「シャドーハウス」レビュー

サスペンス
スポンサーリンク

評価 ★★★★☆(68点) 全13話

あらすじ 訪問者のない不思議な洋館「シャドーハウス」。そこには、貴族の真似事をする顔のない一族「シャドー」と、それに仕え「顔」役を務める「生き人形」たちが暮らしていた。引用- Wikipedia

スポンサーリンク

圧倒的世界観

原作は週刊ヤングジャンプで連載中の漫画作品。
監督は大橋一輝、制作はCloverWorks

1話早々、登場人物の姿は影に覆われている。
いや「影」そのものが登場人物なのがこの世界だ。
影は豪華な衣装に身を包み、貴族として贅沢な暮らしをしている。
そんな影に仕えるのが「人間」だ。

本来は人間は影よりも上の存在だ。
人間が居るからこそ人の影は存在できる、だが、この世界では
人間が居なくとも影は存在できる。
ゴシックな雰囲気と音楽は独特の空気感を醸し出しており、
1話冒頭からこの作品の世界観にぐっっと飲み込まれる。

どこかホラーな雰囲気すら漂わせたあとで
可愛らしい主人公が目を覚ます。
影の貴族とは違い貧相な家でほこりっぽい部屋で固いパンを食べる。
そんな暮らしではあるものの、彼女の可愛らしい姿と行動や表情が
冒頭で匂わせたホラーな雰囲気をいい意味で濁す。

彼女は正しく言えば人間ではない。
「生き人形」と呼ばれる存在だ。
人形であるがゆえに名もなき彼女が
影、顔なきシャドーにつかえるところから物語が始まる。

わからないことだらけでしょ?

この作品は徐々に謎が明らかになっていく作品だ。
シャドーの存在、生き人形と呼ばれる存在の意味。
シャドーは顔がない、だからこそ、生き人形は彼女たちの生き写しであり、
「顔」の代わりだ。人形なのに感情があり、痛みがあり、食欲もある。

シャドーと生き人形、裏と表の関係性だ。
仕える身でありながら、ドジっ子な主人公はシャドーであるケイトに
世話を焼かれている。何も知らず、無知な生き人形。
不思議な主従関係がほっこりと和ませつつ、謎を少しずつ見せていく。

感情的な主人公に対し、理性的なケイト。
表情が見える可愛さを魅せる主人公と、表情が見えないからこその
清楚さを見せるケイト。
まるで光と影、その2人の関係生を序盤でしっかりと見せる。
似ているようで似ていない、だけど、通じている。

姉妹のような親子のような双子のような友達のようなそんな不思議な関係生。
生き人形な「エミリコ」がシャドーであるケイトに色々と教わっていく。
明るく可愛らしく何も知らないエミリコと、
不穏な「シャドー家」の雰囲気。

1話でこの作品のある種、完成された世界観を見せつけられる。
この作品は世界観こそが魅力だ。
その世界観を紐解いていき、その中で生きるキャラを描くだけで、
まるで秀逸なミュージカルような、どこか嘘で塗り固められた舞台劇のような、
昔から語られる童話のような物語をみせられているような感覚になる。

閉じた世界から

彼女が知識を得れば得るほど、
ケイトと仲良くなっていくほど彼女は真実へとちかづいていく。
彼女の部屋に貼られていた無数のメモ、最初は読めなかったそれが
読めるようになることで彼女は知っていく。

1話はケイトとエミリコしか出てこない。
しかし、2話からは多くの生き人形が出てくる。
2話で一気に世界観を広げ、彼女が決して特別な存在ではないことを
みせつつ、生き人形たちの生活と、そんな生き人形と正反対の存在である
シャドーの存在を匂わせる。

何も知らない主人公が徐々に世界を知っていく。
閉じた世界から徐々に徐々に。自分の幸せを噛み締め、
生きる喜びを知っていく。だが、それははたからみればどこかおかしい。

生きるために最低限な食事、彼女たちが歌う歌の歌詞の不穏さ。
「余計なことは考えない、シャドー家のために」
明るく歌っており、生き人形たちは幸せそうだ。
だが、不穏さが常に漂う。
知らなくても良い、考えなくても良い、忠誠以外外の心をもつな、
そう言われながら、まるで洗脳されているような彼女たちの行動理念。

主人公が幸せそうにすればするほど、楽しそうにすればするほど、
その不穏さの正体が見る側が気になっていく。
徐々に、徐々に、世界を見せ、世界の真実を気にならせていく。
「生き人形」の本当の意味と役割。シャドーたちの世界と
失敗作と言われる主人公。

すす

シャドー達は常に「すす」を垂れ流している。
シャドーたちが触れる箇所はすべて煤で汚れ、その煤のせいでシャドー達は
「表情」が見えない。その代わりが生き人形だ。
シャドーたちの感情の揺れが煤を更にうみ、生き人形が掃除をさぼれば
そのすすは「怪物」となって襲ってくる。

すすとは何なのか。すすに襲われると
「すす病」というものになってしまい正気を失う。
序盤はひたすらに世界観の謎を見せつけてくる、
見れば見るほど、話が進めば進むほど「謎」が積み重なる。

その謎が面白い、どういう意味なのかを知りたいと思わせる。
秀逸な世界観を優秀なストーリーで紐解いていくような感覚だ。
エミリコ自身でさえ知らない秘密。
キャラクターが増えれば増えるほど、話が進めば進むほど
すすで覆い隠された真実が徐々に徐々に明らかになっていく。

顔役である生き人形とシャドーの関係生が密接になればなるほど、
余計なことを考えなければ考えないほど、忠誠心を高めれば高めるほど、
それは生き人形にとっての「死」に近づく。
まるで煤に隠れた顔が出てくるように、真実が影から出てくる

