8月といえば暑かった、もうそんな記憶しかないほどの猛暑。
夏休みも終わり、9月に入った今日このごろ、
皆様如何お過ごしでしょうか。
どうも、笠希々です。
毎月恒例の振り返り記事になります。
8月
8月のレビュー数としては17本になりました。
いやー、フル回転ですね。8月の上旬くらいに風邪を引いたのですが、
それさえなければ20本いけたかなと思うんですよね。
ただ、振り返ってみると映画がかなり多く、
全6話や全4話など短めの作品も多かったからこその数なのかもしれません。
特に8月は公開されるアニメ映画も非常に多く、
それに関連した作品も多くみた月でした。
ここまでアニメ映画ばかりな月は珍しいかもしれないですね。
毎月15本のペースを9月も達成したいところです。
そんなわけで8月に見た振り返りランキングやっていきましょう。
17位 アズワン AS ONE

暫定ではありますが、現段階で今年見たアニメ映画としては最下位な本作品。
原作はアーケードゲームなのですが、すでにサービス終了しており、
サービス終了してから4年の月日を経てのアニメ映画化という
企画段階から迷走している感が凄まじい作品でした。
そんな原作の前日譚ということでやりたい放題やっており、
芸能人声優を起用して劇中で4回も歌わせたり、
予算がなかったのか必要最低限しか動かない作画、
特に表情の描写はワンパターンでしかなく、これが配信限定の作品ならともかく、
「映画」としてスクリーンで上映するレベルに至っていませんでした。
肝心の主人公のバックボーンがほとんど掘り下げられず、
ヒロイン視点の物語が展開しても、アニメーションが死んでいるせいなのか
ストーリーに盛り上がりが生まれず、なにより、
一応はロボットアニメのはずなのにロボットが活躍するシーンは
冒頭と終盤の2回だけ、ろくに戦闘もしておらず、綱引きをしているだけでした。
何もかもがひどく、映画館で見た意味を感じない作品でした。
2025年といってますが、ここ5、6年、令和以降のアニメ映画としては
個人的にもっともワーストな作品だったかもしれません。
100ワニの映画と似たような感覚を覚える作品でした。
16位 ChaO

2025年8月のアニメ映画でもっとも話題になった作品かもしれません。
話題性だけでいえば鬼滅の刃と肩を並べた部分はありますが、
興行収入は雲泥の差、鬼滅の刃の100分の1どころか1000分の1の
興行収入な作品でした。
構想に9年、作画枚数は10万枚、全国300箇所の映画館で上映するという
ものすごい規模感のある作品であり、
公開規模だけでいえば「君の名は」などに匹敵するレベルです。
それほどヒットを狙っていた作品だったのかもしれませんが、
ヒットを狙うには作品全体のクセが強すぎました。
確かに作画のクォリティは素晴らしく、Studio4℃らしい
クォリティではあるものの、そのアニメーション以外の
見どころが非常に薄い作品でもあります。
このアニメーションを生み出すための癖のありすぎるキャラクターデザインは
序盤を過ぎれば慣れるものの、ふとした瞬間に強烈に気になり、
主人公にもヒロインにも今ひとつ好感を持てぬままストーリーが
脈絡なく描かれます。
この作品の根幹にあるのは「人魚姫」であり、
普遍的で新鮮味にかけるストーリーでしかないのですが、
そんな新鮮味にかけるストーリーの中で主人公の両親が
主人公の父親のうっかりミスで亡くなるという突っ込みどころしかない
現場猫案件が描かれたりと、話のツッコミどころも凄まじい作品です。
映像面のクォリティがあるからこそ映画館で映画を見る、
最低限の楽しみがあったからこそ、アズワンより評価は上になりましたが、
宣伝の下手さといい、規模感のズレといい、
どうしてこうなったのかが色々と気になる作品でもありました
15位 BULLET/BULLET

一応、この作品の総集編映画の後編が8月に公開されたはずなのですが、
誰も話題にしておらず、完全に空気な作品でした。
それもそのはず、もともとディズニープラスでの配信限定作品であり、
そんな配信限定作品をあえて二部に分けて総集編として映画でやるという
よくわからないことをしています。
ストーリー自体はディストピアな作品でそこまで悪くはないのですが、
こちらも構想10年という考えまくった作品のせいか、
無駄なキャラクターが非常に多く物語のテンポが崩れており、
悪くない部分はあるのですが、あくまで悪くないで終わってしまいます。
最近のアニメというよりは20年くらい前のアニメでも
見ているかのようなキャラクターデザインや雰囲気があり、
そういう懐かしさは感じる作品ではありましたが、
これをわざわざ映画館で見たいのか?と問われると首を傾げてしまいます。
欠点はあるのですが、面白い部分もあるので、
配信で見るには悪くない作品ではあるんですが…
14位 星つなぎのエリオ

