ハル

評価/★☆☆☆☆(18点)

劇場アニメーション「ハル」公式ファンブック (ぽにきゃんBOOKS)

制作/WIT STUDIO2
監督/牧原亮太郎
声優/細谷佳正,日笠陽子,宮野真守ほか

あらすじ
前掲のように、”近未来の京都で生まれた、人とロボットの奇跡のラブストーリー”である。公式サイトでは、恋人であるハルと死別したくるみのもとへ、「ロボハル」(ハルによく似たロボット)ことキューイチ(Q01)が赴き、心の支えとなる旨のストーリーとされている。しかし、実際には、帰らぬ人となったのはくるみであり、恋人を失ったハルは心を閉ざし、自分をロボットと思い込む。ハルは「ロボハル」としてくるみのもとへ赴き、キューイチはくるみとしてハルを出迎える。

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台本、10ページくらいなんじゃ・・・

本作品は2013年に公開された劇場短編アニメオリジナル映画。
公開に先駆けて別冊マーガレットで漫画の連載を開始、
更に公開直前に小説が発売されるなどメデイアミックスが行われている作品だ

基本的なストーリーはSF恋愛物。
近未来の京都で生まれたハルとくるみ、ある日事故が起こりハルが去ってしまう。
くるみは家に閉じこもるように鳴ってしまい生きる気力を失っていた
そこに「デイケアセンター」からロボットセラピーとして
ハルそっくりのロボがやってきたという所からストーリーは始まる

始まって早々不思議な世界観を見せつけられる。
近未来の京都という舞台だが近未来臭さはあまりない風景のなかに
唐突に「ロボット」らしいロボットが描かれる
染物を干している河原にロボットがいる風景など何ともミスマッチで不思議な感じだ

背景に関して言えば物語全体でクォリティは高い。
近未来という印象は殆ど無いが、リアルな京都の風景や小物、
京都の祭りの様子などまるで聖地アニメのごとく繊細な京都描写だ
ふと出てくる食べ物など何とも美味しそうな作画だ

しかしながら、その背景の良さ、作画の良さが見せつけられるというような印象を覚える
本作品自体は50分という短い尺のストーリーなのだが、
背景だけが写っているシーンや祭りの様子が描かれるシーンなどがかなり多く、
本筋のストーリーが全然進まないのに背景ばかり見せられる。
キャラクターが出ていても回想シーンのように声優さんの声はない状態で描かれたりと
室のいい作画のシーンを見せつけられるような印象を覚えるシーンは多い。

そのシーンは必要なのか?そのストーリー展開は必要なのか?
そう感じることが非常に見ていて感じられる。
50分という尺なのに異常なまでにストーリーの展開が遅い。
その展開の遅さの原因は「作画の良さを見せるシーン」なので単純にダレる。
50分の映画でまさか「ダレる」という表現を使うとは思わなかった。

恐らく、この作品の台本は薄い。
アニメ2話分、50分の作品としてはセリフの量が異常に少ない
前述した作画見せつけシーン、キャラクターが喋らないシーンが多く
キャラクターが喋っているシーンが異常に短い。
その割には詰め込みすぎな設定のせいでストーリーが進まない苛立ちがどんどん増える

ヒロインのセリフなど本当に数えるほどしか無い。
主人公やヒロインよりもサブキャラクターのじいさんやばあさんのほうが
喋ってるんじゃないかという印象を覚えるほどだ。
セリフだけ書き起こしてくださいと言われても何の苦にもならない作品だろう
見ながら携帯片手に全てのセリフを打ち込む事もできるんじゃないかと思ったほどだ

更に唐突に描かれるSF要素の違和感。
近未来の京都とはいっているが世界観の描写が甘く
ハルというロボットが居る事以外普通の京都で近未来っぽさを感じないのだが、
いきなりコテコテのロボットが中盤に出てくるなど違和感を感じるシーンも多い

ストーリーに関しても序盤は引きこもりがちなヒロインとハルが接し
徐々にヒロインがハルに心を開いて行くという展開なのだが、
コレが本当に淡々と描写してしまい、あっという間に30分立つ。
作画の良さと声優さんの演技のお陰で雰囲気は出ているものの
物語が全然進んでいないカンジがするのに半分以上ストーリーが進む。

そして終盤の「どんでん返し」とも言える展開。
ストーリーの中でさんざん伏線を張っているので途中で気づく方も多いはずだが
あのどんでん返し展開は本来は悪くない展開だ。
しかしながら、そこに至るまでのキャラクター描写の甘さや
本来は繊細なストーリーなのに展開が雑すぎて作品に入り込めない。

全体的に見て作り込みの甘い作品だ。
作画という面では非常に質のいい作画で綺麗に感じるシーンも多いのだが
そのせいで、そればかりを見せられたような錯覚に陥り
本筋のストーリーは口で説明するのが簡単なほど薄い。
ストーリーが脚本ではなく「プロット」=枠組みや要所要所しか書いてないもののような
未完成さを感じる作品だ。

やりたいことはわかるし、それを感じる部分もあった。
だが、完成度の低い脚本を質のいい作画のシーンで繋いだだけになってるのは残念だ
もっと尺が長ければ掘り下げの甘い部分や人物描写が深くなり
最後の「どんでん返し」にももっと感動できるはずなのだが・・・
それを言ってしまえば、どんな短編作品でもそうなってしまう。
50分という尺でもう少し絞ってすっきりとした作品に仕上げて欲しかったところだ
物語としてはまとまっているが、見終わった後に何だか釈然としない

余談だが、本作品のwikipdiaは最悪だ。
はっきり行って「あらすじ」ですべてのストーリーを書いている人には怒りを覚える
この作品において終盤のどんでん返しはネタバレしてはいけない最重要部分だ。
それをwikipediaでは平然と「あらすじ」として書いている。
あらすじではなくストーリー全容を書く人は何を考えているんだろうか
今から見る人は出来ればwikipediaを見ないほうがいいだろう。