「日本沈没2020」レビュー

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サスペンス
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評価 ☆☆☆☆☆(4点) 全10話

あらすじ
2020年、平和な日常が続く日本を襲った突然の大地震。都内に住むごく普通の家族、武藤家の歩(あゆむ)と剛(ごう)の姉弟は引用- Wikipedia

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脚本沈没

本作品はNetflixオリジナル作品。原作は小説。
何度か実写で映画化やドラマ化もされている作品だ。
監督は湯浅政明、製作はサイエンスSARU

地震


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

1話、何気ない日常が冒頭で描かれる。
飛行機で日本に訪れる人、陸上部で走っている女の子。
そんな何の変哲もない日常から長い長い「地震」が描かれる。
日本人なら誰しもが「胸に来る」地震の猫写だ。

長い地震の気持ち悪さ。地震というものに慣れてしまってるがゆえの日本人の反応。
「震度4」くらいなら気にしない。
日本人にとって地震というものは当たり前のものだ。
しかし、そんな日常的な地震の中で更に震度7の地震が起きる。
大きな地鳴り、ありとあらゆるものが崩壊し、崩れ去る。

慣れているがゆえに日本人は地震に油断している。
そんな油断をつくような震度4からの震度7の地震。
いつかこんな日が訪れるかもしれない。
そんな恐怖感を煽るような地震の描写はシンプルであるがゆえに
ストレートな恐怖を感じる。

目の前で死んでいる友人、容赦のない怪我の猫写。
Netflixという地上波よりも規制のゆるい媒体だからこその、
容赦のない猫写の数々が生々しさを強く感じさせる。

地震が起きた街中を走り抜け、家に帰ろうと必死になる父親の姿は
「あの日、あの時」を思い出す人も多いはずだ。
繋がらない電話、繋がらないLINEに胸を締め付けられる。

ただ、この時点で色々と映画の「日本沈没」からかけ離れている。
映画の日本沈没は簡単に行ってしまえばシン・ゴジラのような作品だ。
怪獣が出るかでないかという違いはあれど、
政治家や学者などが多く登場する作品であり、未曾有の災害に
いかに立ち向かうか。

災害というものを政治というマクロなもので描いたのがこれまでの日本沈没だ。
しかし、この日本沈没2020は1つの家族というミクロなもので描いている。
だいぶ視点が違っている。

「田所博士」や「小野寺俊夫」など実写や原作ではメインであり
主人公だったキャラクターの名前も出ているものの、
あくまでメインは庶民たちだ。
これまでの日本沈没で描かれなかった部分を描こうとしているのがわかる。

沈没


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

どんどんと日本が沈没していく。人々が大きなコミュニティから、
それぞれの考えから小さなコミュニティになっていく。
何が正しい情報なのか、軍や政府からの情報はまるでなく、
自分たちが収集した情報をもとに行動するしか無い。
食料も水も、自分たちで探し出すしか無い。

大きな災害になって「モラル」と「秩序」が崩壊していく。
個々のサバイバル能力が問われ、社会が機能しない中で
それぞれが生き抜こうとする。
政府や博士ではなく、庶民である彼らの視線で災害を描いている。

はずだった。間違いなく2話の中盤くらいまではこの作品は面白さがあった。
だが、もう2話の終盤からこの作品が意味がわからなくなる。
なにせ突然、主人公の父親が爆発する。

本編を見ていない人にとっては意味不明でしか無いと思うが、
私は何も間違ったことを言っていない。
父親が爆発する。芋掘ってたら不発弾があって爆発する(苦笑)

驚くほど、あまりにも唐突すぎる展開にあっけにとられ、
ちょっと笑うしか無い。これはもしかしてギャグで、
父親が「いやぁまいったまいった」といいながらチリチリになった髪で
でてくるのかと思いきや、そのまま父親は死んでしまう。
ちょっと展開が唐突すぎて理解がまるで追いつかない。

