評価 ★☆☆☆☆(18点) 全13話
あらすじ 没落した家を再興するため、そして両親が着せられた無実の罪を晴らすため、凌霄閣(りんしょうかく)を創設した樊凌霄(ファン・リンシャオ)。 引用- Wikipedia
中国版ポケモン
原作は中国のWeb漫画作品。
監督は危天行 、制作は大火鳥文化。
日本ではフジテレビのB8station枠で放送された。
シネスコ
この作品の1話はいわゆるシネマスコープで作られている。
最近だとアークナイツなどもそうだったが、
映画と同じ比率で作っており、作画のクオリティ自体も悪くはない。
ただ、翻訳の品質なのか台詞回しなのか、話が全然頭に入ってこない。
主人公は両親の家をついでいる。
その家というか世界観がよくわからない。
巨大な獣「霊獣」と呼ばれるものを従えているのはわかるのだが、
そういった基本的な説明が1話から一切無くポンポン話が進み、
激しいカットを繰り返し、カメラもグリグリと動かしまくっている。
そのせいでシンプルに見づらい。
止め絵でみたときの作画の品質は高いのに、
アニメーションとして動かしながら見せるということができておらず、
せっかくの作画を台無しにしている。
ポケモン
主人公は「凌霄閣」というものを創設し、没落した家を建て直し、
多くの門下生的な存在が居る。
そんな彼は天下一をかけた昇格試合 に挑むことになるものの、
急に霊獣の制御が効かなくなり、命を落とすことになる。
人名も設定も全て中国語であるがゆえに分かりづらいのだが、
これをポケモンに置き換えると非常にわかりやすい(笑)
主人公の両親は無実の罪を着せられたジムリーダーであり、
主人公は没落した事務を立て直し、新たなジムリーダーとなった。
そんな彼がポケモンリーグに出場し、ポケモンマスターになろうとする。
ちなみに試合中にポケモンを進化させるメガシンカ的な技もある。
そんなポケモンリーグでの試合中に敵のポケモンを飲み込むと、
悪いポケモンに進化し、ポケモンが言う事を聞かなくなってしまい、
主人公は飲み込まれ転生してしまい、気づくと彼は1年後の
見知らぬ場所に転生しているというところから物語始まる。
中国版ポケモンをやりつつ、中国版の転生ものをやっている感じだ。
用語のややこしさや、アニメーションの見づらさもあいまって
理解はしにくいがゆえに自分で脳内変換する必要がある。
転生したことでポケモンもいなくなり、
転生した体が持ってる手持ちポケモンは「どこかでみたことがある」デザインのポケモンだ(笑)
この露骨さは中国らしくは有るが、見る気は失せる。
ナマズ
主人公が前世で使っていたナマズポケモンは、
大会での事故を理由に禁止になっており、大陸中のナマズが狩られている。
だが、別のジムリーダー「白家」の使用人的な存在に転生した主人公は、
彼女の家に唯一のこっていたナマズをゲットし、自らのポケモンにする。
自らが創設した「凌霄閣」が除名し、没落したことを知った主人公は
自らの門派がどうなるのかを探るというのが序盤の流れだ。
やりたいことはなんとなくはわかるのだが、
こちらが脳内変換して把握しようとすると、中国特有の滑りギャグが爆発する。
主人公が自らを「凌霄閣」のものだと商人に証明するために、
合言葉と決めポーズを披露するのだが、くそダサいセリフと踊りを披露する。
これをギャグとしてやっているのはわかるのだが、もう滑りすぎだ。
過去の中国アニメでも、日本のアニメではありえないような
下ネタで文化の違いを発揮していたが、
この作品のギャグでもそれをひしひしと感じてしまう。
中国の方は笑えるのだろう、だが日本人は笑えない。
翻訳の問題なども有るのだろうが、相当厳しい部分だ。
ストーリー構成
この作品は全13話なのだが、尺を余らせている。
毎話のCパートでやる5分ぐらいのストーリーを、
次の話のAパートで3分くらいお届けされてしまう、
これまでのお話的な振り返りにもなっておらず、
前話で見たシーンを毎話冒頭で見せられるというストーリー構成は
2クールや4クールのような長期の話ならば効果的な部分があるが
1クールのアニメでは尺稼ぎ以外では 普通はやらない。
ポケモン要素も露骨であり、
各町には「ポケモンセンター」みたいなものもある(笑)
主人公が作り上げたジムは一部のものを残し門下生もいなくなり、
ポケモンもろくなのがいない、ジムとして認められるためにも、
主人公は正体を隠しながら、残った門下生とともにポケモン集めをする。
ポケモンそのものな設定の多さも気になるが、