ピクサー最新作として8月に上映されました。
本当に8月は「魔境」でした。
アズワン、ChaO、そしてこの作品、どの作品もクセが強く、
作品としての欠点も多く、そしてもれなくほぼ貸し切り(苦笑)
この作品に限っては時間の都合上、字幕で見たゆえに人が少なかったのですが、
興行収入的にも苦戦しています。
この作品の制作に至ってはかなり紆余曲折があったようで、
もともと監督のアイデンティティを作品に取り込んだ作品になる予定が、
昨今のディズニーの方針転換や試写会での不評もあって、
当初の監督が降板し、脚本もかなり改変があったようです。
そのせいか序盤から中盤まで主人公に対する愛着が一切わかず、
ただただ面倒くさい悪ガキが大暴れして、
その結果、宇宙人たちが大変な目にあったり、主人公の友達が死にかけたりと、
主人公を起因とするトラブルがあまりにも多く、
最後に良い子になられても、いまいち乗り切ることができませんでした。
キャラクターデザインも素直に可愛いとは言い切れず、
映像面はさすがはピクサーではあるんですが、
ストーリーの稚拙さはかなり厳しいものがありました。
13位 クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜

クレヨンしんちゃん映画としては矢島晶子さんから
小林由美子さんに「野原しんのすけ」の声が変更になって
初めての映画作品でした。
そのせいもあってなのか、しんのすけという主人公がサブキャラになっており、
みさえメインの話になっています。
それもあってかギャグは全体的に少なめで
子供向けというよりは大人向けな部分もあり、家族愛だけでなく、
夫婦関係、妻という立場、母という立場などに
やたらフィーチャーしている部分があり、
それが作品の面白さにはなっていなかった作品でした。
ゲストヒロインも性格が悪く、ストーリー的にもツッコミどころが多く、
いまいち乗り切れない作品でした
12位 クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜

クレヨンしんちゃんでカンフー映画をやる、しかもメインはマサオくん。
このコンセプト自体は面白く、序盤から中盤までは楽しめた作品でした。
ただ中盤から唐突に中国に行ったかと思えば戻ってきて、
ゲストヒロインが大暴走して、それをなだめるという展開は
いまいち脚本がまとまりきれていない感じが強く、ごちゃごちゃしてる作品でした。
このコンセプト自体はクレヨンしんちゃん映画の最新作と
やり方としてはにているのですが、
面白さの方向性がズレてしまった印象です。
変にテーマやメッセージ性を入れようとして失敗する、
クレヨンしんちゃん映画のあるあるかもしれませんね。
何度見返してもこの作品はあんまり記憶残らず、
ピンとこず毎回終わってしまいます。
11位 ざつ旅 That’s Journey

2025年春アニメは妙に日常アニメが多く、
この作品もそんな日常アニメの1つでした。
日常アニメは日常アニメでも、この作品は同時に「旅アニメ」でもあります。
ニュアンスとしてはゆるキャンなどが近いかもしれません。
新人漫画家な主人公が作品づくりに迷う中で旅に出る、
それ以上でもそれ以下でもありません。
まるで旅番組のようにあてもなく、ふらふらと、いろいろな場所に行き、
その場所特有のものを楽しむ。
序盤はかなり地味ではあるのですが、中盤くらいから
キャラクターが増えることでワチャワチャ感がましていき、
日常アニメらしい面白さが生まれてきます。
どこかテレ東あたりの旅番組っぽさもあり、
ゆるーい雰囲気を楽しめる作品でした
10位 フードコートで、また明日。

この作品は全6話で放送されるという珍しい形式のTVアニメなのですが、
2025年夏アニメには妙にこういう作品が多く、
アニメの放送数が増えてきて、アニメ製作側も色々と
模索している時期に入ってきたのかなと感じる作品でもありました。
この作品はタイトル通り、フードコートでJKが喋る。
それ以上でもそれ以下でもない日常アニメでした。
それの何が面白いのか、なにか意味はあるのか。
意味を問われると難しいのですが、そこに意義はあります。
大きな変化が起こるわけでもなく、二人のJKが毎日のように
フードコートで駄弁る、時には喧嘩をしたり、
ときにはサブキャラがでてきたりの変化はあるものの、
大きな変化はない。そんな日常に「かけがえのない」ものを感じ、
全6話ではなくもう少しみていたかったという余韻を感じる作品でした。
9位 空色ユーテリティ

