「胡蝶綺 〜若き信長〜」レビュー

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ファンタジー
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評価 ★★★☆☆(49点) 全12話

あらすじ 明日をも知れぬ戦国の時代を駆け抜けた織田信長。彼の元には常に乳兄弟であった池田恒興が控えていた。引用- Wikipedia

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アニメで描く真面目な時代劇

本作品は、スタジオディーン制作によるTVアニメオリジナル作品、
監督は阿部記之、制作はスタジオディーン

桶狭間


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

1話早々に桶狭間の戦いから始まる。
この作品は「若き信長」とタイトルに有る通り、
この桶狭間に至るまでの信長を子供の頃から描く作品だ。

「織田信長」は御存知の通りアニメではやり尽くされた感のあるほど
使い古された人物だ。美少女化することも多く、
実写の大河ドラマでも何度も何度も出ている。

その「織田信長」を敢えてTVアニメオリジナル作品で描く。
試みとしては非常に面白いが、
使い古されたがゆえにどう魅せるかがポイントの作品だ。

定番のイケメン化


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

物語は信長がまだ「吉法師」と呼ばれていたときから始まる。
当然美少年である。赤い瞳で長髪、おまけに形首を見せつけて街を闊歩する(笑)
露骨に「狙った」キャラクターデザインであり、
この作品が男性向けではなく女性向けで作られていることをひしひしと感じられる。

ほとんどのキャラクターはもれなくイケメン化しており、
それ以外のキャラはこの時代らしいデザインという格差を感じるキャラデザだ。
あからさまに「BL」要素を匂わせるようなキャラも居る、
露骨に「ふんどし姿」などのシーンも必要性を感じないのにあるなど、
1話の段階である程度、好き嫌いがはっきりと分かれる作品だ。

びっくりするくらいキャラクターの乳首が外向きなのは気になるものの、
ストーリーは悪くない。信長は幼年期、同じ年代の子供と盗賊の真似事をしており、
仲間が捕まると彼らを命がけでかばう。
いい意味で「青臭い」織田信長の幼年期は真っ直ぐな青年であり、
彼がどう成長して1話冒頭で描かれる桶狭間の戦いに赴くような武将になるのか。

そういった意味での期待感は感じさせてくれる。

ダイジェスト


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

ただ、ダイジェストが非常に多い。
「織田信長」の若き頃から描く作品なのに、ある意味、1番重要な
「初陣」ですらナレーションベースで片付けられ、一気に成長していく。
歴史ものだと仕方ない部分はあるが、一気に季節が進み、
一気に時間が経過していく。

描きたいエピソード以外のエピソードは重要な要素や戦であっても、
ダイジェストで描いており、細かい部分の描写はすっ飛ばしている。
ただ、「織田信長」の話はさんざん描かれている話であり、
制作側が「見せたい」部分のエピソードだけ描くという手法は
1クールという限られた尺の中でまとめるためにはアリなのかもしれない。

その一方で「え?ここもダイジェストにしちゃうの?」と思うような感じもあり、
サクサクと進むテンポの良さは悪くないが、
逆に言えばサクサクと進みすぎている感じすらある。
ある程度、織田信長の史実に関する知識があることを前提としてる部分もあり、
史実と違う部分と比較することで楽しめる場合もある。

地味


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

いかんせん話が地味だ。
他の作品のような「ファンタジー」要素はなく、魔法やらが出てくるわけではない、
未来からタイムスリップしてきたキャラが居るわけでもない。
話の流れ自体は史実に沿ってる部分が多く、ダイジェスト担ってる部分も多いため
派手なシーンが少ない。

堅実かつ真面目に作られており、「織田信長」という人物の描写を
他の作品と違ってあまり逸脱しすぎないように描いており、
そういった意味ではこの作品だからこその描写ともいえるが、
真面目に作ってしまったがゆえに地味になってしまった感じは否めない。

淡々と粛々と若き信長の物語と成長を描いている。
流れ自体は史実に基づきつつも、
この作品だからこその独自の歴史や人物の解釈を入れている。

「うつけ」と呼ばれ家臣からも軽く見られている信長、
そんな信長が信頼できる家来や自身の知力を見せつつ、
徐々に後の織田信長としての風格を見出していくという感じだ。
決してつまらなくはない、面白いストーリーではあるが
地味さは拭えない。

