サスペンス

「ナカノヒトゲノム【実況中】」レビュー

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評価 ★☆☆☆☆(15点) 全12話

あらすじ 謎のフリーゲーム『ナカノヒトゲノム』。クリア寸前でゲーム実況者が行方不明になるといわれ、『失踪ゲーム』とも呼ばれる。引用- Wikipedia

誰も死なないデスゲーム

原作はPixvコミックで連載中の漫画作品。
監督は大沼心、制作はSILVER LINK.

うわぁ…


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

1話冒頭早々から拒否感が出る。
主人公はゲームへの招待状を受け取りくしゃみをした瞬間、
謎の場所へと転送されている。横には見ず知らずの女性が居て、
そうかと思えば巨大なパンダが闊歩している。

こんなあきらかな異常事態かつ、普通なら困惑してもおかしくない状況で
主人公は一切顔色を変えない。慌てないし戸惑わないし疑問にも思わない。
見てる側も意味不明な状況なのに、それを当たり前のように受け入れている
主人公に一切感情移入できないどころか、拒否感が出る。
はっきりいえば「気持ち悪い」主人公だ。

常にマスクをずらしてつけているのも気持ち悪さを増長させており、
外すなら外すでポケットに仕舞っておけよと思わず思ってしまうほどの
イラッとくるビジュアルだ。
ケミストリーのあいつのサングラスのようなウザサを感じる。

花粉アレルギーらしいのだが、その説明も気持ち悪い。
巨大なパンダから逃げ隠れしてる最中に主人公はくしゃみをしてしまう。
森林地帯であきらかに花粉がありそうな場所でマスクを外していた主人公も
意味不明かつ気持ち悪いが、くしゃみをしたあとの言い訳も気持ち悪い

「すびません、自慢じゃないんですが俺、
 日本中の花粉をほぼコンプリートしてまして」

もう、鳥肌が立ちそうな台詞回しだ。
主人公が参加させられたのは「ナカノヒトゲノム」というゲームらしく、
主人公以外にもゲーム実況者が強制参加させられ、
再生数稼ぎに利用されているところから物語が始まる。

再生数が1億を達成しないと脱出できない。
いわゆるデスゲーム系の作品だ。こんな強制的かつ理不尽な状況なのに
主人公はいっさい恨み節を言わない、笑顔だ。
そんな呑気な主人公に出会ったばかりの女性ヒロインが暴力的突っ込みをする。

この作品のキャラの誰一人として好感を持てず、誰一人として愛着をモテない
取って付けたようなオラオラ系キャラや、取ってつけたようなボクっ娘、
取ってつけたようなキャラクター設定は薄ら寒さすら感じる。

1話からキャラクターを大量に出すのはデスゲームというジャンル的に
仕方ないのかもしれないが、8人+1匹で名前を覚えきれず、
しかも男性キャラの顔はコピペしたように似ているため判別がつきにくい

それぞれ実況者という設定ではあるものの、別にその設定必要だったか?
と思うほどに取って付けたような実況者設定でしか無く、
顔出ししてない実況者が実はこんな姿でしたみたいなパターンや、
ボイチェン使ってて実は性別が違いましたみたいなパターンもない。
そもそも実況者にしては無駄に戦闘力が高いキャラも多いのも疑問だ。

ある意味で実況者らしいマスクという要素も
1話以外してるところを見たことがない。
花粉症をコンプリートしてるのなら常につけておけと言いたくなる設定だ

ゲーム


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

ゲームのレベルも低すぎる、パンダに追いかけ回されたり、
こっくりさんをやったり、育成ゲームをやったり。
主催者の「アルパカ」いわく命の危険があるときもあるようだが、
そんな感じは一切なく、ゆるーい雰囲気でコメディタッチでストーリーが進む。

序盤に8人もキャラを出したのは、
デスゲームであるがゆえにそこからキャラが減るからかと思ったのだが、
キャラクターは一切減らない。みんなで協力してゲームクリアを目指しており、
そこに争いもなければ、被害もない。
そもそもゲームのクリアもふわっとしており、いまいちスッキリした展開ではない。

