「アークナイツ 【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】」レビュー

3.0
SF
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評価 ★★★★☆(60点) 全8話

あらすじ テラの大地では、原因不明の天災が各地で不規則に発生している。そこで大多数の人々は天災から逃れるために、長い年月を経て開発された移動都市で暮らすようになった。引用- Wikipedia

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令和の質アニメ

原作はソーシャルゲームな本作品。
監督は渡邉祐記、制作はYostar Pictures

暗い

1話から非常に重苦しい雰囲気が漂っている。
余計なBGMなど一切なく、
主観映像で「目覚めた主人公」の目線でストーリーが綴られる。
「ドクター」と呼ばれる主人公と目の前にいる女性がなんなのか、
今はどんな状況なのか、彼にも視聴者にもわからない。

状況はかなり緊迫していることはわかる。
「レユニオン」と呼ばれるものと戦闘しており、
主人公は長い眠りから
目を覚ました直後なのに移動しなければならないほどだ。

そんな主人公のそばにいる女性キャラクターの存在、
彼を思い、彼を慕う気持ちが見ている側にも伝わるような
なめらかなアニメーションのクォリティは非常に高い。
背中を擦る手の動きや細かい表情の変化、
ぬるぬると動く作画はこの作品の雰囲気づくりを後押ししている。

特にカット割りとカメラワークは独特だ。
頻繁にカットを切り替え、主観や三人称視点に頻繁に視点を切り替えている。
このカット割りとカメラワークが物語にテンポ感を生んでおり、
戦闘シーン自体はやや地味さは拭えないものの、
その地味さを感じさせない雰囲気がカットやカメラワークによって生まれている。

思い出せない!

そういったアニメーションという表現部分ではかなり優秀な作品であることは
1話の冒頭の時点からひしひしと感じるのだが、問題は脚本だ。
1話はもうわかりやすく「チュートリアル」である。

主人公を記憶喪失にすることによって
今何が起きているのか、目の前にいるのが誰なのかも分からない。
自分は誰なのかもわからない彼を通してゲームのストーリーを
説明するのは古今東西にありがちな手法だ。

主人公が渡された機械がなんなのか、襲ってきた敵はなんなのか。
ものすごい丁寧に説明してくれる。
アニメの説明シーンというよりはゲームの説明シーンを
そのまま引っ張ってきたような台詞回しはやや違和感を感じる。

この世界は「オリジニウム」という鉱石によるエネルギーが存在し、
同時にそのオリジニウムが原因で「オリパシー」と呼ばれる不治の病が流行っている。
敵であるレユニオンはオリパシーの患者であり、差別された彼らは
半ばテロ組織のように暴動や戦争行為を起こしている。

そんな組織と戦っているのが主人公の組織だ。
リユニオンと戦いながら、オリパシーやオリジニウムの研究をし、
病気と闘いをなくそうとしている。
彼らの多くもまた「感染者」であり、差別される世界だ。
一般市民を助けても、感染者であるがゆえに侮蔑される。

こういった説明を織り交ぜながら主人公による初指揮という名の
初戦闘が描かれるのが1話だ。
かなりチュートリアル感は強いものの、アニメーションとしてのクォリティが高く、
「雰囲気」に飲まれるような画作りがなされてるからこそ、
チュートリアル感は気になるものの、先が気になる展開になっている。

キャラクター

主人公は「ドクター」と呼ばれており、その名のとおり研究者であり医者だ。
彼を演ずるのが「甲斐田ゆき」さんなのも素晴らしく、
本来ならばゲームにおける「プレイヤー」だからこそ台詞は少ないのだが、
その少ない台詞が「甲斐田ゆき」さんの声と演技によって際立たされている。

この作品はキャラクターの見せ方がうまい。
ソーシャルゲーム原作アニメといえば1話から
馬鹿みたいにキャラクターを出してろくに印象付けも掘り下げもないような
キャラクターだらけの作品も少なくない。
しかし、この作品の場合は1キャラ1キャラ丁寧に出している。

主人公がコールドスリープから目覚め、敵から逃げ、基地に向かう。
そういう状況だからこそ少数のキャラクターしか序盤は出ない。
逃げているという状況だからこそ追手もやってくる。

敵キャラクターにピーキーなキャラ付けの敵キャラが多いからこそ、
「敵」としての存在感と印象がガッツリと残る。
そんな強敵との戦いの中でピンチになると新キャラがやってきて
状況を打開してくれる。

新キャラも3人も5人もやってくるのではなく、
ひとりひとりやってきて見せ場をしっかりと描き、
どういうキャラなのかを見た目や演技や台詞で印象付けてくれる。

やや、ややこしいストーリーではあるものの、
そのストーリーを少ないキャラクターで綴っているからこそ、
見ているうちに頭に自然とストーリーとキャラクターが入ってくる。

苦戦

戦況は常に劣勢だ。少ない資材と少ない人材の中での
撤退戦は厳しく、敵も容赦がない。
常に緊迫感のある状況が続き、余計なギャグやおふざけがいっさいない。
差別意識ゆえの人類同士の対立は救いもなければ打開策もほぼない。