父親の死を悲しむ様子は一切なく、娘は娘で母親にガチ切れしている。

「お父さんが死んだのは私のせいなんだ!ほんと最低!
 さわんないでよ臭いんだから!」

とキレまくる。見てるこちらとしてはお父さんが爆発した事実を
まったくもって受け入れきれてないのに、登場人物たちは
ガチ切れしながら喧嘩をしている。

暴力


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

お父さんの代わりに新しいメンバーも入る。
彼はこの状況だからこその法律を無視した行動を取りまくり、
女を襲おうとするが、失敗する。
過剰なまでの暴力表現は正直言ってシンプルに不愉快だ。

襲いかかる男性も、それに歯向かう女性もどちらも過剰なまでの暴力を
はたらいており、それが見ていて別に面白くはない。
ただ、ただただ不愉快な表現だ。

人が死ぬシーンもあまりにも多くあっけない。
さっきまで元気でメインキャラのような振る舞いをしてキャラが
なんか知らないが有毒ガスで死ぬ。

地震による災害で日本が沈没して死ぬのではなく、
不発弾や謎の有毒ガスで死んでいくキャラクターたちの突然すぎる
死を見ている側はどう受け止めていいかわからない。
あまりにも脈絡のない唐突すぎる死が多すぎる。

悲しみに暮れるシーンも少なく、キャラクターが死んだ後に
ぜんぜん違う話をしだすキャラのサイコパス感も凄まじく、
話が進めば進むほど話にもキャラの心情にもついていけなくなる。

親切なYouTuberが道案内をしてくれようとしてるのに、
主人公は主人公で不快感MAXでイライラしっぱなしで
きつい言葉ばかりを投げかけてくる。

「誰も案内してなんていってない!」

そもそも彼の忠告がなければ彼女も謎のガスで死んでいたはずなのだが、
そんなことはすっかり忘れて逆ギレだ。
逆ギレしてるかと思えば一緒に逃げている先輩に

「先輩の走ってる姿また見てみたいです」

と目を輝かせながら言い放つ。
情緒不安定すぎる彼女の存在のせいで作品自体もブレブレだ。
もう、この作品のキャラクター全員についていけない。

お母さんの味


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

中盤になってくるともはや意味不明になってくる。
メインキャラたちは安全な地を求める中でとある団体の施設にたどり着く。
水も電気もあり食事も豊富にある。こんな災害の中では天国のような場所だ。
ずっと無口で防ぎ込んでいたメインキャラの一人が、
そこで出されたカレーを食べながら思いにふける。

「母さんのカレーだ…」

目の前で母親が亡くなってしまった彼は母親のカレーの味と似た味のカレーを食べ、
母親を思い出して泣く。これだけならまだ違和感はない。
しかし、そのカレーが問題だ。そのカレーには大麻が入っている(苦笑)

お母さんがもともと大麻常習犯でカレーにもぶちこむほどの大麻好きならわかるが、
日本でそんなことはありえないにだろう。
他のキャラは「なんだか知らない味ね」とか言ってる中で、
彼だけは大麻カレーを「お母さんのカレーだ!」と泣きながら食べる。
意味不明である。

大麻カレーに違和感を持つ、カレーで母親を思い出す。
どちらかだけならば問題ないが、両方やってしまったことで
「日本のお母さんが作るカレーは大麻の味」という
ミルキーもびっくりな母親の味が誕生してしまっている。

あまりにも突っ込みどころが多すぎて大爆笑だ。

カルト集団施設


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

メインキャラクターたちはなぞのカルト集団の施設にたどり着く(笑)
日本沈没はどこいったといいたくなるほどの脇道に突入している。

「マザー」の能力に導かれて集まったコミュニティ=カルト集団の
施設の物語が中盤は主軸になる。
ちなみに「マザー」の能力は死者との会話だ(笑)

日本沈没を見ていたはずなのにエセ超能力者物語が始まる。
これは「日本沈没」ではなく「TRICK」なのか、
巨根の教授と貧乳のマジシャンがいつ出てくるのかと思うほどに
どこかで見たことのある光景だ。
この作品は一体何がしたいのか、本当に意味不明だ。

いつ日本が沈むかわからない。そんな状況だったはずなのに、
のんきにカルト集団の施設で生活をしているさまを見せられる。
大量に生い茂る大麻を育ててるメインキャラクターたち。

