「賭ケグルイ」レビュー

2018年3月15日

評価 ★★★★☆(70点) 全12話

あらすじ 圧倒的なギャンブルの腕を持つという生徒会長・桃喰綺羅莉のもと、生徒同士のギャンブルによる階級制度によって支配されていた。そこに、蛇喰夢子という少女が転校してくる引用- Wikipedia

あなたは「仰げば尊し」で笑った事がありますか?

原作は月刊ガンガンJOKERで連載されている漫画作品。
監督は林祐一郎、制作はMAPPA。
なお実写ドラマ化もされている。

見出して感じるのは舞台設定の面白さだろう。
舞台となる学校では「ギャンブル」こそ全てであり、
生徒同士のギャンブルによる絶対的な階級制度があり、
メインキャラが1話そうそうに女性キャラの家畜にまで落ちる。

そんな面白そうな舞台設定を見せた後に
「蠱惑的な魅力」を存分に秘めたOPを魅せてくれる。
化物語のエンディングでもお馴染みのsupercellのryoが
プロデュースしている「Tia」さんという歌手による曲、
更に深夜アニメらしいエロチシズムを秘めたアニメーションは
一気にこの作品の世界観に惹き込まれる素晴らしいOPだ

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

1話のわずか5分でこの作品の世界観が作られ、魅せられる。
そんな蠱惑的な世界観にふさわしい主人公な登場することで、
ストーリーが加速度的に面白くなっていく。

この作品の主人公は一見、清楚な女の子だ。
黒髪で清楚でお嬢様のような喋り方、そんな女の子が
ギャンブルが全てのようなこの学校に転校することで物語が始まる。

最初に描かれるギャンブルはじゃんけんだ。
ただこのじゃんけんがはっきりいってしまえば、
やや形を変えた「限定ジャンケン」であり、カイジを思い浮かべてしまう。
誰でも分かるルールのゲームではあるものの、
ギャンブルの内容についてはオリジナル性はあまり感じられない。

しかし、この作品の場合はライアーゲームやカイジのように
「特殊なゲーム」が芯ではない。この作品の芯は顔芸である(笑)
キャラクター同士のギャンブルにおける駆け引きによる、
精神的な焦り、煽りの表情の数々、豹変する表情が面白い。
ギャンブルどうこうよりも、キャラクターたちの顔芸に目が離せない

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

主人公が特別に優秀というわけではない。
イカサマが当然なギャンブルであり、対戦相手は当然のごとくイカサマする。
主人公はそのイカサマを「見破る」ことはするものの、
最終的な勝負は自らの「運」に頼っている。
彼女はタイトル通り「賭け狂い」でありギャンブルを心底楽しんでいる。

だからこそイカサマを見破ることはすれど、
確実に勝てる試合の流れを作ることはあまりしない。
あくまでも最終的にはギャンブルそのもの、勝負そのものを楽しんでおり、
互いに勝つか負けるか分からない状況づくりとしてイカサマを見破る。

この作品の主人公は「カイジ」のように自らの借金のためでも、
「ライアーゲーム」のようにヒロインに母の面影を重ねているわけでもない。
この作品の主人公はあくまでも「ギャンブル」というものを純粋に楽しみ、
ギャンブルだからこその緊張感で快楽を感じているような主人公だ(笑)
正直、主人公というよりはギャンブル漫画のおかしな奴と言う印象だ。

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

故に負ける恐怖というものがない。
普通なら大金のかかった勝負、なおかつ学校内でのカーストにもつながる
勝負であるがゆえに他のキャラはあせったり、戸惑ったりする。
しかし、彼女の場合、負けることもギャンブルの醍醐味と思っており、
そこに対する恐怖がない。

むしろ、負けるかもしれないギリギリのラインを綱渡り的に楽しむ状況を
あえて自分から作りに行ってるときすらあり、
その狂気に対戦相手が戸惑う様がある種のお決まりのパターンになっており、
敵が勝ちを確信していた表情が歪み、主人公がそこを煽る様が面白い。

ときにはイカサマすら放置しギャンブルを楽しむ材料にしている。
行うギャンブルが「面白くなるか」しか彼女は考えておらず、
勝負の結果すら確実な勝利になるとは言えない状況で、
主人公は相手を煽り、追い詰め、「生と死」の綱渡りを楽しみ、
ギャンブルというものを体の芯から楽しんでいる。

