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「精霊幻想記」レビュー

2.0
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評価 ★★☆☆☆(26点) 全12話
https://youtu.be/bsXFx2SdRr0

あらすじ ベルトラム王国のスラム街に暮らす7歳の少年リオは、ある日突然自分の前世、異世界の国日本の大学生「天川春人」としての記憶を取り戻す。引用- Wikipedia

全部中途半端

原作は小説家になろうで連載していた小説作品
監督はヤマサキオサム、制作はトムス・エンタテインメント

お約束

1話冒頭、もはや「なろう」作品ではお約束と
言ってもいいほどわかりやすいシーンから始まる。主人公の死だ。
異世界転生or転移が多いななろう作品において
主人公がまず死ななければ始まらない。

だが、この作品はそんなテンプレとも言える「始まり」を丁寧に描いている。
主人公が子供の頃にした約束、事故の瞬間、
適当な「死」の描写ではなく、きちんと前世での「死」の瞬間を描いており、
テンプレ的な始まりではあるものの惹きつけられる物語の始まりになっており、
テンプレではあるもののきちんと「魅せている」始まりだ。

更にこの作品は完全に前世の記憶を思い出したわけではない。
断片的な前世の記憶、完全ではない前世の記憶への戸惑いと、
現世の自分との記憶の混合。自分ではない自分の記憶、
1話冒頭で主人公がどんな状況の中で前世の記憶が蘇ったのかを
丁寧に描写している

本来「前世の記憶」が蘇ったのならこういう反応をするのが普通だと
言いたくなるほどきちんとした描写がされている。
あたりまえのように前世の記憶を完全に引き継いでチートの限りを
尽くしている他のなろう作品と比べると、本当に丁寧な導入だ。

移民である母を殺され、復讐を誓い、スラム街で暮らす少年。
貧相な暮らし、貧弱な体、育ちの悪さが伺える目付きの悪さ、
コピペしたような主人公のキャラデザが多い中で
1話の主人公の姿はこの作品だからこそのデザインになっている。

そんな彼が前世の記憶を断片的に思い出し、ヒロインと出会ったことで
自身に宿る「魔力」の存在に気づき、そして前世の記憶が
彼の「技」につながる。
断片的だが思い出した前世の自分、武道をやっていた前世の自分の経験。
それが彼の人生を変えることになる。

何ものでもなかった少年が目覚める1話。
テンプレート的ではあるものの、制作陣がこの作品をきちんと
面白いものにしようと丁寧に作っていることが伺える。

5年

2話の中盤であっというまに5年という月日が流れる。
姫を助けた主人公は王の好意により学園に通うことになるものの、
貴族の平民への差別意識は強く、そんな中でも優秀な成績を収めている。
そんな状況の中で何も起こらず5年が経つ(苦笑)

5年という月日の間に何がおこったのか、それとも何も起こらなかったのかすら
よくわからず、5年間の間に周囲の主人公への態度もほぼ変わっていない。
ただ体が成長しただけだ。

入学した時の段階から前世の記憶もあってある程度、
チート的な能力を周囲にも見せ付けており、
「算術」ができるというだけで学園1位になれる。
初等部の貴族たちが通ってるはずの学校なのにレベルの低さが凄い。

1話で感じた丁寧さやテンプレート的な要素をしっかりと見せる面白さが
2話以降段々となりをひそめ、いつもの「なろう」要素が
どんどんと顔を出し始める印象だ。
ストーリーも淡々と進めている印象が強く、
盛り上がりに欠けテンポの悪さも感じさせる。

なろう作品は無駄にテンポが良い作品が多いが、この作品は逆だ。
いつまで貴族たちは同じような態度で主人公に接するのだろうかと思うほど
序盤で似たような、同じようなシーンを繰り返す。

そんな状況であるがゆえに無実の罪を着せらせ、
主人公は学園を卒業せずに逃亡という名の旅に出る。
主人公自身はそれを仕方ないと諦めている部分もあり、
逆に言えば本来の目的のために早く旅に出れたと思ってるくらいだ。
飄々とした態度から主人公の感情があまり感じられない。

1話は気合が入って描かれていたが2話からガクッと、
作画や演出のレベルも下がっており、
3話など戦闘シーンが多いのに何の迫力もない。
1話で主人公が幼いながらに戦ったシーンは印象がつくほど良かったのに、
そこで色々と力尽きてしまったのかと思うほどレベルが下がっている。

やっぱりなろう

中盤辺りになると、どんどんとなろうっぽさが全開になってくる。
奴隷の暗殺者が襲ってきて助けて仲間にして、
旅をしながらどんどんとヒロインを増やしていく。

主人公がほかのなろう主人公と違って嫌悪感をいだきにくく、
いわゆる「いきり」がないせいで見れる部分はあるものの、
序盤から感じていたテンプレート感が話しが進めば進むほど増していく。
序盤はそんなテンプレート、王道をしっかりと丁寧な演出と
キャラ描写で魅せていたが、中盤は流れ作業のように目立ったキャラ描写や
演出もなく、淡々とストーリーが進んでいく印象だ。

キャラも使い捨てにされがちだ。
1話から二人の王女様がでており、一人は主人公に助けられ、
一人は誤解とは言え主人公にビンタを食らわしている。
そんな5年前の状況から何も変わらないまま主人公は旅に出る。
終盤でちょろっと出番はあるものの、それ以外に特に出番はなく、
結局、主人公と二人の王女の関係性は何も変わらない。

旅の道中でも色々なヒロインと出会い、あっという間に1年、2年と
月日が過ぎていくものの、掘りさげの甘いヒロインが多く
主人公のハーレム要因のキャラの一人でしか無い。

