機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER


機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER感想

評価/★★★★☆(61点)


機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER感想

制作/サンライズ
監督/西澤晋
声優/大原さやか.福山潤,中田譲治,小野大輔ほか
全3話


あらすじ

C.E.73年、ユニウスセブンの地球降下作戦を仕組んだザフト軍脱走兵達の部隊は、
乱戦の中、ザフト軍ミネルバとジュール隊の活躍によって壊滅し、
地球に向かっていたユニウスセブンも設置されたメテオブレイカーによって破砕された。
しかし、砕かれた破片は地球に向かって次々と落下し、
地球に残されたのは落下片による多くの人々の死、
そして平和を奪われた者達の止め処なく溢れる憎悪と怒りだけであった。




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このSEEDが観たかった

ガンダムSEEDのOVA、現在はDVDで販売されているものの
本来はインターネット配信でのみ放映された作品。
だが完成度は驚異的なまでに高い
基本的なストーリーはDESTINYの最初の方の話の裏で活躍していた人物を描く
コーデイネーターを恨む洗脳されたナチュラルのスウェンのストーリーと
スターゲイザーによる宇宙の調査を行うセレーネのストーリーが交差しながら描かれる
まず最初に感じるのは雰囲気の違いだろう。
監督、キャラクターデザイン、脚本家さんが全て違うので、
雰囲気が違うのはあたりまえだろうが
SEEDの軽く萌えっぽい感じのキャラデザと違いハードボイルドな雰囲気だ。
だがその雰囲気がすごくいい・・・。
第一話では、SEED本編ではただの雑魚機体でしかなかったジンが
闇夜の中でライトに光りながらバズーカを撃つシーンなどは、
機体の反則な強さで作品を魅せるのではなく、
演出やストーリー、そしてMS本来の魅力を表現したいというスタッフの意気込みを感じた
本作では全体的に機械類の重みがきっちりとしている。
戦車やヘリコプター、ジンなどのないがしろにされがちな機体、
きっちりと重量感あふれる絵面でシーンが構成されており、
アニメ本編に魅入られる。
そしてガンダム。
本編ではストライクの後継機であるストライクノワールが主人公機だが、
2話目での雪上戦の華麗とも言うべき動きと演出は
本当にこの監督は「魅せる」アニメを作るのがうますぎる。
ガンダムSEEDのレビューでは空中戦が多く、地上戦が少ないのが気になると書いたが
本作ではその不満が少なく、しっかりと地に足がついた地上戦を見せてくれた。
主人公機の2丁拳銃&ワイヤーのストライクも、いい味を出していた
そしてタイトルにもなっている「スターゲイザー」
本来宇宙調査機のための機体であり、攻撃方法は限られているが
自分の周囲にビームの輪のようなものを放ち、カッターのように攻撃するという
奇抜な戦闘方法は興味深かった。
また世界観もきっちりと構成されている。
コーデイネーターとナチュラルの救いようのない差別と怨恨は本編よりもうまく表現され
短い尺の中でこの世界の根幹を繊細に表現していた
ストーリーのほうもまとまってはいる。
洗脳され薬物なども使われているナチュラルのスウェンと、
宇宙を調査する技術者のセレーネが最後の10分で出会い、
そしてお互い宇宙の果てで遭難し、27日以内に助けられなければ死という状況になる。
セレーネがスウェンを助けた際の言葉が非常に印象にこっている
「誰でもいいから眠るまで声をかける相手が欲しかった、
 私が死ぬまでひとりじゃないと感じさせてくれればいい」
このヒトコトは非常に重みがあり、それまでの短絡的なストーリー展開が
どうでもよくなるような二人の空気と雰囲気。
死を目の前にスターゲイザーの中で二人で毛布にくるまり、
コーデイネーターもナチュラルも関係ない、技術者もパイロットも関係ない
走馬灯のようにスウェンの過去が流れ、二人の結末を描きしんみりと終わる。
あえて27日とかかず、669時間という曖昧な時間が
二人の生死をはっきりと書かなかった憎さと視聴者に思わず電卓を叩かせる内容は
プラス評価につながった
このストーリーを見終わった後の空虚感はとても、とても心地良かった。
短いからこそ複雑なことを描かず、二人の人生を分かりやすく描いた
脚本家さんを私は賞賛したい
ここまでこの作品に感動してしまったのは、
SEEED,DESTINYがダメすぎたからだろう
あの作品がダメすぎたからこそ、ここまで短くストーリー的にはブツ切れなのに
よく纏め上げたストーリーを面白いと感じてしまう。
このスタッフ陣営でSEEDが描かれていれば、どれほどの名作になっただろうか
一話15分の3話しかない作品なのに印象深いシーンの連続、
確かに渋く暗いため売れなかったかもしれない、だが確実に名作になる可能性があった
本作で不満があるとすれば短すぎるということだろう。
決められた尺の中でこれ以上のことを求めるのは不可能であることを考慮すれば
高い評価にしたいのだが、短すぎゆえキャラの描写不足や
分かりづらいストーリーの時間経過など突込みどころが出てしまう。
総集編を作る予算を無能な監督に渡すくらいだったら、
この作品にもっと尺と予算を渡して欲しかった・・・。
「サンライズ、何やってるんだ!」
思わずそう叫びたくなる作品です。