ガンスリンガー ストラトス」

2016年6月29日

☆☆☆☆☆(4点)

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素材はいいのに台無しだ

原作はゲーム、しかもアーケードゲームという
アニメでは非常に珍しい媒体のアニメ化。
監督は江崎慎平、制作はA-1 Pictures

見出して感じるのは妙な作画の「のっぺり」感だろう。
作画崩壊しそうでしない、そんなギリギリのラインを見極めるような感じで
絵の「線の少なさ」を感じるのっぺり具合のせいで
せっかくの未来感あふれる世界観が台無しになってしまっている
戦闘シーンも非常に多いのに極端に作画が崩れる場合も多く
ファンタジーやSFにおける「作品の雰囲気」が作画のせいで台無しだ

基本的にこの作品は「バトル」が中心の作品だ。
ストーリー的にはSFだ
人が突如、砂化してしまう現象が多発している世界の中で
「もう1つの世界」の自分と戦い勝利することでそんな現象を防げるようになる
そんな中で主人公も「2015年の東京」でもうひとりの自分と闘うことになる
という感じだ。

そんな世界観にもかからわず1度たりて「作画」のレベルが上がることはない
ある意味で常に安定しているとも言えるのだが、
せっかく大胆な動きも「作画のレベル」がもっと上ならば純粋に楽しめそうなのに
悪すぎる作画のせいで純粋に楽しめない
激しい戦闘シーンが多い作品で戦闘シーンの作画が悪いというのは欠点でしか無い

しかし、作画面は厳しいのだがストーリー自体はそこまで悪くはない
人類が続々と砂化してしまう現象を防ぐために
別の世界のもうひとりの自分と闘うという「シチュエーション」が作り出す
自分と自分、同じキャラクター同士が戦うというストーリー展開は
独特の緊迫感と面白さを産んでいる
原案が「虚淵」氏ということを考慮すると少なからず
色々とシリアスな状況を期待してしまう

だが、そんな「絶好の状況」にも関わらず
シリアスな状況、緊迫感のある状況を利用しないストーリー展開ばかりだ
自分と自分で殺しあう罪悪感、別の世界の兄や妹と戦う難しさ、
別の世界の想い人と戦う状況など
とことん「虚淵」原案らしい設定の数々だ
原案だけでなく脚本も彼ならば、この設定がもっとイキただろう

しかし、この作品ではそんなことをしない。
別の世界の兄だろうが、別の世界の想い人だろうが普通に殺しあう
素晴らしい設定があるのにもかかわらず、そんな設定を生かさずに
浅いキャラクター描写で予想できるストーリー展開ばかりを繰り広げてしまい
せっかく「虚淵」氏が用意した素材を台無しにしてしまっている

「虚淵」原案ということを意識してかキャラクターが死ぬシーンなども多いのだが、
「あっさり」死んでしまい、重みに欠ける
きちんとしたキャラクター描写とストーリー展開があってこそ
キャラクターの「死」というシチュエーションが生きてくるにもかかわらず
この作品は浅いキャラクター描写と軽いストーリー展開であっさりと殺してしまうため
見ている側がキャラクターの死に何の引っ掛かりも覚えない

キャラクター数も無駄に多い。
2つの同一世界があるため単純にキャラクター数×2なため仕方ない面もあるが、
掘り下げが甘いままに死んでいくキャラクターや、
そもそも名前すら知らないキャラクターが画面の端に映ることも多く、
無意味に出ているキャラクターがあまりにも多い。
死んでから初めて「あ、そういう名前だったんだ?」というキャラばかりだ

メインのストーリー自体は6人ほどいれば進むのに
余計なキャラクターが20人くらいいるような感覚だ
キャラクター数がムダに多いせいでストーリーのテンポも悪くなってしまっており、
そこにさらに盛り上がりに欠ける戦闘シーンとギリギリの作画のアクションシーンで
余計にストーリーのテンポが悪くなってしまっている。
これほどまですべての要因が「悪い方向」にまとまっている作品も珍しい

全体的に見て清々しいほどの駄作だ。
予算が少ないのはわかるが、それならばもう少しキャラクターを減らせば
一人ひとりの作画のレベルも上がっただろう
ストーリー的にも若干わかりづらい部分もあるもののSFとしての設定は面白いのに
その設定を生かさずに微妙なストーリーばかりを展開し、
掘り下げの甘いキャラがどんどん死んでいく印象しか残らない作品だ

最終話まで見ても名前を覚えているキャラクターはほとんど居ない。
むしろ「名前」がきちんと出たキャラのほうが少ないんじゃないか?と思うほど
無駄死なキャラクターがあまりにも多く、
ストーリーの中でキャラクターを安易に殺しすぎだ。

素材自体は物凄く良いのにもったいない。
2つの世界で同じ人間が互いの世界のために殺しあうというシチュエーションから
想像、期待できるストーリー展開が殆ど無く、
見終わった後に思い返しても
「別に同じ人間じゃなくても違う世界同士って設定だけでも良かったんじゃ?」と
設定の活かしきれて無さが全話にわたってにじみ出ている作品だ

原作のアーケードゲームの宣伝のためのアニメなのかもしれないが
少なくとも私は、この作品を見てやってみたい!とは思わない
あんな緊迫感にかける戦闘シーンのゲームなどやりたいと誰が思うだろうか

ついでにいえばこの作品は余計なことをしている。
テレビ放送版とニコニコ動画配信版で最終話の内容が違う
過去の作品でもたまにこういった演出がある作品はあったが、
この演出は「本編の完成度」がある程度会ってこその演出だろう
最終話の内容を2パターン出来る余裕が有るなら
本編の作画のレベルをもう少し上げるべきだろう

余談だがこの作品の戦闘シーンを見てふと
「ステラ女学院高等科C3部」のあの戦闘シーンが頭のなかをよぎってしまった(苦笑)
弾の当たらなさに関してはこの作品も同程度だろう