「岸辺露伴は動かない」レビュー

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サスペンス
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評価 ★★★★☆(75点) 全4話

あらすじ 怪我をして連載を中断していた岸辺露伴は、休載期間を使ってイタリアへ旅行に行き、ストーリーの新展開のための取材を行っていた。引用- Wikipedia

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完全無欠なスピンオフ

原作は「ジョジョの奇妙な冒険」の4部のキャラクターである
「岸辺露伴」を主人公にしたスピンオフ作品。
OVAとして制作され他4作品がNetflixで現在配信中。
監督は加藤敏幸、制作はdavid production

動かない、それは傍観者であるがゆえに


画像引用元:岸辺露伴は動かないより
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/
集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

岸辺露伴というキャラクターは「漫画家」だ。
彼は人を観察することにたけ、
漫画家たるもの様々な経験をしなければならないと考えている。
漫画家という職業故か、岸辺露伴という人物故か、
彼は時に強引で、時に傲慢で、好奇心という化け物に囚われている。

そんな彼の「動かない」物語が1話で描かれている。
彼は淡々と語る。彼を演ずる「櫻井孝宏」さんの声の良さもあり、
彼の語りが深々と染み渡る。
そんな彼のイタリアの教会を訪れた際の「懺悔室」での出来事。

「懺悔室」という特別な場所に好奇心ゆえに入り込んだ彼は
とある人物の「懺悔」を聞くことになる。
とある人物の「罪」。
懺悔室は誰にも言えない罪を吐露することで心の負担を軽くするものだ。
相手が本当に神父かどうかは重要ではない。

体験はリアリティを作品に生む。その信条ゆえに、彼は「罪」を聞く。
彼の罪と、かけられた呪いともいべき相手との運命をめぐる勝負。
たかが「ポップコーンを高く放り投げて口で食べる」だけだ。

そんなくだらないとも言える勝負に魂をかけて挑む姿を、
全開の作画と全力の演技で描写することで
そんなくだらなさが最大限の面白さに変わる。

グラスとコインを用いたゲームだったり、じゃんけんだったり。
ジョジョの奇妙な冒険におけるシンプルなルールのゲームを
魂の削り合いまで昇華させて描くイズムともいうべきものが、
この作品にもある。

岸辺露伴という主人公が味わう「奇妙」な物語。
スピンオフではあるが、この作品はまちがいなくジョジョの奇妙な冒険だ。
スタンド同士が惹かれ合った結果の出来事なのか、
岸辺露伴は傍観者として「彼」の罪を聞き、
「彼」の人生を俯瞰して見つめる。神父と偽ったこと、
懺悔室に神父として入ったからこそ、彼は彼の人生に踏み込まない。

岸辺露伴は動かない。
 

動かない、それは観察者であるがゆえに


画像引用元:岸辺露伴は動かないより
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/
集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

「岸辺露伴は動かない」というシリーズはミステリー作品として優秀だ。
「スタンド」というものが存在する世界だからこそ特別な何かは存在する。
それは時にスタンドであり、時に呪いであり、時に幽霊であり、時に神だ。
岸辺露伴自身も「ヘブンズ・ドアー」というスタンド能力を持っている。

そんな「奇妙」なものが存在する世界だからこそ巻き起る事件。
死んでるはずなのに血を流し続ける遺体、
誰かの目の前で死ぬことで存在し続ける何か。
人の欲望や罪に潜む、それは日常的な中に潜んでいるからこその
恐怖を感じさせる。

奇妙な何かを岸辺露伴は漫画家であるがゆえに観察し、
それを自身の漫画へと落とし込む。
リアリティを求める彼だからこそ、リアルな奇妙な事件を求める。

彼は学者でもなければ、ジャーナリストでもない。
妖怪が居ても、居る事実さえわかれば彼にとってはどうでもいい。
彼は漫画家であるがゆえに自信が体験できればそれでいい。

岸辺露伴は動かない。

ときに動く、それは好奇心があるがゆえに


画像引用元:岸辺露伴は動かないより
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/
集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

時に岸辺露伴は動く。彼は好奇心の塊だ。
少しでも奇妙なものがあり、自身の想像だけでは解決できない何かがあれば
彼は自らの身体一つでそこに乗り込み「体験」する。

人里離れた山奥に11軒しかない豪邸。
11軒全て世界的大富豪が家主だ。
そんな村の一角がなぜか、格安で販売されている。
25歳の時にその一角を買うと何故か大富豪になることができる。
そんな不思議なマナーに厳しい大富豪村。