それでも地味な展開の中で丁寧なキャラクター描写が光り、
幼年期から描いてるからこそ「信長」と「信勝」の確執が
本人たちとの意思とは裏腹に広まっていく戦国の世の虚しさが
ストーリーの中でひしひしと湧き上がってくる

BL要素


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

序盤からその感じはあったものの、あくまで匂わせるくらいだった。
しかし中盤からはがっつりとしたBL要素がある。
時代や史実を考えればこの時代に同性愛要素があるのは当たり前なのだが、
中盤からあきらかに露骨にその要素が出てくる。

「キスシーン」などはないものの、その直前くらいまでのシーンまでは描いており
序盤以上に出てくるBL要素は好みが分かれるところだろう。
こういう要素が好きな方は問題ないが、嫌いな方は
「この時代では当たり前だった」と飲み込めるかどうか。

信長の側室でもある「帰蝶」が実は女性ではなく男性だったという
解釈など面白くはある。
史実でも謎が多く末路もよくわかっていない「帰蝶」が
実は男だったからこそのストーリーがあり、「森蘭丸」の役目を
「帰蝶」にやらせているのも解釈として面白い部分だ。

稲生の戦い


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

おそらくこの作品で1番描きたかったのは「稲生の戦い」なのだろう。
1クールの最初から信長と弟である信勝の立場の違いや仲の良さを描きつつ、
中盤では自分たちの意志とは裏腹に確執が広がり、
家臣の企みから信勝は信長へと恨みを抱くようになり、
「稲生の戦い」へとつながる。

それまでダイジェスト的に描かれていた合戦のシーンも
「稲生の戦い」ではダイジェストではなくきちんと描かれる。
一人ひとりの武将の活躍、見せ場があり、
かつての部下も「甘えを捨てて」切り捨てる信長。

若き信長が甘えを捨て青臭さをなくし、
皆が知る織田信長としての人物像へと近づいていく。
圧倒的だった兵力すら物ともせず「勝利」を掴む信長ではあるものの、
弟を処分できるほど甘えを捨てきれない。

それがまた争いを生む。
信長と信勝、戦国の世に生きた兄弟の物語が10話までできちんと描かれている

終盤


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

ただ制作側が描きたかったのは10話までの兄弟の物語で
その後は惰性な感じが強い。特に最終話の「桶狭間の戦い」など
他の大河や時代劇ならもっと詳しく描く部分だ。
しかしナレーションベースで一気に片付ける。

「稲生の戦い」との差がものすごくわかりやすいものの、
「若き日の信長」という括りで桶狭間の戦いまでしっかりと
織田信長の成長と変化をしっかりと描けている作品だ。

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総評:見た目で判断するべからず


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

全体的に見てきちんとした時代劇な作品だ。
美麗なキャラクターデザインやBL要素などから女性向けである事は否めないものの、
織田信長がいかに皆が知るような織田信長になっていったのかという
過程をきちんと描き、それに絡む家臣や弟の立場や状況の変化、
戦乱の世だからこその避けては通れない宿命がきちんと描かれている。

合戦シーンの少なさやダイジェスト展開の多さは気になるものの、
制作側が「描きたいこと」がきちんと伝わる作り方になっており、
ストーリーもきちんと1クールで若き日の織田信長が描かれている。

BL要素はそれほど強くないものの、キスシーン寸前までの描写はあるため
そこは好みが分かれるポイントかも知れないが、
ある意味でそこは「史実」通りと受け止めることができさえすれば、
楽しめる作品だ。

作品全体に漂う「地味さ」は否めないものの、地味だからこそ
ひしひしと湧き上がってくる面白さを秘めている作品だった。

個人的な感想:若き日の信長


引用元:©揚羽母衣衆/胡蝶綺製作委員会

若い時代の信長というのはあまり描かれてる印象がなかったので、
そこに着目しイケメン化しBL要素もありつつと作品としては悪くなかったが、
やはり地味だ(苦笑)合戦シーンの少なさもそうだが、
BL要素もやるならやるでもっと思い切ったシーンが有っても良いのでは?と
思ってしまう部分もあり、面白い作品なだけに派手な部分が少ないのは残念だ。

ただ、それでもストーリーはきちんとしており意外にも楽しめた作品であり、
この制作陣で本能寺の変までの信長のストーリーを
見てみたいなと感じてしまう魅力もあり、
TVアニメオリジナル作品としてきちんと特徴のある作品だった。

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