旅の中で色々なヒロインと出会い、主人公に惚れるものの
主人公が別の場所に旅たてば主人公は一人旅達、
現地のヒロインは放置だ。まるで現地嫁を次々と作るために
放浪の旅をしているのでは?と思うほどヒロインがそっちのけになっている。

旅の目的

一応、母と父の手がかりを探るための旅ではあるものの、
寄り道したりしてなかなか話が進まない。
死んだ両親の手がかり、そして祖母ともあっさりと再会してしまい、
自分の出世を知る。

この流れ自体は悪くないものの、
1話から主人公が企てていた復讐相手と出会う事もなく終わってしまう。
復讐相手に復讐をしてから両親の地元に行くのではなく、
両親の地元に行ってから復讐をしにいく。普通は逆ではないだろうか。

結局、自分の出生や両親の秘密を知ってもまた旅に出る。
当然、現地妻もとい主人公に惚れたヒロインはおいていく(笑)
無駄に1年、2年という月日が経過し、主人公への愛着を
さんざんわかせた後にヒロインを放置する主人公のクールさは
ある意味面白いものの、使い捨てにしか見えないヒロインでしか無い。

ハーレムを作るわけでもなく、恋人や結婚をするわけでもなく、
惚れさせるだけ惚れさせて放置。そう考えると鬼畜とも言える主人公だ。
これが1周間や一ヶ月の出来事ならばいいが、
1年や2年、その場所にいるからこそ余計に厄介だ。

みている側が特に思い入れのないヒロインとの別れには
みている側が何の感情も抱けない。
気まぐれに現地嫁がいる場所に帰り、また新たなヒロインを探す。
だが、主人公のその気は一切ない。厄介だ。

主人公の中に眠る精霊の秘密もよくわからず、
主人公の両親の仇への復讐など、
1クールで宙ぶらりんになってる要素が多い。

結婚

終盤、そんな初代現地嫁なヒロインが結婚をすることを主人公はしる。
長い間、音信不通にし彼女を放置して4年経っている。
主人公に怒るような権利はない。
だが、その結婚の相手が彼にとっては好ましくない相手だ。

ヒロインもヒロインで政治的事情で結婚せざる得ない状況だ。
したくないが、しないといけない結婚。
そんな中で主人公と再会し、彼女は主人公に問いかける

「じゃあ!リオが私をもらってくれる!?
 それとも、リオが私をどこかに連れて行って
 そこで一生私と暮らしてくれる!?」

つまりは彼女の思いをきちんと受け止めて責任をとってくれるのかと
彼女は問うている。
しかし、即答できない主人公に対し彼女はその言葉を冗談と飲み込んでくれる。
彼女の思いを彼は受け止めきれなかった。

しかし、そんな主人公はそんなことをわかっておらず

「本心が見えなかった」

と、のたまう。鈍感系主人公もいいかげんにしろと思うほど
終盤で主人公に対して嫌悪感が湧いてしまう。
そうかとおもえばヒロインの結婚式当日に彼女をさらいに来る始末だ。

それだけならまだ納得できる。
多くの現地妻を現地に残し、最初に主人公が好意を抱いた相手を選び
結婚相手から奪い去る。悪くない展開だ。
しかし、攫った直後にまた「ヒロイン」がでてくる。
しかも相手は前世での彼の想い人だ。

せっかくヒロインが一人選ばれたと思ったのに、
最終話の最後の最後でまたヒロインがでてくる展開は意味がわからず、
最終回でもヒロインを増やすのはこの作品らしいとも言えるが、
ものすごく中途半端なところで物語が終わってしまう。

これで「2期」が決まっているならば気になるところで終わったものの
2期に期待したいと言えるが、2期は決まっていない。
歯切れの悪いラストは強い消化不良を残しただけだった。

総評:宙ぶらりん

全体的に見ていろいろな要素が中途半端な作品だ。
1話こそテンプレではあるものの、しっかりとした導入で
この作品に対する期待感をつのらせたものの、
話しが進めば進むほど面白さが右肩下がりになっていくような感覚だ。

旅をするのはいいものの、旅先で色々なヒロインと出会い、
1年や2年一緒に過ごし惚れさせて旅には連れて行かず放置する。
まるでヒロインが使い捨てのように浅く掘りさげられ、安易に惚れ、
主人公に置いてけぼりを食らう展開には面白みはない。

主人公の両親の秘密などは明かされ、彼が復讐を再度誓う展開は悪くないものの
結局、1クールではその復讐はまるで果たされず、
彼に眠っていた精霊の秘密も明かされない。

この世界には異世界転生または転移してくる人間が
主人公以外にも居るようだが、その理由や設定も明かされず、
終盤はメインヒロインである「セリア」と結ばれるような展開になったかと思えば、かつての想い人が異世界転移してきてしまう。

1クールで何かが片付いたようで何も片付いていない。
色々な要素が宙ぶらりんのままで、中途半端だ。
もし、2期があれば宙ぶらりんな要素も回収されるのかもしれないが、
またヒロインが増えるんだろうなという予感もしてしまうため、
2期があっても積極的に見たいとは思えない作品だった。

個人的な感想:右肩下がり

1話の段階では期待感も強く、2話、3話あたりまでは
子の作品を楽しんでみていたが、4話あたりから終盤にかけて
どんどんと右肩下がりに面白さが下がっていく印象の作品だ。

ヒロイン自体は可愛いのに、そんなヒロインを使い捨てのごとく
置き去りにしていく展開の繰り返しには萎えてしまい、
ハーレム要因はいるのにハーレムにはならない中途半端なキャラの使い方、
奴隷の少女や他のヒロインが居なければもっとスムーズに
物語が進行していたのになと思う部分もあり、
ヒロインの多さがこの作品の最大の欠点かもしれない。

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出演声優 松岡禎丞, 藤田茜, 桑原由気

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