彼らは「再生数」を稼ぐためにゲームをしているのだが、
その再生数を意識した行動が少ないのも意味不明だ。
彼らは淡々とゲームをクリアしており、再生数をあまり気にしていない。
1億PVという途方も無いPV数に対する意欲がまるでない。
実況差だからこその魅せプレイがあるわけでもない。

命の危険がありそうなゲームになってもゆるい雰囲気のままだ。
頭部を食人植物に噛まれているというあきらかにアウトな状況にも関わらず、
画面がカラフルな色彩になり、主人公はのんきに「いたいいたい」と叫ぶのみ。
他のデスゲーム系作品ならとっくに死んでると言わんばかりの状況でも
コミカルかつのんきに描かれてしまう。

誰かが死ぬかもしれないゲームで再生数を稼ぐなら分かるが、
誰も死なないようなどうでもいいゲームは見ていても
「こんなんじゃ再生数稼げないだろ」と思うほどゆるい。
そもそも毎回のゲームにまるで「ゲーム性」がない。

キャラ萌え


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

話が進んでくるとこの作品がやりたいことが分かる、キャラ萌えだ。
女性受けしやすそうな少年たちや、男性ウケしそうなヒロインたち、
そんな彼らがゲームを通じてみせる表情やリアクション、
キャラ同士の日常を楽しむ作品だ。

だから誰も死なない、キャラ萌えアニメで誰かが死ぬなど言語道断だ。
オラオラ系少年が実はピーマンが嫌いとわかれば「かわいい」と思い、
いつも眠ってて言葉少ないキャラの寝顔で「かわいい」と思える。
唐突に組体操を初めてSDキャラになる姿が可愛いと思える。
そんな人が楽しめる作品だ。

本来ならもっとシリアスかつ緊迫した雰囲気が出ていてもおかしくないのに、
そんな雰囲気は一切ない。キャラ萌えだからこそ緊迫感など必要ないのだろう。
「実況者」を誘拐してきたのにほぼ同年代なのも、すごい偶然だ。
キャラ萌えだから同年代の方がやりやすい。

この作品のキャラたちに愛着を持てれば、このゆるいゲームや世界観や雰囲気の
日常物を楽しめるが、愛着をモテなければ楽しめない。
ある意味で割り切った作りをしており、1話でキャラを気に入れば最後まで見れるが
逆にキャラに嫌悪感を感じてしまえば、最後までそれは変わらない。

アルパカ


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

ゲームの運営者側のキャラとして「パカ」というキャラが居る。
彼はプレイヤーの監視、管理を行っており、あくまでゲームの運営者側だ。
ただ、なぜかプレイヤーのピンチを救うことがある。

意味がわからない。
敵に見つかってはいけない「ステルス」要素のあるゲームで、
敵に見つかってしまい攻撃を受ける。ゲームで言えば失敗だ。
パカは命の危険もあると忠告してたのにも関わらず、
「パカ」が介入することでその忠告の意味もなくなってしまう。

これが1度だけならまだ納得できる、助けられたのは主人公であり、
もしかしたら主人公とパカには特別な関係性があるのかもしれない。
だが2度だ。ちょっと許容できる範囲を超えている。

この時点で「ああ、もうこのゲームは茶番でしか無い」と気持ちが離れてしまう。
デスゲームのように見せかけてるだけで、結局はキャラ萌えであり、誰も死なない。
ゲーム性もクソもないゲームを見せられてもつまらないだけだ。
あくまでゲームを通じてキャラ同士の仲を深めるだけであり、
ゲームはおまけでしかない。

ガバガバなルールのゲームで、ゲーム性を期待するだけ無駄なのかもしれないが、
もう少し練ってくれと思うほどゲーム性が薄い。

伏線


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

色々と序盤から伏線は張られている。
キャラクターたちは何かしら過去や家族関係に問題を抱えていたり、
とあるキャラは主人公のストーカーだったり、兄を殺したと言ってるキャラも居る。
だが、ばらまかれるだけで一向に回収されない。

そもそも、このゲームを始めた運営者の目的もよくわからない。
実況者を集めて1億PVを目指してるらしいが、
1億PV達成したらどうなるのだろうか。謎でしか無い。

ゲームのルールや運営者に逆らうことで「脱落」するものも現れるが、
命を奪われるわけでもない、その生ぬるさは置いておくとしても、
脱落者どうしが徒党を組んでなにかしようとしている。
ただでさえキャラが多いのに、終盤にその脱落したメンバーのキャラも追加され、
ますます話が分散する。

