まず自己催眠をかける所からはじめよう「異世界はスマートフォンとともに。」レビュー

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評価 ☆☆☆☆☆(4点)全12話

あらすじ 神雷を落とされ死んでしまった望月 冬夜(もちづき とうや)は神様の力によりチート付きで別世界に蘇る。
そこからの活躍により国を興し、世界の調停者となる。本人の意思とは裏腹に…引用 – Wikipedia

まず自己催眠をかける所からはじめよう

原作は小説投稿サイト「小説家になろう」で連載しているWeb小説。
いわゆる「なろう系」と呼ばれる類の作品である。
監督は柳瀬雄之、制作はプロダクションリード。

見出して感じるのは主人公の達観ぶりだろう。
神様のミスで唐突に亡くなってしまったにも関わらず慌てず騒がず、
非常に冷静に神様と対話をしており、
まるで悟りを開いた菩薩のような達観ぶりだ。
それだけならまだ、この主人公を受け入れることが出来たかもしれない。

しかし、この主人公は神様が一つだけ望みを叶えてくれる事に対し、
「異世界でもスマホを使えるようにしてくれ」という
わけのわからない事を言い出す。
コレで主人公がオタクか何かのネット依存でスマホがどうしても必要というような
キャラクターならまだ理解できるが、前述したように菩薩のような主人公であり、
そんなヲタク的な要素は見えてこない。

そもそも、このスマホが便利アイテムすぎる。
神様との通話可能、元の世界のネット使用可能、異世界の地図対応など、
チートな機能が多く携わっている。
このスマホだけが主人公の特別な能力ならば、
まだ異世界スマホライフを素直に受け入れることが出来たかもしれない。

しかし、スマホ以外にも主人公には色々な能力が携わっている。
身体能力MAX、魔法能力MAX、どんな武器でも作れるなど、
もはややりすぎなくらいステータスがMAXな主人公であり、
弱点と呼べる要素が一つもない。

ストーリー構成も良くない。
なぜか場面展開のときに「SDキャラによる寸劇」を入れることが多く、
大して面白くもない寸劇が話の腰を折るようにバンバン入るため物語に集中できず、
明らかな尺稼ぎにしかなっていない。

演出も悪い。
異世界であるがゆえに「魔法」もかなり出て来るが、いちいちダサイ。
主人公が最初に戦闘で使う技は「砂による目潰し」と行う魔法だ。
そして魔法を使われた様子が↓である。

どうだろうかこのダサさ(苦笑)
原作の文章でどう表現されているかわからないが、
アニメーションとしての表現で「砂による目潰し」の魔法がこれでいいはずがない。
戦闘シーンも止め絵が多く「アニメーション」としての動きの面白さはほとんどない

無意味に街の外観や路地を映すようなシーン、違和感を感じる構図など
正直いって「プロとしての絵作り」が出来ていないシーンがかなり多い。
止絵の多さから、そもそもの制作費が足りてないのかもしれないが、
おそらく「絵コンテ」の段階でおかしな部分が多いのかもしれないと
感じる部分が非常に多く、単純な「作画の悪さ」ではなく画作りが稚拙だ。

ストーリーも、進めば進むほど「スマホ」の要素が薄まっていく。
例えば主人公の前に「視力を失った母を持つヒロイン」が現れる。
このヒロインは母を直せる魔法を使える持ち主を探していたお姫様であり、
主人公と出会う。いわゆる見せ場である。

ここで主人公がスマホを活用して何らかの治療法を見出すなら、
この作品の「異世界はスマートフォンとともに。」というタイトル通りになり、
見ている側も納得できるだろう。

しかし、この作品はそんなことはしない。
主人公は「どんな魔法でも魔法の名前と効果を知っていれば使える」という
無属性魔法使いたい放題能力も身に着けており、
簡単にヒロインの母親を魔法で直してしまう。

この無属性魔法という設定もかなり厄介であり、
本来は個人個人で違った魔法が「無属性」というものだ。
身体能力を上げる魔法だったり、テレポートみたいな能力だったり、
どんな病気でも直したりと、個人しか使えない特徴能力みたいな魔法だ。
しかし、主人公はそれが自由に使えてしまうがゆえに何でもありである。

そのおかげで戦闘シーンの緊張感は一切生まれず、面白みもない。
いわゆる「俺ツエー」的な主人公にしたかったのかもしれないが、
見せ方が悪く、強いというよりもただチートなだけだ。

