アニメコラム

【13年越しの賛否両論】8月に見たアニメランキングTOP14【近況報告vol15】

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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

どうもみなさん、夏休みをいかがお過ごしでしたでしょうか。
毎月恒例の個人的アニメランキングになります。

8月

個人的に8月はうまく回ってるようで回らない月でした。
お盆休みというのを取って帰省してたりしたので、
ペースが乱れてしまった感もあり、
あと2、3レビューできたはずが、できずじまいで終わってしまいました。

ただ月初めから月終わりに至るまで
レビューのしがいのある作品が多く、
14作品レビューすることができました。

そんなわけで8月に見たアニメのランキングを振り返っていきます。

14位 死亡遊戯で飯を食う。 44:CLOUDY BEACH

スカした逆冷笑「死亡遊戯で飯を食う。 44:CLOUDY BEACH」レビュー
評価 ☆☆☆☆☆(9点) 全89分あらすじ 絶海の孤島に集められた8人のプレイヤーの中には、幽鬼が見知った熟練者の姿もあった。 引用- Wikipedia

TVアニメよりも悪化してしまった作品でした。
TVアニメの時点でも丁寧すぎるストーリー展開や、
オシャレすぎる映像、分かりづらい演出の数々が気になっていましたが、
映画ではその悪い部分がさらに濃くなっています

映画から登場するキャラクターが自己紹介しているのに、
なぜか顔を映さず、海辺に浮かぶ家を映す。
殺人事件が起きても誰が誰なのか分からず、
誰が死んだのかすらよく分からない。

ようやく話が動いたかと思えば主人公のモノローグが始まり、
バトルになってもスローとモノローグの連続。
アニメーションよりも
「僕たちのオシャレ演出を見てくれ!」
という制作側の声ばかりが聞こえてくる作品です。

TVアニメにはまだ作品そのものの魅力を感じる瞬間がありましたが、
映画ではその魅力すらオシャレ演出で隠してしまっていて、
映画オリジナルのキャラクターを把握する前に
映画が終わってしまった印象です。

制作側が「ダサい」と笑われることを恐れるあまり、
ストレートな表現を避け、分かりやすさまで捨ててしまったような
印象を受け、まさに「逆冷笑アニメ」が極まったような作品でした。

オシャレな映像を作る能力自体は間違いなくあります。
ただ、少なくとも「死亡遊戯で飯を食う。」という作品には
完全に噛み合っていませんでした。

13位 The Ribbon Hero リボンヒーロー

果てスカ現象「The Ribbon Hero リボンヒーロー」レビュー
評価 ★☆☆☆☆(14点) 全108分あらすじ シルバーランドの王女サファイアは、災厄ネルガルに故郷の国を滅ぼされ、絶望の果てに隣国ゴールドランドにたどり着く 引用- Wikipedia

ネトフリオリジナルアニメ映画でしたが、
本当に酷い作品でした。
作画はよく、キャラクターデザインもいい。
戦闘シーンもぬるぬる動き、映像だけを切り取れば素晴らしい。

しかし、その長所を脚本と演技が片っ端から潰している。
「リボンの騎士」を原案にした作品ではあるものの、
そのリボンの騎士は取ってつけたような要素しかありません。

冒頭から国が滅び、主人公は片腕を失い、
旅に出て義手を手に入れ、気づけば7年も経過しています。
108分の映画なのに、まるで1クールアニメの総集編を見ているような
ダイジェストに次ぐダイジェスト。

さらに主人公を演じるラランドのサーヤさんの演技も厳しい。
芸能人声優だから悪いのではなく、
単純に主人公を演じるための演技力が足りていない。

そして肝心の「リボンの騎士」の要素も申し訳程度だ。
原案だから大胆に改変すること自体は問題ないものの、
なぜ「リボンの騎士」を使ってこの作品を作ったのかが
最後の最後まで見えてこない作品です。

個人的には去年の「果てしなきスカーレット」のような
「果てスカ現象」を感じてしまう作品でした。

12位 一畳間まんきつ暮らし!

