宇宙戦艦ヤマト2199

評価/★★★☆☆(46点)

宇宙戦艦ヤマト2199 評価

全26話
監督/出渕裕
声優/菅生隆之,小野大輔,田中理恵,桑島法子,山寺宏一ほか

あらすじ
それから8年遡る2191年、地球人類は歴史上初めて地球外知的生命体と接触し、両者の間に戦端が開かれた。彼らの名は「ガミラス」。圧倒的な軍事力を持つガミラスの攻撃の前に防衛艦隊も壊滅寸前となり、冥王星基地からの遊星爆弾を用いた爆撃により、人類は地下都市へと追いやられ、大地は赤く醜く干上がり、大気は汚染され、地下都市ではエネルギー不足・飢餓・暴動などが人々を苦しめていく。そして、地表を覆う汚染は地下都市をも着実に蝕み、人類絶滅まで約1年と迫っていた

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もう1クール欲しかった。明らかに尺が足りていない。

本作品は宇宙戦艦ヤマトのリメイク作品。
もともとは劇場版として制作されTVシリーズとして全26話に構成されている。
なお、リメイクではあるものの細かい設定から声優、更にストーリーにもかなり改変がある。
そのせいか一部キュウサクファンからは「同人作品」という意見もあり、
その反面、旧作のファンから「楽しめた」という意見も見られた。
私個人としてはふわっっとした「宇宙戦艦ヤマト」の知識で見た、旧作は見ていない。
なお、監督は「ラーゼフォン」でお馴染みの出渕裕監督。

基本的なストーリーはSF。
2199年、人類は初めて地球外生命体と出会った
しかし、地球外生命体「ガミラス」は一方的に攻撃を仕掛けてきた
地球は彼らの攻撃によって環境が破壊され、あと1年という月日で滅亡する寸前になっていた
そんな中、敵はなぜかすでに朽ち果てた戦艦「大和」を狙って攻撃してきた
それは人類の希望の戦艦だった・・・というところからストーリーが始まる

序盤からかなり丁寧なストーリー運びだ。
元々が劇場版ということもあるのだろうが、ヤマトが地球から旅立つという内容を2話まで描く
この丁寧なストーリー運びは最近のアニメではあまり見かけないゆっくりなスタートだ。
ゆっくりと丁寧なストーリー描写ではあるものの、
戦艦同士の激しい戦闘描写や、戦闘機の戦闘など劇場版ならではの作画のクォリティは
TVで見ても迫力十分であり、ロボットの出ないSFアニメの面白さをじわじわと感じさせる

更にワープの描写。
波動エンジンを使った次元間跳躍の描写はワクワクさせるほど迫力ある描写だ。
次元に穴が飽き、戦艦が通り抜けると戦艦内の時が止まり
穴を抜けると戦隊が氷で覆われ時が流れだす。
ワープの描写にこれほどまでこだわっている作品は近年ではこの作品くらいだろう。
「戦艦ヤマト」、この作品のある意味で主人公とも言える戦艦の描写はこだわりを感じ、
ワープ、着陸、離陸など1つ1つの動きが繊細に描写されているからこそ戦艦の動きが面白いと感じる

そして戦闘シーン。
「ロボットの出ない戦艦だけの戦闘シーン」というのはこの作品の面白さの特徴だろう。
ヤマトと敵の戦艦のバトルは単純な打ち合いではあるものの
発射されたレーザーの描写、レーザーガ辺り破壊される戦艦の描写、
撃ってくるミサイルに対する秒魚の描写、更にこちらから撃つ副砲の描写と
この1つ1つが妥協を一切感じないこだわりの描写で描かれており、
迫力抜群の戦闘シーンを展開している

その極めつけは波動砲だろう。
単純に「波動砲発射!」ではなく、波動砲発射までの1つ1つのプロセスを丁寧に描き
発車する寸前の砲塔内部まで細かく描写し、見ている側の期待感と緊張感を煽りに煽り波動砲が発射される。
その期待感と緊張感を一気に開放されるようにすさまじい破壊力を魅せつけられる。

ストーリー的には序盤から淡々と描いている。
ヤマトが地球を旅立ちイスカンダルを目指す、
その最中で敵に襲われたり敵の基地を破壊したりしつつ、同時にヤマト内にクルーを一人一人丁寧に描写する
一人一人が様々な事情、様々な思いを抱えており、イスカンダルを目指す道中の中でそれを描写する。
実力派の声優陣が演じているだけあってキャラクターに感情移入しやすく、
話が進めば進むほどキャラクターをの魅力を強く感じられる。

更に戦闘シーンも「駆け引き」が重要になっていく。
敵にとっては厄介な宇宙戦艦ヤマトを狙って様々な方法で向かってくる
そんな敵に対しヤマトは味方の増援が無い中、単独で立ち向かう
時には敵の作戦の裏をかき、時には無謀な行為で突き進み、時には意外な方法でピンチを切り抜ける
決して派手な戦闘シーンばかりではないが、序盤で派手な「波動砲」を見せられたあとだけに
この「駆け引き」の戦闘シーンが非常に面白く感じる
乗組員の選んだ作戦が必ずしも正しい訳ではなく、
犠牲を出しながらもヤマトは「イスカンダル」を目指す