展開も安易かつご都合主義全開だ。
ステータスMAXで異世界に転生し、美少女2人と冒険、
お姫様を助けて、神獣を使い魔にして、大金と豪邸GET、
武田信玄を倒し、古代遺跡で人造少女GETなどなど
もはや作品を見ていない方にしてみれば「???」となる展開かも知れないが、
この作品の内容その通りに書いている。

この大冒険団のようなトンデモ展開で苦労する部分はほとんどない、
あまりにも簡単すぎるサクセスストーリーだ。
ちなみに当然「ハーレム要素」もあり、ちょろすぎるヒロインがどんどん増える。
名前を覚える暇もないほど女性キャラクターが増えまくり、
見終わった直後でもすべてのキャラの名前は言えないほどだ。

ヒロインはどんどん増えるのだが、そのヒロインに魅力が一切ない。
何処かで見たことの有る表面的な属性しか持ち合わせていないヒロインは、
深みなんてものは一切なく、出会って5秒くらいで惚れてるようなちょろさだ。
ちなみに一夫多妻OKの世界観なのでハーレムにも何も問題がない。

ひどすぎて逆にギャグアニメとして楽しめる作品はたまにある。
例えば「聖剣使いの禁呪詠唱」がいい例だが、この作品はひどすぎて笑えない。
あの作品がマシに見えてしまうほどこの作品の底の浅さは酷く、
最初は感じていた苛立ちすらもいつの間にか消え去り、
見終わる頃には完全に「無」になる。

ストーリー的に1クールで原作が続いていることも有り、
完全に「俺たちの戦いはこれからだ」であり、ものすごく中途半端で終わる。
思わせぶりにOPに登場してた人物が思わせぶりに最終話の最終シーンで出てきたり、
一区切り着けるとかそういうレベルではなく中途半端すぎる所で終わってしまう。
ある意味流石である(苦笑)

総評

全体的に見て「面白い」「面白くない」以前の問題だ。
この作品の何の困難もないサクセスストーリーを好きな人も居るのだろう。
いわゆるシリアスな展開やストレスになる展開は一切なく、
主人公=見ている人にとって都合の悪い展開はなく、
気持ちの良さと快楽でできている。

もし自分にとって都合のいい世界と都合の良い設定と都合の良い展開しか
起こらない人生ならばこうしたい。
そんな願望を見ている人に全て叶えてくれるような作品だ。

美少女を囲い、絶対に誰にも負けず、大金を持ち、権力を持ち、豪邸に住む。
まるで雑誌の裏側の「幸運になれるアイテム」に書かれた成功談のような
サクセスストーリーであり、普通の脚本家ではあり得なさすぎるうえに
ご都合主義すぎるからこそやらないか、
もう少しストーリーを練り上げて主人公を成功させていくだろう。

しかし「小説家になろう」という媒体のメインターゲット層である中高生ならば、
そんな練り上げたストーリーなどいらない。
サクサクと進んでいく「絵本」レベルの分かりやすい展開と、
ご都合主義すぎるうえにあり得なさすぎるサクセスストーリーと
最強すぎる主人公に自分を投影し楽しむことができるだろう。

この作品を楽しむためには
「いかにこの作品の主人公になりきるか」というのが大事だ。
雑誌の裏側のあやしげな幸運アイテムを買ってしうような感じで、
この作品の主人公に強く感情移入し、
「俺は望月 冬夜だ」と強く自己催眠をすることではじめて楽しむことができる。

それをできなかった時点でこの作品を見る意味はない。
悪すぎる演出、尺稼ぎのSDキャラの小劇場、
ご都合すぎるストーリー展開、チートすぎる主人公。
どこをどう愉しめば良いのか?と考えることが無駄と思えるほどだ。

個人的な感想

逆に言えば話が進めば進むほど自己催眠が進んで
「このアニメもしかして面白いのか?」と疑問が生まれるかもしれない。
個人的に改めて考えると11話とかは面白かったのでは?と思うのだが、
見終わった後で頭が麻痺してるだけだろう。

売上的には1300枚前後とほぼ爆死。2期はないだろう。
だが、原作ではなんかもう神とかになっていたりロボットに乗っているらしい。
ロボットに乗って戦うのは少年の夢だろうし、
新世界の神になりたいと1度は思うはずだ(笑)

もういっそ2クールくらいでこの作品を見たかった。
最初の序盤は嫌悪感のようなものを感じ、中盤くらいは無でこの作品を見ていたが、
終盤はなんかもう逆にこの安定した酷さに頭が麻痺し始めて、
どこまでこのご都合主義を魅せられるのか楽しくなってきてしまった。

まだ見てない方は試しに1話を見てほしい。
この作品を下回る作品はなかなかお目にかかれない。

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