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究極の低予算 異世界転生アニメ「名湯『異世界の湯』開拓記 ~アラフォー温泉マニアの転生先は、のんびり温泉天国でした~」レビュー

名湯『異世界の湯』開拓記 ~アラフォー温泉マニアの転生先は、のんびり温泉天国でした~ セクシー
画像引用元:©綿涙粉緒・ホビージャパン/「異世界の湯」製作委員会
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評価 ★☆☆☆☆(14点) 全12話

TVアニメ「名湯『異世界の湯』開拓記」公式PV/"Isekai Onsen Paradise"Official Trailer

あらすじ 湯川好蔵は大の温泉マニア。源泉のありかを鼻でかぎつける、温泉ハンターでもあった。ある時、町おこしのために秘湯を探していた好蔵は、崖から滑落してしまう。引用- Wikipedia

究極の低予算 異世界転生アニメ

原作は小説投稿サイト「ノベルアップ+」で連載されている作品。
監督は峯友則、制作はBloomZ、ウルフズベイン。
1話5分ほどの短編アニメ

異世界転生

1話冒頭からぶっ飛んだ展開を見せつけてくれる。
主人公はどうやら異世界転生したようだが、
そんなことより「温泉」に入ることを優先している。
しかも、彼に異世界のことを説明しようとしているヒロインに対し
「全裸になれ!」と命令する始末だ(苦笑)

1話5分、OPなどを抜けば実質3分ほどしか本編はない。
だからこその展開の速さだとは思うのだが、
1話5分とは言えど低予算さを感じる作画枚数の少なさが圧倒的だ。

1話冒頭の時点で1枚絵をスライドさせるようなアニメーションだったり、
申し訳程度の動きしかないようなシーンも多い。
最近のアニメのキャラデザというよりは10年か15年ほど前の
雰囲気すら感じる部分もある。

主人公がどうして異世界転生したのか、
そもそもこの世界はなんなのか。そんな事を一切説明せずに、
主人公は異世界の温泉を解説し、楽しんでいる。

ヒロインはどうやら狐の姿をした付喪神であることはわかるが、
1話の時点で情報が圧倒的に足りず、
温泉狂な主人公の行動やセリフに、ヒロインとともに惑わされる。

本来はヒロインの入浴シーンも、この作品の魅力なのかもしれないが、
温泉であるがゆえに「湯気」で隠されている領域がかなり多く、
セクシーさはあまり感じない。

経緯

2話でようやく経緯が語られるかとおもえば、そうではない。
二人が温泉に入っていると、いきなり「エルフ」が現れて襲われる。
1話から常に唐突な展開が続き、2話でも唐突な展開ばかりだ。
とりあえず転生の経緯を語ってくれと思うのだが、語ってくれない。

1話5分ほどの短編アニメではあるが、
話の区切り方もかなり雑になっており、
各話の終わりがばっさりとカットされて次の話になるという
ストーリー構成になってしまっている。

そのせいで毎話毎話「あ、終わりか」というような
あっさり感が残ってしまう。
そもそも主人公が異世界転生してしまった経緯ですら細切れだ。
2話、3話、4話と細切れで経緯が語られており、
どうにも歯切れが悪い。

この異世界では「温泉」は「死の泉」と呼ばれている。
異世界の人間は普通温泉に入らない、
そんな考えを改めさせるためにも主人公は異世界で温泉を広めようと
考える。

入れ!とにかく入れ!

1話5分という細切れ感が作品の面白さを素直に感じさせてくれず、
令和の時代が故に「湯気」で隠された領域の多さのせいで
女性キャラの入浴シーンという魅力も味脇れない。

この作品が10年、いや15年前にあれば
紳士アニメとしてもっと挑戦的に描けたかもしれないが、
2024年に作品の8割が裸の作品は流石に無理があるだろう。

主人公は温泉狂な人間だ。
だからこそ温泉を見かければ入り、温泉を目の前に服を着ている人を許せない。
どんどんと彼が入っている温泉にメインキャラが集まってきて、
彼に温泉に誘われて、入るという流れを繰り返している。

主人公もそうだが、他のキャラも深く掘り下げられるわけでもなく、
ぽんぽんとキャラクターが出てくる。
しかも、ろくに「移動」もしない(苦笑)

常に温泉に入ったまま、温泉に入っていると誰かがやってきて
会話を繰り広げて、温泉の魅力に築き、また別のキャラがやってくる。
その繰り返しだ。

本当にずーっと温泉に入っている(笑)
見ているこちらの肌がふやけそうなほど、常に温泉に入りながら
会話をし、温泉に入りながら話が進行する。
温泉から出たら死ぬ呪いでもかけられてるのか?と思うほど
常に浸かっている。

