ねらわれた学園

2012年11月12日

ねらわれた学園  映画パンフレット 監督 中村亮介 声 渡辺麻友、本城雄太郎、小野大輔、花澤香菜

制作/中村亮介
監督/サンライズ
声優/本城雄太郎, 小野大輔花澤香菜,ほか


あらすじ
「チカラをください――」「季節(とき)が過ぎて、僕らは キセキの意味を知る――」。



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美術の時間です

原作は1973年に発売された小説
テレビドラマや映画化などされており、
有名なのは薬師丸ひろ子さんが主演していた映画だろうか?
本作品はそんな作品をアレンジしたアニメ映画だ
登場人物や敬太電話が出るなど様々な面が変更されている

基本的なストーリーは青春SF
普通の中学生である主人公が犬の散歩をしていると綺麗な顔をした少年と出会った。
「彼はここが地球か」とつぶやいたというところからストーリーは始まる

見出して感じるのは作画の質の良さだろう。
序盤は桜が舞っているシーンが多く背景もよく書き込まれており、
スクリーンを意識した画面作りになっていた。
だが、そんな綺麗な作画をいろいろな要素が台無しにする

主人公が冒頭から昨今のライトノベルのような 自分語りや人物紹介を行う。
更には出てくる登場人物がテンプレート的な反応をする
序盤はどこかでみたような青春恋愛もので新鮮味はない

更に演出がくどい。
思わず演出過多といいたくなるようなくどい演出ばかりで
前述した質の高い作画を見せつけるようなシーンが多い
メインストーリーが進まずに街並みや桜が舞うシーンを 何度も見せられた。
それが面白さにつながっているならいい。 だが、本作品はくどい演出や作画の質高さが
ストーリーの進行の邪魔をしており序盤は退屈だ

特にヒロインの一人であるナツキの動きの演出はくどい
普通の中学生、陸上部、主人公の幼馴染という設定なのに
人間離れしたアクションをする、意味もなく。
意味もなくバク転したり、意味もなくハネたりと 本当に行動がうざく、見ていてうるさいキャラだった

リアクションが大げさすぎるといえばわかりやすいだろうか?
主人公に対してツンツンした態度をとっているのだが、
テンプレートキャラなのでお約束通り主人公に惚れている。
主人公に対し苛ついたりむかついたりすると、殴ったり物を投げたりと
かなり「性格破綻」ぎみのキャラクターになっており感情移入はできない。

主人公であるはずの「ケンジ」も最後のほうで覚醒したりするが、
それまではかなり地味なキャラで「本城雄太郎」さんが演じられているが
彼の演技は正直厳しい部分があり、キャラ付けとしても弱くなってしまっていた原因だ

作画の質高いよ、こんなに動くよと言いたいのはわかるが
制作側の自己満足にしかなっておらず、 そこに面白さがない
綺麗な映像や綺麗なシーンが好き、背景が書き込まれた
いわば「質アニメ」と呼ばれる類のものが好きな方には
序盤の展開も楽しめるだろうが、
逆に「質アニメ」と聞いて拒否感が出る方は々に飽きてしまうだろう。

ストーリー的には序盤は単純だ
イケメン転校生がやってきて、主人公が惚れている同じクラスの女子が彼に惚れる
主人公はそんな様子にやきもきし、告白したりするが結果として振られ
そんな彼を見て幼馴染もイライラ。
転校生と主人公が惚れている女子はいい感じになって・・・と
これ以上でもこれ以下でもない。
いわば単純で分かりすいストーリー展開を自己満足全開の映像シーンで繋ぎつつ展開する

ただ、単純な展開ながらも転校生と主人公が惚れている女子のシーンは
演じられているのが「小野大輔」さんと「花澤香菜」さんだけあって
非常にニヤニヤしてしまうシーンの連続だ。
小野大輔さんのイケメンゼリフに、終始あたふたドキドキする花澤香菜さんという
キャラクター付けが弱いだけに声優という中の人の評価になってしまうが、
この二人が演じたからこそあのシーンは「ニヤニヤ」できるものになっていた。

しかし、逆に言えば「声優頼り」なシーンでもある。
個人的な感想になってしまうかもしれないが、あのキャラクター二人というよりも
小野大輔と花澤香菜の台詞の掛け合いが面白いだけで、
あのキャラクターが「生きている」とは言えなかった

