サスペンス

「ルパン三世VS名探偵コナン」レビュー

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サスペンス
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評価 ★★☆☆☆(35点) 全120分

劇場版『ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE』予告編

あらすじ ヴェスパニア王国のサクラ女王とジル王子が、猟銃事故で死亡した。そのニュースは世界的に報道され、ルパン三世や江戸川コナンの耳にも入る。引用- Wikipedia

奇跡のコラボ?奇作のTVSP?

本作品は2010年に放送されたTVスペシャル作品。
日本テレビ開局55周年と読売テレビ開局50周年の開局記念スペシャル番組であり、
ルパン三世と名探偵コナンの異色のコラボということで話題になった。
監督は亀垣一、制作は東京ムービー。

主軸はコナン

ルパン三世と名探偵コナン、一見、水と油の作品に見えるが、
リアルな世界観を舞台にしており、ファンタジーな要素がないからこそ
この2作品の夢のコラボが実現したとも言える。

キャラクターデザインもメインのキャラクターたちはそのままに、
だが、この作品オリジナルのキャラクターは
キャラクターによってコナンサイドのデザインだったり、
ルパンサイドのデザインだったりと混ざり合っている。

BGMに関しても序盤は「ルパン三世」の曲が使われている。
コナン的なキャラクターデザインとルパン三世的なキャラクターデザインが
入り乱れる中で、ルパン三世のBGMが使われる中で、
ヴェスパニアという国で王妃と王子が
猟銃の事故で死亡するという事件が起こったというところから物語が始まる。

キツネを撃った王子様が間違って母である王妃を撃ってしまい、
そんな王妃を間違えて撃ってしまったことを憂いた王子は自殺してしまう。
ただ、この冒頭の時点で「あ、こいつが自殺に見せかけたんだな」と
ある程度以上の大人ならば想像できてしまう展開だ。
ミステリー要素としてはかなり弱い。

そんな事件の起きた国にある「王冠」をルパン三世一味が狙っており、
王女様は公務で日本に訪れるのだが、
彼女はなぜか「毛利蘭」そっくりだ。

入れ替わり

ストーリーのテンポはあまり良いとはいえない。
ストーリー的にはコナンサイドは事件の起こった王国の姫と蘭が入れ替わり、
ルパンサイドはヴェスパニア王国のお宝を巡って行動を起こすという感じだが、
序盤はルパンとコナンで日本とヴェスパニア王国でばらばらで行動している。
二人が出会うのは放送開始後1時間という中盤過ぎたところであり、
若干二人が出会うまでが遅い印象だ。

入れ替わりネタに関しても、古今東西様々な作品で使われているネタだ。
連れ去られた蘭を追いかけるためにコナンが
強引に海外に行く展開になりようやく二人が出会う。
この中盤からようやく盛り上がってくる感じだ。

今作は映画ではなくTVSPではあるものの、
コナンのハイパースケボーアクションも中盤では披露される(笑)
特に今回のコナンは無謀の一言だ、
海外へと飛び立つ飛行機の車輪にしがみつくしまつだ。
ミッションインポッシブルもびっくりなアクションシーンには
流石に笑ってしまう。

作品全体として、かなりコミカルかつギャグも多く、
ストーリーのテンポ自体は悪いものの、
くすくすと楽しめる作品に仕上がっている。

コラボ

中盤からコラボらしい面白さが出てくる。
目暮警部が「銭形警部」と友人だったり、
コナンと「次元」が父子を装って捜査活動したり、
コナンではお馴染みの「麻酔銃」を使った腹話術も今回はコラボということで
「銭形警部」がその役目になっていたり、ルパンとコナンが
互いの素性を知らず会話したりと、中盤でようやく「コラボ」の面白みが出てくる。

ただ、その一方でキャラクターを使いこなせてるとは言えない。
特にルパン側のキャラクターの扱い方はやや雑であり、
「五右衛門」の扱いは便利アイテムくらいで酷く
出番が少ない上に活躍するシーンも少ない。

ルパン側だけでなくコナン側のキャラの違和感も凄まじい。
キャラクターによっては違和感を感じるほどキャラの違いを感じる。
蘭のテンションの高さや、高木刑事の性格など
普段コナンを見ている人だと若干「?」となるセリフや行動が多い。

全体的にコメディタッチにしているせいで、
ややキャラ崩壊しているような感じだ。
メタ的なネタも多く、ちょっとギャグ要素を盛り込みすぎている印象だ。

終盤

終盤、コナンではお馴染みの推理シーンが展開される。
このシーンは毛利小五郎を演じる神谷明さんは
「流石」としか言えない演技だ。
終盤、コナンが変成器で出す毛利小五郎の声と、
ルパンが変装している毛利小五郎の声を見事に演じ分けており、
神谷明さんの貫禄を感じる演技と言えるだろう。

だが、肝心のトリックや犯人がつまらなすぎる。
犯人も「私が犯人です」と言わんばかりのキャラクターであり、
トリックも平凡で面白みにかけるうえに、冒頭の段階から
見ている側にはある程度、予測できてしまう。

ルパンとコナンのコラボだからあまり無謀なストーリー展開ができず、
無難にストーリーをまとめてしまった印象の強い作品だ。
更に、タイトルのVSという点はあまりない。

最後で何故かコナンが「工藤新一」とルパンにバレるシーンは本当に意味不明だ。
バレる!というの展開自体は面白いのだが、
ルパンがそれに気づく要素がないのに気づいている点は意味がわからない。
コナンの正体に気づくポイントがきちんと描かれていれば違ったが、
唐突に「中身は高校生なんだと」というセリフが出てきても
微妙で意味不明なだけな作品だった。

総評:コラボという名のキャラ崩壊

全体的に無難なストーリー展開の中で、
コメディ要素が強く出ており笑える箇所が多かったが、
その反面でストーリー自体の微妙さやキャラクターの使い方の微妙さ、
序盤から中盤までのタンタンとしたストーリー展開など、
いろいろな部分で不満を感じる点は多い。

無難なストーリーもトリックの普通さや微妙なラストの展開は、
2つの作品のファンを「納得」させるだけの力はなかったかのように思える。
全体的に盛り上がりのかけるシーンが多いのも残念な所だ。

コナン側が主軸になりすぎていてルパン側のキャラクターの使い方が
微妙なのも気になるところだろう。
特に五右衛門があまりにも活躍していない点はルパン三世のファンには不服だろう。

コラボするうえでコメディ要素を強くすることで
ギャグタッチにしたかったのはわかるが、
メタネタやキャラ崩壊寸前のセリフなど、
色々とコラボする上で無理がある部分が多い。

ただ、2つの作品の世界観を上手く合わせている点は無難なストーリーでも評価すべき点であり、
もし、シリーズ化されればキャラクターの使い方や、
ルパンやコナンらしいだいたいんなストーリー展開も出来るかもしれない。

そういった期待が少しはできるレベルの無難な出来栄えの作品だった。

個人的な感想:お祭り

こういったVSシリーズは昭和の作品には多かったが、
最近では少ないだけに新鮮に感じる部分だ。
やったとしても、せいぜいソシャゲでのコラボくらいだろう。

そういった点を考えればこのコラボSPはお祭り的な意味で
面白い部分もあるのだが、
もう少しキャラデザやストーリー含めて洗練してほしかったところだ。
後にコナンVSルパン三世は映画化もされており、
その布石の作品だったと考えるのが無難なところなのかもしれない。

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