そんな温泉に入りながら、財政難なエルフの里を救うために
温泉街を作る計画が持ち上がる。
そもそも財政難なのに温泉街という金のかかることをやりだすのは
どうなんだ?というツッコミどころはあるものの、
この作品にそんなツッコミは野暮だ。

ずっと同じ温泉に入りながら7話まで進み、
ようやく8話で主人公が転生してしまった理由が語られる

引き伸ばすな

序盤でなぜか異世界転生の経緯がぶつ切りでしか描かれなかったが、
8話でようやく語られる。秘湯を探す中で彼は転落してしまい、
落下する中で鳥居を掴まなかった彼のために、
神が異世界転生させてくれている。

そんなシンプルな理由なのに8話まで引っ張っているのもわけがわからないが、
そもそも普通のアニメなら1話分ほどの尺だと考えれば
納得できなくはないが、1話で描いても良かったのでは?と感じる部分だ。

1クール全12話1話5分ほどの作品なのに
キャラクター数もかなり多く、主人公とともに異世界にきた付喪神や、
エルフ二人、更に同じく異世界に転生し王になった人物と
その側近と、話が進めば進むほど、どんどんキャラが出てくる。

8話でようやく温泉を出たのは安堵する部分だが、
「温泉街」を作るという主人公の目的も
9話の時点であっというまに出来上がっている。

いつのまにそんな作っていたんだと思うほど、
なんの脈絡もなしに温泉街がポンと出来上がる展開は驚きだ。
かなり原作から削っていることも感じられる。

主人公もかなり異質だ。
温泉狂であるがゆえに、温泉以外のことに興味がない。
同じ異世界転生者に「世界を変える手伝いをしてほしい!」と
頼まれても断る始末だ(笑)

女性がすっぽんぽんになっても、相手がスリムなボディなら
一切興奮することも興味を抱くこともない。
当たり前のように混浴し、当たり前のように服を脱ぎ、
当たり前のように温泉に入っている。

ヒロインの過去

主人公とともに異世界にやってきた付喪神には過去がある。
彼女はかつて使えていた人間が志半ばに死んでしまっている。
そのせいで誰かが死ぬことに、主人公が死ぬことに恐怖を覚えている。

付喪神は使えているものの夢が叶えばお稲荷様の元へ帰ることが出来るものの、
彼女は帰りたくはない。
だが、エルフの里の温泉街はなんの困難もなく完成してしまう。

しかし、主人公の夢は温泉街を作ることではない。
「世界中の温泉を世に知らしめる」
それが彼の夢だ、そんな壮大な夢をもつ主人公故に
ずっと彼女は彼のそばに仕え続ける。

これからも彼の温泉道は続く、ストーリー展開は異様に早いが、
そのおかげで1クールでストーリーがきちんと完結している作品だった

総評:異世界?そんなことより温泉だ!

全体的に見て、まるで僧侶枠のような作品だが、
1話5分のお手軽異世界転生アニメとして興味深い作品だった。
明らかに低予算で作られており、構図も一辺倒で
アニメーションとしての魅力はかなり薄い。

ストーリー構成もあまり褒められたものではなく、
1話1話の内容も薄く、あっさりと1話1話が終わり、
気付いたら作品全体を見終わってしまっている。

しかし、一応ストーリーが完結していることは評価したい。
温泉狂な主人公が異世界で忌避されている温泉を広めるために
異世界の住民に温泉の魅力を広め、温泉街を作り、
異世界の新たな温泉を求めて旅に出る。

シンプルではあるものの1クールで起承転結がきちんとある。
キャラクターの掘り下げの物足りなさや、
セクシーシーンの湯けむりの多さは残念ではあるものの、
本来1クール1話30分のアニメにできないような作品を、
1話5分の短編アニメでさくっと完結まで描いているのは評価したいところだ。

良い意味でも悪い意味でもお手軽な作品だ。
主人公の際立った温泉狂キャラは面白く、温泉知識などもさらっと入っている。
もう少しそのあたりをガッツリと掘り下げれば温泉アニメとしての
面白さも出たかもしれないが、1話5分の短編アニメでは無理な話だ。

作品全体の9割は裸で温泉に入っているシーンで構成されているという
インパクトがあるはずの作品なのに、そのインパクトを感じない。
「妙なものを見た」
そんな感想が浮かび上がってくる作品だった。

個人的な感想:某Vtuber

声優に一部某VTuberが起用されていることでも話題になったが、
個人的にはそこまで違和感はなかったものの、
もう一人、別のVTuberも声優として出ている(苦笑)

メインキャラに二人もVtuberが起用されているのはかなり斬新だ。
今後、そういうアニメも増えてくるかもしれないが、
果たして宣伝効果のようなものはあったのだろうか?

作品の制作経緯やVTuber起用の流れ、予算など、
色々と企画段階の会議のほうが作品の内容よりも
面白そうだなと感じてしまう作品だった

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