実写映画

終末前夜「聖☆おにいさん」実写ドラマレビュー

3.0
聖☆おにいさん 実写映画
画像引用元:(C)中村光・講談社/パンチとロン毛製作委員会
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この記事を書いた人

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★★★☆☆(50点) 全30話

実写ドラマ「聖☆おにいさん」本予告

あらすじ イエスとブッダが東京・立川のアパートでルームシェアをしながら下界でのバカンスを楽しんでいる 引用- Wikipedia

終末前夜

本作品は聖☆おにいさんの実写ドラマ化作品。
ドラマは3作品制作されている。
監督は福田雄一、製作総指揮は山田孝之。

緩い

ドラマの冒頭から、かなり緩い空気感が漂っている。
メインの二人を演じる染谷将太さんと松山ケンイチさん、
このお二人自体が醸し出す空気感がかなり独特であり、
原作における日常ギャグの「日常感」をより強調している。

この緩い空気感は悪くない。
いわゆる「シュール」な空気があり、
無理にギャグギャグしておらず、二人の当たり前の日常を
さらっと描くことで、二人の会話劇をクスクスと楽しめる。

数千年、様々な出来事を経て「平和な時代」になり、
地上で立川でのバカンスを楽しむ二人の聖人。
冷静に考えるとツッコミどころしかない設定なのだが、
それを大げさに扱わず、さらりと描くことで、
「聖☆おにいさん」という作品の空気感は序盤から
きちんと感じることができる。

原作は10年以上連載しており、ネタとして古い部分もあるが、
原作のエピソードをうまく使いながら、
現代的なネタもそこに織り込ませることで、
今にも通じるネタに仕上げている。

原作にあるようなギャグの切れ味は落ちている。
ただ、実写化だからこそ、あえて漫画やアニメなどの二次元的な誇張を控えめにし、
淡々とした会話の中に笑いを置いている印象だ。
好みこそ分かれるが、この方向性自体は悪くない。

佐藤二朗

1作品目の序盤は良いのだが、中盤から福田雄一イズムが出始める。
佐藤二朗さんである。いつものだ。
せっかく原作をうまく実写に落とし込んで、
緩い空気の中でシュールな日常が描かれていたのに、
佐藤二朗さんが出ることで一気に空気が変わってしまう。

いつものオーバーなリアクション、
オーバーな動き、オーバーな表情、オーバーな声を上げ、
ずーっとアドリブを繰り広げる。
このあたりから、メインの二人のギャグもややしつこくなっていく。
話が進めば進むほど、シーンが間延びしていくのも気になるところだ。

もちろん、それを福田雄一作品らしさとして楽しめる人もいるだろう。
だが、この作品に関しては、もともとの緩さと淡々とした空気が魅力だっただけに、
急に強い味付けを足されると、少し胃もたれしてしまう。

ただ、1作品目自体はサラッと終わる。
気になるところはあるものの、
各シーズン、短いエピソードを全10話で構成しており、
原作の構成とも合っている。
アニメ映画にあった「短編を繋いだだけ感」も薄れており、
ドラマとしては見やすい作りになっている。

佐藤二朗さんに関しても1話のみの登場であり、
基本的にはメインの二人のみで各話を描いている。
かなり予算は少ないのだろう。
天使たちなどが回想で出てくることはあっても、
「絵」で済まされている。

1作品目と2作品目はピッコマTVで放送されたショートドラマであり、
そのあたりの予算の事情がうかがえてしまう。

NHK

3作品目はまさかのNHKでの放送だ。
それでも基本的に1作品目と2作品目と変わらないノリで描かれており、
1作品目の1話を気に入れば、最後まで楽しめる作品だ。

3期まで続いたのは人気があったのだろう。
ただ、これをまとめて映画として
上映していたのは正気の沙汰ではない(苦笑)

アニメ映画もそうだったが、この作品はあくまで1話1話、短い尺でやるからこそ成立している。
家で気軽に見られるからこそ楽しめる作品であり、
劇場のスクリーンでまとめて見る作品ではない。
短い尺なら「緩さ」として楽しめるものも、
長尺になると一気に「間延び」に変わってしまう。

総評:シュールな聖人の日常

全体的に見て、原作にあるようなギャグの切れ味は薄く、
かなりシュール寄りの作品になっていることは否めない。
ただ「実写」だからこそ、あえてコミカルなノリを抑え、
聖人である二人の日常の会話を淡々と楽しむ作品に仕上げており、
思ったよりも悪くないと感じる作品だ。

メインの二人を演じている染谷将太さんと松山ケンイチさんの演技も素晴らしい。
良い意味でも悪い意味でも、この二人だからこそ変化の少ない画でも間が持ち、
二人の演技力があるからこそ、この会話劇を楽しめる。

実写になると、よりシュールなシーンも多い。
特に「ブッダ」が光るシーンは、実写だからこその妙な生々しさがあり、
そこがそのまま笑いにつながっている。
その反面で、時折ギャグがしつこくなって間延びしていたり、
佐藤二朗さんなどのゲスト回ではアドリブが強すぎたりと、
気になる点がないと言えば嘘になる。

しかし、ドラマとして見れば見られる部分もあり、
実写化として大成功!と絶賛するわけではないが、
少なくとも「なかったことにしたい実写化」ではない。
作品の空気を壊さない範囲で、うまく実写に落とし込んでいる部分もある。

個人的な感想:映画化

どうやらここからの映画化が、うわさではヤバいらしい(笑)
現段階ではアニメ映画よりも実写ドラマのほうが
映像化として見られる部分があるのだが、
ここから同じ監督とキャストでなぜ大不評になるのか、気になって仕方ない。

福田雄一監督らしい部分はドラマにもあるものの、
一部を除いてそこまでひどく感じない。
少なくとも、この作品を見る限り、
福田雄一監督のノリは映画館の大スクリーンよりも、
家で気楽に見るドラマの尺のほうが合っているのかもしれない。

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