この作品はゴルフアニメでありつつ、日常アニメでもありました。
主人公は自分にはない「なにか」を求めゴルフに出会い、
ゴルフを始めます、しかし、あくまでゴルフは趣味。
プロを目指すわけでも大会に出るわけでもありません。
しかし、そんな主人公が年齢も学校も違う二人とともに
ゴルフを楽しみながら少しずつ変化し、成長していく。
ゴルフを通しての日常の積み重ねが素晴らしく、
地味ではあるもののコミカルな会話劇と日常が心地よく、
いい意味でも悪い意味でも日常系な作品でした。
オリジナルアニメで日常アニメをやるというのは
かなりの冒険ではあるのですが、
そんな冒険に大胆に挑んだところも素晴らしい作品でした。
8位 活撃 刀剣乱舞

大人気ソーシャルゲームのアニメ化作品であり、
リクエスト企画でのリクエストを受けてのレビューとなりました。
序盤は刀剣乱舞の世界観を掘り下げつつ、
メインキャラをきちんと掘り下げている作品でした。
ソシャゲ原作アニメがこのあたりの地固めを
適当にやってる作品が多い中で、この作品は非常に丁寧にやっており、
やや地味な部分はありつつもUfotableの作画で盛り上げ、
終盤は刀剣男士たちの前の主とのエピソードが
この作品ならではのストーリーになっていました。
ストーリー的に俺達の戦いはこれからだで終わっているのですが、
ラストシーンで劇場版決定のお知らせがあったがゆえに、
ファンは8年たっても未だに待ち続けるという
なんとも罪深い作品になってしまっているのが残念なところです。
7位 ロボットドリームズ

この作品はスペイン・フランスのアニメ映画として制作された作品でした。
セリフは一切ないサイレント映画で、犬とロボットの不思議な関係性が描かれます。
この世界には人類と呼べるものはおらず、犬は孤独を満たすために
ロボットを購入し、友達のような恋人のような関係性になります。
しかし、そんなロボットが動けなくなりビーチに取り残され、
次の夏まで会えなくなってしまいます。
ロボットは犬との再会の夢を見て、犬は友達を作ろうとするもののうまくいかない。
このすれ違いなうまくいかないシーンの数々は心に来るものがありました。
どこか秒速5センチメートルでも彷彿とさせるラストは
ハッピーエンドともバッドエンドともいえないラストになっており、
知名度こそあまりないのですが、ぜひ1度見ていただきたい作品の1つです。
6位 カラオケ行こ!

実写映画にもなった本作品。
ヤクザが組長に変な入れ墨を入れられないために、
合唱部の部長である中学生な主人公に教えを請うという
突拍子もない物語でした。
たった4話しかないのですが、その4話が染み渡る作品でもあります。
変声期を迎え「子供」ではなくなりつつある主人公が
ヤクザという大人の世界を知り、おとなになっていく。
ややBLテイストな部分はありますが、あくまでテイストだけで、
豪華声優によるカラオケの数々にも思わず笑い泣けてしまいます。
全4話という構成を見事に使った余韻のあるラストも含め、
個人的には好きな作品でした。
こういった短編マンガもアニメ化できるのが今のアニメ業界なんだなとも
感じる作品です。
5位 Flow

人類が居なくなったポストアポカリプスな世界で
生き残っている動物たちですが、どんどんと海面が上昇していきます。
主人公な猫は様々な動物と出会い、行く宛もない旅をします。
ただただそれだけなのですが、リアルな動物ではありつつも
どこか「嘘」、ファンタジーな知性を感じる部分があり、
それが喋らない動物たちの魅力にもつながっています。
シンプルな作品なのですが考察要素が詰め込まれており、
特にラストあたりはどう解釈するかは本当に観る人次第です。
84分と短い映画であり、ぜひ、機会がありましたら
動物園に行く感覚で楽しんでいただければと思います
4位 アイドリッシュセブン