平成の遺物「一畳間まんきつ暮らし!」レビュー
評価 ★★☆☆☆(24点) 全11話あらすじ 秋田で暮らす高校生の森田芽衣子は、ある日お嬢様学校「天宮女学院」の特別編入生に選ばれる!引用- Wikipedia

一周回って懐かしい「平成萌えアニメ」のような作品でした。
記号的で分かりやすい萌え属性を持った女の子たち、
下着、裸、水着といった安易なエロ、
毒にも薬にもならない日常ストーリー。

見ていると「あー、昔こういうアニメいっぱいあったな」
という懐かしい気分にさせてくれます。
序盤はその懐かしさも含めて意外と楽しめ、
令和になった今だからこそ、逆にこの古臭さが新鮮に感じる部分もあります。

しかし、中盤からは完全にマンネリ。
漫画喫茶で暮らすという設定も、
お嬢様学校という設定も活かしきれず、
新しいキャラクターを出しながら延命している印象が強い。

終盤にはなぜかシリアスな要素まで入ってきますが、
それまでの作品の雰囲気とも噛み合っておらず、
2クール、4クールと長くやれば
キャラクターにも深みが出てくるのかもしれませんが、
1クールではそこまでたどり着けなかった感じがあります。

色々な意味で懐かしくはあったものの、
令和の今にあえてやるなら、
もう一歩何かが欲しかった作品でした。

11位 クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ〜ション

オトナ帝国の三番煎じ「クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ〜ション」レビュー
評価 ★★☆☆☆(25点) 全101分あらすじ ある夏の日、日本各地で怪奇現象が相次いで目撃され、世間を騒がせていた。そんな中、野原家は秋田県にあるひろしの実家に帰省することになる 引用- Wikipedia

今年のクレヨンしんちゃん映画は妖怪ものでした。
妖怪、和、秋田、ロードムービー、
新ヒロインである「やこ」や仲間たち、
久しぶりのギャルっぽいお姉さんの敵。
要素だけを見れば面白くなりそうなものは揃っています。

序盤も決して悪くありませんが、
そこを過ぎると一気にテンポが悪くなってしまいます。
ろくに襲ってこない敵、なかなか進まない旅、
そして唐突に始まる野球(笑)

キャラクター同士の関係性自体は丁寧に描いているものの、
その丁寧さによって物語まで停滞してしまっていて、
終盤は完全に「オトナ帝国みたいなことがやりたい」
という作品になってしまいます。

親の記憶が失われ、しんのすけが家族との思い出から両親を取り戻す。
似たようなことは「オタケベ!カスカベ野生王国」でもやっており、
二番煎じどころか三番煎じです。

過去作と似ていること自体が悪いのではなく、
過去作を超える新しい見せ方がないまま、
同じ型をもう一度使ってしまっていることが問題でした。

素材自体は悪くなかっただけに、
脚本とストーリー構成でもったいない作品になってしまいました。

10位 最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?

弾けろボタン!砕けろ知性!「最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?」レビュー
評価 ★★★☆☆(45点) 全12話あらすじ 普通の男子高校生・真名部響生は、ある日突然、魔物も潜む異世界の広大な草原に転移してしまった。見たこともないファンタジー世界を、あてもなく彷徨っていたヒビキだが、自身に『鑑定』というスキルと、職業…

非常に「軽いノリ」の作品でした。
異世界転移、冒険者ギルド、鑑定スキル、奴隷、勇者、魔王。
並べてみれば、
これでもかというほど見慣れた要素しかありません(笑)

普通なら「はいはい、またこれね」
となってしまいそうな作品ではありますが、
この作品は主人公が絶妙にアホです。

必要以上に賢くない。視聴者よりも先に何もかも理解するわけでもない。
チート能力ですべて解決するわけでもない。
アホだから悩む。アホだから勘違いする。
アホだから失敗する。
そして、そのたびにギャグが生まれる。

1話では胸のボタンが弾けて始まり、
最終話では胸のボタンが弾けて終わる。
そんなバカバカしいノリを最後まで貫いており、
テンプレ展開が来ても「まあいいか(笑)」
と思わせてしまう力がある作品です。

