神さまのいない日曜日

2015年12月29日

評価/★☆☆☆☆(15点)

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神様は週休1日、6日フルタイムで働いてます。

原作はライトノベルな本作品。
『織田信奈の野望』のメインスタッフがアニメ化に多く関わっている

基本的なストーリーはファンタジー。
新しい人間が生まれてくることも、新しい死者が出ることもなくなった世界
そんな世界で腐ってもなお動き続ける死者を弔うため「墓守」という役割を持つものが居た
主人公の「アイ」は母親が居なくなってから故郷の村で墓守の仕事をしていた
そんなある日、村がある男によって壊滅させられる・・・
というところからストーリーが始まる

序盤から「萌え」要素に違和感がある。
主人公のアイは可愛らしいデザインで幼いキャラクターデザインと
「豊崎愛生」さんの声がより幼さを後押ししている。
普通の萌えアニメならばこのキャラデザと声は「アリ」なのだろうが、
「新しい命」が生まれない、「死ぬことがなくなった」世界で萌え描写が違和感がある。

この作品の世界はいわゆる「退廃」とした世界観だ。
序盤はつねに「夕方」の時間でストーリーを描写しており、キャラクターたちにも影がある。
何やらワケありの村人、何やらワケありの旅人、何も知らない「アイ」という主人公。
そういったシリアスな雰囲気の中に可愛らしいデザインと萌え描写が合わず違和感がある。
退廃とした雰囲気のままでストーリーを進めてほしいと感じるのに
中途半端な萌えや特に笑えない余計なギャグ描写が作品の雰囲気を素直に楽しまさせない

更にグロ描写の中途半端さ。
この世界の死者は「脳が破壊されても動けなくなるだけ喋れなくなるだけ」で死ではないようで、
1話の段階で主人公が住む村人たちの頭が旅人に撃ちぬかれている。
だが、グロ描写が中途半端で「死者が動き回る」雰囲気が伝わらず
規制のせいか血の表現もほとんどなく、主人公の受けた衝撃が画面から伝わってこない

主人公「アイ」の心理描写も今ひとつよくわからない。
村人を惨殺された相手に対し素直に色々と従う、
殺した張本人に殺した村人を埋めろと言われたら素直に泣かずに埋め、
埋め終わったら殺した張本人についていく。そうかと思ったら唐突に切れる。
そうかと思えば一緒に行動する。
本来「村人を殺された」という衝撃的な事をした犯人にあっさりついていくはずがないのだが
行動理念や台詞に一貫性がなく、感情移入しにくい

その後の展開も「????」となる展開ばかりだ。
主人公は墓守だったはずなのだが、墓守じゃないと言われ、そうかと思えば墓守だった(苦笑)
墓守という設定がいまいちわからない状態で墓守かどうか議論されたり、
そうかと思えば別の方向に話が変わったりと「???」となる展開が多く、
「雰囲気」だけでストーリーを強引に推し進めているような印象がある
分かりづらい設定、感情移入しにくいキャラクター、ついていけないストーリー展開、
そういったものを強引に「退廃とした雰囲気」で推し進める。

基本的に雰囲気のみでストーリーを展開しているため、細かい部分が理解できず
話が進めば進むほど細かい部分積み重ねって生き、結果としてわけがわからない。
序盤のエピソードの締めである「3話」も不老不死のキャラを殺すためだけに
行動理念が一切わからない敵が現れ、なんかいろいろあって感動的な感じで終わる。
原作でその細かい部分が描かれているのかどうかが分からないが、
少なくともアニメでは細かい部分を省きまくるため、雰囲気のみでストーリーを強引に展開している
逆に言えば雰囲気に飲まれさえすれば細かい部分は気にならないが、
雰囲気に飲まれなければ細かい部分が気になって仕方なくなる。

