PSYCHO-PASS

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評価/★★★★☆(68点)


PSYCHO-PASS サイコパス VOL.1【Blu-ray】

制作/Production I.G
監督/本広克行
声優/関智一,花澤香菜,野島健児ほか


あらすじ
シビュラシステムが構築され、人間のあらゆる心理状態や性格傾向を計測する値、通称「PSYCHO-PASS」(サイコパス)が導入されて間もない未来世界(西暦2112年)。大衆は、有害なストレスから解放された「理想的な人生」を送るため、その数値を指標として生きていた。その中でも、犯罪に関しての数値は「犯罪係数」として計測されており、たとえ罪を犯していない者でも、規定値を超えれば「潜在犯」として裁かれていた。




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ライ麦でつかまえて


本作品は「魔法少女まどか☆マギカ」で一躍有名になった虚淵玄氏を
メインストーリーライターとして迎え入れたアニメ作品。
監督は『踊る大捜査線』でお馴染みの本広克行氏、
キャラクター原案は家庭教師ヒットマンREBORN!でお馴染みの天野明氏、
そしてアニメ制作はプロダクションIGと面白い組み合わせで作られた作品だ

基本的なストーリーはSFサスペンス。
近未来、人が犯罪を犯すかどうかが「シビュラシステム」のよって判断され
それぞれの「犯罪係数」が分かるようになった世界。
その世界ではある程度の犯罪係数を超えたものは隔離、または殺される。
それが当たり前の絶対的な正義であり社会的なモラルとなった近未来、
ヒロインは犯罪係数が高い人間を捕まえる「公安」に監視官として配属される
という所からストーリーは始まる。

序盤のストーリーはややロースペースかつ淡白だ。
この作品の世界観や設定がやや複雑なため10話辺りまでは
「サイコパス」の世界観とこの世界の「正義」について描写される。

この作品の根幹とも言えるのが「サイコパス」、つまり犯罪を犯す人間かどうかを
システムが判断することが出来るようになったという点だろう。
すべての人は街にあふれる機械や監視カメラで自動的に犯罪係数を調べられており、
ある程度の数値に変化した場合、取り締まられる。

その数値は生まれてから、もともと高い人間もいれば低い人間も居る。
環境、自分に置かれた状況の変化、人間関係など様々な要因で犯罪係数は変化してしまう。
人を殺したいと思えばすぐにその数値は一気に上る。
故にその数値は絶対的な信用で社会のシステムに組み込まれており
ヒロインはその数値を元に犯罪者を取り締まる「公安」に新人として配属される。

この「公安」の設定面白い。
この公安に配属されているのはヒロインともう1名意外は「潜在犯」と呼ばれる
犯罪係数の高い人間ばかりだ。
犯罪係数の高い人間はセラピーを受けて犯罪係数を下げるか、
もしくは殺されるか、もしくは「公安」となって
同じ犯罪係数の高い人間を取り締まるしかない
作中では彼らのことは「猟犬」と比喩されている。

そしてこの数値を判断しているのが「シヴュラシステム」と呼ばれるシステムだ。
このシステムは犯罪係数だけではなく、
人がどんな仕事に向いているかどうかなどの判断もし、
人それぞれ就職できる仕事は決まっている
あらゆることが数値化されそれが判断される世界、それが「サイコパス」の世界だ

序盤はこの世界の「あたりまえ」を描写している。
狂った犯罪者が現れ、公安のメンバーが取り締まる。
その繰り返しの中で世界観とシステムを説明し、
同時に「このシステムの違和感」を描写する。

この世界では「犯罪係数」が高ければ問題無用で隔離される。
たとえ犯罪を犯してなくとも問答無用だ。
そして犯罪係数がある程度高ければ裁判などもなしに「処刑」される。
安全な社会システムではあるが、同時に理不尽さも含まれている。
登場人物たちもそのシステムに「違和感」を感じている。

その違和感や疑問が決定づけられるのが11話だ。
物語の根幹の登場人物ともいうべき「マキシマ」という人物
彼はそれまでに犯罪者の裏で犯罪者の手助けをしている存在だった。
そしてヒロインの前に彼が現れる、ヒロインの友人を人質にとって。