このアホっぷりこそが、
量産型になりがちな異世界作品の中で
きちんと個性になっていた作品でした。

9位 とんがり帽子のアトリエ

最高の作画と最低のぶつ切りEND「とんがり帽子のアトリエ」レビュー
評価 ★★★☆☆(45点) 全12話あらすじ 「魔法」――、それは世界に溢れていて人々の生活を豊かにする、なくてはならない便利な奇跡。けれど、 魔法をかけることが出来るのは魔法使いだけ。 引用- Wikipedia

1話はかなり話題になっていた作品でした。
作画に関しては素晴らしく、
背景や魔法の表現はもちろんのこと、
キャラクターの衣服に刻まれる「シワ」にまで
異常なほどのこだわりを感じます。

制作に3年半ほどかかっているという話も、
この映像を見れば納得できる作品ではあります。
世界観もしっかりと練り込まれており、
序盤では分からなかったことが少しずつ明らかになり、
キャラクターも掘り下げられていく。

だからこそ、面白くなってきたところで終わってしまうのが痛い。
しかも、「俺たちの戦いはこれからだ!」ですらない。
「俺たちの戦いが始まる」
というところで1期が終わってしまいます。

消化不良どころの騒ぎではなく、
1クールで原作の区切りがつかなかったのは理解できますが、
それなら連続2クールや分割2クールを想定してほしかった。

3年半かけてこのクオリティならば、
2期も同じだけ時間がかかる可能性がある。
キャラクターのクセの強さも好みが分かれるところで、
作画と世界観は良いのに、とゴニョゴニョしてしまう作品でした。

8位 NEEDY GIRL OVERDOSE

全方位超絶冷笑アニメ「NEEDY GIRL OVERDOSE」レビュー
評価 ★★☆☆☆(44点) 全13話あらすじ 登録者1000万人を記録するトップ配信者の少女、超絶最かわてんしちゃん──通称「超てんちゃん」の活躍を見ない日はない。インターネット、テレビ、ライブを問わず、彼女はファンの歓声の中にいる。そ引用…

強烈に人を選ぶ作品でした。
挑戦的、実験的と言えば聞こえはいいのですが、
多種多様な映像表現をこれでもかと詰め込んでおり、
とにかく見づらい。

さらに序盤から中盤までは、
キャラクターたちが全方位に対して冷笑しながら、
ポエミーなセリフをひたすら喋っています。

SNS、オタク、配信者、ファン、若者。
何もかもに対して冷めた目線を向けており、
キャラクターの向こう側から
制作者のおじさんの顔が透けて見えるような感覚すらある作品です。

ただ、終盤に入って
「超てんちゃん」という虚像そのものを描き始めると面白くなる。
1000万人のフォロワーから崇拝される存在になり、
その虚像によって彼女自身も救われています。

終盤で一度その居場所を失ったことで、
彼女は自分が何を求めていたのかを知り、
復活して、引退して、「神」という伝説になる。

配信者とは何なのか。
VTuberとは何なのか。
推し活とは何なのか。

そこまでたどり着いて、
ようやくこの作品がやりたかったことが見えてくる。

終盤は面白かっただけに、
そこまでの全方位超絶冷笑パートが長すぎて、
1クールではなく2時間くらいの映画なら、
また印象が違っていたかもしれない作品でした。

7位 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

【ネタバレ無し】13年越しの賛否両論「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉」レビュー
評価 ★★★☆☆(50点) 全120分あらすじ 見滝原市の女の子たちの間では、この世の呪いと戦うことと引き換えに「トカゲさん電話」が願いをかなえてくれるという噂話がささやかれていた。 引用- Wikipedia

13年ぶりの続編として公開された本作品でしたが、
物足りなさが凄まじい作品でした。

面白いか面白くないかで言えば「面白い」。
13年ぶりに「魔法少女まどか☆マギカ」の世界に戻り、
あのキャラクターたちが動いている。
それだけでニヤニヤしてしまうような要素も多い。