その後のストーリー展開も「?」となる場合が多い。
アニメでは原作を読まなければ全て理解することが出来ないようになってしまっており、
おそらく原作を読んでる方にとっても「なぜそこをカットした?」というところをカットしているのだろう
ストーリーとストーリーの繋がりが弱くなってしまい、
1つ1つのエピソードが弱く「なぜそうなった?」「どうしてそう思った?」という
キャラクター描写の根本の部分を省いてしまっているような印象だ

新しい設定やキャラ設定が後からどんどんと盛られてくるのも微妙な部分だ。
設定を継ぎ足し継ぎ足しストーリーを紡いでいき、
その設定の説明がされない、カットされているため「???」となる部分が増えていく。
それがようやく解決したかと思えば又設定が継ぎ足され、また「???」となる

主人公の行動も子供だから仕方ないとも言えるのだが「わがまま」かつ自分勝手に思い込みで行動しまくる
1時間位しか話していないような少女に対し「私と似ている」と
その少女にとって重要で周囲が隠していた事を暴露しにいったり(見方によっては余計なお世話)、
理想のみ、自分の思い込みのみで行動しているようにも見える。

全体的に見て原作を読んでいる前提のアニメ化になってしまっている
根本にあるストーリー自体は悪くなく、やりたいこと伝えたいことはわかる。
だが、アニメ化するにあたって1クールでやる部分のストーリー構成に足引っ張られてしまい
限られた尺の中に見合わない脚本が作られてしまい、
結果として細かい部分を省かないと1クールで収まらなくなってしまっていた。
もっと丁寧に描けば「???」となる部分が少なくなり、キャラクターへの感情移入もきちんと出来たはずだ

この作品は4つのエピソードから成り立っており、
それぞれのエピソードのみにしか登場しないキャラも多い。
尺が足りないのに無駄にキャラクター数が多いためキャラクター描写がしっかりとされるまえに
次のエピソードにあっさりといってしまうことも多く、
結局あのキャラは何だったんだと思うキャラも数名居る。

細かい部分を省き過ぎたせいでストーリーの繋がりも甘くなり、
キャラクターへの行動や言動が理解しにくくなり色々な行動や言動が「唐突」に感じてしまう。
とあるキャラなど
墓守りしてたけど想像妊娠したかと思えば他人の子供を自分の子供にして、
そうかと思えば育児放棄してプロポーズされる。
細かい部分の説明を省いたせいでもっとも「?????」となるキャラクターだ(苦笑)
結局このキャラクターが何をしたかったのか全然わからない

この「???」の根幹は見えない神様のせいでもある。
神さまのいないと題名にはあるが、この世界の神様は何でもマジで願えば叶えちまうという
有能なのか適当なのかわからない神様らしく、物語の所々でしれっと神の所業を見せつける。
それが明確に神のせいという言葉で出てこないうえに何かしているため、
何が起こったかわからないけどなにか起こったという現象が生まれており、
後々ネットで調べてみると「あのシーンのあの現象は神様のせいだった」というのがわかるのだが
結局の所、願えばば何でもありな世界になってしまい、どうもしっくりとこない。

原作は面白いんだろうなーと感じるポイントは多々ある。
だが、制作が側はその面白いポイントを膨らませるのではなく
「面白そうな空気感」のみをアニメ化してしまったような印象だ。
退廃とした雰囲気や背景の作画などは素晴らしく雰囲気作りはできていたが、
結局最後まで雰囲気のみでストーリーを終わらせてしまっていた

個人的には面白さを感じないのだが、見るのをやめるほどひどい出来ではない。
ストーリーや伏線、明かされない設定が気になりストーリーを見続けるのだが
それが完ぺきにすっきりと解決したり、スッキリとした展開に中々ならない、
おそらく2クールの尺があればこの作品の面白さをきちんと味わえたのだと思うのだが、
1クールという尺に押し込められてしまったのは残念だ。

売上も枚数が出ないほど売れていないので2期の可能性はかなり低いだろう。
気になる方は原作で・・・という感じだろうか。
ある意味で原作を読んでいる前提の作品になっているので、
原作の売上促進にはなったかもしれない(苦笑)