「プリンセスプリンシパル」レビュー

2018年3月17日

評価 ★★★★☆(67点) 全12話
プリンセスプリンシパル

あらすじ 王国領域にある名門校クイーンズ・メイフェア校に通う「博物倶楽部」の5人の少女には、王国に潜伏する共和国側のスパイ組織「コントロール」に所属するスパイという裏の顔があった引用- Wikipedia

霧のロンドンに舞うスパイ少女たち

本作品はStudio 3Hz・アクタス共同制作によるオリジナル作品。
監督は東京マグニチュード8.0 やばらかもん でお馴染みの橘正紀。

見出して感じるのは世界観とキャラクターデザインの可愛さだろう。
この作品の舞台は架空の19世紀ロンドンだ。
大体、19世紀ロンドンが出てくるとシャーロック・ホームズが絡んだりするが、
この作品の場合、架空のロンドンでありファンタジー要素がある。

霧に覆われたロンドンの背景描写の中で動き回るのは、可愛らしい少女だ。
このデザインのまま日常萌えアニメが始まっても何の違和感もないほどの
幼い少女たちは「銃」をかまえ、霧のロンドンを車で駆け、
「ケイバーライト」という特別な石で宙を舞い、スパイ活動をしている。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

このミスマッチとも言える世界観とキャラクターデザインの組み合わせが、
この作品だからこその雰囲気を醸し出している反面で、
やや古い作品になるが「GUNSLINGER GIRL」がチラつく作品だ。
ただ、あの作品ほど雰囲気は重くはない。

序盤はスパイストーリーが描かれる。
作品の細かい設定を徐々に見せつつ、
彼女たちのスパイ活動の日々を起承転結のしっかりとした話で描いており、
その中で大筋に至るストーリーを徐々に絡めていく。

スパイストーリーは割と辛辣なものも多くシリアスだ。
架空のロンドンは二分されており、スパイが暗躍し、
上層部は自らの地位のためにそれぞれが画策しており、
ロンドン以外の国もロンドンでスパイ活動を行っており、
スパイたちも決して1枚岩ではなく、それぞれの思惑を秘めている。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

だが、スパイが「少女」であるがゆえにそんなシリアスな世界観の中でも、
どこかコミカルでどこか可愛らしく、
シリアスなスパイストーリーを重くせず、適度に軽くしており、
変な重さを感じさせず見やすいストーリーだ。

時折、閑話休題的にスパイ活動ではあるもののほっこりするような
エピソードが描かれることもあり、
キャラクターが可愛いからこそ、そんなほっこりとした話を
よりほっこりと楽しめ、シリアスなストーリーとのいいメリハリが生まれ、
よりキャラクターへの印象が深まる。

メインキャラも5人に絞っている、1クールでは程よい人数であり、
そのお蔭でスパイの少女5人がそれぞれしっかりとキャラ立ちし、
「スパイ」としても、それぞれ違った特徴がある。
色気担当、声真似担当、戦闘担当などはっきりとキャラ分けがされてる事で、
スパイとしての活動にもキャラごとにしっかりとした見所が生まれている。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

ただ、シーンだけ切り取ってみれば「スパイ部」的な
日常萌え部活ものにも見れてしまうこともある。
だいの大人が少女の行動に翻弄される様はご都合主義に感じる部分もあり、
そもそもの「ケイバーライト」も必要だったのか?と感じてしまう。

おそらく天空の城ラピュタの飛行石あたりから拝借した設定だとは思うのだが、
コレが別に天空に浮かぶ城の位置を指し示すわけでもない。
あくまでも無重力で飛べるという以外の利用価値がなく、
時代背景から考えて「核」などの比喩もあるのかもしれないが、
やや使い余している感じが強い。

更に言えばストーリー構成。
時系列がばらばらになっており、
何の前触れもなく過去の話が描かれてりするため戸惑う。

各話のタイトルに「case1」などの数字が書いてあり、
コレが本来の時系列であることは分かるのだが、
case13から始まり、1、2、9、7、18とかなりバラバラな上に、
最後まで見ても歯抜けのストーリー構成になっている。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

case24までしか無いことを考えれば2期や2クールを想定した
時系列シャッフルとストーリー構成だったのかもしれないが、
気づかないと戸惑うことも多いのだが、
それが効果的に作用していることもあり、やや好みの分かれる部分だろう。

特に終盤の展開は時系列を入れ替えたからこそ、
序盤で描いたシーンの意味が響いており、
見ている側の頭の中で「あれはああいうことだったのか」と
ストーリーが繋がり、気づく面白さもきっちりとある。

時系列がこんがらがりやすい部分はあるものの、
2クールくらいでもっとがっつりと1話完結の話も見てみたいと感じるほど、
話がきっちりと作られており、キャラクターも魅力的だ。

いわゆる「担当回」でそれぞれのキャラが掘り下げられており丁寧に
話の中でキャラクターを描写している。
だからこそ、もっと彼女たちの日常やスパイ活動が見ていたいと感じるほど
面白く、はっきりいって1クールでは物足りず、尺が不足している。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

更にアクションシーン。
スパイ活動を描く上でかかせないアクションの数々が、
メリハリのあるキビキビとした動きで表現されており、
スパイ映画で見たようなシーンを再現しているようなシーンもある。

萌え萌えなキャラクターデザインのキャラクターでもかっこよく見せており、
特に5話の殺陣シーンやケーバーライトを使用しての高所から高所への移動など、
立体感を感じる絵作りと魅せ方になっており、描き込まれたロンドンの背景に負けておらず、
しっかりと見応えのあるアクションシーンを見せてくれる。

ただ終盤のストーリーが世界観や設定のわりには
こじんまりとまとまりすぎてしまい、1クールであるがゆえに
仕方なかったのかもしれないが、せっかくの世界観やキャラを
1クールに押し込めてしまった感じも否めない作品だ。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

総評

全体的に見てしっかりと作られた作品だ。
架空のロンドンを舞台に可愛い少女がスパイ活動を行う、
この軸をしっかりと描きつつ登場人物の過去と人物をしっかりと描写し、
時系列をシャッフルすることでややストーリーに混乱は生まれるものの、
話の盛り上げ方としては非常にうまく、1話から最終話までしっかりと楽しめる。

ただ、1クールでなければと感じてしまう部分も多い。
時系列シャッフルも2クール構成ならばもっと効果的に作用し、
もっと1話完結のはなしも楽しめただろう。
1話1話の話もしっかりと面白いだけにもったいなく、
終わらせ方もいわゆる「カタルシス」を感じるようなラストではない。

簡単に言ってしまえばオリジナル作品でありながら
完結とは言い難い雰囲気であり、2期を何時でもやれるような感じだ。
2期があれば1期の評価も必然的に上がるが、
2期がないのであれば消化不良な感じが残ってしまった。

プリンセスプリンシパル引用元:(C)Princess Principal Project

個人的な感想

個人的には予想以上に楽しめた作品だ。
スパイを扱うだけにもっとシリアスな感じや重さのある作品かと思ったが、
閑話休題的な明るい話も多く、可愛いキャラクターデザインも相まって、
すっきりと1クール楽しむことが出来た。

ちょっと古いが2000年代にやっていた
WOWOWアニメっぽい雰囲気を感じたのは私だけだろうか(笑)
売上的には6000枚前後とオリジナルアニメとしては悪くはない、
2期があれば1期の評価ももっと上げられるだけに期待したい所だ。