しかし、13年というハードルを超えるほどではなかった。
まどマギという作品は、何かを願えば何かを失い、
何かを選べばその代償を背負わされる作品でした。

TVアニメ版にも「叛逆の物語」にも、
キャラクターが取り返しのつかない選択をする重さがある。
しかし、本作ではその重さをあまり感じない。

新しいキャラクターも複数登場し、
彼女たちの過去や掘り下げにかなりの尺を使う。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

ただ、13年ぶりの続編として
「私が本当に見たかったのはそこなのか?」
という疑問が何度も浮かんでしまった。

叛逆の物語を見終わった13年前は、
猛烈に「この続きが見たい」と思っていた。
しかし、今回見終わった後には、
その感情がなくなってしまった。

つまらないわけでもない。嫌いになったわけでもない。
むしろ映画としては面白い。だからこそ、
「魔法少女まどか☆マギカ」という物語ではなく、
コンテンツそのものの終焉を感じてしまったことが何より悲しかった。

ネタバレありレビューは公式の解禁日にあわせて公開予定です。

6位 クスノキの番人

名作なのに台無しクソラップ 「クスノキの番人」レビュー
評価 ★★★★☆(60点) 全113分あらすじ 直井玲斗は理不尽な理由で職を失い、やけになって窃盗の罪を犯し逮捕・拘留される。将来への展望もなく、人生に投げやりになっていた玲斗のもとに突然、「依頼人の命令に従えば釈放する」と条件を提示する弁…

東野圭吾氏の小説初のアニメ映画作品でした。

序盤で撒かれた謎が終盤で一気に紐解かれ、
そこから感情が爆発する。
「東野圭吾」というミステリー作家らしい構成を使いながら、
最終的にはきちんと人間ドラマに着地しています。

未来がまだ決まっていない若者たち。
そんな若者たちへ親や家族が何かを「残そう」とする。
人が死んでも、思いや記憶は誰かへ受け継がれていく。
そんな「受け継ぐ」ということの意味を描いた物語には、
思わず涙を流してしまいました。

会話劇が中心なのにテンポも非常によく、
カメラワークやアニメ的な演出を入れることで
最後まで間延びさせない。

芸能人声優も多いのですが、
天海祐希さん、高橋文哉さん、宮世琉弥さんなど、
演技面でもほとんど文句がない。

ストーリー、アニメーション、声優。
どれも素晴らしい。
しかし、物語中盤のクソラップ。
それだけが理解できません(苦笑)

主人公の心理描写としてラップを使いたかった意図は分かるのですが、
ただ、作品のテイストとあまりにも合っていない。

あのラップさえなければ100点の名作なのに、
100点の名作から-1000点するようなクソラップが
あまりにも強烈なノイズになっていた作品でした。

5位 しらぬひ

父よ、死んでくれ。「しらぬひ」レビュー
評価 ★★★★☆(66点) 全36分あらすじ 1996年、夏の終わり。熊本の海辺の町に父と2人で暮らす10歳の少年・湊は、酒に溺れる父のもとで息を潜めるように生きていた引用- Wikipedia

非常に重い作品でした。
主人公はわずか10歳の少年。
そんな少年が置かれている状況は最初から厳しく、
物語が進んでも一向に好転しない。

悪い方向へ。さらに悪い方向へ。
一度は救われたかのように見えても、
最後にはそのわずかな希望すら踏みにじられる。

直接的なグロテスクさというよりも、
描かれている状況が「精神的にグロテスク」です。
見ていて気が滅入る。楽しい映画ではまったくない。
いわゆる「鬱映画」と言っていい作品です。

上映時間が36分だからこそ耐えられる作品でもあります。
しかし、その36分という短さだからこそ、
逃げ場のない少年の感情を
一気にこちらへ浴びせかけてくるような感覚がある作品です。

ラストの解釈も含めて、
人によっては強烈に拒否反応が出る作品ですが、
大作アニメ映画がエンタメ性を求められる今の時代に、
観客受けやヒットを無視したような
強烈な作家性を形にしたことを評価したくなる作品です。

