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【深夜アニメイズデッド】深夜アニメはなぜ死んだのか?黄金期から終焉までの30年を振り返る【アニメコラム】

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深夜アニメ
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

深夜アニメは、いつが黄金期だったのだろうか。

2011年には『魔法少女まどか☆マギカ』や
『STEINS;GATE』が放送され、2013年には『進撃の巨人』が
社会現象を巻き起こした。
2020年代に入ってからも『ぼっち・ざ・ろっく!』や
『葬送のフリーレン』など、数々の人気作品が誕生している。

深夜アニメイズデッド

では、深夜アニメの黄金期はいつなのか。
私は2006年から2010年頃だったと考えている。
もちろん、この5年間に放送されたアニメが、
それ以降の作品よりも優れていたと言いたいわけではない。

むしろ、現在のアニメは映像表現も多様化し、
国内外で多くの視聴者を獲得している。
しかし、私は2020年代に入ってから「深夜アニメ」という言葉自体が、
かつてほど意味を持たなくなったと感じている。

深夜アニメは、いつの間にか深夜アニメではなくなってしまった。

なぜ、そうなってしまったのか。
今回は1990年代から2020年代まで、
およそ30年にわたる深夜アニメの歴史を振り返りながら、
その黄金期と終焉について考えていきたい。

深夜アニメの黎明期:1995年~1998年


そもそも、深夜アニメとは何なのだろうか。
今では深夜にテレビアニメが放送されることは当たり前だ。
しかし、かつてのテレビアニメは子供向けという
イメージが非常に強いものだった。

『ドラえもん』や『ドラゴンボール』など、
朝や夕方に放送されるアニメが主流だった時代に、
大きく業界を変えた作品が、1995年に放送された
『新世紀エヴァンゲリオン』だった。

この作品はテレビ放送だけにとどまらず、
ビデオやレーザーディスクなどの映像ソフトでも大きな成功を収めた。

それまでのテレビアニメは、スポンサーによる広告や
玩具販売などが重要な収益源だった。
しかし『エヴァンゲリオン』の成功は、
アニメの映像そのものが大きな商品になることを示したのである。

複数の企業が作品の製作に参加し、
それぞれが映像ソフト、音楽、出版などの分野で利益を得る。
こうした製作委員会方式によるビジネスモデルが広がっていくうえでも、
『エヴァンゲリオン』は重要な存在だった。

ただし、『エヴァンゲリオン』はもともと夕方に放送されていた作品であり、
厳密には深夜アニメではない。
重要なのは、1997年に行われた深夜帯での再放送。

再放送でありながら高い視聴率を記録したことで、
深夜という時間帯にもアニメを求める視聴者が存在することを示した。

深夜の放送枠は、ゴールデンタイムなどに比べれば確保しやすい。
しかも、テレビ放送そのものを映像ソフトや
関連商品の宣伝として活用するのであれば、
必ずしも高い視聴率だけを追い求める必要はない。

こうして1990年代後半から、
深夜アニメという市場が徐々に形成されていった。
私はこの時期を、深夜アニメの黎明期、あるいは革命期*ったと考えている。

深夜アニメの成長期:1999年~2005年


1999年から2005年にかけて、深夜アニメは急速に成長していく。
1999年には『To Heart』が放送され、
2000年前後には『デ・ジ・キャラット』『ラブひな』など、
美少女キャラクターを中心にした作品が人気を集めた。

今では当たり前のように使われている「萌え」という文化が、
深夜アニメとともに成長していった時代だ。
美少女キャラクターそのものの魅力を楽しむ作品や、
複数のヒロインが主人公を取り巻くハーレムラブコメ。

いわゆる萌えアニメが、深夜アニメを代表するジャンルの一つになっていった。
しかし、この時代の深夜アニメは萌え一辺倒だったわけではない。
『ブギーポップは笑わない』『アルジェントソーマ』など、
どこか暗く、難解で、独特な世界観を持つ作品も数多く放送されていた。

『エヴァンゲリオン』の影響を感じさせる作品もあり、
現在の深夜アニメとは違った雰囲気を持つものも少なくなかった。

深夜だからこそ、地上波の一般的なテレビアニメとは異なる作品を放送できる。
そんな実験的な側面も、この時期の深夜アニメの魅力だった。

2002年の萌えの完成


私が特に重要だと考えているのが2002年だ。
この年には『あずまんが大王』が放送されている。
もちろん、それ以前にも日常生活を描いたアニメは存在した。
しかし『あずまんが大王』は、女の子たちの何気ない学校生活を中心に、
キャラクター同士の会話や関係性そのものを楽しむ作品だった。