当サイトにとっては禁断のレビューでした(笑)
YouTubeで動画を始めたあたりから、たくさんのリクエストいただき、
その重すぎる愛の数々を受け止めきれず、ちょっと寝かせてしまっていました。
しかし、今回のリクエスト企画でその封印を解き放つことになりました。
男性アイドルアニメというと、どうしても女性向けという
印象が非常に強くなってしまうんですが、この作品の根本にあるのはジャンプです。
努力、友情、勝利。
そんな三大原則をきちんと守っており、
そこに少女漫画的なキャラのバックボーンを足しています。
一人ひとりのバックボーンは非常に重く、彼らはまだ子供。
そんな子どもたちが自らの過去や事情と向き合いつつ、
プロのアイドルになっていく、それは大人になることでもあります。
見ているうちにこの7人を思わず応援したくなる、
自然とファンになっているストーリーは本当に素晴らしく、
ラストのライブは思わず涙腺を刺激されてしまうほどです。
ここから絶対に2期、3期と話が重くなるんだろうなと、
見たいような見たくないような不思議な気持ちにもなる作品でした
3位 海獣の子供

ChaOつながりでStudio4℃の作品が見たくなり
再レビューを兼ねて見てみることにしました。
以前見たときと同じ、圧巻の一言でした。
前半は居場所のない主人公が海というジュゴンに育てられた少年に出会い、
そんな少年と出会ったことで彼女の日々が変わる。
いわゆるボーイミーツガールな作品です。
しかし、中盤、そして終盤あたりになると
とんでもなく哲学的な話になります。
死生観、生命とは、自身と他者の認識とは、
そういった非常に難しいテーマを抽象的な映像表現で表しており、
その表現は圧巻の一言です。
観るたびに微妙に解釈がかわり、人によっても解釈が変わる。
私自身、また何年後かに見返すと印象が変わるかもしれません。
そんな「鑑賞力」を問われるような名作です。
2位 映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ

ここ最近のクレヨンしんちゃん映画はかなり厳しい作品が多く、
暗黒期に突入してしまった…と嘆いていたのですが、
そんな暗黒期を抜け光が見えてきたのがこの作品でした。
まさかの「ぼーちゃん」がメインというクレヨンしんちゃんファンでも
予想外なフィーチャー映画になっています。
インドという舞台も非常に面白く、作品全体として
インド映画をパロディしており、ギャグに溢れながら、
歌って踊る、バカバカしくはあるんですが、そのバカバカしさこそが
「クレヨンしんちゃん」であり、くだらないなと思いつつ
大人も子供も笑ってしまう素晴らしい作品でした。
あの曲を今、映画で聞けたというのも素晴らしく、
あえてぼーちゃんをフィーチャーしたからこその
「35年分の友情 」を感じさせるラストには思わず涙腺を刺激されてしまいました。
あの頃5才児だった貴方も、そうでなかった貴方も、
ぼーちゃんの欲望をご堪能あれ。
1位 タコピーの原罪

2025年夏アニメの話題作と言えばこれでした。
地上波での放送はなくウェブでの配信のみ、
それもわかるほどえげつない描写の数々でした。
1話から小学生の女の子が自殺し、
そんな女の子、しずかちゃんを救うために
「タコピー」という宇宙人が何度も何度も同じ時間を繰り返します。
しかし、繰り返すたびに最悪な展開になっていきます。
メインキャラクターたちはどのキャラも深い問題を抱えており、
いじめ、虐待だけでなく歪んだ親の愛に悩んでいる少女ばかりです。
そんな少女たちが自身ではどうにもできない問題を
他者にぶつけ、タコピーが介入することで余計に事態はややこしく
最悪な展開になっていく、救いがない展開ばかりです。
思わず目を逸らしたくなるストーリーではありますが、
最後には救いもあります。重苦しい全6話ではありますが、
その6話を乗り越えるとスッキリとした結末もあり、
1度見ると忘れられない作品になっていました。
総評:魔境の8月
8月は魔境でした。クレヨンしんちゃん映画で大感激し、
タコピーで心をえぐられ、アイドリッシュセブンでも心が苦しくなり、
そうかと思えばChaOというとんでもないズレまくり映画がでてきて、
アズワンという2025年アニメ映画ワースト1作品がでてきて…と
もう感情が色々と忙しい8月でした(笑)
いろいろな意味で魔境だった8月はレビューしていても楽しい感じでした。
9月もこんな感じでやっていければいいなと思うのですが、
少し多忙な月でもありましてどうなることやら…
というわけで8月もよろしくお願いします。