評価 ★★☆☆☆(28点) 全12話
あらすじ 本作ではケイジがタイムループの中で出会う女性戦士リタを主人公にした、新たな視点で描く。 引用- Wikipedia
ChaOってやがるぜ!
原作は小説な本作品。
監督は秋本賢一郎 、制作はSTUDIO4℃
キャラクターデザイン
見だして感じるのはキャラクターデザインのクセだ。
同じ制作会社の「ChaO」ほどではないにしろ、
主人公の赤髪くせ毛で人相の悪いキャラクターデザインは
素直に「かわいい」や「かっこいい」とは言いづらいデザインになっている。
日本で公開された日本のアニメ映画ではあるものの、
どちらかといえば海外で制作されたアニメ映画のような印象が強く、
途中から出てくるもう一人のメインキャラや、サブキャラ、
モブキャラに至るまで日本のアニメ的なビジュアルのキャラはほとんどいない。
わざわざ原作でヒロインだったキャラを主人公に変えて
ここまで癖のあるキャラクターデザインにしたのは
何らかの意図を感じる部分であり、
最近のSTUDIO4℃の傾向からするに海外受けを意識したものなのだろう。
その結果、女性を主人公に、キャラクターデザインも
それっぽくし、なおかつ原作も大胆に改変している。
ループ
この作品はいわゆるループものだ。
地球に謎の宇宙生物が飛来するものの、特に何も起こらず、
人類はその除去作業や研究にいそしんでいる。
主人公は除去作業員の一員として仕事をしていたところ、
唐突に宇宙生物から謎の生物が大量に飛来し、そんな生物を
ぎりぎり1匹たおしたところ、気づくと当日の朝、目覚める時間に
ループしていることに気づくというところから物語が始まる。
この時点で原作や映画、漫画とはだいぶストーリーが違う。
そもそも原作などでは宇宙生物と戦ってる段階から物語が始まっており、
本作のように敵かどうかすら認識されておらず、
戦っていないという状況ですらない。
だからこそ主人公であるリタがループし、周囲に
未来で起こることを話しても誰も信じてくれず、
逃げようとしても敵に殺され、自分で命を絶っても、
結局はその日の朝に時間が巻き戻ってしまう。
ループものとしてはわかりやすい始まりであり、
戦う決意をした主人公が何度も試行錯誤しながら
「生き残り」「助けて」「ループから抜け出す」方法を模索する
流れ自体は悪くないのだが、問題は見せ方だ。
何度も何度も何度も
ループものであるがゆえに何度も同じ状況を繰り返すのだが、
これがこの作品の場合はかなりしつこい。
例えば序盤で「逃げる」ということを試すのだが、
2回ほど車で逃げて、最後には船でも逃げる。
3回くらい逃げるパートを見せられる。
1展開1展開、1ループ1ループがかなり短いため、
テンポ感自体は悪くなく、サクサクと進む印象ではあるものの、
同じようなシチュエーションをあまり工夫なく、
しつこく見せられることが多く、それゆえに見ていて飽きる。
その映像にも工夫がない、特に「主観映像」は馬鹿の1つ覚えに使う。
とにかく主観映像だらけだ、主観映像主観映像主観映像、
なにかあれば主観映像を挟むことでそれっぽい映像にしているのはわかるが、
それっぽいだけで主観映像にする意味を感じない。
繰り返し繰り返し
戦うことを決めた主人公はまずはパワードスーツの使い方を覚える。
時間は1日しかない、経験値と知識こそが武器だ。
何度も死にながらパワードスーツを使いこなし、今度は攻撃手段を
いろいろと試す、何度も何度も同じようなシーンを繰り返すものの、
なかなかうまくいかない。
そんな流れを40分くらい繰り返して、
ようやくもう一人のメインキャラであり、
原作などでは主人公である「ケイジ」が出てくる。
このケイジもかっこいいとはいえない何とも言えないキャラデザだ。
いわゆるボーイミーツガール的な展開にしたいのはわかるが、
そこに至るまでの展開が遅すぎて尺の半分使ってしまっているのは
やや致命的であり、癖のあるキャラデザのサブキャラなどもいるが、
ほとんどいる意味もない。
ケイジ
この作品の問題点の1つがこのケイジだ。
原作では1兵士だったが、今作ではいわゆるメカニック的な
ギークボーイだ、そんな彼も主人公と同じくループに巻き込まれており、
二人でループを脱出することになる。
もう少し早い段階でこの展開にしてほしいと思うのだが、
このケイジがあまりにも優秀すぎる。
二人で状況を打破するためにまず戦力を補わなければならない、
そのためにまずパワードスーツのプログラムをアップグレードし、
なおかつパワードスーツ自体も改造する。
ここまではまだいい。
さらに人工知能搭載のドローンやサポートロボット、
はては「重機」が合体したようなロボットまで作り上げている。
この作品は「ループもの」であり、