大きな事件が起こるわけでもなければ、世界を救うわけでもない。

それでも面白い。

後の『らき☆すた』や『けいおん!』にもつながる、
日常系アニメの重要な原型がここにあったと思う。
同じ2002年には『おねがい☆ティーチャー』
『ちょびッツ』『最終兵器彼女』なども放送された。

美少女キャラクターとSF、恋愛を組み合わせた作品たちだ。
特に『最終兵器彼女』は、個人的な恋愛関係と世界規模の危機が結びつく、
いわゆる「セカイ系」を語るうえでも欠かせない作品だろう。

さらに『.hack//SIGN』のようにオンラインゲームの世界を舞台にした作品や、
『ラーゼフォン』のようなロボットアニメも登場している。

日常系、萌え、SF、ロボット、恋愛。
今では当たり前になっている深夜アニメのジャンルが、
この頃に次々と形になっていった。

一方、放送作品数の増加に伴い、
テレビ神奈川やテレビ埼玉、千葉テレビなど、
独立UHF局でも多くのアニメが放送されるようになる。

いわゆるUHFアニメの時代だ。
ただし、当時は現在のように配信サービスが整っていなかったため、
住んでいる地域によって見られるアニメが大きく異なった。
インターネットで作品の存在を知っていても、地元では放送されていない。

そんな不便さが当たり前だったのである。

2004年、オタク文化が完成していく


2004年になると、深夜アニメはさらに濃密な文化へと成長していく。
『ローゼンメイデン』『魔法少女リリカルなのは』『舞-HiME』『月詠 -MOON PHASE-』『げんしけん』『神無月の巫女』『ニニンがシノブ伝』『エルフェンリート』。

作品名を並べるだけで、古のオタクたちが騒ぎ出しそうなラインナップである。
私が興味深いと感じるのは、この頃になると単純なジャンル作品だけでなく、
異なるジャンルを組み合わせた作品も増えていたことだ。

萌えと魔法少女、ロボットと百合、グロテスクな表現と純愛。
既存のジャンルが成熟したからこそ、
その枠組みを混ぜ合わせる作品が登場していったのである。

『げんしけん』のように、オタクそのものを題材にしたアニメが
成立していたことも象徴的だ。
また、2000年代半ばには『電車男』のヒットなどによって、
オタクという存在自体が世間から注目されるようになった。

ネット掲示板をはじめとするインターネット文化と、
深夜アニメを楽しむオタクたちの文化が密接に結びついていく。
ここまでくると、深夜アニメは単なるテレビ番組ではない。

一つの文化として成立しつつあったのだ。

そして2005年。


『AIR』『ぱにぽにだっしゅ!』『灼眼のシャナ』『ARIA』
『蟲師』『苺ましまろ』『かみちゅ!』『地獄少女』『創聖のアクエリオン』など、
多種多様な作品が放送された。

京都アニメーションやシャフトといった制作会社の個性も、
聴者に強く意識されるようになっていく。

さらに、フジテレビでは「ノイタミナ」枠がスタートした。
『ハチミツとクローバー』のように、それまで深夜アニメを
積極的に見ていなかった視聴者にも届けようとする作品が登場したのである。

この時点で深夜アニメは、すでに十分な成熟を見せていた。
しかし、爆発的なブームを生み出すためには、もう一つきっかけが必要だった。

深夜アニメ黄金期:2006年~2010年


私が深夜アニメ黄金期の始まりだと考える2006年。
この年に放送されたのが『涼宮ハルヒの憂鬱』だった。
今振り返っても、この作品は非常にオタク的な作品だと思う。

萌えを感じさせる美少女キャラクターが登場し、
学園生活という日常の中にSF要素が組み込まれている。
しかも、テレビ放送のエピソード順まで特殊だった。

普通に考えれば、決して万人受けするような作品ではない。
しかし、2005年までの段階で深夜アニメを受け入れる土壌は完成していた。
だからこそ『涼宮ハルヒの憂鬱』という、
極めてオタク的な作品が爆発的にヒットしたのだと思う。

特に象徴的だったのが、エンディングテーマ『ハレ晴レユカイ』である。
キャラクターたちが踊るダンスはインターネット上でも大きな話題となり、
後の「踊ってみた」文化にもつながっていった。