大麻を育てながら「働くっていいことだね」と言い放ち、
ラリった挙げ句にラップに興じるメインキャラを
どんな感情で見守ればいいのだろうか(笑)
引きこもりで無口だったメインキャラが大麻カレーを食べ、大麻を育て、
明るくなっていき、かつてのように走り出そうとする。

私が知らないだけで日本という国はいつの間にか、
大麻が合法になったのだろうか?
そんな価値観のズレさえ感じるほど大麻というものを彼らは受け入れている。
大麻だけでなく拳銃を持ってる奴らも異様に多い。
意味不明だ。

日本がどんどん沈没し地殻変動も起こりまくってるのに
いつまでも繋がり続けるネット回線も謎でしか無い。
4Gで繋がり、電波はバリ3だ。山奥のカルト施設のはずなのに。
なおガソリンも1回しか切れない。

そんなカルト施設でどんなストーリーが展開していくのかと思ったら
また大きな地震が来て逃げる。
ならこのカルト施設の話は一切必要がなかっただろうと思うほどに無意味だ。
この作品がTRICKではなく日本沈没であることを思い出したのかもしれない。
もしかしたら脚本家さんは途中でミッドサマーでも見に行ったのかもしれない。

カルト施設の人々は勝手に殺し合いを始める。
もはやメインキャラの行動など一切関係ない。

選民思想


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

終盤になると日本を脱出する船が政府指導で出ている。
「マイナンバー」を使った抽選方式というめんどくさいことをしており、
その時点で色々と突っ込みどころはあり、
そんな猶予なんて一切ないはずの状況でなぜか日本政府は
将来有望な若者を政府がピックアップして優先して脱出させている。

バカみたいな選民思想を持ち出してくる(笑)
もういつ日本全体が沈没してもおかしくないという状況にもかからず、
政府は「優秀な若者は特別枠だ!」とわざわざ生きてるかどうかもわからない
優秀な若者を優先枠に入れている。意味不明である。

そんな特別枠に主人公も選ばれている。それ自体は別にいい。
だが、特別枠に主人公が所属している陸上部の選抜全員が選ばれており、
なおかつなぜか、ついでに「コーチ」とその夫まで選ばれている。
特別枠の範囲があまりにも広すぎる。
こんな危機的な状況で「ついで」で特別枠に入れてしまうのも謎だ。

ちなみに治療するタイミングは何度もあったはずだが、
主人公は1話からずっと左足の怪我を放置している。
これがのちの伏線となる。あまりにも馬鹿すぎる伏線だ。
日本人に寄る日本人のための行動を行ってる連中もおり、
外国人差別を露骨にするコミュニティも存在する。

結局「脱出する船」に乗らないための設定でしか無く、
それ以上でもそれ以下でもない。
作画もどんどん悪くなる。1話の時点からそこまで良くはなかったが、
終盤なんて「誰?」と言いたくなるほどの作画だ。

遭難


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

終盤で主人公と弟は遭難する。遭難する中で主人公は
「あのドラマの続きどうなったかなー」とクソみたいなことを言い出す。
遭難する中で幻覚を見て死んだはずの父親が出てくる。
ゼロ・グラビティでみたようなシーンをぶちこんでくる。恥も外聞もない。

海に漂流する中で奇跡的に母親たちと再会する。どんな奇跡だろうか(苦笑)
彼女たちが漂流してたのは海ではなく池でしたという落ちでもなければ
納得できない。ご都合主義がご都合主義を生み、
ご都合主義でのみこの作品は進んでいく。

ただ、終盤で描かれる母親の死のみ意味のある死だ。
序盤で山芋掘って爆発した父親の死は何だったのかと思うほど、
母親の自己犠牲の猫写はしっかりしている。
その反面で胸に鉄骨が刺さったやつだけは
なぜか生きてYOYO言っている。意味不明だ。

なお母親の死体は何の躊躇もなく海に投棄している。

YOYOYO!


