評価 ☆☆☆☆☆(9点) 全89分
あらすじ 絶海の孤島に集められた8人のプレイヤーの中には、幽鬼が見知った熟練者の姿もあった。
引用- Wikipedia
スカした逆冷笑
原作はライトノベルの本作品。
TVアニメの続編であり、本作品は映画として2週間上映された。
監督は上野壮大、制作は スタジオディーン
時系列
TVアニメでは原作の1巻から2巻までを丁寧に描いており、
その丁寧すぎるストーリー展開や、おしゃれすぎる映像、
分かりづらい演出の数々が悪い意味で話題になり、
賛否両論を巻き起こした作品だ。
そこからの映画という、どんな判断だと言わんばかりの展開ではあるものの、
公開時期から考えて最初から決まっていたことなのだろう。
原作の3巻で描かれていた「クラウディビーチ」を舞台にした作品で、
師匠の記録を超えるためにデスゲームに挑み続けている主人公、
そんな主人公は新たなゲームに挑む。
オサレ
相変わらず異様なほど分かりにくい。
映画序盤から止め絵の連続で、カットの連続で、
引きの絵も多く、どういう状況なのかというのが分かりづらい。
映画序盤からいろいろなキャラクターが出てくるのだが、
いろいろなキャラが出てきて
「マグマさん、また一緒ですね」
と言われても、こちらは「どこの誰ですか?」という感じだ。
プレイヤーたちがとある島に集まって、それぞれ自己紹介するのだが、
この自己紹介の段階ですでに問題が発生している。
「エッセイです、プレイ回数はこれが50回目になります」
「もずくっていいます、10回目です」
「みつばです、今回で30回目です」
と自己紹介と挨拶をしているのだが、
その間に映されるのは無人島の海辺に浮かぶ「家」だ(苦笑)
映画で初登場のキャラクターなのに、自己紹介のときに
顔も姿も一切映さずに無駄に背景を映しているのは本当に意味不明だ。
相変わらず「酔った」制作でしかない。
無人島に集められたプレイヤー、ゲームのルールもよく分からない中で、
淡々と情景を見せてくる。風景を見せるよりも
とりあえずキャラをきちんと紹介してくれよと叫びたくなるが、
叫んだところでこちらの思いは制作には届かない。
ろくにゲームが始まらない中で主人公のモノローグがたっぷりお届けされる。
汲み取った限りでは主人公はいまだに「人を殺す」ことを悩んでいるらしいのだが、
超今更だ。
殺人
そんな中で殺人事件が起こる。
クローズドサークルな状況で集められた8人の中に「殺人鬼」がいる。
サスペンスのお手本のような状況だ。
ようやく話が進んだかと思ったのに主人公のモノローグがまた始まる。
テンポが異様なまでに悪い。話を進めることよりも、
制作の、監督の「このオサレ演出を見てくれ!」という声が聞こえる。
あえてキャラの顔を映さず、暗い夜のシーンの中でセリフだけ流すの
おしゃれだろぉ?自己紹介であえてキャラ見せないのおしゃれだろぉ?
