評価 ★★★☆☆(48点) 全12話
あらすじ アレク・ユグレットは、ある日エルダス・ミヘイラという男に出会い、魔法を教わり自身の才能に目覚めていく。
数年後、魔法学院を首席で卒業し、宮廷魔法師となったアレク。 引用- Wikipedia
なろうの灰汁抜き
原作は小説家になろうな本作品。
監督は高橋賢 、制作は月虹
補助
この作品はなろう系ではあるものの「異世界転移」や「異世界転生」ものではない。
魔法があるファンタジーな世界、そんな世界でエルダスという
宮廷魔術師に魔法を習った主人公は宮廷魔術師な師匠と別れ際に
「宮廷魔術師にだけはなるな」と言われたものの、
成長した彼は宮廷魔術師になっている。
成長して師匠が追放されたことをしった主人公は
「宮廷」を変えるために「宮廷魔術師」になったものの、
王子から首を言い渡されるというところから物語が始まる。
いわゆる追放ものと呼ばれるジャンルだ。
追放ものの多くは「追放した側」が追放した主人公の実力を見誤っており、
主人公自身もそんな実力を自覚していなかったりするものの、
追放されたあとに真の実力を発揮して…という展開がほとんどだ。
この作品も王子が「補助魔法」の重要さを理解しておらず、
王子のパーティーも同じ感じのいつものやつだ。
だが、この作品はいつものやつではあるものの、裏付けがきちんとなされている。
追放する側は「貴族」だ、貴族であるがゆえに平民を下に見ており、
その価値観の違いもあって主人公の実力が認められていない。
宮廷を変えることができなかった主人公はかつてのパーティーと再会する。
仲間
多くの追放系は追放されたあとに奴隷などを囲いまくって
ハーレムパーティーを作るというのがお約束だが、
この作品の場合は少し違う、かつてパーティーをくんでいた仲間と再会し、
かつてのパーティーに所属する。
ご都合主義な奴隷という要素がでてこないだけで自然なストーリーを展開している。
宮廷魔術師として仲間を信じることができなかった主人公は、
かつての仲間と再会したことで「冒険者」としての自分を思い出す。
決してチートではない、信頼できる仲間、強い仲間がいるからこそ、
背中を任せ彼も実力を発揮できる。
彼らのパーティー名「ラスティングピリオド」という名前と、
円陣を組んでそれを大声で叫ぶさまはダサさを感じるものの、
いわゆるなろう系な要素はありつつ、きちんと説得力のある
物語を展開している。
「ギルドで主人公が力を見せる」という展開もなろう系ではよくあるが、
大体が主人公がチートな力を見せつけ
「俺なんかやっちゃいましたか?」と笑みを浮かべる展開ばかりだ。
しかし、この作品はきちんと腕試しの相手も強い。
主人公だけがチートで、主人公を崇め奉る、そういったいわゆる
イキリ展開がないからこそ引っかかりが生まれにくく、
こういった「なろう系」で嫌われやすい箇所を
この作品はあえて抜いて描いているような印象がある
戦闘シーン
戦闘になってもその「なろうの灰汁抜き」がうまく行っている。
主人公もかなり強く、チートのような魔法を持っているものの、
彼の仲間も十分に強い、だからこそ主人公だけが活躍し、
「主人公すごい!」と称賛する流れにはならず、
パーティー全体で協力して勝利を掴む流れが生まれている。
主人公たちだけのパーティーがすごいというわけではなく、
ほかの冒険者も決して「当て馬」の使い捨てキャラで終わっていない。
序盤では「石田彰」氏演ずるクセの強い補助魔法使いがでてきたりと、
きちんとこの作品らしい世界観とキャラ作りがなされている。
なろう系特有の「太鼓持ち」がいない、それだけで
まともなストーリーが展開している。
本来はストーリーとはこうあるべきだ、そう言わんとしてるような
脚本づくりがきちんとなされている。
追放
追放系の宿命として追放した側が主人公の前に再び現れて、
主人公を逆恨みして闇落ちして死ぬみたいな展開がお約束になっている。
もう2万5千回は見た展開だ。
だが、この作品は違う。
貴族として植え付けられた価値観、それが簡単に変えるのは難しい。
しかし、自分が負け、傷つき、間違っていたことを感じたからこそ、
王子もまた変わろうとする。
安易なストーリーではなく、キャラを使い捨てにしない。
ヒロインもメインヒロインは一人だ、ハーレムにすらならない。
ここまでわかりやすく「なろうらしさ」を排除している「なろう」は
逆に新鮮さすら感じてしまう。
作画はそこまで良くはないが、悪いわけでもない。
いい意味で普通だ、その普通さ、普通に楽しめる作品というのが
「なろう系」というジャンルにおいては希少になっているがゆえに
新鮮に感じてしまうのだろう。
闇ギルド
この世界はダンジョンというものがあり、多くの冒険者が
そんなダンジョン攻略に勤しんでいる。
ギルドに登録して冒険者になってーというのは、よくある設定だが、
そんなギルドに対して闇ギルドなるものが中盤から暗躍し始める。
なぜか闇ギルドに狙われるヒロインだったりと、
序盤の序章を経て、中盤からストーリーが本格的に進む印象だ。
ただ序盤はサクサクとストーリーが展開していたのに対し、
中盤からは戦闘シーンが多く、戦闘する相手も多く、しぶといため、
テンポが明らかに落ちる。
1クールのラスボスともいえる「剣聖」との戦いのなかで
主人公が「必殺技」的な技を放つという展開は
1クールの盛り上がりとしては悪くはないのだが、
あくまで悪くない止まりになっており、
ここから面白くなっていきそうな所で1クールが終わってしまっているのは残念だ
総評:絶望の中に見えたなろう系の希望?
全体的に見て堅実な作りをしてる作品だ。
ストーリーの組み立て方、見せ方などは平成のラノベ原作アニメの
作り方をしており、そこになろう系的な要素を入れている。
そのなろう系の要素の嫌われやすい部分、引っかかる部分を
丁寧に灰汁抜きすることでこの作品らしい面白さが生まれている作品だ。
非常に丁寧ではあるが、その分、派手さにかける部分はある。
作画も悪くはないが特別に良くもない、それがより地味さに拍車をかけており、
序盤の1話や2話では面白さが伝わりにくい部分もあり、
そういう意味でも平成のアニメっぽさがある作品だ。
本来は2クールかけて描かれる作品なのだろう、
1クールという現代のやりかたでは序章も序章で終わっており、
それが本当にもったいない。
ただ、なろう系でもこういう堅実な作品づくりがなされているのは、
ここ最近のなろう系の有象無象さを味わったあとだと
染み渡る部分もあり、こういうなろう系がもう少し増えてくれれば…
と感じてしまう作品だった。
個人的な感想:スレイヤーズ?
サブキャラの補助魔道士が石田彰さんで、
主人公の師匠を緑川光さんが演じており、個人的には一瞬、
スレイヤーズがよぎってしまった作品だった(笑)
主人公のチート、強さにもきちんと代償があり、
そういう説得力がきちんとある物語を1クール楽しむことができ、
ここ最近、ちょっとなろう系にいい加減飽きてしまっていただけに、
少し希望が生まれた作品だった。
2期があるかどうかはわからないが、この続きを
ぜひ、アニメで見てみたいところだ。