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

なんかいきなりラップバトルが始まる。もう意味不明とかは言わない。
この作品に意味を求めてはいけない。

「この国は沈んで当然、道連れは嫌だ」
YOYO
「財布落として返ってくる日本最高」
YOYO

日本賛美と日本ディスが繰り出される日本ラップ、
それを終盤に聞かされる。何の面白みもない。
もはや彼らが何をしたいのか本当に理解できない。
唐突に寝たきりの男性の歯からデータチップを取り出し、
指定の場所からそれをアップしてデータを取りに行く。

大麻を決め込んで覚醒したキャラが津波のスキをぬってデータを取りに行ったら、
波に飲まれて死ぬ。そこは死ななくてもいいんじゃないか?と思ってはいけない。
なにせ山芋爆破する作品である。死んでなんぼの作品だ。
ちなみにデータは日本沈没の後「隆起」する場所のデータだ。

最終話


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

最終話、ここで衝撃的な事実が明かされる。
序盤で主人公たちは「西」へ行く選択肢をとった。
しかし、それが大きな間違いだった(苦笑)

最初から東に行っていれば父親も山芋で爆発しなかったし、
ガスで死ぬお姉さんも居なかったし、カルト集団のいざこざに巻き込まれないし、
母親もしなず、先輩も死ななかった。
全ては最初に西へ行くことを進めた弟のネット友達が原因だ。

治療するチャンスはいくらでもあったのに放置しまくった主人公の脚は悪化し、
切断するはめになる。数年の月日が流れ、主人公は
パラリンピックに陸上選手として出場して終わる。
このオチがやりたいがために主人公の脚は放置され続けている。
バカみたいな伏線に何の感動も出来ずに終わる。

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総評:なんなの?


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

全体的に見てとんでもなくツッコミどころだらけの作品だ。
1話の震災の猫写は胸を締め付けられるほどのものがあったが、
2話の終盤で父親が爆発してからはもはや意味不明な展開ばかりだ。

日本が今にも沈没するかもしれないという状況で大麻に明け暮れ、
カルト集団の意味不明なストーリーが展開し、メインキャラは唐突に死にまくり、
展開にもキャラクターの心情にもまるでついていけない。

描きたい要素はわかるが、それが全くもってうまく使いこなせておらず、
唐突な展開と唐突な展開で話をつないでしまっており、
ご都合主義にまみれたストーリー展開と奇跡の連続は意味不明を通り越して
呆れるレベルだ。

本当に、シンプルに脚本が酷い。日本よりも脚本が地に沈んで崩壊しており、
1つ1つの要素をまるで活かせず自然な脚本にできていない。
いつまでも繋がり続けるインターネット、切れないガソリン、
放置し続ける主人公の傷。意味不明なラップバトルにメインキャラのあまりにも
唐突すぎる死の連続にはもはや笑いしか生まれない。

これがギャグアニメなら非常に優秀だ。
父親が爆発してから漂流するくらいまでは爆笑しっぱなしだった。
日本沈没という作品であることを忘れてミッドサマーを見に行って
影響されちゃった感じの展開は一見の価値ありだ。

あの辺りのストーリーを理路整然と説明できる人はいるだろうか?
私には無理である。大麻入りカレーを食べて母親の味を思い出すキャラを
どう理路整然と説明すればいいのだろうか(苦笑)

本当にシンプルに脚本が酷すぎる作品だった。

個人的な感想:当たり外れ


画像引用元:『日本沈没2020』予告編 より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

個人的にはラストのオチ以外はギャグとして
かなり大爆笑しながら見ていた部分は大きいものの、
あくまでも作品のツッコミどころをギャグとして捉えた場合だ。
ギャグアニメとしても最後のオチは酷い。

去年のキミと波に乗れたらもかなりきつかったが、
今年は映像研には手を出すなで元の湯浅監督さんらしい作品だったようだが、
この作品でまたやってしまっている。
湯浅監督さんらしさというものもあまり感じず、
作画も終盤ではかなりひどかった。

才能がある監督さんだけにこの作品の出来栄えは心の底から残念だ。
湯浅監督の次回作に期待したい。

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