中盤以降でようやく物語が「SF」になる。
ネタバレになる部分もあるのでネタバレが嫌いな方はこれ以降読まないように。

中盤以降、「ねらわれた学園」という題材通り学校がおかしくなる。
不登校だった生徒が自信満々で登校してきたり、生徒会長は異常に規則に厳しくなり、
そんな中、投稿しなくなる生徒も増え、唐突に転向する生徒も増える。
中盤、転校生の秘密が明かされる。

簡単に言えば、
「転校生は未来人で、現代人を超能力者にして未来に起こる地球滅亡回避するよ!」
という壮大な計画を持っている。
故に、次々と着々に超能力者が増えていく

だが、この「超能力者」が増えていく展開がいまいちわかりづらい。
超能力者といっても「互いが互いの気持ちをわかる」程度で
あからさまにスプーンを曲げたり、机を宙に浮かすわけじゃない
ただ単に超能力者同士集まって学校を支配しようとしてるだけ。
大きい事をやっているはずなのに、描写が地味。

更にその状況を「主人公」がどう打開するのかがこの物語のポイントでもあるだろう。
「ねらわれた学園」というタイトルである以上、「ねらわれた学園」を救わねばならない。
だが、その期待は裏切られる。
なにせ、ねらわれた学園を救った主人公がねらわれた学園を救った方法は
「そうだ、海へ行こう」ですから。
未来からきた転校生と超能力者パワーを覚醒した主人公の対峙、
さぁどうする!さぁどう解決する!と思ったら「そうだ、海へ行こう」

主人公と転校生が仲良く海に行ってうやむや。
「あれ?超能力身についた生徒はどうなったの?」
「あれ?不登校の少女はどうなったの?」
と、いろいろな疑問が彼らが海ではしゃぐ中頭を駆けまわる。

中盤以降のストーリー展開ははっきりいって「ご都合主義」「説明不足」の連続だ
きちんと見ていなければ、なんか知らないけど主人公がいきなり超能力者パワー覚醒するし、
未来に行ったと思ったら戻ってきたりする(苦笑)
圧倒的に説明不足な描写が多すぎて「ハッピーエンド」にはなっているものの、
なぜ「ハッピーエンド」になっているかが納得出来ない。
雰囲気で察しろと言わんばかりの描写が多すぎる。

前半できっちりとキャラを立てたはずの「先生」「不登校の少女」「生徒会長」が
終盤ではどうでもいい存在になってしまっているのも、
キャラクター描写の甘さが伺える。

ねらわれた学園という作品の原作は学園内での超能力者との対決がメインの作品だ。
しかし、本作品は「ねらわれた学園を新しい解釈で描き出す」という映画の紹介文があった通り
新しい解釈をつけすぎて、SF要素が要らない恋愛ストーリーになってしまっている。

はっきりいおう、SF要素が邪魔なのだ。
そのせいで甘酸っぱい中学生の4角関係のストーリーがぶれてしまい

物語も「?」となってしまう部分が多く作品としてぶれてしまっている。
SFと恋愛、この2つが上手く成り立っておらずチグハグだ。
もしこれがTVアニメだったならば「改悪」の言葉が多様されただろう

全体的に見て自己満足全開の作品だった。
この監督さんがつくり上げる「世界観」に共感できるなら映像としては楽しめるだろうが、
ストーリーとしては恋愛要素とSF要素がちぐはぐになっており、
恋愛要素を優先し過ぎたあまり、SF要素は説明不足でご都合主義全開になっている。

特に終盤はそのご都合主義や説明不足がひどく、
「唐突に付け足されたような設定」が多い
主人公が昔死んだ設定になってたり、主人公のおじいさんが未来人と会ったことがあったりと
「その設定は必要なのか?」と考えるが、説明不足なので考えるだけ無駄だ。

色々と設定を積みこみすぎているのも説明不足やご都合主義になってしまっている原因だ。
監督の「やりたいこと」は伝わるのだが、「やりたいこと」を全て詰め込んでしまって
結果として崩壊してしまった。
もう少しSF要素を削ればすっきりと見やすくなったかもしれない。

映像が綺麗な作品が好き!きれー!と映像美を楽しめるなら、
この作品は見て損はないだろう。
だが、アニメである以上「アニメーション」としての面白みと
アニメだからこそ許される「ストーリーと世界観」がなければ納得出来ない方は
このアニメはおすすめできない。

本作品はどちらかと言えば、娯楽作品というよりも美術作品という感じだ。
確かに映像面では素晴らしかったが、「PV映像」じゃないんだから
ストーリーもきっちりと楽しまさせて欲しかったという所だ。

確かに映像は綺麗だったが、アニメとしては面白みに欠ける作品だった。

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