今ではTikTokなどでアニメの楽曲に合わせて踊ることは珍しくない。
しかし、約20年前にはすでに似たような熱狂が起きていたのである。
声優の平野綾さんが大きな注目を集めたことも、この時代を象徴していた。

そして、同じ2006年には『コードギアス 反逆のルルーシュ』も放送されている。
さらに『ひぐらしのなく頃に』『Fate/stay night』『ゼロの使い魔』
『BLACK LAGOON』『N・H・Kにようこそ!』など、
ジャンルの異なる作品が数多く登場した。

それまで成長してきた深夜アニメの各ジャンルが、
次々と大きな成果を生み出していったのである。

2007年~2008年、アニメを見るだけでは終わらない時代


2007年には『らき☆すた』が放送された。
『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じ京都アニメーションが制作した作品であり、
オープニングテーマ『もってけ!セーラーふく』は大きな話題になった。

さらに『らき☆すた』は、作品の舞台となった場所をファンが訪れる
「聖地巡礼」という文化を広めるうえでも重要な存在だった。

アニメを見る。
その感想をインターネット上で語り合う。
関連する動画を楽しむ。
グッズを購入したり、実際に作品の舞台を訪れたりする。
深夜アニメは、テレビで30分の番組を見るだけの娯楽ではなくなっていったのである。

この頃には『School Days』のように、今なお伝説的に語られる作品も登場している。
過激な表現や独特な世界観を持つ作品も多く、
深夜アニメという市場の自由さが際立っていた。

さらに制作会社ごとの個性が、ファンの間で語られるようになった。
京都アニメーションの美麗な作画、
シャフトと新房昭之監督による独特な映像演出。
J.C.STAFF、GONZO、マッドハウスなど、
それぞれの制作会社に対する期待や評価も高まっていった。

2008年になると『とらドラ!』『とある魔術の禁書目録』
『マクロスF』といった人気作品が放送される。
特にライトノベル原作アニメは、
この頃には深夜アニメを支える主力ジャンルの一つになっていた。

また『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』は、
前作の深夜放送から日曜夕方の放送へと移行している。
まるで深夜バラエティ番組が人気を集め、
ゴールデンタイムに進出するようなものだ。

深夜アニメという市場が、
いかに勢いを持っていたのかを象徴する出来事だったと思う。

2009年、萌え文化とネット文化の頂点

そして2009年。
私はこの年が、深夜アニメにおける萌え文化と
ネット文化の一つの頂点だったと考えている。
『けいおん!』が放送されたのである。

『涼宮ハルヒの憂鬱』を手掛けた京都アニメーションによる作品であり、
女子高生たちの軽音部での日常を描いたアニメだ。
特別な能力を持った主人公が世界を救うわけでもなければ、
壮大な冒険に旅立つわけでもない。

女の子たちが音楽を楽しみ、友人たちと過ごし、やがて卒業していく。
そんな何気ない日々を描いた作品が、
深夜アニメの枠を超えるほどの大ヒットを記録したのである。

関連楽曲は音楽ランキングでも存在感を示し、
深夜アニメを見ていなかった人々にも、その名前が知られるようになった。

一方、同じ年には『化物語』も放送された。
新房昭之監督とシャフトによる独特な映像演出。
大量の文字を表示する演出、現実離れした背景、
独特なカメラアングル、そして膨大な会話劇。
アニメという映像表現の面白さを、強烈に印象づけた作品だった。

『けいおん!』と『化物語』。
方向性はまったく異なるものの、どちらも制作会社の個性が非常に強く表れている。
この二作品が同じ年に放送されていたこと自体が、
当時の深夜アニメの充実ぶりを物語っている。

さらに2009年には『涼宮ハルヒの憂鬱』の新作エピソードを含む放送も行われた。
特に「エンドレスエイト」は、今なお語り継がれている。
同じ夏休みの時間を繰り返すエピソードを、なんと8話にわたって放送したのだ。
当然ながら、当時は大きな賛否を呼んだ。

しかし、私が興味深いと思うのは、
その賛否を含めて毎週の放送そのものが一つのイベントになっていたことだ。
今回はどうなるのか、また同じ展開なのか、いつ終わるのか。

放送を見終わったファンがネット掲示板などで感想を語り、次の放送を待つ。
毎週同じ時間にアニメを見て、同じ作品について語り合う。
このライブ感こそ、当時の深夜アニメの大きな魅力だったと思う。

