IS、雑にはじめました 「最弱無敗の神装機竜」レビュー

評価/☆☆☆☆☆(6点)/全12話
最弱無敗の神装機竜 ≪ バハムート ≫ IV [Blu-ray]

あらすじ
遺跡から発掘された、古代兵器・機竜。それは十余年前に発見された世界に七つある遺跡から発掘された古代兵器、伝説の竜を模した機械装甲である。
五年前長きに渡り圧政を敷いたアーカディア旧帝国はクーデターによって滅ぼされアティスマータ新王国が誕生。亡国の皇子ルクス・アーカディアは滅ぼされたアーカディア旧帝国の罪を背負い、咎人として新王国の国民の様々な雑用を引き受ける契約によって恩赦を受けていた。

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インフィニット・ストラトス、雑にはじめました

原作はライトノベルな本作品。
監督は安藤正臣、制作はラルケ。

見だして感じるの「Theテンプレート感」だろう(苦笑)
毎クール、こういったいろいろな作品をごった煮にした作品が
必ず1つはあるが、この作品はそんなごった煮作品の中でも
群を抜くごった煮具合だ。

1話でヒロインと主人公が出会うシーンは当然、ラッキースケベ。
もちろん相手は裸だ、当然のごとく主人公は殴られる。
中学生がラノベを書こうと思ったら必ず書くと言っても他言ではない、
主人公とヒロインのファーストコンタクトシーンは、
「作画」の良さで見れるシーンにはなっているものの、
はっきり言ってお腹いっぱいだ。

ただ珍しいのは、珍しく主人公が捕まる(笑)
ぶっ飛ばされるだけで終わるテンプレート主人公は多いが、
ラッキースケベで捕まる主人公は珍しい。
更に主人公は「女性しか居ない学園」で働く事になる。
ついでに主人公は男性には少ないドラグナーという機械装甲を使うことができる。

ここまでの設定でピンときた方も居るはずだが、ISだ(苦笑)
実際の機械装甲もISそっくりなデザインであり、
舞台が中世風か現代風かの違いだけであり、
この作品を一言で表すなら「ファンタジー風IS」という言葉以外ないくらい
ISだ。

似たような感じ、雰囲気が似ているというのはラノベ原作では珍しくないが、
この作品の場合は極端な言い方だが、パクリだ。
原作は2013年8月からであり、明らかにISを基盤に置いて
作品を作り上げている感じが全くもって隠れておらず、
というより隠す気がない。

機械装甲、女だらけの中に男一人、基本的に機械装甲は女子。
これだけならばまだいいのだが、細かい部分まであまりにも似すぎだ。
戦闘中の「バリア」、味方同士の戦闘中に敵が乱入してくるような展開、
一応ファンタジーなはずなのにISそっくりなドラグナーなど、
見ていてため息が出るほどのパクリ具合だ。

更に根本的に戦闘シーンのアニメーションの面白さが薄い。
ISはCG感はバリバリだったが、迫力ある戦闘シーンを展開しており
見応えのある戦闘シーンだった。

しかし、この作品の場合は1枚絵、いわゆる止め絵は悪くはないのだが、
それ以外の部分での動きの面白さによる戦闘シーンの迫力がなく、
アップや特殊演出で動きをごまかしており、はっきり言って微妙だ。

1枚絵や演出の派手さは悪くはないのだが、
それをつなぐ動きが「ふわふわ」「しゅるしゅる」と蚊が飛んでいるような
戦闘シーンであり、そのせいで重厚感や迫力がない。
最近では少なくなったCGの欠点である「重量感の薄い戦闘シーン」というのを
久々に味わった。予算の少なさは感じないだけに、センスの問題だろう。

なんとか視聴継続ができるのは作画が安定しているからだ。
特に女性キャラクターの止め絵はいわゆる「萌え」と「エロ」に特化しており、
戦闘シーンと同様に動きの面での可愛らしさはないものの、
1枚絵でのキャラクターの可愛さの描写は安定しており、
テンプレート的な展開だからこその安定感だからこそ際立つ
キャラクターの可愛さはこの作品での唯一評価できるポイントだろう。

ストーリー自体はサクサク進むのは良いのだが、
サクサク進みすぎて面白みに欠ける。
戦闘中の展開や結果に至るまでの展開の描写が甘く、
分かりやすく言えば色々な展開が雑で「軽い」ため、
ストーリーが進んだ結果の面白さが薄くなってしまっている。