再生数だけは無駄に増えているが、誰がこんなつまらないゲームを見てるんだ?
と思うほど再生数の増え方が疑問でしか無い。
結局最後まで見ても、ゲームをしている場所が無人島であることと、
メインキャラの過去や家族関係が少し明らかになっただけだ。

つまりは、ほとんど何も分かっていない。

演出


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

大沼心監督特有の演出もおしゃれではあるものの、ミスマッチなほどにカラフルだ。
正直バカとテストと召喚獣のころから変わらないやり方は、
流石に飽き気味であり、この作品でやる意味もわからない。
しかも頻繁に同じような演出を繰り返す。

ワンパターンで面白みのない演出や、無駄に感動を煽るような過剰な演出も多く、
ちょっとこの作品の描いてる内容に対して演出がちぐはぐだ。

投げっぱなし


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

最終話もぐだぐだとストーリーを展開し、結局は投げっぱなしで終わる。
どこの誰だかわからないような意味深なキャラをたくさん登場させ、
意味深な言葉を言わせて。俺達のゲームはこれからだだで終わる。

あまりにも投げっぱなしで呆れ果てるしか無く、
ここまで投げっぱなしにされると先の展開もまるで気にならない。
続きは原作でね!ということなのかもしれないが、
原作を読むほどこの作品に興味が湧くこと無く1クール終わってしまった。

総評:キャラ萌え


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

全体的に色々とキツイ作品だ
デスゲームのような環境と世界観と設定にも関わらず、ぬるいゲームを繰り返し、
そのゲーム自体のルールもあやふやで頭脳戦などまるでなく、面白みもない。
命の危険があっても、「アルパカ」が介入することでそんな危険もなくなってしまい
何の緊張感もない、ゲーム性のかけらもないストーリーには何の面白みもない。

キャラクターに関しては好みがガッツリ分かれる。
実況者という設定をまるで行かせていない設定と、
人によっては嫌悪感すら感じる台詞の数々、無駄に感動を煽る演出や
似通ったデザインのキャラクターは感情移入することは難しく、
そんなキャラのワチャワチャ感を楽しむアニメであることは分かるが、
キャラの魅力よりもあざとさを感じる部分のほうが大きい。

結局1クールでは謎や伏線が何も明かされておらず、何も解決していない。
メインキャラ以外のキャラも途中で追加されるものの、その後一切出てこず、
結局アレは何だったんだ?という要素があまりにも多い。
続きは原作でねということなのかもしれないが、
そもそも、続きを読みたいと思わせるような出来栄えになっていない。

序盤でキャラクターに対して何かしら琴線に触れる部分があるならば
キャラ同士のわちゃわちゃを楽しめる作品ではあるものの、
序盤でキャラに対して拒否感が出てしまえば最終話までそれは変わることはない。

一言で言えば残念な作品だ。

個人的な感想:きつかった


引用元:©2019 おそら/KADOKAWA/ナカノヒトゲノム【実況中】製作委員会

たまに物凄く見るのがキツイ作品があるが、この作品はまさにそれだった。
1話の時点で主人公にとてつもない嫌悪感がわき、
とってつけたようなツンデレヒロインや浅いキャラ設定のキャラに何の感慨も沸かず
そのキャラ同士のワチャワチャを見せられても、底に面白さを見いだせなかった

せめてもっとゲーム性のあるゲームをみんなで協力してクリアする!
という形なら楽しめたかもしれないが、本来なら1番芯となるゲーム部分が
ふわふわしすぎていてまるで楽しめない作品だった。

結局、この作品で何がしたいのか最後まで掴みきれなかった。
おそらくはこのゲームには何らかの意図があり、1億PVにも
何らかの意味があるのかもしれないが、そのゴール地点を濁してる時点で、
この作品はそこに対してはあまりこだわりはないのかもしれない。

あくまでキャラクターたちの中の良さやキャラの可愛さやかっこよさを楽しむ作品、
そう割り切れば楽しめるのかもしれないが…
色々とキツイという印象しか残らず、来週には全部忘れていそうな作品だ。

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