2010年、深夜アニメ黄金期の完成と限界

そして2010年。
私が深夜アニメ黄金期の最後だと考えている年である。
この年にも数多くの人気作品が放送されている。

『Angel Beats!』『デュラララ!!』『WORKING!!』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『バカとテストと召喚獣』『侵略!イカ娘』『四畳半神話大系』『荒川アンダー ザ ブリッジ』『それでも町は廻っている』『生徒会役員共』『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』『ヨスガノソラ』『伝説の勇者の伝説』『パンティ&ストッキング with ガーターベルト』。

今振り返っても、非常に個性的な作品が揃っている。
しかし、私はこの年に深夜アニメの一つの限界も感じるのだ。
それまで成長してきた各ジャンルが、成熟しきった時代だったのではないだろうか。

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は、
オタク文化そのものを物語の中心に据えた作品だった。
『生徒会役員共』は下ネタギャグを徹底的に追求した作品であり、
『ヨスガノソラ』は深夜アニメだからこそ成立したともいえる、
極めて挑戦的な作品だった。

特に『ヨスガノソラ』は、私にとって紳士アニメの一つの頂点ともいえる作品だ(笑)。

ジャンルが成熟すれば、他作品との差別化が必要になる。
その結果、表現が過激になっていくこともある。
ただ、過激な表現にも限界がある。
それ以上のものを求め続ければ、いずれ行き詰まってしまう。

2010年は、深夜アニメという独自の文化が一つの
完成形に達した年だったのではないだろうか。
そして、ここから深夜アニメは大きく変化していくことになる。

深夜アニメの大衆化期:2011年~2019年

2011年に放送された『魔法少女まどか☆マギカ』は、
深夜アニメの歴史を語るうえで欠かせない作品だ。
魔法少女というジャンルのイメージを覆す物語と、シャフトによる独特な映像表現。

深夜アニメファンだけでなく、普段アニメを積極的に見ていなかった人々の間でも話題になった。
同じ年には、ノイタミナ枠で
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』も放送されている。

私は、この二作品のヒットが深夜アニメの大衆化をさらに進めたと考えている。
もちろん、2011年になった瞬間に突然変化が起きたわけではない。
それ以前から深夜アニメは一般層にも届き始めていた。
ただ、この頃からその流れがさらに大きくなっていったのだ。

2012年には『ガールズ&パンツァー』『PSYCHO-PASS サイコパス』などが
放送され、2013年には『進撃の巨人』が爆発的なヒットを記録した。
特に『進撃の巨人』の影響は大きい。

主題歌を担当したLinked HorizonがNHK紅白歌合戦に出場するほど、
その人気は一般社会にも広がったのである。
さらに『ラブライブ!』のような作品が人気を集め、
声優たちのライブ活動も大きなコンテンツとなっていった。

かつての深夜アニメは、限られたオタクたちが楽しむ文化だった。
しかし、この頃になると深夜アニメを入口としたコンテンツが、
より大きな規模で展開されるようになっていったのである。

配信サービスが深夜アニメの価値を変えた2019年 鬼滅の刃

2019年には『鬼滅の刃』が放送された。
この作品の大ヒットを見たとき、私は深夜アニメという文化が
一つの役割を終えたように感じた。

『鬼滅の刃』は深夜に放送されていたアニメでありながら、
子供から大人まで幅広い世代に支持された。
もはや深夜アニメを見るオタクだけの作品ではない。

アニメの放送時間帯など気にせず、多くの人々が楽しむコンテンツになったのである。
ここでも大きな役割を果たしたのが配信サービスだ。
かつてなら、深夜アニメが話題になっても、途中から視聴することは簡単ではなかった。

しかし配信サービスがあれば、話題になった作品を第1話から見ることができる。
誰かに勧められたら、すぐに視聴できる。
深夜アニメを楽しむために、深夜まで起きている必要すらなくなったのである。

私は『鬼滅の刃』の大ヒットによって、
深夜アニメの大衆化が一つの完成を迎えたように感じている。

深夜アニメの終焉期:2020年以降

2020年代に入ると、アニメの視聴環境はさらに変化した。
NetflixやAmazon Prime Videoをはじめ、
さまざまな動画配信サービスでアニメが配信されている。

配信による収益がアニメ制作の重要な要素になり、
国内のテレビ放送だけを前提としない作品も増えてきた。
そして、多くのアニメが世界中の視聴者に届けられるようになっている。

