「殺戮の天使」レビュー

評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全16話

あらすじ 閉ざされたビルの地下の最下層で目覚めた少女・レイチェル。記憶を失っていた彼女は、死神のような鎌を持った殺人鬼・ザックに遭遇する引用- Wikipedia

唾棄すべき作品

原作はホラーゲームな本作品。
監督は鈴木健太郎、制作はJ.C.STAFF

ありがちな設定に見えるが…


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

気づいたらヒロインは何処かしらない場所に。
出口を探してるうちに彼女は殺人鬼に追われるハメになる。
閉鎖空間の中で殺人鬼から逃げるというパターンは使い古された設定だ

だが、この作品は最初に出会った殺人鬼と一緒に行動するようになる。
絶望の意識から自分を殺してほしい彼女と、ヒロインを
最高の状態で殺したい殺人鬼という不思議な組み合わせが生まれる。
1話の段階では期待感は強い。

ゲームっぽい演出。


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

原作がゲームだからという部分もあるのかもしれないが、
アニメではあまり見られない演出が多い。
血なんて一滴も流れてないシーンで画面の枠に「血」を描写して、
キャラクターが暴れまわる様子を描写したりする。

それが効果的か?というと謎だ。
確かに演出としての新鮮さはややあるが、新鮮なだけで効果的ではなく、
それが面白さにつながってるわけでもない。
謎解きや会話が続くシーンも多く、殺人鬼同士のバトルも短く、
アニメーションとしての面白さは薄い。

原作が「ホラーゲーム」ではあるものの、
1話以外は特にホラーっぽいシーンも少なく、
「ホラーゲーム」という部分に対しての期待感を持ってる人は
やや肩透かしを食らうだろう。

メンヘラヒロイン


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

ヒロインは死にたがってるが、
他の殺人鬼に殺されようとはしないし自殺もしない。
宗教観念が強いせいもあり「神様に誓った」殺人鬼に殺されるために
一緒に建物から脱出しようとする。

ただ、死にたいならば死ぬチャンスはいくらでもあり、
そもそもの「殺人鬼から逃げて脱出する」というゲーム要素も、
殺人鬼が協力することが前提になってる部分があまりにも多く、
この作品の黒幕は一体何を考えて、
こんな無茶な舞台を用意したのだろうかという部分が気になってしまう。

殺人鬼との勝負の中でピンチになると殺して殺さないの応酬や、
似たようなセリフを何度も繰り返してしまい、
正直飽きる。

淡々としたストーリー展開。


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

1話は刺激的かつホラーな雰囲気で面白さがあるのだが、
1話をすぎると途端に地味になる。
閉じ込められている建物や殺人鬼達からだされる謎をヒロインが解く。
いかにもゲーム原作であることが分かる展開の描写なのだが、
それが別に面白くない。

淡々と謎を出され淡々と謎を解く。
その繰り返しが基本であり、殺人鬼たちはヒロインを殺したいはずなのに
なんでこんな回りくどいことばっかりやってるんだ?と
本来は突っ込んではいけない部分に突っ込みたくなる。
謎解きは勝手にヒロインが全てやるため、見る側に解く予知はない。

謎解きで迷ってるさまを殺人鬼たちは楽しんだりしており、
各殺人鬼の「狂気」な描写や声優さんによる演技は面白いものの、
生死がかかってるはずの状況なのに緊張感や緊迫感がない。

どちらかというと死にたがるヒロインと殺人鬼との関係性の
変化と彼らの過去を謎解きをしながら描いている感じがあり、
閉鎖空間の中でのデスゲームという舞台設定と
本筋のストーリーがあまりうまく絡み合っていない。

テンポが悪すぎるのに残りはネットで?


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

同じようなセリフの応酬やだらーっとしたシーンの描写は、
淡々としすぎるストーリー展開を生んでおり、正直テンポが悪い。
1クールという限られた尺の中でこのテンポの悪さは致命的であり、
中盤以降は余計にテンポが悪くなりダラダラダラと
殺人鬼とヒロインの似たような台詞の掛け合いを聴かせられる。

これで1クールできちんとストーリーが収まっていればいい。
だが、この作品は最悪なことをする。
TVアニメでは全話放送しない。
「全16話」というストーリー構成だが、テレビで放送されたのは12話まで、
残りはAmazonプライムビデオなどで配信されるようだ。

つまり、無料でテレビで見せて続きが気になるなら有料会員になってね!
という最悪なことをしている。
昨今のアニメは1クールが当たり前になり、その限られた尺の中で
多くの制作陣は最大限の努力で面白くしようとしている。
しかし、この作品はそんな1クールの成約を破る。

なら最初から「Netflix」などの配信サイト限定のアニメにすればいい。
そういうことをせずに収めきれなかった話を有料会員サイト限定の
サイトでのみ配信するのは卑怯だ。

これで「あー、しょうがない!」と感じるほど尺語りてない感じならばいい。
だが、この作品はテンポが悪い。
明らかにわざわざ「全16話構成」にするためにテンポを悪くしており、
本来は全12話で描ける話を引き伸ばしてるだけに過ぎない。
1クールの中で頑張っている他のTVアニメ制作者に対する冒涜だ。

総評:1クールで収められたのに


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

全体的に見て駄作だ。
殺人鬼と死にたがりヒロインによる閉鎖空間の中でのデスゲームという
設定は面白いものの、ダラダラとしたストーリー構成のせいで
面白さが薄まってしまっており、似たようなセリフを何度も聞かされ、
見る側に解かせる気のない謎解きが淡々と描かれてしまう。

ゲーム風の演出は新鮮味はあるものの、効果的に作用しておらず、
原作がホラーゲームとは思えないほど「怖さ」というものを感じにくく、
緊張感や緊迫感を煽ることができていない。
狂った殺人鬼たちのキャラ描写も似たような感じの狂い具合で、
正直、二人目くらいでお腹いっぱいだ。

結局、テレビで放映された12話では
ストーリーは気になる所で終わっており、
気になる人は有料動画配信サイトに入会するしかない。
たかが400円~1000円位のことだ。
値段としては確かに大したことがない。

だが、他のアニメが1クールの中で原作をカットしたりしながらも、
区切りの良いところまで描こうと頑張ってる作品も多い中で、
この作品は残りは課金してネット配信というのは
視聴者を馬鹿にしているだけでなく、
他のアニメの制作者も馬鹿にしている。

今後、こういうスタイルの作品が増えないことを切に願いたい。

個人的な感想:唾棄すべき作品


引用元:©2018 真田まこと/Vaka・DWANGO・KADOKAWA/「殺戮の天使」製作委員会

最初からこの作品がネット配信限定で全16話なら何も思わなかっただろう。
だがTVアニメとして放送しておきながら、
全12話で収められる話をわざわざ薄めてまで全16話にしてるのは
本当に嫌悪しかない。
特に終盤の総集編みたいな内容は尺だけ使うだけで本当につまらなかった。

確かにアニメも「商業」だ。売上が上がらないとやっていけない。
それは分かるものの、このようやり方は反則だろう。
本当に残念な作品だった。

本来は16話まで配信されてからレビューすべきなのかもしれないが、
多くの人が地上波放送の12話までしか見ないことを考えて、
現段階でレビューしたが、13話以降も見ることはないだろう。

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