キャラクターの使い方が壊滅的だ。
最終話になっても新キャラが出る始末で、
本来は原作で10巻かけて描いた内容を1クールに無理やり収めた結果、
キャラ描写が死んだ作品だった。
総評:視聴者はエスパーじゃねぇんだよ
全体的に見て、ひどい作品だ。
本来は2クール以上かけて描くような内容を1クールに無理やり押し込めており、
そのせいで序盤はほぼダイジェスト、中盤になっても総集編でしかない。
原作からキャラクターは多いようだが、そのキャラの扱い方が
原作以上に雑になってしまっている。
撮影処理で作画をごまかしているものの、
かっこよさのセンスがズレまくっており、
頻発する文字演出のダサさや、それっぽい厨二病的な要素の数々を
「アニメ」という媒体でうまく活かしきれていない。
原作を読んでいれば問題ないかもしれないが、
原作を読んでいなければ、誰が敵で誰が味方かよく分からない状態であり、
よく分からないまま死んでいくキャラがあまりにも多い。
視聴者はエスパーではない。「察してほしい」「原作を読んでほしい」と
制作側が甘えすぎだ。
なぜこうなってしまったのか、謎でしかない。
1クールで味方キャラの裏切りあたりまで描いて終わらせておけば、
区切りがよく、なおかつ続きがなくても原作が気になったはずだ。
それをせず、あえて3クールくらいの内容を1クールにぶち込んでいるのは、
本当に謎でしかない。
きちんとした形でアニメになっていれば、もっと印象は違ったかもしれないが、
そもそも制作スタジオがGAINAXから分散した後に、
福島ガイナックスだの、ガイナだの、スタジオガイナだのと名前を変え、
最終的にはBENTEN Filmになったような会社だ。
そんな制作会社が作り出した作品と言われれば、納得できてしまう作品だった。
個人的な感想:まともに……
作画はそれなりに安定しているのが唯一の救いだが、脚本が壊滅的だ。
なぜ原作10巻分を1クールに収めようとしたのか。
本来はあり得ないようなことをしている。
かつて『覇穹 封神演義』という作品が、原作23巻分を
2クールに詰め込むということをしていたが、
それに近いことをこの作品はしている。
あまり話題になっていなかった作品だったが、
本来は大炎上してもおかしくない作品だ。
原作というものを使ったアニメでありながら、
ここまでの所業は鬼畜と言えるレベルであり、
原作に対して失礼なことをしている。
原作が完結したら、いつかきちんとした形で
アニメ化されることを期待したい。