そんな中で「長時間」の移動、ガミラスからの幾度もの攻撃、不足する物資、艦長の病気、
様々な不安要素が募り、船員の心理も変化していく、だからこそ「反乱」を起こす。
同じ船内の隊員たちで争っている場合ではないはずなのに、
ありとあらゆる不安要素が船員の心を揺さぶる。

更に人間側だけではなく「ガミラス側」の描写もある。
ガミラスは「デスラー」というカリスマ的な総統による政治が行われており、
そんな彼に氾濫するやからも少なくはない。

ヤマト側は戦艦内の緊迫した状況や人間側のフリな状況だからこその人物描写が面白く、
そんな切羽詰まった状況でガミラスに対し何とか切り抜けていくという人物描写が光る、
その反面でガミラス側は緊迫した状況ではなくデスラーに支配された中での軍隊の描写であり、
軍人の描写という点に重きが置かれている。

野心あふれる軍人、優秀な軍人、忠義心溢れる軍人、そしてカリスマのデスラーと
男臭いかっこよさはあるものの、彼らの描写が非常に多く、
後半に慣ればなるほど彼らの描写が中心になってしまって、一瞬ヤマトのクルーを忘れそうになるくらいだ。
ヤマト側のキャラクターだけでもかなりいるのに、更にガミラス側のキャラクターもかなりおり
結果として明らかに「尺が足りない」自体になってしまっている。

せっかく掘り下げたはずのキャラなのに意外にあっさりと死んでしまったり、
急に脇役キャラを掘り下げるような内容になったりと終盤になるに連れて「荒い」描写が目立つ。
その決定的なのは「デスラー」だろう。

彼は敵の総統であり、カリスマ的な存在であることは分かるのだが、それが見ている側に伝わってこない。
他のガミラスのキャラを掘り下げすぎたあまり、
ガミラス側のメインであるはずのデスラーの描写が減ってしまい結果として掘り下げが甘い。
そのせいで終盤の行動が「?」となってしまうことが多く、
きちんと掘り下げていればそうは見えなかったのかもしれないが急に狂ってしまった感じが強い。
更に終盤の最終決戦もわずか1話の尺に強引に詰め込んでしまったせいで盛り上がりに欠けてしまった。

全体的に見てこれが4クール、全50話ほどの尺ならば問題なかったかもしれない。
だが2クールという限られた尺の中では多すぎるキャラクターを捌ききれておらず、
結果として中途半端に掘り下げたキャラクターが中途半端に活躍するような展開になってしまい
見ている側がどこに重きをおいてみればいいのかがわからない。
前半はほとんど人間側しか描かれていないため見ているが側が感情移入しやすかったが、
中盤からはガミラス側まで描写しているため、どっちつかずな印象になってしまっている

生かされなかった設定も多い。
ヒロインである「森雪」は1年前からの記憶が無いという設定だったが、
本当にそのまま記憶が無いだけで意味なし。

サブヒロインである「百合亜」は物語中盤でイリーシャというイスカンダルの姫に憑依されていたのだが、
意外に簡単にイリーシャが普通に出てくる、最初からイリーシャ出てくれば?と思うほど意味ない
イリーシャ自体は事故で意識不明で地球の医療では直せないはずだったのだがあっさり復活。
百合亜も彼女に憑依されなくなると一気に登場シーンが少なくなる
せっかく掘り下げたり活躍させたりしたのに意味なしだ。
彼女が艦内ラジオをしているという設定もめんどくさくなったのかすぐに無くなった。

掘り下げたはずのキャラを活かさない、描写した設定を活かさないと
2クールという尺では捌ききれなかった内容が終盤になるに連れて積み重なっていってしまった。
最終話の「コスモリバース」の設定や説明も不足しており、
最終話のあの展開がなぜそうなって彼女だけ生き返ったのか微妙に理解しかねる。

前半部分は本当に良かった。
戦艦同士の激しい戦闘描写や切羽詰まった人類の心理描写など
前半は「宇宙戦艦ヤマト」の面白さを十二分に感じられるストーリー展開だったが、
後半からは中途半端なキャラ描写や捌き切れないキャラクターと設定に追われる中、
尺が足りずあせったストーリー展開になり、
せっかくの「宇宙戦艦ヤマト」の最終話の沖田館長の名台詞も
色々と気になる点が多すぎるせいで盛り上がりに欠けてしまった

本当にあと1クールあれば印象が違っただろう。
2クールという尺に押し込めてしまったせいで色々とはみ出た部分が気になる作品になってしまった
2014年には完全新作ストーリーで映画化されることも決まっており、
このはみ出た部分、気になる部分を気持ちよく映画で解決してくれれば
この作品の評価ももしかしたら変わるかもしれないが・・・

あと余談だが女性キャラが旧作に比べ増えたことでいわゆる「セクシーシーン」がある。
明らかにアングルが深夜アニメのようなアングルで女性キャラの尻に寄ったり、
水着回があったりとあからさまに狙ったシーンは
ある意味「尻フェチ」の方が居るならば必見かもしれない(笑)