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「刀使ノ巫女」レビュー

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評価 ★★★☆☆(43点) 全12話

あらすじ この世には、異形の化け物・荒魂を祓う刀使(とじ)と呼ばれる少女たちがいた。引用- Wikipedia

クソダサS装備の圧倒的存在感

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は柿本広大、制作はStudio五組。
Studio五組は割と新しい制作会社だが、
2クールのオリジナルアニメを作るようになるまでになったかと思うと
少し感慨深い。

見出して感じるのは期待感だろう。
「荒魂」と呼ばれる巨大な化物が街を駆け巡り、
それを討伐する仕事についてる少女が巨大な敵を相手に「刀」で切りかかり、
謎の装備を装着して戦う様は「新鮮さ」という意味合いでは薄いものの、
刀と「巫女」な少女という組み合わせは今までの色々なアニメを彷彿とさせ、
それが「王道」の面白さを味あわせてくれるのでは?という期待感を
1話の冒頭で強く感じさせてくれる。

ただ、そうかと思えば1話からかなり状況が混乱しやすい。
少女同士の模擬試合の大会が行われる中で、
とあるキャラがお偉いさんにいきなり切りかかったかと思えば、
初対面同士のキャラクターが一緒に逃げる展開になる。


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

2クールだからこその1話の説明不足感や伏線の貼り方ではあるものの、
序盤だけは普通に本来の敵である「荒魂」を討伐する少女たちの
日常が描かれればもう少し印象は違ったかもしれないが、
キャラの名前を覚える前にシリアスな展開になってしまい
まるで2クールアニメの中盤か終盤くらいのストーリーが
いきなり序盤から描かれてしまう。

キャラクター数も非常に多い。
ソーシャルゲーム展開を想定した作品であるがゆえの
キャラ数の多さはかなり厳しく、序盤から大量にキャラが出てくる。
そのキャラと主人公たちが逃げる中で戦うのだが、
いかんせん戦闘シーンが地味だ。

キャラクターによって色々な流派や刀の種類があるものの、
基本的にはすごい速度で動いて斬り合うのみである程度パターン化しており、
キャラの強さや特徴が薄く、意気揚々と出てきたキャラが
あっさりと負ける展開も多い。

味方も敵も多いせいで、それぞれのキャラ同士が戦うシーンが多い。
だが、それがつまらない。
もう少しキャラを減らしてキャラ描写を深め、戦闘シーンを長く描けば
作品の面白さがきっちりと生まれるのに、
キャラが多いせいで面白さも分散してしまっている。


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

作画に関しても戦闘シーンで3DCGを使うことが多く、
あからさまな「CG感」が出ており、それが手抜きにしかなっていない。
本作品の監督は「蒼き鋼のアルペジオ」の助監督も努めており、
CYBORG009 CALL OF JUSTICEなどの監督もしている。
両作品ともフル3DCGの作品だ。

そのせいかCG頼りになってしまっており、
普通の作画と3DCGの使い分けがうまくできていない。
CGの欠点である軽さが随所に見られ、そのせいで迫力が生まれていない。
刀で切りつけられたとは思えないほど描写が軽く、
本気の戦闘をしてるはずなのにまるで遊んでいるように見えてしまう。


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

その他のシーンでも作画崩壊寸前の崩れ方をしているときが多く、
小物や背景描写の部分で明らかに手を抜いているところも随所に見られる。
後半になるほど動かない、崩れるシーンも多く、
話が盛り上がってるのに作画で萎えてしまう。

そもそものデザイン性も悪い。
キャラクターデザインは悪くないのだが、刀の形は一部除いて無個性であり、
強い敵に立ち向かう際に身にまとう「S装備」が本当にダサい。
巫女なのに機械的なスーツを部分的に纏って戦う姿はかっこ悪いだけでなく、
世界観的にもあっておらず、デザインしたやつ出てこいと言いたくなるほどだ


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

ストーリー的にもこの作品はもどかしい部分が多い。
序盤では分かりづらいキャラの行動原理などが話が進んでくると
「そういうことだったのか」と理解できるようになっており、
2クールという尺のストーリー構成を生かしているともいえるのだが、
それゆえに序盤から中盤くらいまでは話がややこしい。

本来は別にややこしくなく大したことがない設定なのだが、
小出しにしかださないため分かりにくく、
謎や設定が明かされるまで視聴者がついてくるかが問題だ。
単調な戦闘シーンや序盤の盛り上がりの無さは色々と致命的だろう。


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

中盤以降になるとキャラの魅力がわかり、立ち位置もしっかりと定まり、
ストーリーも盛り上がってくる。
話数で言えば18話くらいまで見続けるとようやく話が盛り上がり、
そこからはきちんと2クール作品らしい話の積み重ねによる面白さが活き、
終盤までの展開はびっくりするほど面白い。

だが、序盤から中盤までの盛り下がりの薄さや
しっくりと来ない面白さに何処まで見てる人がついてくるか問題であり、
最終話まで見て初めてこの作品の魅力や面白さがきちんと明確なものになり、
「これが2クールの最後で描きたかったんだ」ということが
きっちりと伝わり、涙腺を刺戟されるまでの展開になるが、
それだけに序盤から中盤までの盛り上がらなさが残念でならない作品だ。


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

総評

全体的に見て要素は悪くない作品だ。
「荒魂」という化物を刀を使って倒す少女たちの物語を基本に、
凶悪な荒魂の存在や、キャラクターの関係性、主人公の母の存在や過去、
1つ1つの要素は悪くはなく、制作側が「やりたいこと」は十分伝わる。
だが、その1つ1つの要素がきちんとした面白さに変化するのが
中盤以降であり、そこまでどれだけの人が見続けるかが問題だ。

最大の原因はキャラ数の多さだろう。
特に序盤はメインキャラの掘り下げも甘いのにどんどんとキャラを出し、
メインキャラよりも敵側のキャラのほうがキャラ立ちしてしまうせいで、
メインキャラの存在感が薄くなってしまっており、
キャラが多いせいで無駄な戦闘シーンも多い。

序盤の盛り上がらなさやキャラ数の多さなど、
2クールではなく4クールならば、もう少しなんとかなったかもしれない。
決してストーリーは悪くはなく、制作側のやりたいこともわかる。

最後まで見続ければ「面白かった」といえる作品なのだが、
いろいろな要因のせいで最後まで見続けるモチベーションが保ちにくく、
「1クール慣れ」してしまっている視聴者たちには、
序盤のつまらなさが致命的になってしまっているのが残念な作品だった。


引用元:©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会

個人的な感想

個人的にはもう少し作画をしっかりしてほしかった作品だ。
戦闘シーンでいい動きを見せてくれた直後にキャラの顔が崩れているのが
本当に残念でならない。キャラクターも多いが印象に残るキャラは多い、
ストーリーは序盤から中盤は微妙だが終盤は面白い。
だからこそ作画の不安定さと序盤から中盤までの見せ方の悪さが、
惜しいと感じてしまう作品だった。

売上的には1000枚前後とギリギリ爆死というなんとも微妙なラインだ。
序盤の出来栄えのせいで多くの視聴者が見限ってしまったのが
売上にも顕著に現れてしまっており、
もう少し序盤がなんとかなれば作品全体の印象も売上も違っただろう。

BDやDVDで修正された作画で見れば少しは印象が違うかもしれないだけに、
しばらく時間をおいた後に改めて修正された作画で見てみたい。

「」は面白い?つまらない?

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