評価 ★★☆☆☆(30点) 全113分
あらすじ 18世紀後半のベルサイユで出会った彼らは、激動の時代に翻弄されながらも、それぞれの人生を懸命に生きぬいていく。引用- Wikipedia
大失策!大爆笑 ?大感動!?
原作は漫画な本作品。
1979年にアニメ化されたことがあり、
長い間リメイクなどはなかったものの、2025年に映画化された。
監督は吉村愛、制作はMAPPA
尺
見る前から気になっていたのは尺の問題だ。
原作は全10巻、1979年のTVアニメは全40話で描かれており、
映画という2時間ほどの尺で描くにはなかなか厳しいものがある。
フランス革命を舞台に描いた有名すぎるほど有名な作品だ。
マリーアントワネットとオスカル。
この二人の物語がどう2時間で描かれるのか。
色々な意味で気になる作品だ。
見たことがない、読んだことがない人でもタイトルくらいは聞いたことがあるはずだ。
私個人としては過去にTVアニメを見たという記憶ぐらいで、
いわゆる「にわか」であることを踏まえてレビューをご覧いただきたい。
マリーアントワネットとオスカル。
この二人の物語がどう2時間で描かれるのか。
ミュージカル
オスカルは男装の麗人だ。
子供の頃からマリーアントワネットに仕える騎士になるために修練に励み、
彼女を王妃にするためにオスカルは彼女に仕える。
その話の流れ自体は原作やアニメどおりではあるものの、
唐突に挿入歌を流しながらダイジェストで一気に進めてしまう。
マリーアントワネットの日常シーンをミュージカル的に見せたいのは分かるのだが、
その曲があまりにも「最近の曲」すぎて「ベルサイユのばら」という
作品の雰囲気とまるであっておらず、思わず「は?」と言ってしまうほどだ。
その曲の中であっという間に時間が流れ、
オスカルとマリーアントワネットとのからみもガンガンに描かれる。
映画が始まって10分もたっておらず、その前にがっつりとOPまで
やっているのに、また曲が流れてダイジェストが描かれるのは悪手でしかなく、
キャラクターへの没入感が生まれにくい。
そんなダイジェストが終わったかと思えばまた曲だ。
序盤、マリーアントワネットはお忍びで仮面舞踏会に出かける。
またろくにセリフもない中で曲を流しながらダンスするシーンを見せられる。
もう序盤の段階でいい加減にしろといいたくなるほど音楽を使いまくりだ。
舞台
ストーリーをまとめるためにダイジェスト的になるのは
仕方ないところではあるものの、あまりにもダイジェストすぎるうえに
そのダイジェストの使い方もうまくない、シンプルに音楽も良くない。
監督自身がこの作品の映画化にあたり宝塚による
「ベルサイユのばら」の舞台を観劇し、
ベルサイユのばらとの距離が近づいたと話している、
つまりは2,3時間でこの作品を収める手段を舞台で見出したのだろう。
その結果がミュージカル的なダイジェストだ。
ダイジェストだからこそ、一人ひとりのキャラクターの心理描写が浅い。
オスカル、アンドレ、マリーアントワネット、フェルゼン。
この4人の関係性、どれもこれも希薄であり、深い心理描写をせずに
「K-POP」的な曲でダイジェストで見せるのはあまりにもきつい。
せめてもっとこの作品に合う曲を使ってくれと
曲が流れるたびに叫びたくなる。
ダイジェストじゃなく、キャラクターが自ら苦悩しているようなシーンでも
曲が止まること無く、誰かよく知らない歌手が熱唱している。
あまりにもノイズでしかない。
とんぼ返り
フェルゼンがスウェーデンに戻ったと思ったら、すぐに戻って来る。
4年間という月日があまりにも一瞬であり、とんぼ返りすぎる。
アントワネットへの思いを抱えながらもフェルゼンは彼女へ思いを断ち切ろうとする。