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

この作品はギャンブルの内容や特殊なゲームの面白さを味わうものではない。
あくまでもギャンブルにおける「勝負」の緊張感そのものを楽しむためだけに、
分かりやすくシンプルなルールのゲームが描かれる。
見てる側も説明されなくても分かるゲームばかりでありイカサマも単純だ。
主人公か勝つかどうかはこの作品においては重用ではない。

勝負の勝ち負けが物語の芯ではないからこそ、1ゲーム1ゲームが短い。
基本的には1ゲームあたり1話ないし2話で終わる。
この手のギャンブルを扱うアニメの場合、
勝負がつくまでに3話や4話くらい使うのは普通だが。
この作品の場合はサクサクと分かりやすく進む。

勝負の相手は毎回違い、毎回クセの強すぎる相手ばかりだ。
そんな癖のある相手が主人公の狂気に触れ絶望する様を楽しむ。
サスペンスやギャンブルアニメというよりは、
どちらかといえば「ギャグアニメ」に近い部分はあるものの、
分かりやすい様式美が作品の中で確立されており、
この作品の楽しみ方というのが説明されなくともスグに分かる。

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

エロ要素も強い。OPの雰囲気を見れば分かってもらえると思うが、
かなり表現として「性的」なものも多く、
狂った表情で顔を赤らめる姿は当たり前、
キャラクターによっては自分で自分を慰めるようなシーンも有る。

それが「エロい」かどうかは別だが、この作品の雰囲気を余計に
耽美かつ、そのエロ要素すらも顔芸で見せ、ギャグになってるシーンも多い。
女性キャラクターが多いせいか百合、というよりもレズビアンチックな
表現も多いため、そういうのが好きな方も楽しめるだろう。

終盤のギャンブルなどもはやギャンブルではない(笑)
金をかければ掛けるほど勝率が上がるという無茶苦茶なルールの中で、
心理的な駆け引きを超えた先の精神攻撃によるバトルだ。
「人生」すらもお金に換算し、追い詰められる様は
ギャンブルにおける脳内麻薬を具現化したような作品だった。

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

総評

全体的に見てカイジやライアーゲームのような感じを想像してしまうと、
やや肩透かしを食らってしまうかもしれないが、
ギャンブルにおける心理描写、精神状態を大胆にキャラクターによる
顔芸で表現することによる面白さをシンプルかつ大胆に描写し、
一見するとややギャグにも見えかねないような極端な描写と演技が
この作品ならではの面白さを見せてくれた。

はっきりいってしまえばストーリー展開は読める。
勝負の結果なども「こうなるんだろうな」と予想ができてしまうことも多い。
だが、結果はこの作品において重用ではない。
結果が分かっているからこそ、その結果をどうキャラクターたちが
顔で魅せてくれるか。どう煽り、どう勝利に浸り、負けに絶望するのか。

この作品のキモはそこであり、毎話盛り上がりところがきちんとある。
盛り上がりすぎてギャグになっていることも多いが、
話が進めば進むほど極端な描写になっていく「勝利」と「敗北」の
描写がたまらなく面白く、話が進めば進むほど過激になるギャンブルが面白い。

欠点らしい欠点といえば良くも悪くも顔芸アニメなだけに、
やや演技がかった部分もあり、性的要素や、ややグロ要素などもあるため、
そういった要素が嫌いな方は楽しめないかもしれないが、
あくまでもそれは個人の好みの問題だろう。

1話を面白いと感じれば間違いなく最後まで面白い。
だが、残念なことにこの作品は1クールで終わってしまっている。
ただ既に2期が決定しているため、さらなるギャンブルを、
さらなる顔芸を、さらなる煽りを2期では期待したい所だ。

賭けグルイ引用元:©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

個人的な感想

個人的には唐突に「仰げば尊し」を歌う回のシュールさが大好きだ’(笑)
フルサイズで聞けなかったことは大変残念ではあるものの、
あそこで「仰げば尊し」をぶちこんでくるこの作品のセンスは素晴らしく、
全話に渡って楽しく見ることが出来た。

余談だが実写ドラマの方も見たのだが、やってることは同じでも、
やはり実写だと芝居がかった部分が強く強調されてしまっており、
個人的には余り楽しめなかった。

売上的にはあまり良くなかったものの2期が決定している。
配信や原作の売上がよっぽどよかったのだろう。
今から見るのがとても楽しみだ。

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