評価 ★★☆☆☆(35点) 全139分
あらすじ 大嫌いだった姉を亡くした35歳の小説家・高代槙生は、姉の娘である15歳の田汲朝に無神経な言葉を吐く親族たちの態度に我慢ならず、朝を引き取ることに。 引用- Wikipedia
アニメは名作、実写は微作
本作品は違国日記の実写映画作品。
監督は瀬田なつき、制作はジャンゴフィルム、東京テアトル。
暗い
映画冒頭から暗い、邦画特有のくらい画面で雰囲気を作るタイプの
演出であり、役者たちの「ボソボソ」とした演技も相まって、
ひたすらに暗く重い。
「槙生」というキャラクターにも違和感がある、
これは私がアニメを先に見てしまったせいなのもあるが、
明らかに「139分」という尺に収めるための改変がかなり目立ち、
原作やアニメではあった細かいシーンが序盤からカットされている。
そのせいで後で言うセリフを先に持ってきたり、
逆に先にいうセリフを後で言っていたりする。
そのシーンに必要だからこそのセリフを好き勝手にいじっているせいで、
そのセリフを言うキャラクター描写そのものの違和感も生まれている。
槙生と朝、叔母と姪、互いに存在走りつつも会話をしたことがなかった二人だ。
そんなぎこちない中でも槙生は朝に何気なく寄り添い、
一緒にご飯を食べる。
それは序盤は印象的なシーンだったが、ざっくりとカットである。
「あなたの感じ方は あなただけのもので 誰にも責める権利はない 」
槙生というキャラを象徴するかのようなセリフだ。
そんな彼女が「かなしい」かどうかを朝に聞くシーンが有る、
戸惑う朝に対し、「別に変じゃないよ」と答えるのは原作やアニメも同じだが、
その後のセリフがない。
悲しくなる時が来たら、その時に悲しめばいい。
共感はしないが寄り添う、それが槙生だ。
槙生も自分の感情を朝にぶつける、血縁をなくしたという状況で
初対面な二人の交流が始まる貴重なシーンだ。
だが、そこが実写にはない。
乾いた寿司
たらい回しにされそうな朝を槙生は葬式のさなかで引き取ることになる。
この帰り道に「乾いていない寿司」を食べるということも
槙生というキャラクターを象徴させるものだ。
だが、実写にはそんなセリフすらない。
早々に家に帰り「片付いていない部屋」を「槙生」が気にする。
槙生は孤独だ、しかし、孤高だ。
片付いていない部屋を他者に見せることを恥ずかしがったりせず、
葬式ででてくる寿司に文句を言う、それが槙生だ。
実写の槙生は違国日記の槙生ではない、ただ不機嫌なガッキーだ。
槙生というキャラクターの面倒くささの裏にある魅力を
実写ではまるで感じない。
そんなキャラクターではない。
「槙生」は一般的には駄目な大人ではある、
だが、大人としての余裕、35歳まで生きてきたからこその哲学が
しっかりと有るキャラクターだ。
しかし、実写ではそういった哲学を感じない。
ただただ不機嫌で無表情なガッキーがそこにいる。
カットカット
とにかくカットの嵐だ。
この作品は細かい描写の積み重ね、日常の積み重ねが大事な作品だ。
親をなくした少女と、孤独な大人、その二人が出会い、二人で暮らす。
そんな日々の中での二人の変化を感じられる積み重ねが重要だ。
しかし、この作品にはそれがない。
とにかく早く話を進めたい。
そんな監督や脚本家の声が聞こえるかのように、
常に彼らの右手にはハサミが握られ、左手には原作漫画が握られている。
違国日記の映画として最低限まとまる形にザクザクザクザクときりさき、
時にキリすぎた部分を無理矢理繋げている。
だからこそガッキー、失礼、「槙生」 の変化が唐突だ。
ずーっと不機嫌だ、「槙生」 は不器用な大人であり、
普通の大人ではない、だからこそ普通の大人と言われる母を
見つけてきた朝とぶつかることもある。
だが、それはそれとして互いを尊重する、
同じ国に暮らしていても違う国に生きようとするのが
「違国日記」のキャラの魅力のはずが、
同じ国に暮らし、同じ国に生きてしまっている。
サブキャラ
そのカットの嵐で犠牲になるのがサブキャラたちだ。
エピソードが全て軽い、描写も浅い。
だからこそ原作やアニメにはあったサブキャラの魅力がない。
笠町と槙生の関係性はもっと複雑で大人だ。
だが、映画ではかなりシンプルになっており安っぽい。
ダラダラとしたテンポ感でありながら、
エピソードのツギハギ感が強く、
そのせいで「朝」の変化は見えてこない。
朝の友達である「えみり」の
同性愛描写もかなり唐突で突飛だ。
終盤
2時間20分という尺で違国日記という作品を描くためには
仕方ないことなのかもしれないが、
この中途半端なツギハギ感が気持ち悪さを生んでいる。
特に終盤の終わり方はかなりあっさりしており、
サブキャラとの関係性が薄いからこそ、
描かれていない、描いていないことが多く、
話が進めば進むほど違和感が強くなる。
ラスト、終わり方すらあっさりしており、
これで終わり?となってしまう物足りなさが
残ってしまう作品だった。
総評:ガッキーが2時間不機嫌な映画
全体的に見て、私自身がアニメを先に見てしまったのがまずかった。
1クールのアニメに対して、映画は映画の尺に収める技量が求められる、
アニメが全13話1話20分、約260分の尺に対し、
映画は139分と半分しかない。
だからこそ原作のセリフの良さ、会話の良さ、雰囲気の良さ、
そういったものが実写映画では箸でかいつまんだかのようなものでしかなく、
違国日記なのに違国日記ではないという違和感が強烈に生まれる。
実写邦画特有のセリフのボソボソ感、画面の無駄な暗さ、
映像のつまらなさが顕著にでており、
ただでさえ起伏の薄いストーリーであるがゆえに、
余計にその起伏がなくなり、味が薄い作品になってしまった。
配役自体はそこまで悪くなかった部分はあるが、
むしろ新垣結衣さんが主演だからこそ、2時間持った感もあると同時に、
新垣結衣さんが主演だからこそのキャラの改変も感じられる部分がある。
たまに笑うことは有るものの基本的に不機嫌な顔をし続ける
新垣結衣さんを2時間見続ける、そんな映画だった。
厳しい作品だった。
個人的な感想:実写
最近、爆弾を見て以来、実写邦画に色々と手を出しているが、
この作品を見ると実写邦画に対する苦手意識がまたでてきそうになってしまった。
食べず嫌いせずに挑戦し続けているが、
果たして克服することは出来るだろうか。
そろそろ私が苦手な少女恋愛漫画の実写化にも手を出したいところだ(笑)




