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嗚呼、懐かしき初期ドラゴンボール「ドラゴンボール 神龍の伝説」レビュー

ドラゴンボール 神龍の伝説 映画
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評価 ★★★☆☆(58点) 全50分

あらすじ 少女パンジの住むグルメス国では、世界最高の宝石「リッチストーン」を掘り出すために、軍隊が村の家や田畑を破壊し続けていた。苦しむ村人達だが、強力な軍隊の力の前では、暴挙を止めさせることは出来ない。パンジは村を抜け出し、武術の神・武天老師に助けを求めるため旅を始めるのだった。引用- Wikipedia

嗚呼、懐かしき初期ドラゴンボール

本作品はドラゴンボールとしては初の映画作品。
監督は西尾大介、制作は東映動画。
「東映まんがまつり」の3本のうちの1本として制作された。
同時上映はゲゲゲの鬼太郎、キン肉マン。

あらすじ

この作品はドラゴンボールの初期エピソードを軸にして再構成し、
そこにオリジナルの要素である「グルメス王国」を絡めて
膨らませた話になっている。

物語冒頭から「ドラゴンボール」に関してのナレーションが入る。
7つ集めれば願いが叶う、もはやドラゴンボールという作品の
根幹たる説明が入る辺り「1作目」の映画であることを
強く感じさせてくれる。

そしてOPだ。
「魔訶不思議アドベンチャー」を聞いて心が踊らない人がいるだろうか。
日本に生まれ住んでいるなら確実に知っているドラゴンボール、
そんな初代OPは自然と心を踊らさせてくれる。

そんなOPのあとからオリジナル展開に入る。
「リッチストン」と呼ばれる宝石を採掘するために、
グルメス王国は圧政を強いられており、
国民たちは軍隊に苦しめられている。

グルメス王国の王はその名の通り「グルメ」であり、
美味しいものを求めている、自分が食べたことがない料理を
求める彼は「ドラゴンボール」を求めている。

非常にわかりやすいストーリーが導入として描かれており、
1986年に公開された作品だからこそ、今はなき名優たる
ベテラン声優が各キャラクターを演じている。
紅の豚のポルコを演じた「森山周一郎」が敵たるグルメス王を
演ずることで圧倒的な敵としての存在感を醸し出している。

孫悟空

そんな冒頭の物語が描かれると、悟空とブルマの出会いが描かれる。
ど田舎の山奥に住む野生児、世間を知らず、社会を知らない彼は
まるで「獣」のようだ。
ブルマと出会って彼女に拳銃をぶっ放されても一切効かない(笑)

初期のドラゴンボールらしい「コミカル」な描写は、
最近のドラゴンボール超などでは味わえない、
どこか「のほほん」とした雰囲気にもなっており、懐かしさ全開だ。

ブルマもまたドラゴンボールを探し求めており、
孫悟空と出会い、孫悟空は奪われた四星球を取り返すために
グルメス王国へと訪れる。

自然なストーリー展開を非常に店舗よく描いている。
「東映まんがまつり」の1本だからこそ、
この作品は50分しかない、50分しかないからこそ
サクサクとしたテンポで物語が進んでいく。

ヤムチャ

尺が50分しかないからこそドンドンとキャラクターも出てくる。
開始20分でブルマ、ウーロン、プーアル、ヤムチャの4人が
ストーリーの流れの中で自然に出てくる

原作通りのストーリー展開ではないものの、
原作に近い流れで構成されており一度ドラゴンボールを
見たことのある人でも、見たことがない人も
自然に「ドラゴンボール」の世界を楽しむことが出来る。

最初のバトルシーンは「ヤムチャ」との戦いだ。
コミカルではあるものの大胆な構図で描かれる戦闘シーン、
更にスローなどの演出もしっかりと多用しながら
サクサクと描かれる戦闘シーンはたまらない。