だが、エミリコは知らぬままだ。
見ている側だけに真実が徐々に明らかになっていく、
ケイトとエミリコの関係性が深まれば深まるほどに、
彼女たちが笑顔を浮かばれば浮かぶほどに見ている側の感情を燻ぶらせる

消失

シャドーたちにも上下関係が有り、成人の儀を経て1人前だ。
だが、中には成人の儀をやりとげられないものもいる。
成人になれなかったシャドーは消え去るのみだ。
同時に「顔」である生き人形は処分される。

圧倒的な選民思想はシャドーたち自身の価値観を作るためのものだ。
同族が消えることへの恐怖、顔役である生き人形が処分されることへの疑問、
生き人形たとと同じくシャドーたち自身も「余計なことは考えない」ように
教育されている。

例え自我が目覚め、この「館」に違和感を抱いても、
その違和感は消される。敬うべき相手を敬い、従うべき相手に従う。
そこに最上の喜びを感じるように彼女たちは作られている。
完全に管理された世界。

彼等が一体、何のためにそんなことをしているのか。
終盤で真実が語られる。真実は逆だ、
この世界では人間の影が光であり、人間自体が影の影だった。
しかし、本来は我々の認識通り影はあくまで影だ。

そんな影の人類に対するある種の「反乱」。
この世界の謎の真実が終盤で明らかになることで、
物語への期待感、真実が明らかになったからこそ、
そこに支配されてしまう「主人公」の姿にぞっとしてしまう。

あんなに友達思いな彼女が友のことをなんとも思わない姿、
1話から10話まで主人公が明るく優しいキャラクターと描かれているからこそ、
そこからまるでリセットされ人形に戻ったような姿にぞっとする。

積み重ねたストーリー、積み重ねたキャラクター像をあえて
崩すことで見ている側の恐怖心を煽る。

真実

主人公が「真実」を知ったからこそのストーリー展開がより気になってくる。
塗りつぶされた自身の記憶、書き換えられた自身の感情。
主人公が真実を知ったからこそ、彼女はどうするのか。

真実はどんどん明らかになる。
ススにより錯乱させられ、「さらわれた子どもたち」と外の世界。
話が積み重なれば積み重なるほど、世界が広がれば広がるほど、
この完全に管理された「社会」を構築しているシャドーたちの怖さが湧き上がる。

だからこそ「ケイト」は真実を伝える。
彼女が人間だということを、シャドーたちもまた管理されていることを。
今自分たちが置かれている状況が「間違っている」ことを
ストレートに伝え、主人公もそれを受け止める。

この作品はディストピアな世界だ。
生き人形たちにとって幸せな世界であり、
真実を知らないシャドーたちにとっても幸せな世界の裏で、
実は完全に管理され、仕組まれた社会だということに主人公が気づくことで
物語が進む。

この手の作品の場合は序盤で「真実」に気づくことが多い。
だが、この作品は10話まで丁寧に真実を匂わせ、
ようやく主人公が知る。ここからだ。
ここから物語が始まると言っても良い。

真実を知った者たちのよる目覚めと反乱。
時には無理やり、時には暴力で、時には愛で。
彼等は真実に目覚めていく。反撃の狼煙は上がった。

エミリコがみんなのことを思ったからこそ、
ケイトが真実を伝えたからこそ、
他の生き人形やシャドーたちも彼女たちに協力をする。

友情、努力、勝利。原作を連載しているのはヤングジャンプではあるものの、
ジャンプらしい展開で最終話は終る。
夜は明けた。さぁ物語はここからだ。

スポンサーリンク

総評:頼む!頼むから2期は丁寧に!

全体的に見て秀逸な世界観をじっくりと見せてくれた1期だった。
影であるシャドーと、それにつかえる人間という名の生き人形、
この関係性を描きながらしっかりとキャラクターの掘り下げと
印象づけを行いながら、徐々に世界の秘密を紐解いていく。

真実を知らない明るい主人公と、不穏な真実を徐々に知る視聴者。
その対比と共に、真実を知れば知るほど
この先に待ち受けているであろう展開に
不安を感じさせ、恐怖を煽る演出で思わずゾワッとさせられる演出で
ホラーのような這い寄る面白さを感じさせてくれる。

キャラクターの描写がしっかりしているからこそ、
彼女たちに愛着を持ってしまい、愛着を持ってしまったからこそ、
この支配された世界で生きる彼女たちを襲う絶望が胸を締め付ける。
真実が紐解かれればディストピアな世界だ。

この世界を、この現状を、どうにかするために彼女たちは立ち上がる。
失ってしまった仲間のために、もう同じような事が起きないように。
物語はここからだ。
原作はまだ続いており、なおかつ1クールゆえに
第一部完ともいえるところで物語は終わっている。

影がメインキャラであるがゆえに画面に出てくるキャラの半分以上の
顔が見えないという絵面の面白さも有り、
設定の面白さが「絵」の斬新さを繋がっていた。

2期が楽しみな一方で、CloverWorks制作で似た雰囲気の
「約束のネバーランド」の2期があんなことになってしまったことを
考えるとやや不安もある。
どうか、約束のネバーランドの2期のようにならないように、
1期と同じよう丁寧に作られた2期が見たい。

そう感じさせてくれる作品だった。

個人的な感想:早いアニメ化

原作はまだ8巻しかでておらず、割と早いアニメ化だ。
アニメ自体は4巻くらいまでの内容になっているようだが、
調べた所、割と改変をしているようだ。

私は原作を読んでいないため、改変されたことはわからなかったが
アニオリストーリーになっている部分の違和感も感じず、
自然なストーリー展開だった。
2期をやるかどうか、またいつになるかはわからないが、
約束のネバーランドの二の舞にならないことを切に願いたい。

「」おもしろい?つまらない?


この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください