評価 ★☆☆☆☆(13点) 全12話
あらすじ 突如としてダンジョンが出現し、人々がレアアイテムを探索するようになった現代日本。駆け出しで秀でたスキルを持たず、モブを自覚している高校生の高木海斗はダンジョンの低層階でスライムを狩りながら小遣い稼ぎに明け暮れていた。引用- Wikipedia
ご都合主義2000%
原作は小説家になろうで連載されている小説作品。
監督は小林智樹、制作は月虹
殺虫剤
この作品は「なろう系」では珍しく異世界転生や異世界転移ものでもなく、
しかも異世界が舞台ではない。
突如、私達の世界に「ダンジョン」が出現し、
ダンジョンにあるレアアイテムを求めて冒険者が誕生したという世界だ。
韓国系の異世界漫画だとこの手の舞台設定が多いのだが、
日本産では珍しい設定だ。
最近で言えば「俺だけレベルアップ」などが類似作品と言えるだろう。
そんな主人公は最弱だ。
スライム相手でも「殺虫剤」を用いないと倒せないほどの最弱であり、
レアアイテムはおろか、ダンジョンの深い部分に潜ることもできず、
1階層でひたすら小遣い稼ぎをしていたというところから
物語が始まる。
1話冒頭からダラーっとした感じがつよく、
殺虫剤片手どころか両手に持ちながら戦うさまは
「カッコ悪い」感じしかしない。
主人公のキャラデザも「いかにも」ななろう系主人公っぽさで
無個性の極みだ。
この世界にダンジョンがなぜ現れたのか、
そういった説明もされず、そこを掘り下げるわけでもなく、
淡々と主人公の目線で物語が綴られている印象だ。
あくまでも舞台設定でそこを掘り下げる気はそもそもないのかもしれないが。
ダンジョンが世界各国に誕生して13年、
当たり前のようにダンジョンに潜り、小遣い感覚で冒険者をやるものもいる。
主人公のスライム刈りも小遣い稼ぎのバイト感覚だ。
道端で空き缶拾いをして売っているような感覚でしかない。
この「ゆるさ」はかなり独特であり、
締まりの無い主人公のキャラクターもそうだが、
ストーリー自体も1話からゆるゆるだ。
そんな彼がレアアイテムである「サーヴァントカード」を手に入れる。
売れば10億円くらいになるかもしれない、
そんなレアカードを彼は売らずにダンジョンで活用していくことに決める。一般人ではない普通の存在である「英雄」に、
このくらいの年代の少年が憧れるような英雄願望が彼にはある。
シルフィ-
レアカードを使用すると幼女のような天使が彼の前の前に現れる。
可愛らしい幼女のような見た目ではあるものの戦闘能力は凄まじく、
淡々とはしているものの独特のゆるさと世界観が癖になる印象だ。
シルフィーを手に入れた彼は幼馴染の父のように
英雄になるためにも、深層へと降りていく。
色々と気になるところや欠点はあるものの1話の時点では
「悪くない」と感じさせる導入であり、
2話以降どうなるのか?とシンプルに気にならせてくれる。
しかし、問題は2話以降だ。一気に作画のクォリティが下がる。
特にキャラクターの「顔」に関してはカットが変わるたびに
キャラデザがゴリっと変わるような印象になるほど
統一感のない作画になってしまっており、
戦闘シーンになるとやたらとアップと静止画を多用している。
遠いアングルになるとキャラの顔がやたらと怪しくなっており、
2話で完全に作画が力尽きている。
そんな作画で淡々と主人公とシルフィーによる
レベル上げを見る羽目になる。
シンプルに退屈だ。
そんな中でレアモンスターを倒した主人公は
「また」サーヴァントカードをゲットする。
1枚ならともかく2枚目だ、しかも1話でゲットしたのに
2話でまたゲットする(苦笑)
売れば20億ともいえるサーヴァントカードなのに、
主人公はもう迷わずすぐ召喚する。
ちょっとご都合主義がきつすぎる感じだ。
モブで最低限の力しか持たなかった主人公が
たまたま手に入れたレアアイテムで英雄になっていく。
この導入自体はご都合主義とはいわないが、さすがに
2枚目ともなると首を傾げてしまう。
これで、この運の良さが何かしらの伏線なら
まだ納得できるのだが、1クールではそういう伏線の回収もなく、
ただの豪運男になってしまっている。
ルシェリア
2枚目から出てきたのは悪魔だ。
しかし、1枚目のシルフィーの時点で過剰戦力だ。
そんな彼女たちは燃費が悪い。
力を使うたびに魔物の「核」を要求されるため、
彼女たちばかりを使ってしまえば主人公の儲けが無くなる。
なんとも世知辛い。
そういうどこか「現実感」を感じさせるのは
この作品の面白いところでもある。
主人公は英雄になるためにダンジョンに挑戦しているものの、
装備を整えたり、自分自身を鍛えるためには自分自身が戦って
レベル上げもし、装備も買わないといけない。
確かにサーヴァントカードは強力ではあるものの、
頼りすぎれば破産する。
このあたりのバランスは面白いものの、
淡々としたゆるーいストーリーの面白みを掴みきれない。
ゆるーくぬるーくダラーっとしたストーリーと
淡々としたレベル上げが続いてしまい、
その中でサーヴァントカードなヒロインたちとの
イチャイチャを楽しむのはわかるが、そんなヒロインたちの
魅力も作画の悪さもあってかいまいち伝わりきらない。
早い段階で2枚目のサーヴァントカードを手に入れたせいで
1番最初のシルフィーですら掘り下げる前に
新キャラが出てきてしまった印象だ。
金欠
1話から主人公は金欠なのはわかる、
サーヴァントカードを手に入れても燃費の悪さゆえに稼げない、
そういう状況でもっと下の階層に行くためにも
装備が必要だが、装備が高くて買うことができない。
それなのにレアアイテムを手に入れた途端に彼は売らずに
すぐ使う選択をしてしまう。
「マジックーブ」という魔法を使えるようになるレアアイテムを
手に入れるのだが、もう何の迷いもなくすぐ使う。
明らかに売って装備を整えたほうが良さそうなのに無計画だ。
金欠なのにレアアイテムを絶対に売らない主人公の
バカっぷりに「イラ」っときてしまうようなストレスを徐々に感じ始める。
話も進んでるんだか進んでないかいまいちよくわからない。
4話になると4階層に潜って隠しダンジョンを攻略したり、
5話になると女性だらけのパーティーと
パーティーを組んだりするものの、
話が進めば進むほどハーレム感も強まっていく。
他の女性キャラが出ることでサーヴァントたちが嫉妬する展開も
ベタと言えばベタなのだが、何の魅力もない主人公に対して
嫉妬したり好意を向けられてる姿を見ても
「こんなやつのどこがいいんだろう?」という疑問しか浮かばない。
クラスメイトの女の子も主人公に対して明らかに好意を抱いており
デートのようなこともするのだが、
そういう展開を見せられるたびに「こいつのどこが…」という
疑念が何度も何度も頭に浮かんでくる。
彼女の父は冒険者であり、そんな父はダンジョンで行方不明になり、
主人公はそんな彼女の父に憧れてダンジョンに潜ってるようだが、
そもそもこの設定もアニオリ展開らしい(苦笑)
主人公がダンジョンの潜る理由を明確にするための
改変だったのかもしれないが、
よくわからない原作改変までかまされてるせいで、
余計にこの作品の掴みどころのなさが増していく。
6話になると8階層まで進んでいるが、
ここまでトントン拍子だ。
苦戦するときもあったが、サクサクとどんどんダンジョンを進んでいく
デザイン
作画のクォリティは2話以降低空飛行を続けているが、
それにもまして気になるのがモンスターデザインだ。
序盤こそスライムやゴブリンといった
いかにもなファンタジーモンスターが出てくるのだが、
中盤くらいからものすごい手抜きが始まる。
ただの魚だったり、イノシシだったり、
話が進めば進むほどどんどんとモンスターデザインも適当になる。
もはやモンスターというより野獣だ。
一応スッタフリストの中には「モンスターデザイン」を
担当されている方がいるのだが、
そんな仙人の方がいるのにこれか…という印象だ。
オープンキャンパス
この作品はダンジョンのある現実世界の物語だ。
だからこそ、どこかゆるゆるとした日常も同時に描いており、
ヒロインとまるまる1話デートをする回があったりもする。
ただ、そのヒロイン自体がダンジョンに一緒に潜るわけでもない
キャラなため無駄なエピソードな感じが強い。
特に7話などはダンジョンに潜らずにオープンキャンパスに参加している。
主人公が週末だけパーティーを組んでいる女子たちが
そんな大学に通っており、メインヒロインとともに
日常が描かれるのだが、もうストレスがすごい。
クラスメイトなヒロインが主人公に思いを寄せるのは良い、
サーヴァント達が卵からかえった雛のごとく主人公に
思いを寄せているのもまだ許せる。
しかし、女子パーティーメンバーまでも主人公に好意を寄せている。
そんな伏線やシーンなどそれまでに一切ない。
もはや意味不明なラブコメ展開だ。
いったいどのあたりで、どうして主人公に好意を持ったのか。
彼女たちとパーティーを組んでピンチになったときに
主人公のサーヴァントが助けるという展開はあるものの、
別に主人公が助けたわけでもないため、
それが恋愛感情の彷彿のきっかけではないはずだ。
あまりにも謎すぎる
オープンキャンパスも急にサッカーボールが飛んできたかと思えば
主人公が「オーバーヘッドキック」を決めてヒロインを助けたりと
どういう感情でこのシーンを見れば良いんだろうという謎のシーンも有る。
作画の酷さもあって余計にオーバーヘッドのシーンが
シュールになってしまっており、展開の意味不明さもあって
ギャグアニメのようにしか見えなくなっている。
なろう原作アニメといえば「女」「金」「権力」ではあるものの、
最低限の脈絡がそこにはある。しかし、この作品にはそれがない。
唐突に手に入ったサーヴァントカードのおかげで
