やられたらやりかえす、倍返しだっ! 「Classroom☆Crisis」レビュー

2016年3月7日

評価/★★★☆☆(43点)全13話
Classroom☆Crisis(クラスルーム☆クライシス) 6  (完全生産限定版) [Blu-ray]

あらすじ
太陽系の各惑星がテラフォーミングされ、そこに地球各国の領土が設定され、多くの人々が定住するようになった時代。火星に建設された日本の新たな都道府県の1つ、第四東京都の霧科市(きりしなし)にある「霧科科学技術学園」には、一風変わったクラスが存在していた。

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やられたらやりかえす、倍返しだっ!

本作品はアニメオリジナル作品。
監督は長崎健司、制作はLay-duce
脚本は冴えない彼女の育てかたでお馴染みの丸戸史明

見だして感じるのはややこしさだろう。
1話冒頭から大量のキャラクターをどんどん出す、
誰が主人公なのかもつかめないままに、学校に舞台が移ったかと思えば、
誘拐騒動が起き、クラスメイトの一人が
ロケットに乗って宇宙に誘拐された転校生を助けに行く(苦笑)

1~10まで説明しろとは言わないが、
ほとんど説明もないままに大量の登場人物と設定をぶち込んでいる感じが強く、
これが「2クール」の作品ならば、
つめ込まれまくった設定や大量の登場人物をさばく尺もあるだろうが、
1クールの作品にしては1話から詰め込み過ぎな印象だ、

いわゆる「おいてけぼり」状態になってしまう。
衝撃的なシーンやインパクトの有る設定や内容で
1話で作品の印象を植えこむ作品は多い。
だが、この作品の場合、
本来はインパクトの有る設定や印象に残るシーンになるはずなのに、
詰め込みすぎて1つ1つのシーンやキャラクターの印象が酷く薄い。

はっきりいって設定を詰め込み過ぎだ。
舞台はテラフォーミングされた火星の第4東京都、
高校生でありながらサラリーマン、転校生は上司でリストラ目的etc…
文章で書くだけでこの詰め込み具合が分かるだろう。

いわゆる「つかみ」にこの作品は失敗してしまっている。
やりたいこと、描きたいこと、この作品の面白さの「芯」が
最初の1話~2話では掴みづらく、
この作品の面白さがじわじわわかってくるのは3話、
人によっては中盤以降からだ。

今から見る人に分かりやすく言うならば、この作品は
クラスルームという題名でもあり、登場人物は学生でもあるが、
基本的な内容は「会社」でのサラリーマンを描いている。
予算ばかりかかるお荷物部署であり、成果も上げていない。
そんな部署にやりての上司が現れて・・・?
という感じのストーリーだ。

そのストーリーに学生サラリーマンと言う要素や、火星の第4東京都などの、
オリジナル要素を出すためのややこしい設定を足しているため、
わかりづらく、とっつきにくい感じになってしまっている。

予算確保のための労働組合、政治、裏金、株など
「クラスルームクライシス」というタイトルや
1話で感じる印象とは全く違うストーリーの方向性となっており、
ストーリーの方向性をしっかりと掴みとるのが序盤では難しい。

ちょっと極端な例えになるが、池井戸潤の描く
「半沢直樹」的な感じを想像してもらうとわかりやすいかもしれない。
Classroom☆Crisisというタイトルで萌え的なキャラデザインなのに、
中身的には「半沢直樹」だ。
その「半沢直樹」的な感じなんだと分かるのが4話くらいからであり、
ストーリー展開も「やられたらやりかえす、倍返しだっ!」的な感じだ。

今からこの作品を見る方は、恐らく多くが1話で判断してしまうだろうが、
4話あたりで判断して欲しい。
この4話の内容が1話ないし2話あたりで描かれていれば、
もう少し売り上げも違っただろう。

こういった企業モノ、半沢直樹的なストーリーとしては
やや突っ込みどころは多い。
だが「アニメ」だからこその学生サラリーマンという要素を活かしたイベントや、
最初は反発しあっていたキャラ同士が打ち解けていく様子、
予算ばかりかかった部署が、なんとか成果を上げていこうとする様子は、
素直に面白い。

更に同時に「転校生」としてやってきた上司の復讐劇でもある。
虐げられてきた環境の中で彼は努力し会社の中での地位を上げ、
虐げてきた兄の「悪事」を掴み、自分を虐げてきた兄に復讐しようとする様は、
ダークヒーロー的な面白さすら内包している。

それだけに惜しい。
特に序盤から中盤までのつまらなさというか、とっつきにくさや分かりづらさなど、
もう少し要素を削ってすっきりと描写すれば、
早い段階で面白さが伝わりそうなだけに、
「盛り込み過ぎ」な要素の数々のせいで、
序盤で躓いてしまった感じが強い。

更に言えば結局のところ、アニメで「半沢直樹」をやりたかっただけ。
という印象も拭えない。
もちろん、堂々と倍返しだ!というような台詞は言わないものの、
話の流れや展開が「半沢直樹」を彷彿とさせるようなものばかりで、
それを隠すためにテラフォーミングされた火星という舞台や、
学生サラリーマンという設定を付け足した感じは否めない。

その付け足した要素がもっときちんと描かれれば面白かったかもしれないが、
結局のところメインは「半沢直樹」的ストーリーなため、
付け足した方の描写がおろそかになっている感じが強く、
「Classroom☆Crisis」というタイトルに帰結するような、
クラス描写がもっと欲しかった所だ。

特に終盤のつめ混み具合は凄い。
2クールならば、終盤の展開は飲み込むことができただろうが、
1クールの作品で終盤でいきなり「軍事産業」の話だったり、
主人公の本当の正体が明かされたり、いきなり刺されたり、誘拐されたり、
恋愛関係が三角関係になっちゃったりと、
ちょっとあまりにも急展開すぎてついていけない部分が多すぎる。

全体的に見て色々と惜しい作品だ。
アニメ版半沢直樹としての面白さや、アニメだからこその要素、
キャラクターの可愛らしささなど、1つ1つの要素は悪くないのだが、
その要素を「1クール」という尺の中でうまく捌ききれておらず、
特に序盤から中盤までの掴みどころの無さは
この作品の面白さを多くの人に伝えるチャンスを失ってしまった原因になっている。

1クールでやるならば、もう少し色々な要素を削るべきだ。
逆に削り切れないならば2クールでやるべき作品だろう。
3話を超えた段階で確実にこの作品は面白くなり、
9話で最高潮を迎えるのだが、
その9話の後にまた失速してしまった感じは否めない。

2期が前提となっている分割2クール作品だったり、
もともと2クールの作品だったら、もっと面白くなった作品だろう。
ドラマっぽさもあり、アニメっぽさもある。
この2つの面白さを1クールという尺の中に閉じ込めきれなかった作品だ。

更に2期まで匂わせているため中途半端なストーリーで終わってしまっている。
一応、区切りはつけているが、あくまでも区切りであり、完結ではない。
売り上げ次第では2期という感じだったかもしれないが、
1巻は700枚、2巻以降は数字すら出ていない、いわゆる爆死だ。

最後まで見ると多くの人は続きが見たいと思わせる作りになっている、
それぞれのキャラの掘り下げも終わり、ラスボス的な存在も匂わせて、
さぁこれからだ!という感じで終わってしまっている。
もし、2期がアレばこの1期の評価も上がるのだが・・・
2期の可能性は恐ろしく低い。

本当に色々と残念な作品だ。