「マキシマ」は平然とヒロインの友人の背中を切りつける、
しかし、彼の犯罪係数は「一般人」を示す低い数値だ。
何度彼を検査しても彼はシステムの前で平然と犯罪行為を行う
彼は息を吸う用に、食事をしているように、ただおもちゃで遊んでいるかのように
犯罪を行う。
そんな彼は「システム」では犯罪者と判断されず、ヒロインの友人を殺す。

この11話は決定的だ。
それまで視聴者に見せていた「この世界の中の正義」をひっくり返す出来事だ
犯罪係数が高い人間が犯罪をおかすことが当たり前の世界で
犯罪係数が低い人間が犯罪を犯してしまう。
それまで正義と思っていたことが正義でなくなる。

非常に憎いストーリー構成といえるだろう。
淡々と、だが確実にこの世界の正義を視聴者に植え付け同時に疑問を感じさせ
そして11話でこの世界の正義の崩壊と疑問を確証に変える。

「このシステムはほんとうに正しいものだろうか?」
視聴者も作品の中の登場人物も同じように考え始める。

非常に憎いストーリー構成だ。
2クールという尺を意識し、前半で正義を構築し後半でそれを瓦解させる。
物語の前半と後半で「正義」の価値観が全く違っており、
その二律背反がこの作品の面白みの1つだろう。
中盤からは「正義」であるはずの「シヴュラシステム」自体の問題やその秘密、
そして秩序の崩壊を描写し、物語が二転三転し先の読めない展開になる

1話1話の面白さではなく作品全体を通して面白みを感じる。
物語が進めば進むほど味が出てきて、同時に「緊迫感」も増す。
特に最終話直前の21話の緊迫感は凄まじい
刑事物らしいことを思い出させる登場人物の結果や、犯人との逮捕劇、
次の話がきになって仕方なくなる展開などは素晴らしかった。

全体的に見てストーリー構成がうまかった作品だ。
しかし、その反面、序盤から中盤までの遅い展開は人によっては
早めに見限ることになってしまっており、
もっと早めにストーリーを動かしても良かったのでは?と感じる。

さらに言えば人物描写が限定されてしまっていること。
主人公、ヒロイン、敵の3人はきっちりと描写されているのだが
公安のメンバーの一部の掘り下げ不足は多く、
もう少し掘り下げがあれば「登場人物の死」の深みが出たのでは?と感じる部分も多い。
前半のあまり動かないストーリーの中でもっと人物を掘り下げる内容も欲しかった所だ。
世界観や設定を説明するのに必死だったとも言える。

更にストーリーも「1つの事件」は終わったが、
この世界のシステムの根幹は正しくなったとはいえない。
2期があってもおかしくないと感じさせる内容は余韻を残すものと同時に
スッキリしない感じも残ってしまった。

しかし、物語全体としてみれば面白かった作品だったと言える。
2期があればもっと物語や世界観に深みのある内容になる
「期待感」を感じさせるだけの作品ではあった。

それとコレは個人的な見解になってしまうが
同時に「攻殻機動隊」になりたい願望のようなものも作品の中で多く見られた
特に様々なものからの文章の引用など後半多く見られ、
終盤の「ライ麦畑」的な内容もオマージュとしてみればいいのか何なのか。
文章の引用は意味のあるものになはっているが、
引用せずに「キャラクターの言葉」で語ったほうが
この世界の登場人物のセリフとしては合っていたように感じる。

作品を見終わった後にいまいち「見終わった」感があなかったのが残念だ
物語の終わり方から見れば「映画」で続編をやれそうな感じもある。
あればぜひ見てみたい、それがあって初めてこの作品は完成される
続編、ぜひ期待しています。

コメント

  1. 名無しでやんす より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    なんというか、マイノリティ・リポートのイメージがちらついて、イマイチ楽しめなかったです。
    マイノリティ・リポートの映画が大好きだったからってのも、あるんですが。

  2. 名無し より:

    >「攻殻機動隊」になりたい願望のようなものも作品の中で多く見られた

    制作陣のインタビューを見てると逆に攻殻機動隊っぽくなることを避けていたみたいですけどね
    その意識が結果的に攻殻機動隊を思わせてしまったのかもしれません