LUPIN the Third 峰不二子という女


評価/★★☆☆☆(39点)



制作/日本テレビ
監督/山本沙代
声優/沢城みゆき,栗田貫一,小林清志ほか


あらすじ
不二子を軸にルパン、次元、五エ門、銭形警部たち5人の危険で熾烈な戦いを描いた本作。
モンキー・パンチ原作に漂うエロティックなテイストを取り込み、大胆な解釈で若かりし時代の5人を描く―。



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キャラの解釈の押し付け

原作は言わずもがな、モンキー・パンチの漫画作品『ルパン三世』、
ルパン三世のTVアニメ40周年を記念し作成放映された作品だ
タイトル通り峰不二子を主人公とし、原作版をリスペクトした
劇画タッチなルパン三世だ

始まって早々見せつける、いや、ここは心を盗まれるといったほうがいいか
独特な曲と演奏と朗読、流れるエロティシズムなオープニングは
一気にこのアニメの作品に引き込まれる。
他のアニメとは違う、最近のアニメとは違うんだ!と
こちら側の見る態度と姿勢を正されたような気分になる。

そして声優、見ていない人で気になる人もいるだろうか
本作品のキャストは「新キャスト」が起用されている。
主人公である峰不二子は沢城みゆき、ルパンは栗田貫一、次元は小林清志、
ゴエモンは浪川大輔、銭形警部は山寺宏一と深夜アニメとしては
かなり豪華なキャストといえるだろう。
更に各話にチョー、田中敦子、矢島晶子、桑島法子など
ベテランの声優さんも毎話のように登場する。

ストーリー展開も劇画タッチにマッチしたハードボイルドだ。
峰不二子は平気で銭形抱かれ、ルパンと次元は撃ち合いをし、
ゴエモンは女装をする(笑)
毎話、緊張感のある展開や撃ち合いをしニヒルな結末を迎える。

1話から起承転結がはっきりした「ルパンと峰不二子の出会い」を描き、
更にルパンらしい盗みのアクションと峰不二子のセクシーさを30分という
枠の中に収め、「これからみんなが待っていたルパンが始まるぞ」というような
期待感を刺激する。
2話、3話と次元、ゴエモンと峰不二子と彼らとの出会いを淡々と描くストーリーは
「渋い面白さ」を毎話感じることが出来た。

ただ、その飄々とした脚本の魅力を感じたのは序盤だけだ。
脚本家が「岡田麿里」で女性ということもあるのだろうが、
どうにも「噛み砕けない部分」が物語が進めば進むほど現れる

その原因の1つであるアニメオリジナルキャラのオスカー。
彼は銭形警部が好きなホモなのだが、
極端な言動やキャラ付けは魅力的とはいえず、
彼がメインに据えられる女学園の話など微妙な印象が残る
同時にあまりパッとしない銭形警部もルパンらしいとはいえない点だろう

そして本作の主人公たる峰不二子。
彼女の過去とトラウマが後半からの話の主軸になってくるのだが、
これが前半の評価を打ち消している。

やたら小難しい話になり、やたら「凝ったように」見せている演出とストーリーだ。
特に催眠状態でふくろうに見えてしまう、幻覚の世界など

前半のハードボイルドでニヒルなストーリーとはうって変わって
爽快さのないウジウジウジとしたストーリー展開は賛否の別れるところだろう。
劇画タッチの作画がウジウジとした雰囲気を後押ししてしまっていた

個人的な印象になってしまうが
「前半はルパンをリスペクト」「後半は脚本家の自己満足」、
そういう印象を強く受ける話の展開だ。
前半は従来のルパンファン向け、後半は岡田麿里ファン向け、
そう言い直すとわかりやすいかもしれない。

根本的に作り手側、特に女性視点から見た峰不二子という女は
どういう女のか?という解釈の押し付けが強すぎるのだ。

当然こういう女は平気で自分の体を売り、銭形にだって自分を抱かせて
ルパンには自分を抱かせないで魔性の女を気取っているのだろう。
だが、自分の好きなときに好きな相手を好きになり、
いいようにやりたいようにする、自分がいい女という気分に浸りたいのだ
というような「女性が女性に対して向ける妬み」のようなものを感じる

その他のキャラクターにも同じような印象を受ける。
ルパンと次元はそれほどでもないが、銭形警部とゴエモンは特にそう感じるだろう
制作側の「このキャラはこうあって欲しい」という押し付けが強く、
話が進めば進むほど、その押し付けが鼻についてしまう。

特にその主張が強いアニメオリジナルキャラのオスカーは
別にいらなかったんじゃないのかとすら感じる。
銭形警部をストーリーに絡ませるため、無理矢理に登場させた感もある。

全体的に見て1話の面白さを持続できなかったのが残念だ、
前半のストーリーはルパンらしい面白さがあり、
アクションシーンの演出や作画など素晴らしく世界観に入り込めたのだが
後半からのストーリーは別にルパンじゃなくてもいいと感じさせるほど
伏線を張りつつ展開する内容は面白いとはいえなかった。

特にその伏線を張った「不二子の過去」が結局、全て無かったことにされる展開は
散々こった展開と伏線を張っていたのに「なんだよ」と
思わず呟いてしまうほどあっけなかった。
制作側が作った不二子の過去をファンの批判を防ぐために
全て無かったことにしたのでは?という風にも感じる

ただ、ここ数年の駄作としか言えないTVスペシャルのルパンに比べればだいぶましだ
特に前半は雰囲気もよくストーリーも1話完結で心地が良い。
変にこったストーリー展開をせず1話完結で1クール描ききって欲しかったと
感じてしまうのは私だけだろうか。

2期はあるのだろうか?
逆に言えば、原作通りこの作画と雰囲気とキャストでアニメ化されれば
本当に素晴らしい作品になる可能性があるだけに、
2期があるならば期待したいのだが・・・微妙なところだ
OVAで定期的に出るような形なら期待できるかもしれない