可愛い萌えアニメかと思った?残念!ゾンビでした!「がっこうぐらし」レビュー

2016年6月29日

評価/★★★☆☆(54点)

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可愛い萌えアニメかと思った?残念!ゾンビでした!

原作は「まんがタイムきららフォワード」で連載されている漫画作品。
監督は安藤正臣、アニメーション制作はLerche。
いろいろな意味で「1話」が話題になったが、中盤辺りから評判をきかなくなり、
話題になった割には売り上げに結びつかなかったイメージが強い作品だ

見だして感じるのは「いかにも」な萌アニメだろう
原作が「まんがタイムきららフォファード」で連載されていることもあり、
ゆるゆりやゆゆ式、けいおん!といった明るい萌え学園アニメを
イメージしやすいせいもあるだろう
(きららフォファードはきららとは方向性の違う雑誌ではあります)

可愛らしいキャラクターデザインとゆるいストーリー、
「水瀬いのり」「小澤亜李」「M・A・O」といった萌アニメにもよく出ている
声優さんが演じていることもあり、
1話で描かれる「明るく」「ゆるく」「ふんわり」した雰囲気は
いかにもな日常アニメに仕上がっている。

この日常萌アニメ部分が非常に良く出来ている
家に帰らずに学校で暮らす「学校生活部」という設定も面白く、
学園の中で合宿をしつつ野菜の栽培などを行っている。
この設定だけで「普通」の日常萌アニメができそうなほどしっかりとした設定と
キャラクター描写ができており、
ほどよく完成された「日常萌アニメ」が描かれたからこそ、
1話の「最後の4分の変化」がものすごく怖い。

クラスメイトと楽しく話す主人公、だが同じ学園生活部の一人が
その様子を深刻そうに見つめる。
明るい曲も消え、キャラクターに影がかかり、「怖い曲」に切り替わったかと思えば
そこには「誰もいないガラスが破壊された教室」が描写され
学校の外には大量の「ゾンビ」が徘徊している様が描かれる。

ここまで「ゾクゾクっ」っとした恐怖感を感じる作品はない。
しっかりと、丁寧に、妥協せずに主人公が「現実逃避で妄想」する
明るい学園生活を主人公の視点で1話の20分間を描き、
最後の4分で「この世界の真実」を視聴者に見せる。
丁寧な積み重ねが「ホラー」の面白さに繋がっており、
「1話のインパクト」という1クールのアニメではもっとも重要なものを
この作品はしっかりと内包している。

1話を見終わった後にもう1度、ぜひ1話を見て欲しい。
細かい部分で主人公の「妄想のほころび」が画面に描かれており、
机のバリケードや主人公以外のキャラクターの行動、「風」など
妄想の日常の中に細かく「現実」が見え隠れする様子を楽しむことが出来る

この1話だけを見るとこの作品は「100点」だ
正直私も作品を見る前に「ネタバレ」を食らっており、
日常萌アニメの皮を被ったゾンビアニメということを知っていたのだが、
知っていたのに思わず「ゾクゾク」っとしてしまった。

もちろんネタバレせずに見ればもっと衝撃的だったとは思うが、
ネタバレしていても「ゾクゾク」っとした恐怖感を味わうことができ、
逆に知っているからこそ「どこで」ゾンビアニメになるのかを
楽しむことが出来る。

またOPの変化も素晴らしい。
1話では普通の萌アニメの「OPなのだが、2話以降はどんどん変化していく。
「綺麗な学校」が「窓ガラスの割れた廃れた学校」に変化していたり、
さりげなく「ゾンビ」が紛れ込んできたりと、
話数を重ねるごとに「変化」するOPという楽しみ所をきっちりと作っている。

2話以降は「なぜそうなったのか」というストーリーを味わえる。
主人公の現実逃避、なぜゾンビが居るのか、どうして学園で生活しているのか
1話できっちりと作品の世界観に引きこまれたからこそ、
「作品の世界観と設定とストーリー」を解きほぐす感じが面白い。