作画のクオリティもわかりやすく落ちていく。
1話の気合の入れぶりは凄まじかったが、
シネマスコープだったのも1話だけなのも意味不明だ。
どうでもいい
序盤の時点ではまだストーリー的にも作画的にも
面白さを見いだせたのだが、序盤をすぎると作画のクオリティも悪くなり、
話の内容も薄くなる。
主人公の門派にいるものたちが色々なポケモンをゲットしたりして、
試合に挑む流れになるのだが、その試合も単純なポケモンバトルではなく、
ジャンプアニメ的な試験が描かれる感じだ。
そんな試験が始まると一気にキャラが増えるのだが、
サブキャラの掘り下げもいまいちなわりに魅力が薄く、
そんなサブキャラや新キャラの話ばかりになってしまう。
主人公の物語が見たいのにそれ以外のサイドストーリーが多すぎる。
新しい設定や用語も色々と出てくるのだが、
やはりいまいち頭に入りづらい。
いかに「ポケットモンスター」という作品がうまくできているのかを
見れば見るほど感じてしまう。
アニメのポケモンの導入はわかりやすく、キャラも抑えめだ。
だが、この作品は導入からわかりにくく、キャラも多い上に設定も多い。
区別化を図るためにいろいろな設定をもり、キャラをたし
作品として個性を出そうとしているのはわかるが、
それがややこしさにつながっている。
そのせいで話が進めば進むほど
「どうでもよさ」が極まってくる。
ポケモンと違って、トレーナーへのダイレクトアタックも許されており、
ポケモンを装備してトレーナー自身が戦うことも有る。
そういった違いは有るのだが、だからといって面白くなるわけでもない。
謎
終盤で主人公が死んだ原因でも有る霊獣の暴走の
情報に少しだけたどりつくものの、1クールで明かされる情報はほぼない。
過去回想も異様に多く、主人公の物語よりも
他のキャラのストーリーがあまりにも多く、話が進まないのが原因だ。
1話と同様に最終話だけは作画に気合が入っているのだが、
肝心の物語の微妙さが際立った所で、
1話のような盛り上がりは生まれない。
最終話では主人公の中に眠る謎の霊獣が目を覚ましたりして、
今後の伏線や設定を見せている部分があるのだが、一切先は気にならない。
そもそも彼らは何のために門派を多く作り、
色々なポケモンをゲットして、門派のランクをあげているのだろうか?
根本的な部分、世界観に疑問すら感じてしまう。
B8station枠の中国アニメは2期をやることも多いのだが、
2期があっても見ないなと感じてしまう。
中国アニメは日本のアニメを超えると10年以上前から
ちょくちょくと言われている、
確かに作画のクオリティに関しては上がっているが、
物語のクオリティはまだまだであることを感じてしまう作品だった。
総評:これがパルワールドってやつですか?
全体的に見て微妙な作品だ。
中国アニメもここ10年ほどで色々と進化しており、
面白い作品も生まれているが、ごく一部に過ぎず、
結局こういった「日本作品」のありとあらゆる要素をかけ合わせたような
ジェネリック的な作品がまだ生まれている。
序盤の段階ではポケモン的な要素に転生要素合わせて、
中国らしい感じに仕上げている面白さがあるが、
中盤くらいになると化けの皮がはがれ、結局はかけあわせただけの何かにすぎず、
かけ合わせたからこその面白さが生まれていない。
もう1歩、何かあれば印象も変わるかもしれないが、
その1歩がなかなか踏み込まないのが中国アニメだ。
作画に関しても1話と最終話はいいものの、
それ以外は普通以下だ、気合の入れ方のバランスは
やり方としては正しいかもしれないが、
1話との落差、雰囲気の違いが大きすぎるのは気になるところだ。
ストーリーや用語のわかりづらさは、もう少しローカライズが
しっかりしていれば違ったかもしれない。
フジテレビはわざわざ中国アニメ枠を用意しているのに、
このローカライズのわるさもあり、日本人だと楽しみづらい作品に
なってしまっている。
中国アニメも面白い作品がちらほら生まれてきたが、
日本アニメを超える日はまだまだ遠そうだ。
個人的な感想:露骨
序盤でポケモンセンターみたいなのがでてきたときは
流石に笑ったが、そのあとはストーリーのグダグダもあり、
いまいち楽しめずに終わってしまう作品だった。
設定的に色々とストーリーが長く続きそうだが、
先が気にならないというのは致命的だ。
そういった部分はありつつも、久しぶりに中国アニメらしい
「パッチワーク」を見せられて、
個人的には満足な作品だった(笑)