もう少し時間かけて盛り上がれば面白くなるのに、
もう少し丁寧にストーリーを描写すれば面白くなるのに、
サクサクサクサクと盛り上がる前にストーリーを進めてしまうため、
戦闘中の緊張感や爽快感を生み出すための「溜め」もない。

予想できるストーリー展開なだけにきちんと盛り上げないと、
きっちりと溜めてからストーリーを展開しないと面白くならないのに、
テンポよく進めすぎてしまうため、
結果的に予想できるストーリーを予想通りに描写されて、
予想通りの結末になってしまう。

この作品の主人公はいわゆる「俺TUEEE」系の主人公だ。
とある事情から最強の力を隠しており、
普段は手加減して最弱の力で引き分けになるような
舐めプ無敗を貫き通している。

この手のタイプの主人公は本当の力を発揮した時に、
いかに「かっこよく」見せるかが、もしくはギャグに見えるような強さを
描写するのかが重要だが、この作品は溜めずに最強の力を
ド派手な演出と動きのないアニメーションで描写し、あっさり戦闘が終わるため、
主人公の「本当の強さ」というものがまったくもって伝わってこない。

どんなに強い敵が出てきても、主人公が本当の力を発揮してあっさり終わる。
ワンパターンな上にそこに何の魅力もおもしろみもない。
原作ではどう表現されているかわからないが、
表現されていないとしてもアニメーションとして
膨らませないといけない部分を膨らませておらず、
結果的にストーリーの印象やキャラクターの印象も薄くなってしまっている。

その原因は敵キャラにもある。
本来はストーリーを盛り上げるための「敵キャラ」なのだが、
ほとんど全ての敵キャラがぽっと出で、1話ないし2話でやられる。
ヒロインと主人公の関係をすすめるためだけの当て馬にしか過ぎず、
敵キャラの描写も甘いため、結果的にただでさえ盛り上がらない戦闘シーンが
余計に盛り上がらない。

そんなどうでもいい敵キャラがとどめを刺されずに逃げて再登場する場合も多い。
特に思い入れも魅力もない敵キャラが、
再登場しても盛り上がりもおもしろみも生まれない。
はっきりいってキャラクターの使い方が下手だ。

キャラが増えると既存のキャラの影もぐん!と薄くなってしまい、
キャラクター描写のバランスも悪すぎる。
キャラクターデザインが優秀なため、以外にもモブやサブキャラのほうが
ヘタしたらメインキャラよりも目立っていて可愛いシーンが多く、
掘り下げなければならない、もっと描写をしないといけない
メインヒロインの描写が雑になってしまっていた。

作品を作り上げている要素も多すぎる。
どんだけ盛り込めば気が済むんだと思うほどの設定の数々は、
「IS」との差別化を図るためなのはわかるが、
各キャラの設定や世界観の設定など色々と詰め込みまくってる割には
1つ1つの描写があっさりしすぎるため、
結果的に1つ1つの要素が薄まってしまっている。

ストーリー的には他のテンプレート作品と同じく
「俺たちの戦いはこれからだ」で終わっている。
キャラクターを増やすだけ増やして伏線を増やすだけ増やして
投げっぱなしで終わっている。

全体的に見て駄作だ。
隠す気がないほどにISを基盤にしており、
そのIS要素を誤魔化すためにいろいろな設定をごった煮にして追加し、
テンプレート的要素で埋め尽くしている。
作品を構成する要素は多いのだが、その1つ1つの要素にオリジナル性はなく、
1つ1つの要素もサクサク描いてしまい、盛り上がる前に次の展開に移る。

せめて、もっと戦闘シーンがきちんと描かれていれば、
「俺TUEEE」的な面白さが生まれたり、
せめて、もっとしっかりと一人一人のキャラを描かれれば、
キャラクターの可愛さを味わえたかもしれないが、
結果的に両方共中途半端に描き、中途半端な仕上がりにしかなっていない。

いわゆるライトノベルで売れる要素を全て詰め込んだ作品なのだろう。
だが、売れる要素を詰め込んだだけで面白い上に売れる作品が出来上がるなら
誰も苦労はしないだろう。
私は別にテンプレートでもパクリでも「面白ければ」良いと思っているが、
この作品は寄せ集めた割に面白くない。

売り上げ的には1500枚前後といわゆる爆死。
しかも1巻はイベントチケット優先販売申込券がついているだけに、
この枚数はかなり厳しい。2期は絶望的だろう。
キャラクターデザインは非常に優秀であり、それだけがもったいない。

余談だが本作品のAmazonの商品紹介欄の自画自賛ぶりが
この作品で1番笑えた(苦笑)