彼女は王女であり、人妻だ、許されることはない。
だが、二人の思いは止まらない。
ここでもミュージカル的なシーンになり二人が歌い上げる。
これならば宝塚を見たほうが色々な意味で楽しめるだろう。
あまりにもダイジェストすぎて表面上の描写にしかなっておらず、
キャラの深いところまで掘り下げきれてない。
だからこそただのミュージックビデオになってしまっている。
挿入歌のあまりの多さに辟易してしまう。
ちなみに曲数を調べたら「15曲」もあった(笑)
前半は感覚的に5分に1回なにかしらの挿入歌が流れている。
異様すぎる。
10回ほどダイジェストにしなければ描けない作品なのは分かるが、
映画としては大失策だ。
「君の名は」以降、主題歌を使ってダイジェストをやる手法が流行ったが、
あれを10回もやるのは異様だ。
あまりにもひどすぎて中盤くらいになると曲が流れるたびに笑ってしまう。
原作力
しかし、それでもこの作品は楽しめてしまう。
曲の問題、ダイジェストの問題はあるものの、
ストーリーは間違いなく面白い、だからこそ見れてしまう上に、
話が進めば進むほど「ベルサイユのばら」の世界観にのめり込んでいく。
混沌とするフランス、複雑な人間関係。時代の波に飲み込まれながら
自らの思いを隠し、自分の信念を貫き通そうとする彼女たちの生き様に、
自らの中にある愛に気づきなら、自覚しながらも、
それをまっすぐに貫けないもどかしさがキャラの魅力になる。
どんどんと引き込まれていく。だが、それは「原作」の力だ。
前半に比べて後半は挿入歌も一気に減るため見やすくなる部分もあるが、
決してこの映画の力ではない。
それなのに終盤は思わず涙腺を刺激されてしまう。
圧倒的な原作力を叩きつけられたような気分になる作品だった。
総評:超大作を無理矢理2時間に収めた結果
全体的に見て映画としては失敗している作品だ。
原作のストーリーを2時間ほどの尺にまとめるのは難しいのはわかるが、
それをどうにかするために前半から中盤にかけて超絶ダイジェストを
しながら作品の雰囲気に合わない挿入歌を流しまくるのは悪手でしかなく、
中盤くらいになると曲が流れるたびに一周回って笑ってしまうくらいだ
私はにわかであるものの、最低限、にわか知識か
原作を読む、TVアニメを見ていなければついていきづらい
ストーリーになっており、カットしている部分も多く、説明不足も多い。
この映画を見ただけでは「なぜオスカルが男装をしているのか」という
前提条件すら伝わっていない。
それでも終盤、思わず涙腺を刺激されるのは
原作の強さと声優の熱演があったからこそであり、
映画の、アニメーションの力では決してない。
アニメーションのクオリティとしてもあまり高い方ではなく、
美術周りは素晴らしいのだが、映画館で見るレベルではない。
もともと企画段階で無理があった作品だ。
ベルサイユのばらを2時間に収めるなんて無理がある。
本来は3本くらいでやらなければならないものを1本にまとめるには
挿入歌を入れまくるダイジェストにするしかなかったのはわかるが、
そこまでして映画化する意味はあったのか謎だ。
原作は名作なだけに、いつかきちんとした形でのリメイクや
映画化されることを願いたい。
個人的な感想:平野綾
マリーアントワネットを平野綾さんが演じており、
そのせいか余計にミュージカルっぽさが強まっている印象だ。
ミュージカルをやりたいならやりたいで、そこに振り切ればいいのに、
挿入歌で終わったり、キャラが歌いだしたりとどっちつかずなのも
この作品の悪いところだ。
個人的にはあまりに曲が多すぎる上に雰囲気に合ってなさすぎて
序盤は「はぁ?」となりながら中盤では笑いに変わり、
最後は少し涙腺が緩んでいる。
そんなとても不思議な体験を味わえる作品だった