唯一の望みは主人公である「ドクター」の研究だ。
しかし、そんな彼も記憶喪失状態だ。希望も望みも薄く、救いもない。
メインキャラクターが死ぬようなことはないものの、
そのかわりに「モブキャラクター」は容赦なくその生命を散らしていく。
わずかな希望をつなぐために。

序盤の3話でメインと鳴るキャラクターとある程度の
ストーリーを原作をやっていない人にも丁寧に見せている。
ただ、4話あたりから一気にキャラクターが増え、
状況も撤退戦から変わったことでやや地味さが増してしまう。

差別

この世界の差別的な状況や現状を描く上で
4話から6話までの話は必要ではあるものの、
やや中盤はテンポ感が悪くなってしまう印象だ。
丁寧なのだが盛り上がりに欠けてしまう。

おそらくは丁寧にゲームのストーリーをなぞっているであろうことは
感じる部分ではある。
1話のチュートリアル、3話のボス戦、
4話からこの世界の現状をさらに掘り下げるような印象だ。

感染者と非感染者の差別意識、差別されてる側と差別する側。
どちらの気持ちも理解できる現状だ。
感染者が死ねば更に多くの感染者を生む。
そんな感染者を畏怖する非感染者の気持ちもわかる。

自分が悪いわけではないのに感染者になってしまい差別される側の気持ちもわかる。
彼らは街によっては入ることすら拒まれ、
スラム街のような場所に追いやられている。

そんな現状を打開しようとする主人公たちの組織ロゴスと、リユニオン。
やり方は違えど、どちらにも正義がある。
更に「ロンメン」という巨大都市も絡むことで
ストーリーは複雑になっていく。

命をとしても

この世界の命は儚い。
それゆえにそれぞれが自らの命をとしても何かを成し遂げようとしている。
自らの命を守るため、誰かの命を守るため、
それが「正しい」とそれぞれが信じている。

「アーミヤ」はそんな世界で誰かを殺さずに
この状況をなんとかしようと戦っている。
だが、大切な人を守るために彼女もまた誰かを殺す。
それが憎しみの連鎖をうみ、この救いのない世界を更に救いのないものにしていく。

感染者を救うために、感染者を殺す。
このメビウスの輪になっている現状をどうにかするしかない。
状況は悪化していく一方だ。

記憶を失ったままのドクターの記憶をどうにかしないかぎり、
この現状はどうしようもない、誰が悪というわけでもなく、
意見も正義も「平行線」のままだ。
そのあたりの本筋というべき部分はほぼ進まずに終わってしまっている。

全8話という尺で区切りはしっかりとしており、
2期も決定しているからいいものの、
がっつりと2クールか4クールで見たかったと感じる作品だった。

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総評:この残酷な世界に救いを

全体的にみてソーシャルゲーム原作のアニメとしてよくできている作品だ。
ソシャゲ原作アニメの欠点をこの作品では殆ど感じず、
序盤から中盤で丁寧に世界観を描きつつ、
キャラクターを大切に出しつつ掘り下げながら、ストーリーを見せている。

物語を綴る主人公とアーニヤの二人の印象付けが
序盤でしっかりとしているからこそ、中盤からキャラクターが増えても気にならず、
あまりしゃべらない主人公を演ずるのが「 甲斐田ゆき」さんなのも
素晴らしいところだ。

増え続ける感染者、そんな感染者を救うためにどうにかしたい。
それは主人公たちもリユニオンたちも変わらない。
だが、感染者を救うために感染者を殺している現状は残酷だ。
どうにかしたいと思いながらも決定打がない。
それゆえに「憎しみの連鎖」が絡み合う。

この作品全体に感じる「重苦しい」雰囲気を美麗な作画だけでなく、
頻繁なカット割りと多彩なカメラワークによって見せており、
戦闘シーン自体のアクションはシンプルではあるものの、
アニメーションとしての見せ方がうまく雰囲気に飲み込まれるものになっている。

シンプルにストーリーも気になるため、2期も期待したいところだ。

個人的な感想:GONZOさん

陰鬱な雰囲気のアニメが多かった00年代前半の深夜アニメのような雰囲気もあり、
言葉としてやや死語になりつつあるが、いわゆる「質アニメ」っぽさを
ものすごく感じる作品だ。
それゆえに古のオタクにはたまらない雰囲気があふれている。

それこそ時代が違えばGONZOやXEBECあたりが手掛けていそうな
ダウナーな雰囲気にあふれている。
あの頃のアニメのオタクにはたまらない雰囲気があり、
ソシャゲ原作アニメということで手を出していない人でも、
1話を試しに見てみるのはありかもしれないと感じる作品だ

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  1. 匿名 より:

    レビューありがとうございます
    この作品はまるで映画のような世界で圧倒されました…
    続編も期待しています

    5.0 rating

  2. 6/7 より:

    GONZO。たしかに

    3.0 rating