基本的に「ゾンビ」を扱う作品はホラーであり、
アニメや実写でも「エロ」はあっても「ギャグ」や「萌」などの明るい要素は少ない
だが、この作品の場合主人公が「現実逃避」しており、
他のキャラクターがそれに「付き合う」ことで
緊迫した状況でありながら、明るさがあり、ギャグががあり、萌えもある。

ストーリー自体はいわゆる「ゾンビもの」であり、良くある話だ。
平和な日常に突然ゾンビが現れ、その中でゾンビに立ち向かう手段だったり
生き残る手段を模索していく中で「キャラクター」を描くというのは
「ゾンビ」を扱うストーリーならばベタなストーリーではある。
この作品の根本は「ありがち」なゾンビものだ

だが、そこに1話の強烈なインパクトを残す演出や
「ゾンビもの」を敢えて「萌アニメ」のキャラクターがやったらどうなるか?という
要素が「ありがち」なストーリーを「ありがち」ではなく面白いものに仕上げており、
それだけではなく主人公が「現実逃避」をしているという設定が、
ありがちでない作品に仕上げている。

しかし、この作品には致命的な欠点がある。テンポだ。
ポイントポイントの話は非常に良く出来ており、緊迫感もあるのだが
そのポイントポイントで描かれる間のつなぎの話が間延びしている

確かにこの作品の特徴としてソンビが蔓延している中での
「日常萌アニメ」的要素は重要だが、
その日常萌アニメ的要素を描くシーンが非常に多く、緊迫感が持続しない。
せっかく衝撃的な展開や重要な伏線要素が出ても、
あっさりと日常描写をしてしまうため話の腰を折られたような気分になってしまう。

主人公が現実逃避する「日常」と現実の「差異」のギャップから生まれる
要素はこの作品らしい「ホラー」の面白さにつながっている部分も多いため、
あくまでも「ホラー」を盛り上げるための要素であってほしいのに、
日常萌アニメ要素が前に出過ぎてしまうことが多いのが非常に残念だ

そのせいで本筋のストーリーの進行が遅くなってしまったり、
尺を割きすぎてしまっていることも多い。
はっきりといって「全12話」という尺が多すぎた
原作で言う「高校編」を1クールで描きたかったのはわかるが、
おそらく「高校編」をストレートに描くだけなら全9話くらいで出来たはずだ。
その後の3話分を埋めるためのシーンが結果として
全体の「ダレ」に繋がってしまった感じは否めなかった。

全体的に見て序盤と終盤の展開は素晴らしかった。
1話の日常萌アニメからのホラーアニメへの切り替わりの素晴らしさから
徐々に世界観とストーリーと設定を描写しながらキャラクターの印象を深め、
その中で「日常萌」と「ホラー」の一挙両得を狙うのは悪くなかったが、
中盤で「日常萌え要素」が強まったことでホラー要素が薄まり、
尺稼ぎのシーンが目立ってしまい「ダレて」しまったのは残念だ

しかしながら終盤、特に最終話付近の展開は素晴らしく、
根本にはベタやありがちなゾンビもののストーリーはあるものの
しっかりとキャラクターの描写をしたからこそ
ベタなストーリーや展開の中で生きてきていた。

「1クール全12話」という尺で原作の高校生編をアニメ化する上での弊害が
そのまま欠点になってしまった感じは否めない。
ネットで調べた限りだが改変されている要素も多く、
その改変も「尺を稼ぐため」な感じが強く、
随所随所のストーリーはいいだけに色々ともったいない感じがする作品だった

1話の話題性のおかげで原作の売り上げはかなり伸びたようだが、
アニメ自体の売上は3000枚前後と微妙な所。
爆死ではないうえに原作の売り上げが伸びたところを考慮すれば
2期の可能性ももしかしたらあるかもしれない。

余談だがAmazonnの本作品のレビューで
「ネタバレ」が一切されていないのが面白かった(笑)
2期があるならば期待したい作品だ