奇妙な村に岸辺露伴の好奇心はくすぶられ、彼の背中を押す。
好奇心は人間を人間たらしめるものと言ってもいい。
そういった意味で彼は最も人間らしいと言ってもいいかもしれない。
好奇心に満ち溢れた自信家は時に危険に見舞われる。

「マナー」を守れば富を得る。
だが、マナーを破れば大切なものを失う。
たかが入室、たかがお茶、日常の中に潜むマナーが試される。
大きすぎるものを得るための、大きな代償。

一歩間違えば死が迫る中で食べなければならない
「とうもろこし」
箸か?ナイフか?フォークか?正しいとうもろこしの食べ方は?

自分を守るために、自分のために仕事をしてくれた知り合いを守るために
岸辺露伴は時に動く。

ときに逃げる、それは反省のために


画像引用元:岸辺露伴は動かないより
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/
集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

この世には関わってはいけないものが存在する。
そんな関わってはいけないものに「岸辺露伴」は好奇心と
漫画家という職業であるがゆえにリアリティを求めて関わってしまう。
それは時に彼自身が反省してしまうほどの被害を生む。

ちょっとしたジムでの会話、男としてのプライドや意地。
知り合った青年とのちょっとした遊び。
だが、その青年は関わってはいけない青年だ。
自尊心が高く、美を求め、自信を鍛えている。

どんどんとストイックになる彼の生活、鍛え上げられる体。
そんな彼に取り憑く何か。そうとはしらずに「岸辺露伴」という男は
自尊心と自信ゆえに自惚れる。
ちょっとした遊び、人間観察に自身があるがゆえの驕り。

二人はただ「ランニングマシン」の上で走っているだけだ。
だが、それはやがて命がけの勝負へと至る。
ちょっとした遊び心、ちょっとした好奇心。
いつものように漫画家として人間を観察していただけだ。

それは結果として自業自得な結末を生む。
自身の過ちを認め、反省したからこそ彼は負けを認める。
自らの好奇心を抑え、それ以上踏み込まないように自身を諌める。
それ以上踏み込んではいけない、逃げるしか無い、動いてはいけない。

岸辺露伴は動かない

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総評:怪奇ミステリー


画像引用元:岸辺露伴は動かない村より
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/
集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

全体的に見て、スピンオフであるがゆえにジョジョの奇妙な冒険の4部を
見ている方が楽しめる部分は大きいものの、
それを差し置いても「怪奇ミステリー」としてよく出来ている作品であり、
リアリティを求める漫画家が体験する奇妙な事件の数々と、
それを岸辺露伴という主人公が漫画家として体験する作品だ。

スタンド能力、神、呪い、幽霊、何かに取り憑かれてるもの。
岸辺露伴が毎回出会う不思議な何かは、どれも基本的には
人間の欲望や罪に結びついており、
ファンタジーな要素はあるものの、そこに生々しさを感じる。

そこに絡む「岸辺露伴」という主人公もいい味を出しており、
彼の能力と機転があるからこそ乗り越えられるトラブルと、
時に傲慢で好奇心に満ち溢れる自信家であるがゆえの
因果応報な出来事があったりと人間味にあふれている。

放り投げたポップコーンを口に入れる、ランニングマシンで走る、
単純な動作、くだらない遊びとも言えるものを
「極限の勝負」として描く面白さはジョジョイズムにあふれており、
スタンドバトルやジョースター家の因縁がないスピンオフの作品でも、
「ジョジョの奇妙な冒険」らしさは失われていない。

そんなジョジョイズムがありつつも、
きちんと岸辺露伴というキャラを主人公にした、
彼の視点だからからこその怪奇ミステリーが描かれており、
スピンオフでありながら1つの作品としての完成度が高い作品だ。

個人的な感想:頼む、Netflixさん…


画像引用元:岸辺露伴は動かない村より
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/
集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

岸辺露伴は動かないシリーズはコミックも小説も私は愛読しており、
個人的にめちゃくちゃ好きなシリーズなだけに、
Netflixさんにはぜひ、この機会に資金をじゃぶじゃぶ投入して
全エピソードをアニメ化していただきたい(笑)

グッチへ行ったり、ルーブルに行ったりと海外受けしそうな
エピソードも多いため、ぜひ、アニメ化を期待したいところだ。

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