見ていてつらい。二度見たい作品でもない。
それでも強烈に記憶へ残ってしまう。
こういうアニメ映画が作られること自体に
大きな意味を感じる作品でした。

4位 アメリと雨の物語

天上天下唯我独尊「アメリと雨の物語」レビュー
評価 ★★★★☆(70点) 全77分あらすじ 1960年代、神戸。外交官の家に生まれたベルギー人の女の子アメリは、2歳半までは無反応状態だったが、あるきっかけから無敵の子ども時代に突入し、自らを「神」だと信じて魔法のような世界を生きるように…

フランスのアニメ映画でありながら舞台は日本。
外交官の娘として日本に生まれた少女「アメリ」が、
自分を「神」だと思っているところから物語は始まります。

自分が一番偉い。
何もかもが自分の思い通りになる。
世界は自分のために存在している。

まさに「天上天下唯我独尊」。
しかし、チョコレートを食べて喜びを知り、
家族を知り、日本を知り、他人を知り、死を知り、別れを知る。
世界を知れば知るほど、
自分が世界の中心ではないことを知っていく。

外交官の娘である以上、主人公はいずれベルギーへ戻らなければなりません。
しかし、アメリにとってベルギーは知らない国。
生まれてからずっと暮らしてきた日本こそが故郷です。
それでも「大人の事情」は子どもの感情を待ってくれない。

大切な人は死ぬ。大切な人とは別れなければならない。
大好きな場所からも離れなければならない。
それでも、一緒に過ごした時間まで消えてしまうわけではない。

最後にアメリが「私は神じゃなかった」と気づく展開は見事で、
神だった少女が、他人を愛し、失うことを知り、
ようやく一人の「人間」になる物語です。

子どもの自我が形成されていく過程を、
美しく、時に残酷に描いており、
フランスという国の芸術性すら感じさせてくれる
作品でした。

3位 日本三國

武力0知力100威厳1000「日本三國」レビュー
評価 ★★★★☆(68点) 全12話あらすじ 日本は軍閥割拠の戦国時代を経て、大和・武凰・聖夷の三国時代に突入する 引用- Wikipedia

近未来の日本。
核戦争やパンデミック、暴力革命などを経て国は崩壊し、
日本は三つの国に分かれています。
そんな未来の日本で「三国志」をやるのが本作品。

1話ではあえて画面の一部を白黒にし、2話から一気に色をつける。
基本的には会話劇が多い作品ですが、
これでもかというほど演出をつけて盛り上げ、
ベテラン声優たちの台詞の掛け合いだけでも見応えがあります。

そして何より主人公がいい。
主人公には圧倒的な武力がない。特別な能力もない。
権力も立場も後ろ盾もない。あるのは「知」だけ。

だが、その知からハッタリという名の「威厳」が生まれていく。
自分を舐めてくる者を知で制し、妻を殺した復讐相手を目の前にしても、
日本のため、自分の目的のために感情を押し殺す。

この戦国の世で
「上に立つ者とはどういう人間なのか」
ということを1クールかけて描いている作品です。

権力があっても威厳のない者。
無理やり権力を奪い威厳を得た者。
権力も立場も威厳も持っている者。

そんな人間たちを前に、
何も持っていない主人公が「威厳」だけで場を制していく。
しかし、権力がないからこそのラスト、
復讐相手に負けて終わるラストは1クールの余韻すら残してくれました。

かなり尖っていて視聴カロリーも高い作品ですが、
他のアニメにはない個性と独自性を
しっかりと持っている作品でした。

2位 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語

名作を壊した名作「劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」レビュー
評価 ★★★★★(83点) 全116分あらすじ 鹿目まどかによって魔法少女たちが残酷な運命の連鎖から解き放たれた新たな世界で、まどかへの思いを果たせぬままに取り残された暁美ほむらは、ただひとり、再びまどかにめぐり合えることを信じて戦い続けて…