サーヴァントにはモテ、特に何かあったわけではないのに
パーティーメンバーにも惚れられる。
脈絡というものがこの作品にはない。
ちなみにエンディングでさえ、なぜか7話で変わる。
2クールのアニメなら途中でエンディングが変わるのは分かるが
1クールのアニメでエンディングが変わるのは意味不明でしかない。
病気
終盤に差し掛かると上層階なのに
なぜか下層階にしかいない悪魔が急に現れ、
倒したと思ったらサーヴァントカードをまた手に入れる。
本当に何の脈絡もなく物語が展開していく。
終盤にはパーティーメンバーの一人が不治の病を
患っていることが発覚する。
メインヒロインを掘り下げずにパーティーメンバーの
掘り下げを始めるのもわけがわからないが、
どうでもいいカードゲームのシーンまで見せられるのは意味不明だ。
そんな彼女のためにダンジョンの中で
伝説の「エリクサー」を探し求めることになる。
どこにあるかもわからない、伝説のアイテムだ。
多くの冒険者の間に流れる都市伝説のような伝説のアイテムだ。
主人公に豪運のスキルかなにかもってないと納得できないほど
1話からレアすぎるサーヴァントカードを3枚も手に入れて、
最後のは都合よく治療魔法の使えるサーヴァントカードも手に入れる。
一応終盤で「引き寄せ体質だから」ととってつけたような
説明があるものの、それでは納得できない気持ち悪さがある
最終話もひたすらスライムを狩るのみで盛り上がりに欠け、
作画のクォリティも悪いままだ。
同じスキルのときはシーンを使い回す、バンクなどもありつつ、
ガタガタの作画のまま終わるラストは乾いた笑いしか出ない作品だった
総評:脈絡無しの超豪運男
全体的に見て1話から最終話に至るまでご都合主義の塊のような作品だ。
モブで最弱な主人公が、たまたまサーヴァントカードという
レアアイテムを手に入れて強くなっていき、
そうかとおもえば、またレアアイテムを手に入れて、
更にレアアイテムを手に入れて、最後もレアアイテムを手に入れて終わる。
全て「運任せ」な展開はご都合主義の塊でしかなく、
主人公にとって都合の良い展開しかおこらない。
英雄に憧れた主人公が英雄になっていく、そんな成り上がりを
描きたいのはわかり、最終話では目標もきちんと定まるものの、
序盤から中盤まではふわふわだらだらと冒険譚を描いている。
なろう系作品らしく「力」「女」「金」という
3大欲求を叶えるためにストーリーが動いており、
降って湧いたように力を手に入れ、降って湧いたように
女性は主人公にどんどん惚れていく。
お金に関しても最初こそ困っているものの中盤からは
とくにお金にも困らずに、何の脈絡もなく
女性キャラが主人公に惚れていく展開は
見ていて何の感情もわかないほど無表情になってしまう。
主人公にとってあまりのも都合の良い展開が多く、
一応「引き寄せ体質」だからという謎の説明をされるものの、
それでは説明ができないほどあまりにもラッキーすぎる主人公だ。
1話で感じた独特の空気感、時折面白くなりそうかな?と
感じる部分はチラホラとあるものの、
アニメと原作ではなぜか改変しまくっている部分も謎でしかなく、
ヒロインの一人の父親など無駄に行方不明にされている。
作画のクォリティも悪く、1話こそ安定していたが
2話以降は低予算を感じさせるような省略作画も多く、
モンスターデザインでさえ適当な感じだ。
ヒロインは多いものの、そのヒロインたちにも魅力を感じないほど
ぽんぽんとキャラクターが出てくる割には掘り下げが弱く、
そんなヒロインたちが主人公に惚れていても、
ラブコメ的な面白さが湧き上がるわけでもない。
異世界に行くのではなく、こちらの世界に異世界の要素である
「ダンジョン」が現れるという設定自体は面白いものの、
それ自体も韓国系の作品ではよくある設定でしかなく、
そこに日本のなろう要素を足したような作品になっている。
いい意味でゆるい雰囲気など序盤はそこが魅力にも感じたが、
中盤以降はそれをまさる主人公に対するストレスがあり、
色々と厳しい作品だった。
個人的な感想:プラオレ
中盤で唐突にエンディングが変わって何事かと思う作品だ。
1話から6話までは「May’n」が歌っているが、
7話からは「SMILE PRINCESS」が歌っている。
SMILE PRINCESSに関してご存知のない方も多いと思う、
私も忘れていた。
あの「プラオレ」から生まれた声優ユニットだ。
プラオレ自体がソシャゲが終わって企画自体が終わった作品だが、
まだユニットだけは活動をし続けたようだ。
しかし、2024年8月に解散。
つまり2024年夏アニメのエンディングを歌っているのに、
アニメの放送中に解散している(笑)
色々と意味不明な感じであり大人の事情を強く感じる作品だった。
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