キャラの顔をあえて描かないのおしゃれだろぉ?と
オシャレなスギちゃんみたいなやつが常に顔面1mmの距離で
囁いてくるような感じだ。
もう少し距離を置いてくれれば、そのオシャレさも感じられるかもしれないが、
あまりにも近すぎて顔面しか見えず、そのオシャレを感じさせてくれない。
とにかくよく分からないオシャレな映像をひたすら見せられ、
それが現実なのかモノローグの中での想像なのかすらもよく分からず、
次々と犠牲者が増えていく。
主人公がメンタル激落ちモードで鬱々しているのも
余計にストーリーを分かりづらくしており、
主人公が犯人探しを積極的にするような気分になっていない。
メンタル激落ちで記憶も曖昧で、見てる側も常に曖昧だ。
誰が誰だかよく分からない中で中盤までに3人が殺されるが、
「誰が殺されたのか」がよく分からないので、
主人公以外の誰が殺されたところで同じだ。
師匠
このゲームには主人公の師匠の知り合いや姉弟子、
主人公が殺した師匠の敵の知り合いなどもいる。
そんな中で主人公は「師匠」が生きていることを知る。
バラバラにされた師匠がなぜ生きているのか。
そちらの謎のほうが殺人鬼どうこうよりも気になってしまう。
そんな師匠の弟子、主人公の姉弟子が今回の殺人鬼だ。
1日目に死んだはずの彼女は師匠と同じくバラバラでも生き返り、
死を偽装して殺人鬼をしていたことは分かる。
殺人鬼の正体が分かったところで面白くなるわけでもなく、
しかもお馬鹿な殺人鬼は目標である3人を殺すことすらできていない。
ミステリー的な雰囲気だったのに、最後は殺人鬼が
マシンガンをぶっ放してくる(苦笑)
そんな殺人鬼と相対した主人公はあっさりと勝利を掴む。
このバトルシーンもスローの連続で、まともにアクションを見せず、
モノローグの連続だ。
アニメーションよりも僕たちのオシャレ演出を見せてくれ!
アニメから映画にかけてやってることは変わらず、
もう付き合いきれない作品だ。
同じ制作でたとえ2期や続編があったとしても、
私は見ない。
総評:付き合いきれない自己満足
全体的に見てTVアニメよりも悪化している作品だ。
TVアニメでは少なくとも1話の時点では期待感があり、
最終話付近ではやりたいこと、ストーリーやキャラの把握は少なくともできていた。
しかし、映画ではそれすらできていない。
特にキャラクター描写に関しては酷すぎる。
自己紹介すら満足に描くことができておらず、誰が誰だか分からない状況で、
誰が誰だか分からないやつがどんどん死んでいき、
誰が誰だかよく分からないやつが犯人で、それとスローで主人公が
戦ってあっさりと終わる。
師匠との再会というのが目玉なのは分かるが、その感動やインパクトもなく、
1時間半たっぷりと制作側の自己満足の演出の数々を
ただただひたすら見せられているだけの作品だ。
TVアニメではあった魅力すらもオシャレ演出で
隠してしまっている感じが強く、
オリジナル作品でやるならともかく、原作のある作品で
こういうやり方は受け入れがたいものがある。
制作側が「ダサい」と笑われることを恐れるあまり、
ストレートな表現を避け、分かりやすさを捨て、
ひたすらスカした演出に走ってしまっている。
それが「オシャレ」なのだと勘違いしているのが厄介だ。
キャラクターの顔を普通に映す、自己紹介でキャラクターをきちんと見せる、
アクションをアクションとして真正面から描く。
そんな当たり前の演出すら「ダサい」と言わんばかりに避け、
とにかくオシャレに、意味深に、遠回しに見せようとする。
冷笑する側ではなく、冷笑されることを恐れすぎた作品といえば分かりやすいかもしれない。
私はこういう作品を「逆冷笑アニメ」と呼びたい。
冷笑主義が当たり前になった今の時代だからこそ生まれた、
ある意味では非常に現代的なアニメなのかもしれない。
その逆冷笑っぷりが映画では極まっており、
TVアニメの時点で制作側の酔った演出のせいで
酔いそうになりそうな作品だったが、
この作品で完全に二日酔いになってしまうような感覚だ。
続編があるかどうかは分からないが、
少なくとも同じ監督では続きを見たいとは思えなかった作品だった。
個人的な感想:スルー
上映期間中はあえて完全スルーしていたが、
あっさりと配信が始まり、見た結果、映画館で見なくてよかった作品だった。
配信で見てよかったと思ってしまう作品はなかなかないが、
この作品はあえて映画館で見る価値を感じるものではなかった。
この演出、やり方がマッチしそうな作品はありそうなものの、
少なくとも死亡遊戯ではないと感じてしまう。
オシャレな映像を作る能力は間違いなくある。
だからこそ、いつかその演出と作品が噛み合う瞬間を見てみたい。