13年前の名作であり、
「圧巻」という言葉が一番しっくりくる作品でした。

TVアニメ版の「魔法少女まどか☆マギカ」は、
あの12話だけできれいに物語が完結しています。
だからこそ、そこから続編を作るだけでもかなり挑戦的と言えます。

普通なら、魔女になったほむらをまどかが救い、
そこで終われば、多くのファンが納得するハッピーエンドになったはずでした。
しかし、この作品はそこで終わりません。

TVアニメ版で描かれた「まどかの自己犠牲による救済」そのものに
もう一度疑問を突きつけてくる。
そして今度は、救われる側だったほむらが世界そのものを書き換え、
神になったまどかを救う側に回る。

立場を逆転させる。結末を逆転させる。
作品そのものの価値観まで逆転させる。
まさに最高のちゃぶ台返し。

TVアニメ版だけで終わっていれば名作で終わるはずの作品に、
そこへ続編を作り、その名作のラストを自ら壊してしまう。
普通なら絶対にやりたくないことです。

それを批判覚悟でやり、
「叛逆の物語」という別の名作を作り上げている。
ハッピーエンドのようにも見える。
しかし、どこか不穏で、明らかにトゥルーエンドではない。

13年経って改めて見ても、この作家性の強さ、
名作を壊すことを恐れない姿勢は凄まじく、
最新作を見るために見返したからこそ、
改めて「叛逆の物語」という続編の異常さを感じる作品でした。

1位 魔法少女まどか☆マギカ

計算された15年前の怪物「魔法少女まどか☆マギカ」レビュー
評価 ★★★★★(93点) 全12話あらすじ 鹿目まどかが巨大な怪物に破壊された市街地で傷つきながら戦う少女暁美ほむらを目撃し、白い動物のような生き物キュゥべえから「僕と契約して、魔法少女になってよ」と告げられる夢を見る引用- Wikipe…

今見ても色褪せない魔法少女アニメの傑作です。
今となっては、可愛らしいキャラクターが酷い目に遭う作品も珍しくない。
ダークな魔法少女アニメも大量に存在しています。
しかし、それはこの作品以降に
多くの「まどマギフォロワー」が生まれたからでもあります。

エヴァ以降に多くのエヴァフォロワーが生まれたように、
まどマギ以降にも多くの作品が生まれた。
しかし、どの作品も「魔法少女まどか☆マギカ」にはなれなかった。

改めて見ると、この作品の凄さは3話の衝撃だけではありません。
魔法少女になること自体を物語の中心に置き、
なぜ願うのか、願った結果どうなるのか、それでも願うのか。
その問いを全12話で描き切っています。

特に、さやかとほむらの物語は今見ても素晴らしい。
理想と現実の間で少しずつ自滅していくさやか。
たった一人の少女を救うため、
何度失敗しても同じ時間を繰り返すほむら。

そんな彼女たちを見続けたまどかが、
最後の最後でようやく自分自身の答えを出す。
主人公が魔法少女になるまで、全12話。

普通に考えれば異常な構成ですが、
その遠回りこそが必要と感じさせる計算された物語があります。

シャフト特有の演出、新房昭之監督らしいレイアウトと色遣い。
蒼樹うめ先生の可愛らしいキャラクターデザイン。
虚淵玄氏の容赦のない脚本。

それぞれの強烈な個性が奇跡的に噛み合っている。
15年以上経って見返しても面白い。むしろ今見たからこそ、
どれだけ計算されて作られていた作品なのかがよく分かります。

最新作を見るためにシリーズを見返した結果、
結局、一番凄かったのは原点でした。

総評:カロリー

8月は全体的に見て視聴カロリーのようなものの消費が激しかった気がします。
リボンヒーローや、とんがり帽子のアトリエ、日本三國、魔法少女まどか☆マギカ、
レビューするのも簡単ではない歯ごたえのある作品が多かった印象です。

魔法少女まどか☆マギカと叛逆の物語は再レビューではありますが、
15年と13年前の記事は恥ずかしいほど文章が稚拙でした(笑)
そこをリライトするどころか、1度破壊し再構成するのも面白く、
最近やってなかった過去にレビューした作品の再レビューにも
手を出したくなる感覚が生まれました。

9月は夏アニメが一気に終わり始めるので、
その終わる前にまだ見ぬ春アニメをレビューしていきたいところです。

9月もよろしくお願いします。

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