「狼牙風風拳」など、今では絶対にお目にかかれ無い技だ。
そんなヤムチャ相手に「じゃんけん」のような技で勝利する流れも
この時代のドラゴンボールらしい魅力をしっかりと感じる。

亀仙人

そんな序盤を過ぎると「亀仙人」も出てくる。
50分という尺しか無いのに初期のドラゴンボールの
メインとなるキャラを一気に出していく流れは独特だ。
この時代だからこそ許されたアニオリ展開だ。

さらに言えば「この時代」だからこそのセクハラ表現もある(笑)
亀仙人のブルマに対する要求など、今の時代なら色々と
コンプライアンス的にアウトだが、
この時代だからこそ許される表現に懐かしさを感じる。

そして「かめはめ波」だ。
50分という尺で亀仙人登場まで描いたのは、「かめはめ波」のためと
言っても過言ではない。
孫悟空という「主人公」にとっての必殺技、そんな必殺技を
出さないと映画としての盛り上がりが薄くなってしまう。

そんな「かめはめ波」を孫悟空は一瞬で覚えてしまう。
彼らはグルメス王国を取り戻すためにも、
ドラゴンボールを手に入れるためにも、グルメス王に挑むことになる。

グルメス王は「欲」に溺れた存在だ。
もともとは良い王様だったものの、食欲に溺れてしまった結果、
尽きない欲望を満たそうとしている。

そんなグルメス王は「かめはめ波」すら叶わない。
せっかく必殺技を覚えたのに必殺技で倒さないという
展開はかなり予想外な展開だ。

ドラゴンボールの一作目の映画だからこそ、
結末はそんなドラゴンボールから出てくる「神龍」が解決する。
グルメス王国で育った少女の切なる願い、
大好きだったあの頃に、大好きだった国を取り戻したいという
切なる願いを神龍は叶えてくれる。

ドラゴンボール映画の悪役としては珍しく、
グルメス王が死ぬという展開にならない。
色々と悪いことをしては居たものの、彼は欲に溺れただけだ。
そんな欲から開放されることで、もとの良き王に戻る。

1作目だからこその面白さが詰まった作品だった。

総評:40年たっても色褪せない面白さ

全体的に見てあっさりはしているものの
初期のドラゴンボールのエピソードをうまく50分でまとめており
テンポの良い展開と魅力あるキャラクターたちの自然な登場のさせ方、
更にキャラクターたちの見せ場のシーンをきっちり描いてる。

この時代だからこそ「まだドラゴンボールを見たことない人も
居るであろう」ということをきちんと意識した
ドラゴンボールの最初の映画にふさわしい内容になっており、
原作やTVアニメの流れと違うパラレルな作品ではあるものの、
それもこの時代だからこそのおのだ。

作画に関しても非常によく動き、亀仙人のかめはめ波のシーンや
悟空の如意棒が伸びるシーンなどよく描かれており
スクリーンという大きな画面で見たとしても遜色のない出来栄えだ。

ただ、最後の戦いに関してはやや消化不良気味な感じは残る。
50分という尺ゆえにあっさりとしており、
せっかく覚えたかめはめ波もあまり役に立たずに終わってしまうのは
少し残念なところだ。

しかしながら、ドラゴンボールを知らなくても楽しめる
貴重なドラゴンボール作品だ。
基本的にこの後の作品はドラゴンボールを知っている、
ドラゴンボールファン向けな作品になっているため、
1作目だからこその新規を意識した作品に仕上がっていた。

個人的な感想:鳥山明

鳥山明さんが68歳の若さでこの世を去ってしまい、
さみしい気持ちが湧き上がってしまい、
久しぶりに初期のこの作品を見返してみた。

作画の古さは確かに感じるものの、
それでも、40年たっても「色褪せない」ドラゴンボールの
魅力をこの作品では十二分に感じることが出来る。

いま見ても遜色のない作画のレベル、声優さん達の豪華さ、
50分という短い尺で十分に「ドラゴンボールの世界」を
味わえる作品だった。

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