評価 ★★☆☆☆(30点) 全128分
あらすじ かつて「史上最強」と恐れられた殺し屋・坂本太郎は、コンビニで働く女性・葵に一目ぼれして恋に落ち、殺し屋をあっさりと引退する 引用- Wikipedia
ちょっと豪華な学芸会
本作品はSAKAMOTO DAYSの実写映画化作品。
監督は福田雄一。
目黒連
本作品の実写化が決定したとき、主演を
「目黒連」が務めるということで話題になった。
SAKAMOTO DAYSは普段は肥満体型な主人公であり、
戦ったりしてカロリーを使うと一気に痩せるという特殊な体質をしている。
基本が肥満体である主人公を、イケメンな目黒連が
どう演じるのか?という点が注目された作品だ。
そんな目黒連さんは悪くない。
特殊メイクによって肥満体になっているときは、
コミカルな「坂本」という主人公そのものだ。
いざ戦闘になって痩せれば一気にかっこよくなる。
この「ギャップ」がきちんと生まれている。
目黒連さんによるアクションも映えており、
ある種「目黒連」が主演だからこそ、この映画は映画として
なんとか体裁を保っているといってもいい。
他のキャストも豪華であり、実写化作品にありがちな
「合っていない」キャラは個人的にはほぼいなかった。
特に、ほぼもう一人の主人公であるシンは演技もしっかりしており、
坂本の奥さんを演じる上戸彩など、ベテランもしっかりといる。
ただ気になるのは子役だ。あまりうまくない。
映画冒頭で坂本の子供が露骨に「カメラ目線」になっていたときは、
この映画大丈夫か?と不安になったが、
その不安は的中した形になった。
ストーリー
ストーリーはかなり圧縮されている。
アニメで言えば9話くらいまで、ルーがさらわれて
助け出されるまでを描いており、スラーが出てくるあたりまでだ。
そこに至るまでを2時間ちょっとの尺で描いている。
アニメは20分×9話で180分、映画は120分だ。
この60分の違いは大きく、かなりカットと改変がされている。
映画序盤の時点ですでにルーが坂本のコンビニで働いており、
そこにシンがやってくる形になっていたり、
同時に平助と坂本もすでに知り合いの状態になっている。
2時間ちょっとの尺に収めるために、この二人は犠牲になっている。
ルーの経緯や過去については中盤でさらっと
口頭で語られるくらいで、平助に至っては
なんとなく坂本を狙っているスナイパーというだけだ。
恐ろしいほどに掘り下げが薄く、特に平助に関しては
別に無理やり登場させなくてもよかったのでは?というくらい
要らないキャラになっている。
ルーも平助も、アニメや原作でも扱いに
困っている印象のあるキャラクターだったため、
サカモトデイズにおいて絶対に外せないキャラではないのは事実だ。
しかし、実写でも尺の都合があいまって、
扱いに困っていることを如実に感じてしまう。
アクション
SAKAMOTO DAYSというのはアクション漫画作品だ。
だからこそ戦闘シーンも作品の大事な魅力になっている。
アニメは原作と比較されることが多く、事実、
見ごたえが薄かったが、実写映画も同じように見ごたえが薄い。
基本的にワンパターンだ。
通常の格闘シーンでは、カメラをガシャガシャと無駄に動かしてブレさせる。
時折早回しをすることでスピード感を出し、
相手に拳などが当たる瞬間だけを「スロー」にする。
基本的に全戦闘シーンこれである。
恐ろしいほど一辺倒な演出であり、センスが一切ない。
馬鹿の1つ覚えのようなスロー、素人みたいなカメラの動かし方、
そして早回しによって、なんとなくスピード感を演出しているだけだ。
びっくりするほど1つ1つの戦闘シーンがつまらない。
ネット上ではアクションシーンをほめている目黒連さんのファンも
見かけたが、それは「この作品のアクションシーンがすごい」のではなく、
「アクションシーンをやる目黒連がすごい」だけだ。
目黒連さん自身が体当たりでアクションシーンに挑んでいるらしく、
それを感じるところは多い。
しかし、せっかくの俳優の頑張りを演出が台無しにしている。
無意味なスローの使い方、無意味なカットがあまりにも多い。
例えば坂本が相手の銃を殴って手から離させるというシーンがある。
その殴られた銃は空中に飛ぶのだが、その銃をわざわざアップで見せる。
意味がない。
その銃が地面に落ちるまでの間に決着がつく、
そういう演出なのかと思ったが、そういう意図すらない。
映画序盤でも弾倉を交換するシーンを何度もアップで見せたりと、
無駄なシーンが多く、役者がアクションを頑張っても、
画面作りの雑さがそれを台無しにしてしまっている。
その最たる部分が「ギャグ」だ。
福田節
監督を務める福田氏の会話、ギャグに関しては好みが分かれるところだ。
作品によっては、そのくどさで見ていられない作品もあるが、
この作品は「量」でいえば控えめではある。
しかし「ない」わけではない。
意味もなく出てくるムロツヨシ、意味もなく出てくる佐藤二朗。
二人を出すくらいなら平助を掘り下げてやれよと思うほど無駄だ。
1番無駄に感じるのは終盤の戦闘シーンだ。
坂本が敵とシリアスに戦っている中で、妻から電話がかかってくる。
そんな電話に出る坂本と、襲い掛かろうとする敵。
その敵に対して「ちょっと待って!」と坂本が叫ぶ。
このシーンでは、何度も何度も同じやり取りをグダグダ繰り返す。
終盤の最大の盛り上がりどころなのに、
それを福田節で台無しにしてしまっている。
滑りっぱなしのギャグの数々には舌打ちしか出てこず、
終盤の戦闘シーン中のギャグに関しては、
もし映画館で私一人しかいなかったら野次を飛ばしていたところだ。
役者はいい。
だが、その役者の良さを演出や脚本が台無しにしている作品だ。
総評:舌打ちどころか野次が飛ぶレベル
全体的に見て厳しい作品だ。
福田監督のギャグに関しては合う合わないがあるものの、
個人的には福田監督のギャグが合わない。
その上で、SAKAMOTO DAYSという作品自体のギャグと、
福田監督のギャグがうまくマッチしておらず、
空回りし続けているのを見ているような感覚だった。
キャストに関しては合っている俳優が多く、
明らかに下手な演技をするような俳優もいない。
実写化作品としてキャストだけを見れば悪くない。
むしろ、そこだけを見ればかなり頑張っている部類だ。
しかし、いざ見てみると馬鹿の1つ覚えの戦闘シーンに、
滑りっぱなしのギャグで萎えてしまう。
目黒連さんをはじめとするキャストのファンならば楽しめるかもしれないが、
そうでなければ色々と厳しい作品になった。
個人的な感想:久しぶりの
最近、実写の邦画をよく見ており、久しぶりに
映画館で実写邦画を見たのだが、大失敗だった。
配信で十分だ。
別にこの作品の戦闘シーンを映画館で見たいとは思えない。
キャストのファンならば楽しめる部分もあるだろう。
私が行ったときの映画館内のお客さんはほぼ女性客であり、
おそらくこの映画の6割くらいは目黒連さんのファン、
1割くらいはその他の俳優のファン、1割が原作やアニメのファン、
1割が映画ファン、残りの1割がその他という感じだろう。
確かに目黒連さんのファンならば楽しめるのかもしれない。
彼の変顔の数々、肥満体の姿を味わう。
それ以上でもそれ以下でもない作品なのかもしれない。