これは本来、非常に喜ばしいことである。
かつては限られたオタクしか見ていなかった深夜アニメが、
今では老若男女、誰もが楽しめるものになった。

30年前には考えられなかったことだ。
しかし、その結果として一つの変化が起きた。
深夜アニメという区分そのものが、
特別な意味を持たなくなってしまったのである。

もちろん、今でも深夜に放送されているアニメは数多く存在する。
ただ、視聴者の多くは、それが何時にテレビ放送されているのかを
それほど気にしていないのではないだろうか。

配信サイトで見られるなら、深夜アニメだろうが夕方アニメだろうが関係ない。
面白いアニメを、好きな時間に楽しむ。
そんな時代になったのである。

失われていくリアルタイムの熱狂

私は深夜アニメの変化について、少し寂しさも感じている。
昔は毎週決まった時間にアニメを見て、ネット掲示板などで感想を語り合っていた。

『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンドレスエイトのように、
放送そのものが大きなイベントになることもあった。
人気作品が放送されると、その話題に多くの視聴者が集中した。

いわゆる「覇権アニメ」という言葉にも、今とは異なる重みがあったように思う。
もちろん、現在でも大ヒットするアニメは存在する。

しかし、アニメの数は増え、視聴方法も多様化した。
リアルタイムで見る人もいれば、配信でまとめて見る人もいる。
放送開始から数週間後に視聴する人もいるだろう。
これは視聴者にとって便利で自由な環境だ。

ただ、かつてのように同じ時間に同じアニメを見て、
同じ話題で盛り上がるという熱狂は、分散しやすくなったように感じる。

深夜アニメという独自の文化を支えていた、あの一体感。
それが少しずつ薄れているのではないだろうか。

深夜アニメは成功したからこそ死んだ

ここまで振り返ると、深夜アニメの歴史は大きく五つの時期に分けられると思う。

1995年~1998年:黎明期・革命期。
『新世紀エヴァンゲリオン』の成功を契機に、深夜アニメ市場が形成されていった時代。

1999年~2005年:成長期。
『あずまんが大王』などを通じて、萌え、日常系、SF、セカイ系などのジャンルが成熟した時代。

2006年~2010年:黄金期。
『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『けいおん!』などが登場し、
深夜アニメとネット文化が強く結びついた時代。

2011年~2019年:大衆化期。
『魔法少女まどか☆マギカ』『進撃の巨人』『鬼滅の刃』などのヒットと
配信サービスの普及によって、深夜アニメが一般層に広がった時代。

2020年以降:終焉期
配信サービスが主流となり、
深夜アニメという独自の区分や文化が以前ほど意味を持たなくなった時代。

こうして30年の歴史を振り返ると、少し面白いことに気づく。
深夜アニメは、失敗したから終わったわけではない。
人気がなくなったわけでも、面白い作品が作られなくなったわけでもない。

むしろ、あまりにも大きく成長し、成功してしまったのである。
深夜アニメは、アニメの主流になることで、深夜アニメではなくなってしまった。
私はこれこそが、深夜アニメの終焉だったと考えている。

ある意味、これ以上ないほど幸せな終わり方なのかもしれない。

次の黄金期は配信アニメから生まれるのか

では、今後あの頃のような熱狂が生まれることはないのだろうか。
私は、次の可能性が配信限定アニメにあるのではないかと考えている。
例えばNetflixでしか見られないアニメがあれば、
その作品を見るためにはNetflixに加入しなければならない。

誰もが同じ条件で自由に見られるわけではなく、そこにはある種の制約が存在する。
もちろん、昔の深夜アニメとまったく同じではない。
ただ、特定の場所でしか楽しめない作品があり、そこに熱心なファンが集まる。

そんな構造には、かつての深夜アニメ文化に近いものを感じる。
配信限定作品の中には、非常に個性的で、好き嫌いがはっきりと分かれる作品もある。
あの頃の深夜アニメが持っていた、実験的で尖った魅力を感じさせる作品も少なくない。

今から30年後。
もしかしたら、その頃には地上波テレビでアニメを見るという習慣自体が、今
よりもずっと小さなものになっているかもしれない。

そして、未来のアニメファンたちが2020年代を振り返り、
「あの頃が配信アニメの黎明期だった」と語る可能性もある。

深夜アニメは死んだ。
しかし、アニメそのものが死んだわけではない。
むしろ、深夜アニメという文化が大きな成功を収めたからこそ、
アニメは新しい時代へと進んでいったのである。

次の黄金期は、すでにどこかで始まっているのかもしれない。