二人のどちらかが死ぬことでループが発生している、
そのループは1日のことだ(苦笑)
ケイジはたった1日でドローンを大量に改造し、
サポートロボットを作り、重機が合体したロボットを大量に生み出している。
ループすればその間に作ったものはもちろんリセットされる、
それなのに彼は大量のロボットを戦場に導入しており、
いったいどういうスケジュールでやってるんだと
突っ込みたくなってしまう。
創作物に現実的ではないというツッコミは野暮であることは
わかっているが、それをわかったうえでも現実的ではないと
突っ込んでしまうほどケイジの優秀さには頭を抱えるしかない。
改変
様々な部分で改変がされている本作だが、
制作側のやりたいことはわかる。
ボーイミーツガール、ジュブナイルとループという変わらない1日と
「変わらない自分たち」を比ゆ的に描いている。
主人公は閉塞感を感じている少女だ、他者を拒絶しながら生き、
その根底には母の虐待がある。
もう一人の主人公であるケイジもまたいじめを受けてた過去がある。
そんな二人がボーイミーツガールで、ジュブナイルをして
ループという変わらない日常から抜け出し、変化という成長を描く。
やりたいことはわかるが、それをオリジナルでやるならともかく、
他人の作品を改変してまでありきたりなボーイミーツガールと
ジュブナイルに落とし込んでしまうのは悪手としかいいようがない。
エンディング
わざわざ原作も、漫画も、映画もヒットした平成の作品を
「令和」にアニメ映画としてやる意味をこの作品からは
まったくもって感じない。
特に終盤の話の雑さはノイズでしかない。
自分たちがなぜループに巻き込まれたのかが、唐突に博士に聞きに行ってわかる。
もっと早く聞きに行けよといいたくなるが、
その博士によって残りのループ回数は1回か2回で、
それまでに敵のボスを倒さないと二人が取り込まれるという展開になる。
それまで150回以上ループしてきて、急に残り2回となる展開も
首をひねる部分で、そのボス戦と「自己犠牲」が
なんかよくわからないご都合主義で強引にハッピーエンドになっている。
このあたりは実写映画版もそうだったが、
じうっ者映画版は納得できる理由がきちんとある一方で、
この作品にはそれがなく、腑に落ちないまま映画が終わってしまう。
総評:自己満足で始まり、自己満足で終わる
全体的に見て微妙な作品だ。
確かにアニメ、作画自体のクオリティという意味では高い。
フルCGであること感じさせないセルルックスタイルの作画、
1シーン1シーンどこを切り取ってもまるでアートワークのようだ。
だが、だからといってアニメとして面白いとはならない。
確かに良く動くのだが、よく動くだけで
「ここのシーンが印象的だ!」というシーンがほとんどなく、
戦闘シーンもどれも盛り上がりに欠けてしまっている。
芸術性は高いが、それと同時に娯楽性を失っている印象だ。
ストーリーも原作改変を前提にいろいろな要素をぶち込んでいるが、
その要素を詰め込んだ結果、没個性な作品に仕上がっている。
ボーイミーツガールなタイムリープでセカイ系。
どれもこれも平成に擦り倒した要素でしかない。
あえてALL YOU NEED KILLという作品を今、アニメ映画にする。
その意味合いがまるで感じられない。
これならば原作や漫画、実写映画で十分だ。
10年前にこの作品があれば違ったかもしれないが、
2026年にあえてアニメ映画にする意味を感じない。
結局はALL YOU NEED IS KILLという作品は出汁にすぎない、
制作側の「俺たちの技術!芸術を見てくれ!」というだけにすぎず、
制作側の自己満足で終わってしまっている作品だ。
その自己満足が面白い作品もあるが、この作品は自己満足が
自己満足で終わってしまっており、面白さにはなっていない。
STUDIO4℃の最近の作品の傾向らしさがあふれており、
せめてChaOのようにオリジナルでやってくれと思ってしまう作品だった。
個人的な感想:芸能人声優
主人公はいわゆる芸能人声優ではあるものの、そこの違和感は少ないが、
サブキャラに大量の芸能人がいる。
「もう中学生」など「もう中学生」そのままであり、
そこは笑ってしまったが、それ以外はどうにも釈然としない作品だった。
原作では主人公のケイジがいいキャラクターであり、
彼が出てきてからは多少、没入感が生まれたが、
彼の有能すぎる部分や終盤のゴチャとした感じなど、
飲み込めないものがずっと口の中にあるような作品だ。
STUDIO4℃はこのままこのテイストで行くのだろうか?
いつか名作が生まれそうな感じはあるものの、
そこに至る前に会社がつぶれそうにも思える。
この綱渡りの中で名作にたどり着けるか…気になるところだ。



